ヤーコプスのモーツァルト『後宮からの逃走』全曲
2015年10月16日 (金)
モーツァルト:『後宮からの逃走』全曲
ヤーコプス&ベルリン古楽アカデミー、R.ヨハンセン、M.シュミット、他(2014 ステレオ)(2CD)
序曲からびっくり痛快、ヤーコプスが繰り広げる刺激的な『後宮からの逃走』
今が旬の顔ぶれの歌手陣にも注目
ヤーコプスが『後宮からの逃走』を録音しました! これが実に鮮烈痛快きわまりない演奏。パーカッションもにぎにぎしく活躍する快速序曲から、トルコを思わせる世界に一気に引きこまれる痛快な演奏です。セリフ部分にも演技と音楽の両面で様々に工夫がなされ、聴いていて実にたのしい『後宮』の誕生となりました!
1782年の『後宮からの逃走』のウィーン初演は、聴衆および批評家たちから、かつてない大成功の反響となりました。エキゾチズム(東洋趣味)に重きを置いた音楽、啓蒙主義思想の礼賛、当時のオスマン帝国に対する偏見とは間逆の筋書が当時の人々にとってまさにドンピシャ、ツボにはまったものだったのです。また、このオペラはジングシュピール(歌芝居)なのでレチタティーヴォがなく、アリアとセリフで構成されています。現在では、演奏に際し、セリフ部分は多くの部分がカットされてしまいますが、この録音では改訂を施しながらもフルに収録。さらに、アリアの途中でもセリフを挿入させるなど、耳のための音楽劇として聴き手が場面や登場人物の心情を想像しやすいような工夫も随所に見られます。さらに、様々な資料から、ヤーコプスは、セリフ部分でモーツァルトが自らフォルテピアノを操り場面を盛り上げ、次のアリアへのよい橋渡しとなるような即興、あるいは自作の鍵盤音楽からの引用を織り交ぜたのではと考え、この録音に際してもセリフ部分の何か所かで、フォルテピアノ奏者にちょっとした楽曲を演奏させ、さらにアリアの中でも通奏低音の枠を超えたようなものを演奏させています。このような細かな工夫により、セリフとアリアのつながりにも自然な流れが生まれ、オペラの内容がよりリアルなものとして見事によみがえっています。
歌唱陣は、バイロイトにも出演、カルダーラの世界初録音アリア集CD(マルコン指揮)でも注目を浴びたソプラノのロビン・ヨハンセン、既にバロックからロマン派のアリアまで多数のCDをリリース、2015年のザルツブルク音楽祭デビューをしたテノールのマキシミリアン・シュミットなど、今が旬の顔ぶれがズラリ。なお、ヤーコプスはこれまでにモーツァルトの歌劇として『偽りの女庭師』(HMC902126)、『皇帝ティートの慈悲』(HMC901923)、『イドメネオ』(HMC902036)、『フィガロの結婚』(HMC901818)、『ドン・ジョヴァンニ』(CD・HMC901964 /DVD・HMD9909013/Bru-ray・HMD9809013)、『コジ・ファン・トゥッテ』(HMC901663)、『魔笛』(HMC902068)、また交響曲では第38番&第41番(HMC901958)、第39番&第40番(HMC901959)と録音してきましたが、この『後宮からの逃走』でいったんオペラ・プロジェクトから離れるということ。今後は、モーツァルトのレクィエムなどが予定されています。
【あらすじ】
スペインの貴族ベルモンテの婚約者コンスタンツェは、その女中ブロンデと、ベルモンテの給仕にしてブロンデの婚約者ペドリッロと3人で誘拐され、太守セリムのもとへと送られてしまう。ベルモンテは助け出そうとするが、セリムの手下で意地悪なオスミンに阻まれる。それでもなんとか脱走しようとする中、実はベルモンテの父はかつて太守セリムをひどい目にあわせていたことが判明。オスミンはセリムに絶好の復讐のチャンスとそそのかすが、セリムは彼らを自由の身にし、4人は助かってめでたしめでたし、となる。(キングインターナショナル)
【収録情報】
● モーツァルト:歌劇『後宮からの逃走』 K.384 全曲
コンスタンツェ:ロビン・ヨハンセン(ソプラノ)
ブロンデ:マリ・エリクスモーエン(ソプラノ)
ベルモンテ:マキシミリアン・シュミット(テノール)
ペドリッロ:ジュリアン・プレガルディエン(テノール)
オスミン:ディミトリー・イヴァシュチェンコ(バス)
太守セリム:コルネリウス・オボニャ(語り)
RIAS室内合唱団
ベルリン古楽アカデミー
ルネ・ヤーコプス(指揮)
録音時期:2014年9月
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
オペラ最新商品・チケット情報
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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