超絶技巧ピアニスト、ガヴリリュクの『死の舞踏』ほか

2015年8月7日 (金)

ブラームス：パガニーニの主題による変奏曲＆リスト：ピアノ曲＆編曲集
アレクサンダー・ガヴリリュク

若きブラームスが名手カール・タウジヒに依頼されて作曲した『パガニーニの主題による変奏曲』は、おなじみのカプリース第24番を使用した超絶技巧作品。
　2曲目のリストのコンソレーション（慰め）第3番はやさしく美しい癒され系の小品。
　3曲目はリストの有名曲メフィスト・ワルツ第1番。『村の居酒屋での踊り』というタイトルを持つこの作品は、ストーリー的な性格と充実した書法で人気があります。弟子の名手カール・タウジヒに献呈。
　4曲目はワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』の終曲「イゾルデの愛の死」をリストがピアノ・ソロ用に編曲したもので、大編成作品の高揚が,三段譜も駆使して表現されています。
　5曲目はサン＝サンスの交響詩『死の舞踏』をリストが編曲したものをさらにホロヴィッツがアレンジしたというもので、華麗な不気味さを超絶技巧で示しています。
　最後はリストの「タランテラ」。舞曲のリズムで盛り上がる作品。
　ウクライナのピアニスト、アレクサンダー・ガヴリリュクは超絶技巧の持ち主ですが、抒情的な表現にも長けており、このアルバムでの演奏も期待されるところです。特にホロヴィッツが編曲に加わったサン＝サーンスの『死の舞踏』は注目されるところです。

【プロフィール】
ガヴリリュクは、1984年ウクライナの生まれ。1998年、オーストラリア音楽学校とセント・アンドリュース・カテドラル学院の奨学生としてシドニーに移住し、1999年ホロヴィッツ記念国際ピアノ・コンクールと、オーストラリア・ピアノ・コンクールで第1位を獲得。そして2000年11月に行なわれた第4回浜松国際ピアノコンクールでは、審査員全員一致での第1位という栄誉に輝き、翌2001年には、コンサートとレコーディングのために再来日。しかし2002年に高速道路での同乗事故で頭部に重傷を負い、1ヶ月の入院生活を余儀なくされますが、回復後はそれまで以上の活躍をみせ、2003年と2004年に再び来日、2005年には、アルトゥール・ルービンシュタイン国際コンクールで第1位及び金賞、あわせてベスト・コンチェルト賞を受賞し、翌2006年の再度の来日でも大きな話題を呼ぶこととなりました。以後、毎年のように来日し、2011年、震災後の東京でも来日して精力的な演奏を聴かせていました。（ＨＭＶ）

【収録情報】
● ブラームス：パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 [25:55]
● リスト：コンソレーション第3番 [04:09]
● リスト：メフィスト・ワルツ第1番『村の居酒屋での踊り』 [11:23]
● ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「イゾルデの愛の死」（リスト編） [06:55]
● サン＝サーンス：交響詩『死の舞踏』（リスト/ホロヴィッツ編） [08:39]
● リスト：巡礼の年第二年補遺『ヴェネツィアとナポリ』～「タランテラ」 [09:42]

　アレクサンダー・ガヴリリュク（ピアノ）

　録音時期：2015年2月
　録音場所：オランダ、スキーダム、Westvest Church
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）