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サロネン/バーナード・ハーマン映画音楽集

2005年11月28日 (月)

なんとホルン12本が咆哮するド迫力サウンド!
サロネン&LAPO/バーナード・ハーマン映画音楽作品集

20世紀の映画界で最も重要な映画音楽作曲家の一人であったバーナード・ハーマンの傑作群を、エサ=ペッカ・サロネン&ロスアンジェルス・フィルが演奏したディスク。
 バーナード・ハーマンは、1911年ニューヨーク生まれ。ジュリアード音楽院に学び、コープランドらのグループに参加し、また、指揮者として現代音楽を盛んに紹介するなど精力的な活動を展開、一方で、CBSラジオではオーソン・ウェルズがプロデュースする『マーキュリー劇場』の音楽を数多く作曲して話題になります。中でも有名なのは、1938年、ハロウィン前夜に放送された『火星人襲来!』の回は、全米をパニックに陥れたことでも知られています。オーソン・ウェルズとの関係はその後も良好で、やがて1941年には、名作『市民ケーン』により映画音楽作曲家としてのデビューを果たすこととなります。
 その後、ヒッチコックと出会い、1955年の『ハリーの災難』から1964年の『マーニー』までのヒッチコック全作品を担当しましたが、1966年の『引き裂かれたカーテン』の制作中に監督と激しく対立し、惜しくもコンビ解消となってしまいます。対立の原因は、ユニヴァーサル社の圧力に屈したヒッチコックが、この作品に“売れるポップス”を求めてきたことと、殺人シーンの音楽の有無というもので、厳しく頑固なハーマンが妥協するはずもなく、ヒッチコックはついに彼を解雇、長年の名コンビはあえなく破局を迎えることとなってしまいます。
 その後、ハーマンはハリウッドを離れ、拠点をロンドンに移しますが、皮肉にもトリュフォー、デ・パルマ、スコセッシといったヒッチコックを敬愛する監督たちから作曲依頼が殺到。数々の名作を書き上げ、1975年の『タクシードライバー』を最後にこの世を去りました。
 このアルバムでは、ヒッチコック監督作品から『知りすぎていた男』『サイコ』『マーニー』『北北西に進路を取れ』『めまい』という代表的な5作品のほか、トリュフォー監督作品の『華氏451』(トリュフォーが嫌うハープをあえて多用している作品。トリュフォーはハープをめぐって盟友ドルリューと対立したこともあったとか)、スコセッシ監督作品でハーマンの遺作となった『タクシードライバー』を収録しています。
 注目は、降板のため未使用となった『引き裂かれたカーテン』でしょう。なんと12本(16本説もあり)のホルンを使用するという野心作で、その豪放な音楽は映画音楽の枠を超えており、ハーマンの作品の中でも屈指の傑作といえるのではないでしょうか。
 もしかしたらあまりの強烈さにヒッチコックも却下してしまったのでは…などと邪推さえしてしまいます。サロネン指揮するロサンジェルス・フィルの演奏も素晴らしく、ゴージャスなサウンドは極めて痛快。これは他の曲にも言えることで、特に『北北西に進路を取れ』『マーニー』の疾走感、『めまい』の幻惑的な色彩感など、いずれも見事です。

バーナード・ハーマン:
・『知りすぎていた男』前奏曲
・『サイコ』組曲
・『マーニー』組曲より(2曲)
・『めまい』組曲
・『引き裂かれたカーテン』より(3曲)
・『華氏451』組曲
・管弦楽のためのナイト・ピース『タクシー・ドライバー』

 ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
 エサ=ペッカ・サロネン(指揮)

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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