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昭和のレアグルーヴ 今こそ和ジャズだ!

2007年6月29日 (金)


Jap Jazz Special


ここ数年、「日本のジャズ名盤」と銘打った復刻シリーズが雨後の竹の子の如くリリースされる中、今年に入って決定的とも言える陽の国ジャズ発掘プロジェクトの成果が幾つか発表された。コロンビア、キング、ソニー、BMGといった大手の秘蔵音源から、<昭和ジャズ復刻シリーズ>が大当たりのDIWレコーズ、P-Vineなどの再発に力を注ぐ独立系レーベルまでが、手前みそながらも再発王国ニッポンの名に恥じない充実のリイシューぶりで一部の好事家だけでなく、若いクラブ・ジャズ・リスナー、はては海外のコレクター達までをも唸らせる。須永辰緒『夜ジャズ』シリーズ(勿論夜毎のDJプレイやミックス・テープも!)やDMRジャズ・バイヤー、小川充監修のガイド・ブック『Jazz Next Standard』などで耳にし、目にし、すでに新鮮な解釈を以ってこれらを「ジャパニーズ・レア・グルーヴ」「ジャパニーズ・フリーソウル」と総称するクラブ・ジャズ世代のリスナー達にとっては、まさに宝の山なのだ。我が国以上に海外のジャズ・コレクターの垂涎の的となりうるその希少性と、60年代〜80年代中期という時代性を孕んだ特異なオリジナリティを放つ演奏者の気迫とユーモアが絡みあって生み出された、次なるレア・グルーヴとしての価値観。寧ろ空っぽとも思える現代でこそその価値ある存在理由が証明され得るのではなかろうか?
兎にも角にも、今年は和ジャズがアツい!アツすぎる!


 
 
  Think!発<昭和ジャズ復刻>シリーズ  
 
秋吉敏子
未曾有の和ジャズ復刻ムーヴメントを作り上げたと言っても過言ではないDIWレコードが立ち上げたThink!の<昭和ジャズ復刻>シリーズでは、これぞ「日本ジャズの心意気」とも言える決定的名盤を続々発掘中!一部の熱心なファンやコレクターの間でしか話題にのぼらなかった幻の名盤もザックザク。昭和ジャズ界の名プレイヤー/名バイプレイヤー達のヒップでファンキーでスリリングでイナセな名演を団塊の世代だけのものにするなんて実に勿体無い!若いクラブ・ジャズ・リスナーにも是非感じ取って欲しいこのガッツと強烈なオリジナリティー!「和ボッサ」シリーズもスタート!

 
 
 

 
 
 
  白木秀雄特集  
 
白木秀雄
Think!<昭和ジャズ復刻シリーズ>の中でも、一際大きな注目を集めているのが昭和の名ドラマー、白木秀雄の作品群だ。そのオリジナルLPは海外の著名ジャズDJ達もこぞってウォントをかける名作『祭りの幻想』を筆頭に、『ステレオ・ドラム&ブラック・モード』『コンプリート加山雄三の世界』など、マニア垂涎の驚愕ラインナップをご用意!シャープなモダニズムと超絶テクに裏打ちされた独自のドラム・スタイル、そしてグループとしてのArt Blakey&Jazz Messengersにも通じるパワーとヴァイタリティに満ちたファンキーなハード・バップ指向!

 
 
 

 
 
  <昭和ジャズLegend>シリーズ  
 
増尾好秋
CBSソニー創成期からフュージョン・ブームの70年代、日本ジャズ史を彩ってきた珠玉の「和ジャズ」音源を高音質のSACDハイブリッド・ディスク、さらには完全初回限定プレスの紙ジャケでリイシューするというソニーの入魂企画<昭和ジャズ・レジェンド>。1968年、若くして渡辺貞夫クインテットに入団した増尾好秋のデビュー作『バルセロナの風』笠井紀美子が菊地雅洋(p)らピアノ・トリオをバックに歌った『ホワッツ・ニュー』、さらには、マリーン『ファースト・ラブのように』渡辺貞夫『Sadao Watanabe』ザ・プレイヤーズ『ギャラクシー』といった名タイトルがずらり!

 
 
 

 
 
 
  <スリー・ブラインド・マイス>シリーズ  
 
鈴木勲
同じくソニー再発となるのは、山本剛『Midnight Sugar』土岐英史『Toki』中村照夫『Unicorn』高柳昌行『Ginparis Session』といった名盤を多数生み出した、1970年設立の名ジャズ・レーベル<スリー・ブラインド・マイス>(2006年にレーベルとしての活動に終止符。)の復刻シリーズ。日本人による個性豊かなジャズの姿をビビッドに切り取り、ビジネスよりもミュージシャンの持ち味を描き出してゆくことに最大のポイントを置いていたことで多くのジャズ・ファンに支持され続けてきた名インディペンデント・レーベル。こちらも紙ジャケ(帯も縮小で再現)、SACD仕様!

 
 
 

 
 
  <ディープ・ジャズ・リアリティ>日本編  
 
猪俣猛
Universoundsによる、ジャズ史に埋もれた知られざる珠玉の傑作を再び世に送るプロジェクト<Deep Jazz Reality>の日本編。石川晶「バック・トゥ・リズム」猪俣猛諸作など、日本のジャズ・シーンが異様な熱気に包まれていた70年代を象徴する、「Japanese Rare Groove」というサブ・タイトルに恥じないマニア垂涎のラインナップ。本プロジェクト発信にあたり、キング・オブ・ディギン=Muro氏もこんなコメントを寄せている。「最上級なグルーヴを求め、掘り続ける事10数年。辿り着いた場所は、なんとここ日本だった!日本の誇り高きファンキー・ジャズ・マン達が再び嵐を呼んでいる」

 
 
 

   
 
 
  キング<Re-Jazz Swing> 
 
東京キューバンボーイズ
見砂直照(中央)とザ・ピーナッツ
和ジャズの宝庫とも言うべきキング・レコードからは、若杉実氏監修による<King Re-jazz Swing>シリーズが登場。白木秀雄江利チエミ見砂直照率いる東京キューバンボーイズスマイリー小原とスカイライナーズといった昭和の歌謡〜ジャズ界のビッグネーム達の貴重音源を惜しげもなくコンパイル。続く「カルト編」と銘打った復刻ラインでは、村岡実『バンブー』山本邦山『スタンダード・ボッサ』といった、海外のコレクター達からも人気の尺八ジャズの金字塔(勿論激レア!)を次々にCD化。今後のラインナップは「ヴォーカル編」、「ジャズ・ロック/プログレ編」、「純邦ジャズ編」。

 
 
 

 
 
  <日本のジャズ・ジャイアンツ>シリーズ  
 
山本邦山
日本のモダン・ジャズ・シーンに燦然と輝くアーティストからフュージョン・シーンを彩ってきたアーティストまでに幅広くスポットを当てた、BMGによる復刻シリーズ。山本邦山『竹の組曲』菅野光亮『武将』といった日本固有のオリエンタル・フィーリングに溢れた隠れ名作や、ナベサダのボッサ・アルバム『イパネマの娘』日野皓正『黒いオルフェ』といった超定番、さらには若き日の渡辺香津美土岐英史大給桜子らのフュージョン・イヤーの傑作など、時代、スタイル共に幅広くフォローした好ラインナップだ。

 
 
 

 
 
 
  <エレクトリック・バード>シリーズ  
 
森園勝敏
日本が誇るフュージョンの名門レーベル、エレクトリック・バード作品は近年やはり例に漏れず「和ジャズ・ハンター」の格好の的だ。熊谷美広氏監修の<Electric Birds Selection>でもチョイスされた国内アーティストによる作品は、その中でも殊更再評価の度合いを高めている。同レーベルの記念すべき第1作目『セイリング・ワンダー』をリリースした増尾好秋ヤン・ハマーによる共演ライヴ盤『フィンガー・ダンシング』四人囃子のギタリスト、森園勝敏のポップ路線の『スピリッツ』等は今聴いておきたい傑作。

 
 
 

 
 
  Solid発<渋谷ジャズ維新>シリーズ他  
 
板橋文夫
海外でも人気の高い日本のジャズの名曲・名演奏を人気DJ&クリエイターがセレクトする人気シリーズ<渋谷ジャズ維新>シリーズでおなじみのSolidレコーズからの復刻タイトルも実に独特。坂元輝が五木寛之の同名小説に捧げた、ジャズ喫茶「陸前高田・ジョニー」におけるライヴ盤『海を見ていたジョニー』の初CD化には誰もが腰を抜かした。福居良の幻の1stアルバム、米ブラック・ジャズへの日本からの返答、エレクトロ・キーボード・オーケストラなど、クラブ・シーンを見据えた実に濃ゆいラインナップ。前田憲男『円楽のプレイボーイ講座12章』八城一夫とオールスターズ『大橋巨泉プレイボーイ入門』といった企画モノのチョイスも◎!

 
 
 

 
 
 
  PJL発<70年代日本のフリージャズを聴く!>  
 
阿部薫 
阿部薫
ポリスター・ジャズ・ライブラリー=PJLから届けられた、日本のフリージャズ全盛期の1970年代初めから1980年前後までのムーヴメントを鳥瞰する決定的シリーズ。未発表音源、初CD化を加え、数多の国内レーベルの垣根を越え、加古隆=TOKのECM音源初CD化など話題性の多い本シリーズ。「演奏者とリスナーがシーンを共有し、シーンを活性化した。その記録を21世紀の若者に体得してもらいたい」(監修・稲岡邦弥)。阿部薫に代表されるようにジャズ・ファン以外にもアヴァンギャルドとして広く聴かれつつある黄金の70年代フリー・ジャズを紙ジャケ、リマスターにてたっぷり味わいたい。鈴木勲富樫雅彦らのスピリチュアル色濃い80年前後の傑作も必聴!

 
 
 

 
 
  <原*JAZZ/PROTOジャズ>シリーズ  
 
 
山下洋輔(左)と富樫雅彦(右)
唐十郎が「形相のジャズ」と呼び、山下洋輔が「我々自身のジャズ」を「原ジャズ」と呼び、立ち戻るべき音楽の原型(プロトタイプ)を見出した、と宣言した1970年前後の日本が世界を先取りする屹立した表現のジャズ=フリー・ジャズをディスカヴァリーしてゆくブリッジの実にディープなシリーズ。映画『連続射殺魔』(69年)のために録音された富樫雅彦高木元輝の完全即興演奏盤『Isolation』佐藤允彦の初リーダー作にして日本フリー・ジャズを代表する1枚『Palladium』から、集団疎開沖至トリオなどの幻の自主制作盤まで、まさにマニア狂喜乱舞のラインナップ!

 
 
 

 
 
 
  <East Wind>作品をダウンロードで配信中!  
 
 
菊池雅章
2001年にCD化された作品は、現在ほとんどが廃盤の憂き目にあるも、HMVダウンロードではそんなEast Wind音源を絶賛配信中!今すぐチェックのほどを!日本フォノグラムと、あいミュージック・プロダクションが提携し1974年に設立された、我が国が誇る伝説的ジャズ・レーベル。同プロダクション所属のミュージシャンを中心とした邦ジャズの傑作を多数残し、また、海外ミュージシャンの日本企画作品もリリースしていた。約5年に渡りリリースされた72タイトルは、どれもがマスターピースと呼べる、日本のジャズ史を語る上で避けては通れない重要作品ばかりだ。

 
 
 

 

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