インタビュー:ala

2006年12月12日 (火)

alaインタビュー

  洗練された楽曲と高度な演奏力を軸にしたバンドアンサンブルが、耳の肥えたリスナーの話題を呼んでいるala(アーラ)。彼等にとって初となるフルアルバム『Jam of the year』が12月13日にリリースとなった。

Jam Of The Year
ala/Jam of the year

12月13日発売

ジャズ/ソウルミュージックのフレイバーを根底に感じさせる都会的な熱を帯びた全13曲。中にはエレクトロ色のかなり濃い楽曲やインストなども収録されており、これまでリリースしてきたミニアルバム2作(『Point Of View』『Organizm』)での評価を決定的にする良盤に仕上がっている。
HMV.co.jpでは、この作品についてalaのメンバーに話を聞いた。

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■タイトル「Jam of the year」に込められた意味とは?

新井(Vo.):もともとPRINCEというアーティストが好きで、そのPRINCEの『Emacipation』という3枚組アルバムのDISK-1の1曲目と同じタイトルなんです。 すごく影響を受けた部分もあるし、単純に響きもいいなぁと。 あと、今回ホーンレスの曲があったりシンセやドラムパットの電子音が入ってたりと前作までとは少し違ったアプローチの曲とかもあって。で、そういう曲はあるけど、いつも通りやりたいことを形にしただけで自分達の根本にあるものは何も変わってないという思いがあって。そんな思いもあり、自分達のルーツというか影響を受けた人の曲の中で一番しっくりくるタイトルを拝借しました。

清野(Dr.):PRINCEの『Emacipation』というアルバムがあるんですが、その1曲目のタイトルから拝借させていただきました。 東京でバンドをやると決めて上京してくる時に、夜行バス内でこのCDを聴いてきて。思い入れがあるんです。今回ジャムって曲を作ったりしたのが多かったり、年末リリースという事で〜of the yearって年末っぽいなという案だったり。最後のやつは完全後付ですが。

■初のフルアルバムリリースとなりますが、アルバムのコンセプト・事前に考えられていた方向性などを教えていただけますか?

新井(Vo.):「ポップすぎずマニアックすぎず」っていう考えが最初からあって、そこは意識して曲をひたすら作ってて。で、大体収録曲が形になってきて軽く並べてみた時に聴く人の感覚や心境によって聴こえ方の変わるBGMのような1枚になってくれればいいなぁと思うようにもなっていきましたね。

清野(Dr.):コンセプトと言われるものは特にありません。 今までリリースした2枚にも同じ事が言えるのですが、今皆がやりたい事を収録しているんです。ただ念頭においていたのはPOP過ぎず、マニアック過ぎずという事。方向性というか、自分達が格好良いと思えたり、楽しいと思える事を大前提で活動しているので、フルアルバムだからといって力んだりは特にありませんでした。

■バンドとしては結構”大所帯”の部類に入ると思うのですが、制作作業の中でのコミュニケーションやサウンドのすり合わせなどに苦労されることはないのでしょうか?また、制作作業における各メンバーの方の役割のようなものがあれば教えてください。

新井(Vo.):僕らの曲づくりは、まず最初に清野(Dr.)がネタを持ってきて、それを皆で合わせて形にしていくみたいな感じで進んでいくんですよ。それから各パートで色々意見を出し合って形にしていくんですけど、全員が「これ、イイね!」ってモノが出てくるまでその工程は続いて。で、皆感覚が似てるからそうなる時は満場一致なんですよ。だから特別もめる事とかはなくて。ひたすら合わせて、MTRで録って、聴いてみてっていうのを繰り返してますね。

清野(Dr.):コミュニケーションは普通の友達みたいな感じで、制作の時にこれといって変わるものはありません。 サウンド面では結構曲のわびさびを大事にしていて、ここは誰が目立つ?みたいなやり取りがあったりします。基本皆目立ちたがりなんです。だけど、最終的には曲有りきのパートだったりするので、曲を活かす為には譲るみたいな。それでゆっくり完成系が見えてくるんです。

■過去にリリースされた楽曲も含めて今作の制作の実際の流れを簡単に教えていただけますか?

新井(Vo.):前作を録っている段階で今回の作品を録ることがすでに決まっていたので、2ndのリリースツアー中にも空いてる時間があれば曲作りをしていて。それでツアーが終わってからはスタジオに籠もって新しい曲を作ったりアレンジをつめていったり。レコーディングの前の月とかはほぼ毎日スタジオに缶詰で。で、一番苦労したのがM-2“shiny”って曲のアレンジ。サビはずっと変わらなかったんだけど、AメロBメロはかなり変わりましたね。完成するまでに10回くらい変わったと思います。あと、M-11“room82”って曲があるんですけど、その曲はもともと違うアレンジだったんですけど1回レコーディング本番で録って、聴いたら想像してたような感じではなくて急遽アレンジを大幅に変更したりしましたね。だから時間もなくて、かなりアセって練習しましたね。

清野(Dr.):自分が1コーラス程度のものを持ってきて皆でアレンジしていく感じです。 浮かぶパターンは色々あって、メロディから浮かぶ場合もあるし、ギターのリフ、ホーン、リズム等色々です。 アレンジが本当に浮かばなくて困って、リハーサルスタジオを抜け出して東京タワーを見に行って気分転換したり、機材車でお台場に行ってみたり、酒をスタジオで飲みながらギター爆音でかき鳴らしてみたり、ギターの三浦と何故か腕立て伏せしたりと。こうやって音楽とちょっと離れてみたりする事で、いきなり新しい発想が思い浮かんだりしたりするんです。苦労っていうか楽しい思い出です。苦と思ってバンドしてちゃ駄目だと思っちゃうんです。基本楽しんでやらせてもらってます。

■alaの音楽性というのは”1つの決まったスタイル”というより、いい意味でのごった煮感、つかみ所の無さも大きな魅力だと思います。それを1枚のアルバムという器にまとめるということで(曲順やミックスなど)気を使った点、意識されていた事があれば教えてください。

新井(Vo.):さっきも言いましたけど曲に関してはやりたいことを形にしてるだけなので、そういう「ごった煮感」みたいなのが自然に出るんだと思います。でも曲によって違うことはしてるんだけど、どこかに「alaっぽさ」というか、自分達らしさは入れていきたいなと。それはメロディーだったりリズムだったりアレンジであったり、僕自身も明確には言えないんですけど、その「alaっぽさ」はもう本当感覚でしかなくて。そこは結構意識してやってると思いますね。だから全く違った風には聞こえないんですよね、自分達的には。そういう僕ら特有のオリジナリティみたいなものがより映える曲順の組み立ても苦労しましたね。何回も何回も並べ替えて聴いたりして。

清野(Dr.):曲順こだわりました。色々な曲順で聴いてみて、どれも映えて聴こえる様にしたいというのはありました。 いい意味でごった煮ですか。最高です。様々な色がアルバムから出ていると解釈してしまいました。実験的なアプローチだったり新境地の音楽を取り入れたりして、聴いている人を驚かせたいっていうのがやっぱりあって。こんなのもやるの?的な。 メンバー皆ジャンル問わず自分達にないものを欲してしまうと思うんです。言葉を変えると、自分達の引き出しにコレはない、というのが悔しいというか。根っから音楽好きというか。ただの負けず嫌いというか。1つの形に拘らないバンド、つかみ所が無いバンドであり続けたいと思います。

■上の理由から、特定のスタイルを指して”これがalaらしさ”というのは無理があるかもしれませんが、あえてアルバム中で”alaらしい曲”を選ぶとしたら?また逆に「これまでのalaには無かった要素」などを感じる曲があれば教えてください。

新井(Vo.):まぁ意外と全部alaらしいとは思いますけど、本当強いて言うならM-1“spring in my step”ですかね。これまで無かった要素は電子音の入ってるところですね。インストの曲とかも、本当に初期の頃に出した自主の音源以来の試みだし。

清野(Dr.):リズムやギターの音色は今までになかったとしても、メロディだけは“alaらしさ”を出しているつもりなんです。 “alaらしさ”と言えば、M-1“spring in my step”かもしれません。軽快な感じと若干切ない?感じ。しかも踊れる感じ。ただ楽しいだけじゃなく奥深いんじゃなかなと思っているのですが。これまでになかったのは、M-2“shiny”かも知れません。 “shiny”ですが、最近ダンスクラシックをちょっと聴き出して、こういうテイストの曲も欲しいと思って作ってみました。ちょっと古めかしい感じを出すのに苦労しました。4つ打ちなんだけど、今までやっていた4つ打ちとはちょっと違う雰囲気にしたくて。だけど、alaらしさのメロディもしっかり乗せる事が出来て。

■ライブスケジュールの方もみっちり詰まっているようですが、今作のリリースツアーについて簡単に教えていただけますか?(ツアーへ向けてのコメントなどもあればお願いします)

新井(Vo.):ツアーはホント純粋に楽しんでいきたいなと。あと、ライブではアレンジを少し変えてたり、曲を全部繋いでたり音源とはまた違った聞き方、感じ方が出来ると思うのでそういうところも楽しんでほしいですね。

清野(Dr.):今回のツアーは、まだ行った事のない土地に行ったりするので本当に楽しみなんです。見知らぬ土地でのドキドキ感って最初で最後しか味わえないから存分に堪能しようと思ってます。もちろん今まで行った所にもお邪魔させて頂くのですが、ライブはもちろん、顔見知りになったお客さんとのコミュニケーションとかも楽しませて頂きたいと思っています。 ツアー前半、3週間くらい西の方に出っ放しになるんです。そういう経験も初めてで。リアルに不安もありますが、ライブが本当に大好きなので毎日心から楽しめそうです。 フルアルバムのツアーは初めてですが、今まで同様全力で楽しんでいこうと思っているのでライブハウスの方に是非足を運んでもらえると嬉しいです。

■話は少しそれますが、最近興味のあるものを教えていただけますか?音楽や映画などなど何でも結構です。

新井(Vo.):最近は幕末モノのビデオをよく見ますね。理由は分からないけど最近なぜか興味が湧いてきて。それと最近よく聴くのはキース・スウェット。

清野(Dr.):無趣味っぽく聞こえちゃうかもしれませんが、食事です。 色々な所で美味しいモノを食する。これぞ、人生の真骨頂でないかなと最近マジで思います。ツアーでは違った意味で一回り大きくなってしまうと思います。

■それでは最後に、今作に関してリスナーの方へご自由にメッセージなどをお願いします。

新井(Vo.):現時点では最高の出来だと自負しております。是非聴いて下さい!

清野(Dr.):良い意味で、色々なCOLORを楽しめる喜怒哀楽的アルバムになっていると思います。音楽って生活の上で必要不可欠だと僕は思うんです。皆さん色々な状況な場面に出くわしたりする。音楽って癒しの手助けになったり、喜びを分かち合えたりする。今回のこのアルバムにはそんな力があると思うんです。癒されたい方、楽しみたい方、日々退屈しているあなた、是非聴いていただきたいです。 全国リリースツアーのファイナルライブを、東京、渋谷CLUB QUATTROでおこないます。自分で言うのもアレなんですが、最高なパフォーマンスでお迎え致しますので友達、親族誘って和気藹々遊びにいらしてください。


ala(アーラ):2003年に都内にて結成。渋谷、下北沢、新宿などを中心に活動。2004年に自主制作CD「Happy Go Lucky」をリリース。その後いくつかの自主制作盤を経て2005年7月に初の全国流通ミニアルバム『Point Of View』をリリースする。
続いて2004年には2ndミニアルバム『Organizm』をリリース。奥深い音楽性と怒涛の勢いをこなす圧倒的なライブパフォーマンスが話題となっている。

Point Of View
ala/Point Of View

発売中

Organizm
ala/Organizm

発売中

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