Mark Murphy 来日記念インタビュー
2008年5月8日 (木)
Mark Murphy インタビュー
Mark そうだね。その前は、United Future Organization(U.F.O.)とやった時、そのさらに前は、東京の刑事モノのTV番組の音楽制作で呼ばれたんだ。結局、お蔵入りになってしまったんだけれどね。 U.F.O.とは、2回、日本で一緒にやっているんだ。すごくスモーキーな地下のクラブに行ってやったのを覚えているよ。 日本の人たちは、皆とても親切にしてくれるから、当然嫌いじゃないよ(笑)。日本の街並みも、とてもきれいに整理されているよね。今回、ギリシャのアテネを回ってから来たんだけれど、ギリシャも日本と同じくらいジャズ・ファンがいて、私のファンも多かったんだよ。これは意外だったな(笑)。昔の日本のお客さんは、じっと座って見るだけの人が多かったんだけれど、最近は、踊ったりする人が増えてきたよね。そういう意味では、日本も変わったなという印象はあるね。 --- 昨年リリースの『Love is What Stays』と、2005年の『Once To Every Heart』は、共にティル・ブレナーによるプロデュース/共演となります。 Mark 彼とは、ベルリンで出会ったんだ。アラン・ブロードベンドとのツアーの最終日直前だったかな。レストランで夕食を食べていた時、ティルが突然私の向かいの席に座って、英語で色々と話しかけてきたんだ。そこで仲良くなってね。彼の息子の写真なんかを見たりしてね。でも、彼に関しては謎が多くて、現時点では、「?」マークが付くことの方が多いよ(笑)。 --- この『Love is What Stays』では、コールドプレイの「What If」を演っていますよね。正直驚いたのですが、これもティルさんのアイデアなのでしょうか? Mark レコード会社サイドとしては、コマーシャルなものを作りたいっていう意向がある。けれど、私にとってそんな事は、気にするべきところじゃなく、私のスタイルでもないんだ。あの曲に関しては、ティルが持ってきたものなんだけれど(笑)、「このアルバムは、コマーシャルなものにはしないよ」って彼には事前に伝えてあったんだ。だから、レコーディングにはたっぷり時間をかけたしね。やっぱり、アーティスティックなものを作るときというのは、とても時間がかかるものなんだよ。 今、ニューヨークで、ギタリストのヴィニー・ヴァレンティーノらと一緒に仕事をしているんだ。レーベルは特に設けずに、楽曲は、ウェブのダウンロードでだけ配信しているんだ。
Mark じゃあ、日本で歌ったら、大歓声が起きるのかな(笑)?再録に関しては、単純にいいアイデアだと思ったんだよ。新しいファンもついてくれるだろうし、勿論、古くからのファンにも、また楽しんでもらえるしね。 --- ちなみに、私がマークさんの曲を初めて聴いたのが、この曲なんですよ。 Mark 本当に?じゃあ、フレディ・ハバードの「Red Clay」を演ったレコード(『Mark Murphy Sings』)は知ってる?あれは、1975年に作ったものなんだけれど。その時、きみはいくつだったの? --- 勿論、聴いたことがありますよ。大好きなレコードです。その当時は、1歳でしたけどね(笑)。 Mark あははははははは、そうか、そうか(笑)。 --- 『Rah!』(1961 Riverside)や、『Midnight Mood』(1967 MPS)といった作品も、今も多くのジャズ・ファンに聴き継がれていますよね。 Mark 『Rah!』。これは、本当にいい作品だよ。当時のニューヨークの最高のミュージシャンが集まったんだ。同じく、ドイツのケルンで録音した『Midnight Mood』も素晴らしいアルバムでね。ベストの1枚だよ。クラーク=ボラン・オーケストラと一緒に演ったんだ。彼らはもう亡くなってしまったけれどね。あとは、『Song for the Geese』(97年)。今だと、なかなか見つからないレコードかも知れないけれど、本当に大好きな1枚だよ。 『Midnight Mood』の録音当時は、ロンドンに住んでいたんだ。ケルンに行ったときに、プロデューサーのジジ・キャンピに出会って、彼が、クラーク=ボラン楽団を連れてきたんだ。まさに、コンサート・ジャズのための楽団でね。確か、ドイツの17都市で公演をしたんだ。まぁ、ティル(ブレナー)と日本で10公演を行うというのが、私の現在の夢ではあるけれどね(笑)。
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マーク・マーフィー
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グラミー賞に6度ノミネートされ、アメリカの有名ジャズ雑誌「ダウンビート」人気投票でも数え切れないほどの首位に輝くシンガー。女性歌手が圧倒的に多いジャズ界で、ただひたすら「都会の粋」を歌い続けてきた男、それがマーク・マーフィーである。1956年にレコーディング・デビューした彼の半世紀にわたる歩みは、まさに「粋の軌跡」。無名同然だったビル・エヴァンスや、デヴィッド・サンボーン、マイケル・ブレッカーなどをいち早く起用し、ジャンプ〜ジャイヴ、ブラジル音楽、ジャズ・ファンクまで、あらゆる楽曲をスタイリッシュに歌いこなしてきた。近年はファイヴ・コーナーズ・クインテット、ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション(U.F.O.)などとのコラボレーションでも話題を提供。2007年には、ティル・ブレナーのプロデュースのもと、最新アルバム『Love Is What Stays』を発表した。
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