【ライブレポ】2CELLOS 7/3 ＠オーチャードホール

2015年7月7日 (火)

Photo: Yuki Kuroyanagi

クロアチアのイケメン・チェロユニット、2CELLOSの全国公演ソールドアウトのライヴに潜入！

NTTドコモ「ツートップ」のCM出演で日本でも絶大な人気を誇る、ルカ・スーリッチとステファン・ハウザーのチェリスト２人から成る2CELLOSが最新アルバム『チェロヴァース』を引っさげて全国9都市、全13公演でめぐるジャパン・ツアーの折り返しとなった7月3日（金）のオーチャードホール公演に行ってきた。今回の公演はグループ史上最大規模の日本縦断ツアーだという。

筆者にとっては2CELLOSのコンサートは初体験。チケットは全公演ソールドアウトしているということもあり、果たしてどのような層がライブを観に来るのか興味津々で会場に入ると、ロビーで売られていたグッズを求める品のよさそうなご婦人たちの熱気を見て、さすがはイケメン・チェロ・デュオ、アイドル的人気も高いのだと即座に納得。一方、彼らの超絶テクを絶賛しているロック・ファンも多いらしく、ロック系Tシャツを着ている方もちらほら見かけた。

期待高まる中、始まったステージ。はじめに白担当のルカが登場。白というのは彼らの持っているヤマハのサイレントチェロの色。先のNTTドコモのCMでも白黒にペイントされたチェロを使用しており、それぞれの担当カラーなのだろう。

2CELLOS - Kagemusha（NTTドコモ「ツートップ」CM曲）

早速、ピアソラの「オブリビオン」をソロ演奏。途中、黒担当のステファンがステージに現れ、いよいよ二人での演奏が始まる。続くモリコーネ「ガブリエルのオーボエ」では、事前に録音していた自身達の旋律をバックに、ソロパートを交互にプレイ。最後には両者の織りなす美しいハーモニーで会場はうっとりモード。

実は昨日、東京の追加公演がサントリーホールであり、ルカとステファンが自分の愛用するチェロをクロアチアから持参して、初のクラシックコンサートを行った。これには彼らもさすがに緊張したようで、今日はいつものスタイルで演奏できるからリラックスしていると言い笑いを誘っていた。

※画像は7月2日（木）サントリーホールでの楽屋ショット

観客総立ち！もはやこれはロック・コンサート？！

そして、U2「約束の地」あたりから徐々にエンジンがかかってくる。速弾きやパーカッシヴなビートの応酬が繰り広げられる。時に椅子から離れて自身のプレイを観客にアピールするワイルドなステファンと、恍惚の表情さえ見せ、どっぷりと音世界に入り込むルカによるエモーショナルでパワフルなプレイはまさにロックギタリストそのもの。しかも、ディストーションかかったチェロの音色がなんとカッコいいこと。想像以上のエネルギッシュなステージに目は釘づけだ。

ブレイクするきっかけとなった楽曲でもあるマイケル・ジャクソン「スムース・クリミナル」からここぞとばかりに観客は立ち上がり、歓声と手拍子でもはやロック・コンサートの勢い。途中、ドラム担当のドゥーシャン・クランツが入ってからはさらにその趣向は強くなる。

最新アルバムから、AC/DC「サンダートラック」やマイケル・ジャクソンの「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」、彼らのライブでお馴染みのガンズ「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」、ニルヴァーナ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」まで、次々と有名曲が披露され、インストでありながら思わず歌を口ずさんでしまうほど。また、AC/DCの曲ではステファンがダックウォークぽい仕草もしたり、床の上にあおむけになりチェロを弾いたりと観る者を楽しませる要素もバツグンだ。最後に２人は日本の観客に感謝の言葉を伝え、また来年！と言ったものの、あわてて数日後！と訂正したのはお茶目だった。

ルックスの良さや派手なテクニックに注目が集まりがちだが、これだけ誰もが知っているポピュラー・ソングを見事に昇華させ、単なるチェロカヴァーでなく、2CELLOS色に染めた秀逸なアレンジ力と、世界中をツアーして培われた洗練されたエンターテイメントは本物だ。とにかく一度体験しないことにはこの衝撃は伝わらないかもしれない。次回の来日公演も行ってみたいと思わせる魅惑のひと時だった。

（ヒロ安藤）

【フォトギャラリー】

Photo: Yuki Kuroyanagi（画像は6月23日（火）Bunkamuraオーチャードホールのもの）

セットリスト　７月3日　19:00 ＠オーチャードホール

Oblivion / オブリビオン（ピアソラ）
Gabriel's Oboe / ガブリエルのオーボエ（モリコーネ）
Where The Streets Have No Name / 約束の地（Ｕ２）
Viva La Vida / 美しき生命（コールドプレイ）
The Book of Love / ブック・オブ・ラヴ（マグネティック・フィールズ）
Resistance / レジスタンス（ミューズ）
With or Without You / ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー（U2）
Human Nature / ヒューマン・ネイチャー（マイケル・ジャクソン）
Smooth Criminal / スムーズ・クリミナル（マイケル・ジャクソン）
Welcome to the Jungle / ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル（ガンズ・アンド・ローゼズ)
Thunderstruck / サンダーストラック（AC/DC）
Voodoo People / ヴードゥー・ピープル（ザ・プロディジー）
Mombasa / モンバサ（インセプションより）（ハンス・ジマー）
They Don't Care About Us / ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス（マイケル・ジャクソン）
Smells Like Teen Spirit / スメルズ・ライク・ティーン・スピリット（ニルヴァーナ）
You Shook Me All Night Long / 狂った夜（AC/DC）
Highway To Hell / 地獄のハイウェイ（AC/DC）
Satisfaction / サティスファクション（ローリング・ストーンズ）
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The Trooper / トゥルーパー（アイアン・メイデン）
Back in Black / バック・イン・ブラック（AC/DC）
Bach Air / アリア（バッハ）

ドゥーシャン・クランツ（ドラムス）