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100人の偉大なアーティスト - No. 73

2003年4月10日 (木)

Top 100 Most Influential Artists...。そう、この企画にピッタリの男がいるんです。洒落たブラジリアン・ビート、軽快なリズム、爽やかなアレンジ等々、ブラジルのスパイスを効かせたサウンドが90年代〜21世紀の日本のポップス・シーンに流出しているのは周知だが、ボサノヴァが海を渡りアメリカへ、そして世界へと広まった足掛かりを作った男こそこのSergio Mendesセルジオ・メンデス。音楽史に名を残す名曲を作曲したわけでもなく、後世に語り継がれるような美しい詩を作ったワケでもない。ただ彼が音楽の歴史に影響を及ぼしたことは間違いない。Most Influential ...まさにピッタリ。

Joao Gilbertoジョアン・ジルベルトほど神がかってないし、Caetano Velosoカエターノ・ヴェローゾほど難解じゃあないし、かといって初期のMarcos Valleマルコス・ヴァーリほど叙情的でもなけりゃ洗練されてもない。そんな彼のシンプルなアレンジがあったからこそ、『ボサノヴァ』が南米ブラジルからアメリカへ渡り、世界的に広く愛され成功を収めたのではないだろうか。そしてそれは時代をも超越している。実際、昨年発売されたSergio Mendes - Songs - Selected By大沢伸一は驚異的なロングセールスを更新し続け、彼が1960年代-1970年代に発表してきたオリジナル・アルバムもWorld Musicコーナー定番アイテムだ。

シンプルなサウンドの中に秘めた魅力を持ち、それは時代を超越してリスナーの感覚を刺激する、嗚呼偉大なるアーティストだ!...と、そんな大袈裟に彼を評論するつもりはない。だって、彼のサウンドはシンプル、そして単純だから。「単純」とは言えど、1960年代初頭の初期作品における、彼のピアノ・アレンジはとりわけ卓越したセンスを感じさせるが、まず初めて彼のサウンドを聴いて、ピアノの弾き方、アレンジの上手さに気づくリスナーは少ないはずだし、かと言って、頭を傾げる難解さがなく、自然と聴かせてくれる。そう、そういった「軽く聴かせるウマさ」に彼の天才的な才能を感じずにはいられない。

ここで、ちょっと彼の経歴を。1941年2月11日ブラジルはニテロイ市生まれ。幼い頃から地元の音楽スクールに通い、クラシックのピアニストを目指すもボサノヴァの誕生を思春期(十代半ば)に体験しポップスに傾倒してゆく。その後、伝説のナイト・クラブ『ベッコ・ダス・ガハーファス』でピアノトリオを結成、初期はジャズに傾倒したボサノヴァを演奏(当時のアレンジ・センスにはブラジル音楽ファンの間でも高く評価されてる)、そしてWanda Saワンダ・サーと出会い『ブラジル’65』を結成するも大成功を収めることが出来ずにいた。

そんな翌年、シカゴで出会ったLani Hallラニ・ホールの歌声に一目惚れ、『ブラジル’66』を結成。そしてHerb Alpertハーブ・アルパートとの出会い...。そしてA&Mより記念すべきデビュー曲「マシュ・ケ・ナダ」を発表。そして初アルバムも全米で大ヒットを記録、ボサノヴァが世界に認められるきっかけを作った歴史的瞬間だった。

ワンダ、ラニ、ハープ...と出会うなんて、こんなラッキーな人、そうはいない。勿論、幸運だけでなく、ボサノヴァ、サンバ、ジャズ、ソフトロック...など多彩なサウンド・アレンジのセンスは右に出る者はいない。Jorge Benジョルジ・ベン作曲の「マシュ・ケ・ナダ」が代表的だが、カヴァー曲ばかりなのに、そのアレンジの素晴らしさから、セル・メン・ヴァージョンがオリジナルに思えてしまう。そう、彼はブラジル随一の名アレンジャーなのだ。

■ディコグラフィーはこちら

〜Sergio Mendesの影響を受けたArtistたち〜
・【海外】Aluminum Groupアルミナム・グループ
・【海外】Wanda Saワンダ・サー
・【海外】Candeiasカンダイアス
・【海外】Les Masquesレ・マスク
※そのほかアメリカのソフト・ロック産業、ヨーロッパ産ボサノヴァなど...

・【日本】Pizzicato Five
・【日本】Mondo Grosso
・【日本】Fantastic Plastic Machine など...

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

top 100 most influential artists The List So Far....