―― ロサンゼルス出身ですか?
Ricci Rucker: 実は俺はドイツ生まれで、カリフォルニアのベイ・エリアで育った。刺激を求めて5年前にLAに引っ越したけど、2008年の頭にヨーロッパに引っ越す予定だよ。そして、いつかはアフリカに引っ越して土地を買いたいね。
―― LAのLow End Theory周辺ではヒップホップ、電子音楽、ターンテーブリズムが自然な形で混ざっているようですが、どう思いますか?
Ricci Rucker: Low End Theoryはクールなパーティだし、ライヴを見られる数少ないLAのイベントだよ。もっとこういうパーティが増えるべきだと思う。今は何でもデジタルで安価にレコーディングされているから、ライヴは新しい音作りの場というより、今まで作った音をいじくるためのものになっている。『Fuga』は俺がレコーディングした最後のデジタル作品で、このバージョンでは、最終的にテープに落として、デジタルの角を取ったんだ。今はアナログ機材だけでレコーディングしているし、生演奏でレコーディングしているんだ。
―― 『Fuga』は、普通のスクラッチDJの作品とは大きく異なった内容ですね。
Ricci Rucker: 『Fuga』はみんなが求めているものではないかもしれないけれど、前から俺はこういう作品とポップな作品を並行して出したいと思っていた。キャッチーでポップな音を作るのは得意だけど、実は『Fuga』を作るまでは、ポップな音楽を作ることに抵抗があったんだ。『Fuga』を通して色々なことを表現できたと思う。アップビートでキャッチーな音楽はみんなを喜ばせるけど、俺がポップな音楽を作って、それを気に入ってくれた人が後で『Fuga』を発見してくれたら嬉しいね。
―― あなたはバトルに出演しないことで有名になりましたね?
Ricci Rucker: 政治が嫌いなんだよ。みんなは毎週クラブに顔を出して、自分のCDを配って、おしゃべりばかりしている。いつも顔を出していると、特に何もやっていなくても、人に認められるようになる。でも、それはただ役を演じているだけ。音楽業界の多くの連中は、そうやって出世していく。でも彼らは実際に何もやっていないんだ。俺がそうやって政治ばかりに力を入れていたら、カニエ・ウェストよりも有名になってるよ(笑)。
―― 現在の音楽を取り巻く状況についてどう思いますか?
Ricci Rucker: 今の若い人達は、昔の音楽のあり方を知らないから、MP3プレイヤーをまるで最新のハイクォリティなテクノロジーだと思い込んで買いあさっている。年配の人は、生活するのが大変で、時代に追いつくために自分の子供にMP3プレイヤーを買い与えている。年配の人はライヴに行って楽しめないからと言って、自分の年齢のせいにするけど、実際に今の音楽はワックなんだよ。年配の人は自分らの功績を認めずに、疲れ切っているせいか昔の音楽がどうだったかを若い人達に継承しようとしない。素晴らしい時代に生きていたのに、その時代の音楽はショッピング・モールとデジタル・ミュージック、テクノロジーと呼ばれているものによって忘れ去られている。俺はオールドスクールのメンタリティと、未来志向の考え方を両方とも持ち合わせている。だから、昔の音楽にあった誠実さと、現代のメジャー・レーベルのシステムを利用して、メインストリームを変えたいんだ。今出ている音楽よりも気持ちよくて衝撃的なものを出していきたい。
―― これからの予定は?マイク・ブーやD・スタイルズとはまだプロジェクトはやっていますか?
Ricci Rucker: いくつかのプロジェクトをやっているんだけど、その一つがPOLYというエレクトロ・ソウル・パンク系のユニットで、ザ・リフレクターという仲間とやっている。ザ・ティーター・トッターズというバンドをプロデュースしたんだけど、彼らの"That is your life" という曲はクロスオーバー・ヒットになる可能性を秘めているよ。あとRuckazoid and The Humansもとてもおもしろいプロジェクトだし、ライヴは必ずいいものになるし、大きな予定を立てている。
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www.operationunknown.comでチェックできるよ。
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マイクとは今でも話すし、彼とは必ず何かをやるよ。トードスタイルとD・スタイルズとは、何らかの再結成イベントを考えている。当時彼らとやっていたことは素晴らしかったし、誰も俺たちがやっていることがDJのあり方を変えるとは思っていなかった。自分の活動にしばらく専念してから、彼らと何かをやるのも楽しいと思う。彼らと演奏するときは、有名になるとか衝撃的なことをやろうというプレッシャーはないし、とにかくスクラッチが上手い人とやりたいんだ。最近はそういう人が少ないからね。
―― ありがとうございました!