ゲーベル／ル・パルナス・フランセ(10CD)

2016年5月16日 (月)

ル・パルナス・フランセ(10CD)
ゲーベル＆ムジカ・アンティクヮ・ケルン

ドイツのバロック・ヴァイオリニストで指揮者のラインハルト・ゲーベルが、ムジカ・アンティクヮ・ケルンと共にアルヒーフ・レーベル（とドイツ・グラモフォン）で制作したフランス・バロックのアルバムを集めたボックス・セット。
　1973年に結成され、作品によっては先鋭かつ快速な演奏でときに物議を醸すこともあった彼らですが、フランス音楽ではそれほど急峻なアプローチはとらず、作品に潜む前衛性を表出しながらも、典雅さをも感じさせる仕上がりとなっているケースが多いようです。といっても彼らのことですから、やわらかさや気楽さといった要素よりは、作品の情報を強めのリズムでトレースするという印象の方がやはり勝ってはいますが。
　このセットは、1978年から1983年に初期メンバーで録音されたDisc1・3・4・5・6・7・9・10の8枚に加え、1994年に録音されたルベルの四大元素、1999年に録音されたリュリ、そして2003年に録音されたシャルパンティエの計10枚で構成されています。
　初期メンバーの録音では随所で心地よい速さを体感させてくれる一方、2003年のシャルパンティエでは多面的な思慮深さを聴かせてもいます。
　なお、ムジカ・アンティクヮ・ケルンは、2006年にラインハルト・ゲーベルの左手の故障が演奏不能なほどに悪化したことにより、翌2007年にその活動を停止、このセットは、彼らの活動初期から後期に至るまでとりあげられていたフランス音楽を、いろいろな収録時期の演奏で味わえるものとしても価値があると思われます。
　たとえば、フランス・バロックの優雅さを代表する大作として知られるフランソワ・クープランの『諸国の人々』は、結成10年目の若き彼らのすっきりしたアンサンブルで、典雅な音楽を味わうことができますし、その11年後に録音された最も過激なバロック作品としても有名なルベルの『四大元素』では、前衛的なまでのサウンドが響きわたって非常に刺激的です。
　参考までにかつてのジャケット画像を表示しておきます。

【ムジカ・アンティクヮ・ケルン・プロフィール】
ムジカ・アンティクヮ・ケルン（MAK）は、1973年にラインハルト・ゲーベルとケルン音楽大学の友人たちによって設立された古楽器アンサンブル。最初はドイツを中心にバロック時代の教会音楽と室内楽を中心に活動して人気を集めるようになり、1978年、ドイツ・グラモフォンの古楽部門、アルヒーフと専属契約を結んでいます。翌1979年には、ロンドンのクイーン・エリザベス・ホールでデビューし、続くオランダ・フェスティバルでの成功によって、国際的にも注目されるようになります。

【ラインハルト・ゲーベル・プロフィール】
ドイツのヴァイオリニスト・指揮者のラインハルト・ゲーベルは、12歳でヴァイオリンをはじめ、ケルン音楽大学でフランツ・ヨーゼフ・マイアーに師事、その後、現代音楽の権威であるサシュコ・ガブリロフのもと、エッセン市のフォルクヴァング大学で学びます。さらに、エドゥアルト・メルクスの集中講座を受け、数年にわたりマリー・レオンハルトの指導も受けています。（HMV）

【収録情報】

Disc1
● マレ:サント=ジュヌヴィエーヴ・デュ・モンの鐘
● ルベル:リュリ氏のトンボー
● フランソワ・クープラン:四重奏ソナタ『ラ・サルタン』
● マレ:ラ・マレジエンヌによるソナタ

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1978年

Disc2
シャルパンティエ:
● ヴァイオリン、トランペット、ティンパニ、フルートとオーボエのための勝利の行進 H.547-1
● オルガンに代わる複数の楽器のためのミサ曲 H.513
● 2つのトランペットのためのファンファーレ H.deest
● オルガンと、ヴァイオリン、フルートとオーボエのための奉納式 H.514
● 仮祭壇のための『サンフォニ』 H.508
● 教会のための序曲 H.524
● 仮祭壇のためのサンフォニ H.515
● まだ挙行されない奉納式 H.522
● 4部の弦楽のためのコンセール H.545
● 仮祭壇のために:行列の登場直後の序曲 H.523
● トランペット、ヴァイオリン、フルート、オーボエとティンパニの第2のエール H.547-2

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:2003年

Disc3
● クレランボー:カンタータ『オルフェ』
● クレランボー:カンタータ『メデ』
● ルベル:バレエ『四大元素』管弦楽組曲

　ラシェル・ヤカール（ソプラノ）
　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1979年、1994年

Disc4-5
● フランソワ・クープラン:組曲集『諸国の人々』全曲
　第1組曲: フランス人
　第2組曲: スペイン人
　第3組曲: 神聖ローマ帝国人
　第4組曲: ピエモンテ人

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1983年

Disc6
● ジル:レクィエム
● コレット:死者のためのカリヨン

　コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(
　フィリップ・ヘレヴェッヘ(合唱指揮
　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1981年

Disc7
ルクレール:
● 2つのヴァイオリンと通奏低音のための序曲ニ長調 Op.13-2
● 2つのヴァイオリンのためのソナタト短調 Op.12-5
● 2つのヴァイオリンと通奏低音のための三重奏曲(序曲)イ長調 Op.14
● 2つのヴァイオリンのためのソナタ変ロ長調 Op.12-6

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1978年

Disc8
● リュリ:テ・デウム(器楽合奏)
● コルディエ:ラ・ボカンヌ(原曲)
● コルディエ:ラ・ボカンヌ(編曲)
● リュリ:歌劇『ファエトン』より『踊る惑星群』(プロローグ)
● リュリ:『夜のバレ』序曲
● リュリ:『快楽のバレ』(サラバンド)
● リュリ:『夜のバレ』
● リュリ:歌劇『セルセ』より『トロンペット・マリーヌを奏する水夫たちのエール』
● リュリ:歌劇『セルセ』より『踊る奴隷と猿たちのエール』
● リュリ:歌劇『セルセ』より『スカラムーシュ役のエール』
● リュリ:歌劇『セルセ』より『博士たち、フリヴラン、ポリシネルたちのエール』
● リュリ:歌劇『セルセ』より『踊る奴隷たちのエール』
● リュリ:『平和の田園詩』(王太子妃のエール)
● リュリ:『アルシディアーヌのバレ』より『リトゥルネルとイレール嬢のエール』
● リュリ:『アルシディアーヌのバレ』序曲
● リュリ:『愛の勝利』序曲
● リュリ:歌劇『ペルセ』より『地獄の神々のアントレ』
● リュリ:『町人貴族』より『トルコの儀式のための行進曲』『ジュルダン』『スカラムーシュ、フルヴラン、アルルカンのシャコンヌ』
● ランベール:愛する人の影(エール・ド・クール)
● リュリ:『愛の勝利』より『夜のプレリュード』
● カンベール:『ポモーヌ』より『この果樹園で一緒に生きていこう』『いったい何だ、私の目よ』
● リュリ:歌劇『アルミード』より『この場所を見れば見るほど』
● リュリ:歌劇『アティス』より『眠れ、みんな眠れ』
● リュリ:歌劇『アルミード』より『パッサカリア』『前奏曲』
● リュリ:スペインのフォリア
● リュリ:『気前のよい恋人たち』(アポロンのアントレ)
● リュリ:『愛の勝利』より『アポロンのアントレ』『第2エール』
● リュリ:歌劇『イシス』より『神々が選んだのは陛下～いたるところに広めよう』
● リュリ:歌劇『アルミード』より『その名の輝きが』
● リュリ:歌劇『アマディス』より『わたしたちを喜ばせようとする妖精たちよ～天は地に告げよ』

　セリーヌ・シェーン(S)
　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1999年

Disc9
● ビュファルダン:5声部の協奏曲ホ短調
● ボワモルティエ:協奏曲ニ長調 Op.26-6
● コレット:コミックな協奏曲第25番ト短調『未開人とフュルスタンベール』
● カンタン:協奏曲イ長調 Op.12-1
● ブラヴェ:4声の協奏曲イ短調

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1982年

Disc10
● ギユマン:四重奏ソナタイ短調『第2の試み～怒りとデカダン』
● フランクール:トリオ・ソナタホ長調 Op.2-6
● フィリドール:転調の技法ト長調
● カンタン:四声部のソナタニ長調

　ムジカ・アンティクヮ・ケルン
　ラインハルト・ゲーベル(指揮)

　録音:1981年