再考 90'sモダン・ヘヴィネス

2008年2月19日 (火)

 
 
  90's モダン・ヘヴィネスとは何だったのか?
         
  90's モダン・ヘヴィネスとは何だったのか?  
ハルフォードのベスト・アルバム『Metal God Essential: Vol.1』に続く「METAL GOD」の第2弾リリースは、90年代初頭、バンドを脱退したロブが新たに立ち上げたバンド、ファイトのDVD『War Of Words: The Film』とレア・トラック集『War Of Words: Demos』!当時のロブがヘヴィ・メタルの新たな可能性として、どっぷりとハマっていたのが、本稿のお題目「90's モダン・ヘヴィネス」だ。パンテラのブレイクを皮切りに、世界中を多い尽くしたヘヴィでぶっといサウンドを今一度振り返ろう!

 
         
  パンテラがもたらした衝撃
         
  俗悪〜Vulgar Display Of Power  
参考作品:『俗悪〜Vulgar Display Of Power』

ある意味メタリカのブラック・アルバム以上に重要だったとも言えるパンテラの1992年発表作品。バンド結成から暫くの間はデフ・レパードのようなポップ・メタルのスタイルであったが、ヴォーカリスト、フィル・アンセルモの加入によりサウンドが激変。フィルの野獣のような咆哮と、地獄の底を這うようなダイムバック・ダレルのウルトラ・ヘヴィなギター・サウンドは、当時のシーンに大きなインパクトを与えた。ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードもパンテラに刺激され、自身のソロ・プロジェクト、ファイトを始動。この作品以降、多くのパンテラ・フォロワーが雨後のタケノコのように出現したことは言うまでもないだろう。
 
         
  知性×ヘヴィネス=ヘルメット
         
  Meantime  
参考作品:『Meantime』

1992年に発表され、90年代ヘヴィネスを体現したサウンドでヘルメットの名を広く知らしめたセカンド・アルバム。彼らの最高傑作の呼び声も高い本作で、ジャズ理論やクラシックを正式に学んだという中心人物ペイジ・ハミルトンによる構築し尽くされたヘヴィ・サウンドが確立。パワフルでノイジーなギター・リフを重ねつつ、前述したようなアカデミックなジャズ・コードが挟み込まれるなど一筋縄ではいかない個性を発揮。リズム陣の強烈さも特筆。パンテラとは全くベクトルが異なるサウンドだが、パンテラで目覚めたメタル・リスナーからも熱い支持を集めた。

 
         
  暗黒王子、トレント・レズナー(NIN)の憂鬱
         
  Downward Spiral  
参考作品:『Downward Spiral』

出発点はボディ・ミュージックにあるが、90年代のヘヴィ・ミュージックを語る上で外せない超重要人物がナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーだ。本作は最高傑作の誉れ高い1994年発表作。ノイジーなギター・サウンドにインダストリアルなリズム、エフェクトされたヴォーカルというスタイルをさらに高みに持っていくことに成功している。混沌とした音像を醸し出しているが、意外と聴きやすいのも才能のなせる技か。トラウマと絶望と苦悩と狂気の狭間に潜む美しさを醸し出した本作でもって、ニルヴァーナのカート・コバーンに変わる新たな90年代ロックのカリスマとして君臨する。
 
         
  スラッシュ・メタルからのアプローチ
         
  Chaos A.D.  
参考作品:『Chaos A.D.』

メタリカのブラック・アルバム、そしてパンテラの登場によって当時のメタル・シーンはモードが切り替わったと言えるだろう。それまでスピード重視だったスラッシュ・メタル勢も例外ではなく、多くのバンドがスピードを落としてヘヴィなサウンドを鳴らすようになった。ブラジルのスラッシュ・メタル・バンド、セパルトゥラは数少ない成功例のひとつ。93年に発表された本作は、スピードをそぎ落とし、スロウかつヘヴィなサウンドを打ち出しつつも、ブラジル音楽やインダストリアルにもアプロ−チ。次作『ルーツ』はよりブラジル色を色濃く打ち出し、独自路線を切り開いた。

 
         
  そして現在・・・
         
  Hybrid Theory  
参考作品:『Hybrid Theory』

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、KORN、リンプビズキットなど、90年代後半にブレイクしたバンドもやはりこの90's モダン・ヘヴィネスからの流れを汲んでいる。2008年の現在でもリンキン・パークやスリップノットといった90's モダン・ヘヴィネスの遺伝子を受け継ぐバンドたちがロックのメインストリームとして迎えられていることを考えると、90's モダン・ヘヴィネスという音楽は非常に重要なファクターだったのではないだろうか。このたび発売されるファイトの作品を聴いて/観て、何か感じるものがあったら今回ここで紹介した作品群もぜひ手にとってみて欲しい。
 
         
 


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