インタビュー:Condor 44

2007年1月23日 (火)

都内ライブハウスを中心に精力的な活動を続けている男女ツインボーカルロックバンドCondor44(コンドルヨンジュウヨン)がフルアルバム『Good Bye 44th Music』を1月24日にリリース!

   
 繊細ながら大胆かつフレキシブル。独自の世界観を大切にし、ゆるぎない芯を持った傑作に仕上がった今回のアルバム。HMV.co.jpではメンバーの佐々木(Vo,Gt)氏にメールインタビューを行い話を聞いた。
   
Good Bye 44th Music
Condor 44
Good Bye 44th Music

1月24日発売
Daizawa Records
HMVレビュー
 Siderとのスプリット盤リリース後、2003年のSXSW(世界中のアーティスト見本市)への出演、CMソング(日経新聞)の制作、自主イベントの開催などバンドを成長させるに相応しい多くのステップを踏んで生まれた、現在の彼等の全てを注ぎ込んだ全10曲を収録。鳴り響く透明な轟音の中に息づくリアリティに満ちた視線とメロディ。本作が生み出す唯一無二の世界観は、時に本作が映画や演劇のサウンドトラックなのではないかと錯覚してしまうほど驚異的な深さを湛えている。

■フル試聴!
└アルバム収録曲より1曲目「Ru's Rock」をフルコーラスで先行試聴!
「Ru's Rock」

■HMVオリジナル特典
今作を全国のHMV店舗およびHMV.co.jpでお買い上げいただくと先着でオリジナル缶バッヂを差し上げています。またHMV.co.jpでお買い上げの方にはさらに【オリジナルPC用壁紙】を差し上げます!


Interview


(LtoR)Chikako Ishida(Vo,Ba)/Sasaki(Vo,Gt)/Nobuyuki Ajima(Dr)

【Discography】


Siderとのスプリット作『 Kill Two Birds With One Stones』


2002年リリースの『db』



2001年リリースの『00203』

─HMV.co.jp初登場ということで、簡単にバンドの紹介をおねがいできますか?

 初めまして。condor44です。ギター&ベース&ドラムの三人で演奏しています。破壊的なドラムの上に、滑る男女のボーカルと尖ったギターを乗せた、スリーピース独特の「緊張感のあるミュージック」を追求しています。
よく、ロック、シューゲイザー、ポストロックなどの文字でくくられまして、それはそれで全くかまわないんですが僕にとっては常にポピュラーミュージックを奏でるバンドでありたいと思っています。

─今作の制作はいつ頃から開始されていたのでしょうか?最初からこのタイミングでアルバムを出そうと考えられていたのですか?

 まず、「最初からこのタイミングでアルバムを出そうと考えられていたか」という点は、そうではありません。
4年半ぶりの単独音源となりますが、実はその2年ほど前に一度音源制作にかかろうという時期もあったのです。しかし、その時は様々な理由から発売を断念しました。音源発売を心待ちにしてくれていたファンの方々を裏切った形になってしまいまして。それは、今でも申し訳なく思っています。心が苦しい。
で、そのとき既にあった曲も含め、そこから改めて少しずつ曲を増やして行きました。そして今回のアルバムに収録された曲数の倍ぐらいの量に至って、ようやくアルバムをの完成図が見えた気がします。そこからは早かったです。すぐにデモ音源を作り、それが仕上がってレーベルの皆さんに届けてからはほんの数ヶ月で全てが完成しました。
なので、制作期間はと問われると2年とも3年ともいえるような気がしますが、CD作成の期間は3ヶ月ほどだったりします。


─1曲目から最後まで、全体の流れが1枚の作品としての世界観を非常に精巧に生み出していますが、曲順やサウンドプロダクションの面で特に意識されたことはありますか?

 全体の流れや構築という点は、もう嫌でも意識して作ってしまうところがありまして。もうこれはクセみたいなものです。1曲の中でも、その曲たちが集まった上でも、全体のラインというか流れというか、大きくみた上での形は自分にとってすごく重要なんです。
まあ要するに自分が一番楽しくなるように、飽きないように作ろうとするとこうなるというか。
革ジャンをきて、一つの色をずっと出し続けるアーティストも大好きなんですが、僕らはこちらをチョイスしているんです。それは、自分に正直になればなるほど自然とそのように流れていくので、特に意識した形ではありません。いや、意識してしまう事が当然になっているという方が近いのか。

─単独名義の音源としては4年半ぶりということですが、その間にバンドとして新たに獲得したものは?
技術的な点、音楽性の面、精神的な面などでメンバーの方が特に自覚されていることがあれば教えてください。


 技術的な点というのは、まあ長く続けていれば自然と成立してくるものだと思うので特筆しませんが、やはりこの期間における精神的な部分の変化、そしてそこからくる音楽性の変化というのは多少なりとも重要だったのかなと思っています。
色々な事を経て、そして長い間の空白を裂いての音源発表とする場合、やはり変化・進化した僕らを見てほしいと素直に思いましたし、それを期待すればするほど不安も募ったものでした。
そんななか僕らは、そういった気持ちを納得させるための自然な流れとして『少しでも発しやすい、受け取りやすい方法をチョイスする』という方向が強まっていった気がします。気付くと全員の意識がそう固まっていました。日本語が増えたのも、いわゆるそういう思いが少しでも届きやすくなればと思い選択した、一つの結果だと思います。
とにかくしっかり伝わってほしい。“発する”“発したい”という衝動のような物を改めて学んだ期間だったと思います。今また、初期衝動にも似たモノを自分たちに感じているのです。

─アルバム中唯一3曲目の「AZKD」のみ安島さんによる作品となっています。この楽曲について詳しく教えていただけますか?Vasallo Crab75の工藤さんなども参加されていますよね?

正確には、安島君が作ってきた曲のギターフレーズに僕が惚れてしまいまして。「それだけをリフレインさせたい。あとはベースもドラムも好きな事をやってほしい。」とお願いしたトラックなんです。ジャムセッションに近いムードを要求しました。
安島君は以前から曲を作れる人間なんですが、僕からは出てこないアイデアをたくさん持っていて。うちの強みの一つです。で、その中から一番映像が浮かんだ物をピックアップした感じです。オケの時点で予想以上にカッコいい物が出来上がりました。
さらにバサロの工藤さんにお願いしたのは、単純にその声に惹かれているからです。あの声は日本の宝です。こういった映像ありきのようなトラックには、あの声はハマるだろうなと。確信していました。が、録って見るとその確信さえ上回るモノになっていました。これは本当にレコーディングという空気で起きたラッキーです。工藤さんのセンスのおかげ。condor44という形でカッコよくなれるのなら、今後もゲストボーカリストをドンドン入れていきたいと思ってますね。

─Condor44はライブも数多くこなされているので、ライブを重ねるうちに変化していく楽曲もあると思うのですが、今作中で特に完成当初から大きく変化した楽曲などがあれば教えてください。

 大きく変化した曲、、、、、。何をもって完成かも微妙なぐらいなんですが、やはり「Good bye 44th music」は、少しずつ欲求に対して正直に変化していったら自然と13分という長さになったものなので、例えばライブの中でもっと長くして感情を素直に表現したいとなればもっと伸ばすでしょうし、、、。
だからそういう意味ではまだ完成してないといえばしてない曲なのかもしれません。全曲、その時の自分たちが一番気持ちの良い形をとれれば良いと思っていますので、少しずつ変わってきていますし、これからも変わる可能性が十分です。

─逆に「レコーディング」という作業の中で変化した部分というのはありますか?特に先ほどの「AZKD」や6曲目の「終」、「ending」などは録音作ならではの質感や空気感の役割も大きいと感じました。

 そのとおりだと思います。この3曲は本当にレコーディングならではのアイデアと、それによる空気感が詰まっているトラックではないでしょうか。
「AZKD」は先にも言いましたがほとんど尺もテンションも決めずに演奏したものに、これもほとんど何も決めず乗せたボーカル素材を一番気持ちの良い形にその場で作り上げた作品です。
「終」は、本来エレクトリックの楽器でインスト部分が前半に2分ほど存在するのですが、音源という形を考えた場合にこういったアコースティック調とした事によって作品全体に、独特の流れが生まれたかなと思っています。
「ending」も、ベーシックの尺を決めずにとことん演奏し続けて、その上に一番気持ち良い音を、気持ちいい時間だけ、その時に閃いたフレーズを弾いたという感じです。natsumenのカッキーもそのニュアンスを存分に発揮してくれました。
こういったトラックがあると全体的に作品が色鮮やかになるので、僕たちにとっては重要な存在なのです。

─ではライブに関してお聞きします。
3月には初ワンマンも決定しているとのことですが、Condor44にとってのライブというものをあえて4字熟語にするとしたら?


 難しいですね。難しい。
「R・O・C・K」
で。

─ちょっと脱線。メンバーの皆さんが夢中になっているモノ、映画、漫画、もちろん音楽でも。何かあれば教えてください。

僕は歳を重ねれば重ねるほど、「もともと怖かった物がもっと怖く、かわいいと思っていた物はもっとかわいく」という感じで幼児化してきているんですが、そんななか“コマネコ”の可愛さには絶叫してしまいました。いずれ養子にしたいと思うほどです。夢中です。
映画は色々好きなんですが、中でもラッセ・ハルストレム監督の作品は好きです。
音楽は、特に好きなものも嫌いなものもありません。

─それでは最後にあらためて、今作を完成させたCondor44が感じている事やリスナーの方へのメッセージなどなど。ご自由にお願いします。今後のライブ予定などもお聞かせください。

 今作は本当に最高の仕上がりです。期待と不安が入り混じった中、こんな作品が出来て僕は本当に幸せです。なんでしょう、僕らにはめずらしく、本当に聞き手に「投げかける」作品と言いますか。それだけの思いも込めたし、それを聴いた人たちに期待するものも大きいのです。もちろん聴いて何を思うかはそれぞれの自由なんですが、現時点でこちらサイドからは、ゆるぎない物を提供できたかなと。確信めいた物を感じるのです。これをダメといわれたら本当に残念に思うし、これを良いと言ってくれたなら、心のそこから喜べるような、そんな作品なのです。
それに伴い3月8日のレコード発売記念ライブも、非常に大事なものになっています。とにかく気持ちよくなりたいです。そしてそこにいる人たち全員を気持ちよくさせたいです。ワンマンライブという事で、気合も十分。頑張ります。
どうか一緒に楽しんでほしいですね。
2007年はそれを皮切りに突っ走りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

(2007年1月22日 インタビュー協力:UK Project)


About

1999年に専門学校の先輩後輩であった佐々木博史(Vo,Gt)と安島暢行(Dr)が前身バンドを結成。
その後石田千加子(Vo,Ba)が加入し現在の形に。

2001年に1500枚限定でリリースしたミニアルバム「Hush&Vain」を瞬く間に完売させる。

同年5月には1stアルバム『00203』をリリース。

2002年5月ミニアルバム『db』をリリース。

2003年2月にはSiderとのスプリット盤「Kill Two birds with One Stone」をリリース。
さらに同年3月、米・テキサスで開催された「SXSW2003」に出演。

2006年6月、自主企画イベント「44th NIGHT」Vol6を開催。

本作リリース後の2007年3月8日には初のワンマンライブ「44th NIGHT」Vol7を開催予定。

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