HMVインタビュー: Kettel

2007年3月20日 (火)

☆『Re:Through Friendly Waters』発売記念インタビュー!



エレクトロニカ第二世代を担う存在であり、自身の兄が経営するレーベル<Sending Orbs>よりリリースを重ねるKettelことReimer Eisingはオランダ出身の若干24才。

大自然に囲まれた環境で育った影響は自然の音をエレクトロニックに融合させた音楽性に表れ、幼児からピアノを弾いていた彼の比類なきメロディーセンスは時にポップに輝きを放ち、センチメンタルなサウンドが際立っています。そのドリーミーな雰囲気と狂気を潜めたようなそのビートには、μ ziqや「Girl/Boy Song」でのAphex Twinと並び評されることも。<Sending Orbs>より2006年6月にリリースされた最新アルバム『My Dogan』は各方面より絶賛の嵐、そして2006年12月にリリースされたFunckarmaとの共作名義、Scone『Maze』もヒットを記録し彼の名は瞬く間に広がりました。

そして今回、わずかな限定プレスだったにも関わらず世界中で大絶賛を浴び幻の傑作となってしまった2005年リリースの5thアルバムがなんと国内盤仕様で『Re:Through Friendly Waters』となり再発リリース!そんなタイミングでKettel本人に作品についてのお話をなどいろいろお聞きしてみました!

 


Interview with Kettel


まずは自己紹介からお願いします!

Kettel: 私はremierです、エレクトロニックミュージックを作っています。


本作のオリジナル作品『Through Friendly Waters』は<Sending Orbs>から数量限定でのリリースということでしたが、何故限定リリースだったのでしょうか?

Kettel: それは少し間違った解釈で世界中に伝わってしまったことなんですよね…。私たちはCDの枚数を制限する目的は全く無いし、ひとりでも多くの人達に音楽を聴いてもらいたいわけですから<Sending Orbs>のリリースは限定ではないのです。ですから『Through friendly waters』のオリジナルに関しては実は2回程リプレスされてトータルで1500枚程生産したんですけど、アルバムを買った人々がディスコグラフィーに"限定発売"と書いたことがきっかけで、私たちが再生産した分があっという間に完売してしまって…そのままもう生産することは無かっただけのことなんです。




Kettel  『Re: Through Friendly Waters』
01.Bodpa
02.Pinch Of Peer
03.Shinusob
04.I Was Fine
05.Through Friendly Waters
06.Every Kiss You Gave
07.Purple Jacket Trot
08.Mwoeb
09.Unistar (Bonus Track For Japanese Edition)
10.Whom
11.Toen (Bonus Track For Japanese Edition)





あなたのお兄さんのレーベル<Sending Orbs>からのリリース作品は、すべての作品においてジャケットアートワークが素晴らしいと思うのですが、そういったところはレーベルとしてのこだわりでもあるんでしょうか?そして『Re: Through Friendly Waters』のアートワークはどのようなイメージで作られたものなのでしょうか?

Kettel: そうですね、<Sending Orbs>のアートワークは常にこだわりを持っています。私たちのレーベル専属でJeroen Advocaat(なんと中国在住!www.nietvergeten.comをチェックしてみて!)という素晴らしい才能を持ったアーティストを抱えています。私たちは彼と共にあらゆるリリースに密接にかかわり合うことによって、私たち の音楽を彼の解釈に基づいて完璧にアルバムのイメージに合った作品を制作して います。

『Re:thorough friendly waters』のアートワークは「開花の研究」を元にしています。表紙は花の写真です(映画のフィルム状になってるのを見て下さい)。裏面は よりはっきりと花の研究らしいデザインとなっています。これらのイメージは私 のアルバムの音楽的な解釈を視覚的な2次元の世界としてアートワークに落とし 込んでいます。  






本当にすべての作品のアートワークが素晴らしいです…ながめているとうっとりしちゃいます。 <Sending Orbs>作品 左から 1. Secede 『Vega Libre』(2006年) / 2. Blamstrain 『Disfold』(2006年) / 3. Yagya 『Will I Dream During The Process?』(2006年) / 4. Funckarma 『Elaztiq Bourbon 5』(2005年)/ 5. Secede 『Tryshasla』(2005年)



あなたの作品を音を聴きながら目をつぶってみると、ここにあるはずの無い美しい景色が目の前にパーッと広がるような感覚を覚えると同時に、アルバム全体が一つの物語として成り立っているように感じられたのですが、楽曲やアルバム を制作するにあたってのインスピレーションはどういったところから得られるのでしょうか?

Kettel: これは作り手として一番答えるのが難しい質問なんですが、インスピレーションがどこに来るかを言うのがとても複雑で難しい事なんです。実際にこれらの楽 曲はある一定の時期の精神状態が僕に曲を作らせた結果がこうなったからなん ですけど…ほら!やっぱりこんな感じにすごくあいまいな言い方になっちゃうで しょ?でも実際そうとしか答えようが無いんです。 1枚のアルバム制作の中で1、2個だけのインスピレーションからできるってこ とはほとんどなくて、だいたい2000種類の様々な要素がアルバムに影響を与えて います、これらがすべて僕の脳の中で重なり合いひとつの要因となって僕に曲を 作らせるんです。 


日本独自仕様盤にはボーナストラックとして2曲追加されていますが、どちらの楽曲もアルバム全体の雰囲気が持つ世界観を壊すことなく、さらにラストトラック「Toen」はアルバムのラストを飾るにもっともふさわしいといえるような楽曲だと感じたのですが、これらはあなた自身が選曲されたんですか?

Kettel: 僕はこのアルバムをとてもノスタルジックなアルバムだと考えています。アルバム自体は過去に作られた物ですが、去年の夏に、あの頃と同じ感情になってもう一度トラックを作ったんです。アルバムにこの曲が加わる事によってノスタル ジックな雰囲気をより一層引き立たせられたと思います。本当はオリジナルにも 収録させたかった曲だから…このアルバムに収録できてやっと完璧な仕上がりに なったと確信しています。

「Toen」はKettelのmyspaceで試聴できます!
>myspace: Kettel
 


小さい頃からピアノを弾いていたそうですが、エレクトロニックミュージックとの出会いはどういうきっかけでしたか?

Kettel: 僕の兄がAphex TwinMouse On Marsを教えてくれたことが始まりです。兄は僕にお気に入りのエレクトロニックミュージックのテープをよく作ってくれまし た。当時、僕はクラシック一辺倒しか聴かなかったんだけど(今も相変らず好き だけどもう頑固な考えは辞めたよ)そしてだんだん彼のテープが僕の音楽志向に影響を もたらして、ついには征服されちゃったんだ!






Kettel作品 左から 1. Kettel 『My Dogan』(2006年) / 2. Kettel 『Volleyed Iron』(2004年) / 3. Funckarmaとの共作名義 Scone 『Maze』(2006年) 



貴方が影響を受けてきた音楽ジャンル、そしてレーベルやアーティストは?

Kettel: まだ聴き始めのころはAphex TwinFunkstorungPlaidMouse On Marsμ ziqAutechre、そして90年代の<Warp>レーベルの作品達が僕をエレクトロニックミュージックの世界に引き込んでくれました。でも僕の根本的な音楽性を築いているのはクラシックからの影響が一番大きいと思います。ラフマニノフ、ショパン、ドュビッシー、バッハ、プロコフィエフに影響を受けましたね。僕はジャンルにこだわらずどんな音楽も聴くから全部が僕に影響を与えていると思います。


<Sending Orbs>を主宰するあなたのお兄さんについてなのですが、あなたから見てお兄さんはどのような人ですか?

Kettel: 私の兄はとても良い兄貴です。


貴方にとってのヒーローは誰ですか?理由も教えてください。

Kettel: Plaid…彼らは本当に信じられない音楽性と、メロディのマスターだと思います。僕の創造を越えたすばらしい音と音の組み合わせが織りなすハーモニーにはいつも驚かされました。そして彼らはとてもフレンドリーでクールな人達なんですよ。


Kettel: Aphex Twin…まさにミラクルとしか形容できないです。




今後の活動について教えて頂けますか?

Kettel: ヨーロッパの活動では過去に『cenny crush』というアルバムを発表した<Djak-Up-Bitch>から新しいアルバムを発売します。楽曲は2003年から2004年にかけて制作された物ですが一貫性があり今聴いても古さを感じさせない仕上がりになっています。このアルバムには12インチで発表した「cuddle&leave」も収録される予定です。 それ以外には、<Sending Orbs>から出すニューアルバムを制作していますが、完 成までにはもう少し時間が掛かりそうです。それと平行してSecedeとの合作によ るアルバムも作っているんだけど、どっちもゆっくり進行しています。でも良い音 楽ほど時間が掛かってしまう物じゃないですか!?完成を楽しみにしていてください。


ありがとうございました!!


協力: Timothy Really


ハウス/クラブミュージック最新商品・チケット情報