ギレリス／RCA&コロンビア・アルバム・コレクション(7CD)

2016年7月4日 (月)

ギレリス／RCA&コロンビア・アルバム・コレクション(7CD)

ソ連の名ピアニスト、エミール・ギレリス[1916-1985]がRCAと米コロンビア(CBS)で制作した音源のコレクション。録音時期は1955年から1965年、および1979年。ギレリス30代の終わりから40代の終わりにかけてのダイナミックで名技的なRCAを中心とした録音と、ギレリス63歳のときのCBS録音という構成。シューベルトのピアノ・ソナタ第14番は世界初CD化となります。
　オリジナル・デザインにこだわった仕様で、当時のレーベル・デザインが印刷された各ディスクが、初出LPデザインの紙ジャケットに封入されています。また、オールカラーのブックレットには詳細なレコーディング・データ入りのトラックリストと欧文エッセイが掲載される予定です。

【ギレリス黄金時代】
ギレリスの名が国際的なものとなったのは、スターリンの死の翌年、1954年のパリ公演の大成功だったということで、翌1955年には、プロコフィエフ以来初のソ連人音楽家としてアメリカを訪れ、その豪快な演奏が「鋼鉄のタッチ」と形容されて全米で大評判となります。当時、世界の総生産の4割とも5割とも言われたアメリカの勢いは圧倒的で、ギレリスもさっそくRCAレーベルと契約、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団とのベートーヴェン『皇帝』とブラームス：ピアノ協奏曲第2番に、リストのロ短調ソナタ、シューベルトのピアノ・ソナタ第14番と第17番、ショスタコーヴィチのピアノ・ソナタ第2番に、バッハのフランス組曲第5番を録音していました。
　これらのレコーディングはRCAリヴィング・ステレオの高度な技術でセッションを組んで録音されたもので、最も古い『皇帝』でもそのサウンドは非常に鮮やか、力強い打鍵から繊細なピアニシモまでフルに収録しています。
　その間、1964年にはCBSに、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団と共演してショパンのピアノ協奏曲第1番をセッション録音、15年後には同じくCBSに、メータ指揮ニューヨーク・フィルと共演してチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番ほかをライヴ録音してもいます。
　前者はオーマンディのゴージャスなオケをバックにショパンの音楽を骨太に表現、後者は実演ならではの迫力で、ギレリスとメータ指揮ニューヨーク・フィルがぶつかりあった大名演です。（HMV）

【収録情報】

Disc1
● チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23

　エミール・ギレリス(ピアノ)
　フリッツ・ライナー(指揮)

　録音時期:1955年10月29日
　録音場所:シカゴ、オーケストラ・ホール
　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:RCA

Disc2
● ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83

　エミール・ギレリス(ピアノ)
　ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ独奏)
　シカゴ交響楽団
　フリッツ・ライナー(指揮)

　録音時期:1958年2月8日
　録音場所:シカゴ、オーケストラ・ホール
　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:RCA

Disc3
● シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番ニ長調 D.850*

　エミール・ギレリス(ピアノ)

　録音時期:1960年1月16-20日
　録音場所:ニューヨーク、タウン・ホール
　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:RCA

Disc4
● リスト:ピアノ・ソナタロ短調 S.178
　録音時期:1964年12月24日
　録音場所:ニューヨーク、タウン・ホール

● シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番イ短調 D.784
　録音時期:1964年12月22,23日、1965年1月8日

　エミール・ギレリス(ピアノ)

　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:RCA

Disc5
● ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番ロ短調 Op.61
　録音時期:1965年1月8日
　録音場所:ニューヨーク、カーネギー・ホール

● J.S.バッハ:フランス組曲第5番ト長調 BWV.816*
　録音時期:1960年2月25日

　エミール・ギレリス(ピアノ)

　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:RCA

Disc6
● ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11

　エミール・ギレリス(ピアノ)
　フィラデルフィア管弦楽団
　ユージン・オーマンディ(指揮)

　録音時期:1964年12月31日
　録音場所:フィラデルフィア、タウンホール
　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
　音源:Columbia

Disc7
● チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
● J.S.バッハ/シロティ編:前奏曲ロ短調 BWV.855(アンコール)

　エミール・ギレリス(ピアノ)
　ニューヨーク・フィルハーモニック
　ズービン・メータ(指揮)

　録音時期:1979年11月14日
　録音場所:ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホール
　録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
　音源:CBS

　*ギレリスによる唯一の録音。