Adriana Evans&Dred Scottインタビュー

2007年6月1日 (金)

  インタビュー
  Adriana Evans & Dred Scott
90年代末のネオソウル・ブームの後押しもあり、 97年に発表した1stアルバム『Adriana Evans』が時代を象徴する作品として、今尚語り継がれている歌姫Adriana Evans。約7年の沈黙を破り、04年に『Nomadic』をリリースし、音楽業界に完全復活を遂げた彼女が今年3月に待望の3rdアルバム『El Camino』を発表。 各方面から高い評価を得ているニューアルバムのプロモーションの為、急遽来日したAdrianaと公私共にパートナーであるDred Scottが、な、なんとhmv.co.jpを来訪!!話始めるとよく笑い、よくしゃべるAdrianaに対し、要所要所でボソっと言葉を付け加えるDredのコンビネーションは抜群!来日したばかりでちょっぴりお疲れモードのお二人でしたが、我々の質問に快くお答えしてくれました。

とってもチャーミングなAdriana
  とってもチャーミングなAdriana
■二人一緒に音楽をやる時にはすごく特別なものになるのね


――まず、新作『El Camino』の話からお聞かせいただけますか?


Adriana Evans(以下Adriana): 『El Camino』っていうのはスペイン語で「道」っていう意味なんだけど、それは今まで自分が通ってきた「音楽の道」と「人生の道」という両方を表しているの。自分の大好きな音楽をミックスしたアルバムで、ソウル、ジャズ、ブラジリアン、ラテン、あと少しロックも入っているわ。音楽の旅っていう感じね。


――レコーディング中の印象深いエピソードなどあれば教えてください。


Adriana: 甘いものが好きだから、レコーディングの最初の日とかに、いつも何か甘いものを持っていくんだけど、その時はココナッツ・チョコレートのカップ・ケーキを一箱買って持って行ったの。でも(私の分を)とっておいてよって言ったのに、レコーディングを終えてブースから出てきたらもう何もなくて…。彼の口のまわりにケ ーキの食べカスが付いてて、床にもカケラが落ちてたっていう事があったわ。かわいいでしょ?(爆笑)


――お二人はとても仲が良くて、プライベートでも仕事でも良きパートナーであるようですが、いつも一緒に上手くやっていく秘訣は?


Adriana: そうね。良い関係を保つには、コミュニケーションが一番大事だと思っていて、ビジネスとプライベートは全く別のものとして考えているわ。プライベートでやらなければならない事と音楽とは切り離して考えていているの。ビジネス面でも、お互い関わりのないプロジェクトっていうのもあって、私が情熱を持ってやりたいと思っている音楽以外の分野については、彼は一切関知していないし。だから、二人一緒に音楽をやる時にはすごく特別なものになるのね。


――お二人にお伺いします。音楽(仕事)以外の面においてお互いに対してどの様な印象をお持ちですか?


Adriana: 彼はとても冒険心のある人ね。よく一緒にハイキングに行くのだけれど、岩山の中の蛇が出てきそうな所を歩くのが好きで(笑)。アドベンチャーが好きなのね。 そして、すごくいいスピリットを持っていて…時々優しすぎるかなって思う時もあるのだけれど(笑)、とても信頼できて、強い人ね。はい、次はあなたよ(とDredにふる)。


Dred Scott(以下Dred): (しばし考え込んで)….(一同爆笑)。彼女は愛情深くて、他の人に対してすごく献身的な女性だと思うよ。もし音楽業界で働いていなかったら、アフリカとかに行って、水を配給したりする仕事をやっているんじゃないかな。世界を救いたいっていう気持ちもすごく大きくて、悲惨なニュースとかを見てよく心を痛めていることもあるし、そういう面でも彼女はすごく深い心の持ち主なんじゃないかと思うな。



自分の声を使って皆にポジティヴなエネルギーを与えたい
  自分の声を使って皆にポジティヴなエネルギーを与えたい
■ブラジルで自分自身の音楽に対する愛情が甦ってきちゃったのよ


――では、実際シンガーになっていなかったらどういった職業に就いていたと思いますか?


Adriana: NGO(非営利の民間協力組織)などで働いて、苦しんでいる子供達を助けていると思うわ。人が辛い思いをしているのを見ているのがすごく嫌なの。特に子供達が辛い思いをしているのが私には耐えられない。


なぜ音楽をやり始めたかっていう1つの理由に、自分の声を使って皆にポジティヴなエネルギーを与えたいというのがあったの。特に問題を抱えているような子供達にね。今回のアルバムに入っている「World On Fire」もそういった気持ちで、スーダンでの紛争について触れているの。


――多くの国を旅されていますが、いつもお二人はご一緒ですか?


Adriana: ブラジルのバイア州に8ヶ月滞在していたのが一番長い旅になるのだけれど、その時は彼も一緒だったわ。でも、いつも一緒というわけじゃないわ。両親がキューバにいて、よく行くのだけれど、その時は彼が一緒の時もあるし、私一人で行く時もあるわ。


――そのブラジル滞在時に音楽的影響などは受けましたか?


Adriana: 元々はアメリカの音楽業界に嫌気がさして、そこから離れるためにブラジルに行ったの。そこで、ブラジルの人たちがすごく家族を大事にして、日常の生活を楽しんでいるの目の当たりにして、それまで私達がお金のためだけにあくせく働いてきたことを考えさせられてしまったわ。


ブラジルでは音楽がどこにでもあって、その辺でスプーンを叩くだけで曲を演奏したりとかね(笑)。別に職業にしているわけじゃなくて、本当に好きで自由に音楽をやっているっていう人がそこら中にいたの。実際その時期はもう音楽をやりたくないっていうところにまで達していたのだけれど、そんな風景を見てたら、また自分自身の音楽に対する愛情が甦ってきちゃったのよ。


――Dredはアコースティックな楽器を使ったプロダクションへのこだわりがあるようですが。


Dred:僕はもともと、ヒップホップを聴いて育ってきたからドラムが重要だと思っていたんだ。 でも、ブラジルで誰かがギターを抱えて歌っているのを見たとき、とてもシンプルなのに美しく聴こえたんだ。 それを体験してからは、メロディの大切さとそのメロディを引き出すようなプロダクションも大事だと思うようになったね。


―続く―
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