アンドレアス・ジョンセン監督インタビュー
2008年7月17日 (木)
『インサイド/アウトサイド』 アンドレアス・ジョンセン監督インタビュー
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第1回 「アートに"金銭的な価値"は、必要ない」
アンドレアス・ジョンセン (以下、アンドレアス) ハイ、ハジメマシテ・・・ヨロシクオネガイシマス(笑)。 ---(笑)。それではまず、『インサイド/アウトサイド』を撮られたきっかけを教えて下さい。 アンドレアス 僕は、"元グラフィティ・ライター"でした。そして、ヒップホップ文化に、非常に影響を受けました。特に、1982年の『Style Wars』という作品から受けた影響は、僕にとって本当に大きいですね。それと『SUBWAY ART』と『Spray Can Art』という2冊の写真集にも、いろいろなヒントを受けました。 僕は自分のキャリアの中で、いつか必ず、グラフィティまたはグラフィティから派生した、サブジャンルの作品群の"映像"を撮ることになるだろうと思っていました。 ---グラフィティとの関わり方は、監督ご自身が"グラフィティ・ライター"だったキャリアもあり、そのままライターを続けていく・・・ということも考えられたと思うのですが、それを"映像"で表現しようと思った理由というのは? アンドレアス 先ほどお伝えした、1982年の『Style Wars』という作品が描いていた頃の世界の後、このシーンがどう発展していったのかを"映像"として収めたかったんです。 NYでグラフィティを始めた人達の中には、その後、非常に実験的で、アブストラクトな世界を創造していった人達もいるので、その発展の流れ・・・80年代、90年代を通しての、グラフィティの世界の展開というものをなぞってみようという試みがあったんですね。 それともう1つは、僕がこの作品に登場するアーティスト達に対して、"尊敬の念"を抱いているので、彼らの姿を撮影することによって、アートを表現するにあたって、そこに"金銭的な価値"を付加する必要はないし、そこを"有料なものにする必要はない"んだ・・・ということを示したかったんです。 ---作品に出ているアーティストとは、以前から面識があったんですか? アンドレアス 本当に至近距離で、あるいは遠くから、全てのアーティスト達をフォローしていて、その内の一部の人達とは直接、知り合いでもあったアーティスト達です。 まず最初は、12人くらいのアーティストに、この作品の取材の依頼をしたんですが、彼らを説得することは、すごく難しかったですね。誰一人として、過去にこういった映像作品に出演した経験のあるアーティストはいなかったので。 ですから、何度も説明を繰り返して、僕自身の過去の作品を観てもらったりもしました。でも、いざ撮影を開始してみると、彼らは非常に協力的で、いつどこへ行くにも、何をするにも、撮影許可を出してくれましたね。本当に彼らには、すごく助けられました。 編集過程の中で、繰り返し同じことを話しているアーティストがいたり、似た作品が頻繁に出てきたり・・・というようなことがあったので、撮影したものをどんどん削っていきましたね。そこから、作品に出てもらうアーティストが9人くらいに減りました。 その中でも特に特徴的だったのは、ゼウスです。彼に対してはもともと、メイン・・・語り部としては考えていなかったんですが、だんだんと彼の、エンターテイナーな性質と、とても頭がいい側面が出てきたということがあって、彼がこの作品の中心的な人物になっていきましたね。
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