アイヌ⇔ダブ越境！異彩を放つOKIの新作

2006年5月23日 (火)

樺太アイヌに伝わるアイヌ民族唯一の伝統楽器「トンコリ」を操るOkiオキが、アイヌ伝承ウポポの第一人者と呼ばれる安東ウメ子のアルバムInhukeをプロデュースしたのが2001年。

その後も飛躍的にアイヌのトンコリと伝統歌であるウポポをレゲエ/ダブの音響構築で再生を続け、昨年リリースされたアルバムTonkoriは、イギリス音楽誌「The Wire」や米ニューヨーク・タイムズ紙などでも取り上げられ賞賛を浴び、さらに細野晴臣、大貫妙子、チチ松村、青柳拓次、井上薫ChariChari、角松敏生らからも絶賛されました。

新作のリリースが待ち望まれていましたが、遂にニューアルバム情報が到着しました。今回発売決定となったのは、あの04年に発表したDub Ainuの延長線上における、新生ダブ×アイヌ･サウンドを打ち出すDub Ainu Deluxe。

ゲストに、アフリカ/セネガル出身の女性シンガーFania、そして、最近ではバンデイロ・マスターことMarcos Suzanoマルコス・スザーノとの共演アルバムNenhuma Cancao, So Musicaで一躍注目を浴びている日本が誇るグルーヴ・メーカー沼澤尚（Drum）、そしてDancing Stoneで活躍するレゲエ・ベーシストのHirohisa、ウポポ界期待の歌い手床絵美らが参加、前作以上にクロスオーヴァーで濃厚なアイヌ/Okiワールドが全開。

まさしく民族＝トライヴを飛び出し越境＝トランスを続けるOkiの弛みナイフロンティア魂に圧倒させられます。発売は勿論チカル・スタジオから、7月16日にリリース予定です。

【OKI プロフィール】

樺太アイヌに伝わるアイヌ民族唯一の伝統楽器「トンコリ」奏者。楽器プレイヤーとしてだけでなく、アイヌ音楽の伝統にダブやレゲエなど世界のルーツ音楽のダイナミズムを織り込んだ斬新なサウンド造りで独自の音楽スタイルを切開き、知られざるアイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきた稀有なミュージシャン/プロデューサー。

神奈川県出身、北海道旭川在住。日本人を母に、アイヌを父に持つ。東京藝術大学工学科卒業後、87年にNYに渡る。「2001年宇宙の旅」でしられるダグラス・トランブルの映像プロダクションで美術製作アーティストとして活躍した後、映画制作の美術監督として日本のプロダクションに迎えられたのを機に92年に帰国。

ところが映画プロジェクトの破綻と共に失業の身に。暗澹たる気分でおつずれた自らのルーツでもある北海道で樺太アイヌの伝統的弦楽器「トンコリ」とであう。

アイヌ音楽を核にしながらも現代に響くエッジの効いたサウンドは、年代を問わないあらゆる音楽ファン層の支持を集め、その活動は数多くのメディアで紹介。とりわけ安東ウメ子のアルバム・プロデュース作品は多くの音楽評論家、ミュージシャン、各界のクリエーターたちから絶賛されている。

Okiディスコグラフィー

Kamuy Kor Nupurpe
2001年05月27日発売
記念すべきファースト・アルバムで、オキの1stアルバムが最新K2アナログ・リマスタリング〜ニュージャケットでリイシュー（チカル・スタジオ）。樺太アイヌの弦楽器、トンコリ奏者オキの原点が鮮やかな音色で蘇ります。

No One's Land
2002年06月02日発売
そして、間違いなくOkiの名を知らしめる事になったエポック・メイキング作品がこの2ndアルバム。リズミカルでポップなアイヌ発のソウルミュージックは新鮮さに溢れ、とにかく圧巻。トンコリと打ち込み系サウンドとが見事に融合された伝統とテクノロジーを跨ぎ越えた歴史的作品。

Dub Ainu
2004年10月17日発売
アイヌ伝承者安東ウメ子さんが死去した2ヶ月後にリリースされた本作は、二人が創った過去の音源をリミックスしたアルバム。単なるスタイルの模倣に陥らない精神的ダブ世界を表現した全6曲を収録。全編Okiがベースを弾き、これまでにアルバム未収録だった’アフガン・ハーバル・ガーデン’も聴くことができる。まったくコレまでになかった”ミスティック・ダブ・ルーツ・シベリアン〜アイヌ民謡”という新境地を切り開いたWorld Music史に残る傑作です。

Tonkori
2005年05月22日発売
アイヌ音楽の魅力を、レゲエ〜ダブ、エレクトロニックな手法を組み入れたミクスチャー・スタイルで表現し国内外で高い評価を得てきたOKIが原点であるトンコリと向き合い、トンコリ（カラフト・アイヌに伝わるアイヌ民族唯一の弦楽器）のみで作り上げたアルバム。1970年代に残された記録テープを再度聴きおこし、そのノイズの奥に潜むアイヌ音楽特有のニュアンスやグルーヴをすくいあげ、かつての名人の演奏を忠実に再現。 時に眠りを誘うような、なんともいえないもっさりとした奥行きのある甘美なトンコリの響きは、どこか郷愁の想い馳せる温もりを感じさせてくえますが、OKIにかかれば、めくるめくリズムと倍音の洪水といえる、現在のダンスミュージックやテクノとも共鳴する新鮮かつ斬新な音楽へと昇華してしまう。