HMVインタビュー: Joris Voorn

2007年4月13日 (金)

☆『From A Deep Space』発売記念インタビュー!



2004年、日本国内だけでアナログシングルとしては脅威の3000枚以上のセールス、そしてテクノはもちろんのこと、ハウス、トランス、プログレの各界のスーパースターDJがこぞってプレイした大ヒット曲「Incident」、その後リリースされた1stアルバム『Future History』も驚異のロングセラーを記録。新人アーティストとしては、近年には見られないほどの大成功をおさめたアーティスト、Joris Voorn。そんな彼の才能にいち早く注目し、バックアップしてきたTechnasia主宰のレーベル<Sino>からリリースした彼のデビューアルバムから早3年、待望の2ndアルバムが Joris Voorn自身のレーベル<Green>から登場!

ディスコサンプルを大胆にフィーチャーした、彼の出世作「Incident」に勝るとも劣らないファンキーディスコトラック m-5「early bird」、美しいシンセワークが特徴的なブレイクビーツトラック m-8「may the days be aimless」、極太キックとクラップ音が特徴的なダークアシッドテクノ m-14「mpx 309」といったバラエティ豊かな楽曲と共に、彼のトレードマークといえるようなデトロイトテクノ直系のエモーショナルなシンセは健在です!

そんな彼に新作についてのことなどをお聞きしてみました!

 


Interview with Joris Voorn


『From A Deep Space』の完成おめでとうございます!まずは完成しリリースとなったご自身の率直なご感想をお聞かせください!

Joris Voorn(以下:J): ついに完成してすごく嬉しいよ。長い道のりだったけど、この仕上がりに満足しているから、努力が報われたって感じかな。フルレングスのアルバムを作るって事は、ダンスフロア向けの12インチシングルを作るよりも大変な作業なんだ。トラックとトラックの間に、ある種のつながりが必要になってくるし、家で聞いても良い感じになるように仕上げないといけないしね。


前作はTechnasisのレーベル<Sino>からのリリースでしたが、今回はご自身で設立されたレーベル<Green>からのリリースですね。その<Green>を設立された理由を教えて頂けますか?

J: <Green>レーベルは、<Sino>のレーベルもやってる<Technorient>との協力の下に立ち上げたんだけど、コンセプトはすごく単純さ。純粋に僕の音楽をリリースすること。まあ、他のアーティストに僕のトラックをリミックスしてもらう事もたまにはあるけど、 このレーベルは僕の好きなこと、好きなプロジェクトをしたいようにやれるプラットホームなんだ。だから音楽を発表していく上で大切なアートワークやなんかにも僕自身携わっていて、ロッテルダムのすばらしいデザイナー Paul Swagermanって友達と一緒にデザインもしていたりするんだよ。




Joris Voorn  『From A Deep Place』
01.revelation
02.a thousand lost souls
03.to embody
04.the deep
05.early bird
06.another place
07.my people
08.may the days be aimless
09.lucid dreams
10.minor
11.this is our fiction
12.dirty thoughts
13.when it became real
14.mpx 309
15.listen
16.no revolution
17.decay
18.when it was day we made it night
19.blank





前作『Future History』と比べて、今作で新たに挑戦したことはありますか?

J: もちろん。コンピューターによって音楽を制作する現場もすごく発展したし、最近はスタジオで悩んだりすることも多いんだ。でも僕はいまだに音楽を作るときにアナログな要素を持ってくることが多いんだ。まあ、コンピューターに入れてしまえばデジタルで処理されてしまうんだけど、僕にとってはこのやり方が、音にある種の温かみを持たせるのに上手くいってると思っているよ。問題は新しいソフトを使いこなすのに時間がすごくかかるって事だよね。僕なんかは今頃ようやく全てのツールに慣れてきたって感じだよ。音のクオリティーを保つために圧縮と均等性を重要にするようにしているけど、うまくいったり、いかなかったり、まあこれも学ぶ上で重要なプロセスだけどね。  


1stアルバム『Future History』がヒットしたことによって、新作に対してのプレッシャーは感じられたりしましたか?

J: いや全然。僕はただ自分が聞きたい音を、人が聞いても喜んでくれるといいな〜って思いながら作っているんだ。もちろん周囲からの期待はあるけど、一番いいのは自分のすべきことをやり続けることだよ。 


前作は20曲、そして今作も19曲収録という大作となっていますが、そこについてはアルバム制作のなかで強く意識してのものなのでしょうか?それとも結果的にという感じでしょうか?

J: 結果的にそうなったって感じかな。いくつかの曲は曲間の間奏だったり橋渡し的な要素があるんだ。アルバムを通して面白い流れやストーリー性を作れるように、異なるタイプの要素を盛り込むのが好きなんだよ。やっぱり料理のコースでも10コースでてきたとしてたら、全てのコースが重いのばかりじゃイヤでしょ?いくつかの料理は前の料理の味を際立たせたりするためにあったりする…、そんなイメージだよ。


上記でもおっしゃってるように、あなたの楽曲はさまざまなタイプのトラックがあると思うのですが、それはいままでに聴いたり影響を受けてきた音楽のジャンル的な幅の広さを物語るものなのかなと思ったのですが?

J: 特にどのタイプの音楽にすごく影響を受けたとかはないんだけど、エレクトロミュージックばかりじゃなくて、他の音楽もよく聞くようにはしているよ。全然違うスタイルの音楽を発見ってのは、自分の制作にインスピレーションを与えてくれるしね。






Joris Voorn 関連作品 左から 1. Joris Voorn 『Future History』(2004年) / 2. Joris Voorn 『Fuse』(2005年) / 3. Steve Rachmad 『Neo Classica』(2006年)/ 4. Technasia 『Popsoda』(2006年) 



差し支えなければ上記に関連して、"自身をつくりあげたトラック"というテーマで3曲をあげていただくことは出来ますでしょうか?

J: @Phylyps / track II、ADave Angel / Airborne [carl craig drum suck remix]、BAril Brikha / Groove la chord の3曲かな。


左から 1. Phylyps 『track II』(<Basic Channel>・1994年) / 2. Airborne [carl craig drum suck remix]収録のDave Angel 『Handle With Care EP』(<Blunted>・1995年) / 3. 「Groove la chord」収録のAril Brikha 『Art Of Vengeance EP』(<Fragile Records/Transmat>・1998年) 




あなたの作品は幅広いジャンルのDJにプレイされていますが、そのことについてどのように感じられていますか?

J: 多分それは僕自身が色んなジャンルのエレクトロダンスミュージックが好きだからじゃないかな?どのジャンルからもインスピレーションを受けるよ。僕自身、音楽がグルービーであることが好きだし、僕の音楽にもそのフィーリングを持つように心がけてる。だから多くの違うジャンルの人にも僕の音楽は受けたりするんだと思う。


楽曲をつくりあげる過程で1番大事にしていることはどんなことですか?

J: どんな方法や音であれ、僕の心に響くものであること。メロディーだったり、踊りたくなるようなグルーブだったり、何か頭の中で高揚感を引き起こす音だったりね。


日本のテクノシーンについて、思うことはありますか?

J: 日本のテクノシーンは大好き。多分世界中でベストだと思う。皆すごく音楽に入り込んでいるし、アーティストに対しても協力的だし、世界中がみな日本みたいだったら良いな…と思うよ。


今後の活動について教えて頂けますか?

J: 最初に、今はフロア寄りのレコードの製作に集中しているんだ。あと僕の友達とやってるREJECTEDっていう別のプロジェクトもあって、夏前に何かダンスフロア向けな感じで2曲ぐらい出そうって話しになってるよ。


今作を手に取ろうとしている人へのコメントをお願いします!

J: 僕の音楽をお金を出して買うほどに価値があると思ってくれているなんて、大変ありがたいと思っているよ。日本は世界中で、人々がいまだに店に出向いて好きなアーティストのCDを買っている最後の場所のような気がするから、そんなみんなに感謝したいね。


ありがとうございました!!


協力: Cisco International


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