SIGH 川嶋未来氏 VENOM INC.来日コラム! Mon Cauchemar Musicalへ戻る

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2015年6月19日 (金)

Mirai Kawashima / SIGH
Venom Inc. L to R Mantas, The Demolition Man and Abaddon

<コラム:Venom Inc.来日>

 これはヤバい。こんなに興奮するニュース、いつ以来だろう。そう、ついにVenomがやって来るのだ。と言っても厳密にはVenom Inc.の方なのだが。何だそりゃと思われた方のために、少々事情を説明しよう。スラッシュメタル、デスメタル、ブラックメタル、その他あらゆるエクストリームメタルの元祖と言えるVenomだが、凄まじいラインナップチェンジだけでなく、何度かの解散・活動休止を経つつも現在も精力的に活動を続けている。80年代中盤までの黄金期を支えたオリジナルVenomのメンバーが、CronosMantasAbaddonの3人。だが残念ながら、ここ最近は3人が別々の道を歩んでいた。

 現在もVenom名義で活動を続けているのがベース・ヴォーカルを担当するCronosだ。Cronosは、ライヴ活動だけでなく、コンスタントにVenom名義でのニューアルバムもリリースし続けており、今年に入ってからも新作"From the Very Depths"を発表したばかり。ギターのMantasはと言えば、M:pire of Evilという自身のバンドを率いてわりとVenomに近い音を出し、ライブではVenomのナンバーも演奏していた。精力的に活動を続けていた二人と対照的だったのが、ドラムのAbaddon。2000年にソロアルバムをリリース後は、Skycladのツアーマネージメントなどを行っていたものの、表立った活躍は聞こえてこなかった。


 CronosとMantasがそれぞれ頑張っているとは言え、やっぱりVenomというのはオリジナルの3人でないとなあ、あの3人でリユニオンやってくれないのかなあ、と思うファンが世界中にいるのは確か。そしてもちろんそれをビジネスに結び付けたいプロモーターも世界中にいたに違いない。そりゃそうだ、オリジナルVenomが復活して、初期のナンバーを演奏するライブが実現するとなったらとんでもないことだ。どのくらい凄いかというと、そうだな、The Beatlesがオリジナルメンバーで復活、のスラッシュメタルバージョンだと思ってもらえば良いかな。そして実際水面下では、オリジナルVenom復活への駆け引きが行われていたようなのだ。MantasとCronosでの直談判もあったらしい。だが、残念ながら今回はCronosが首を縦に振らなかった。それ程までに、Cronosと他の二人の溝は深いのか。もう良い年なのだから、昔のことは水に流せば良いと思うのだけど。しかし、今回はそこで話は終わらなかった。Cronosが乗り気じゃないなら仕方がない、ということでMantasが引っ張りだしたのがDemolition Man。80年代後期、脱退したCronosの後任としてVenomに加入したベース・ヴォーカリスト。また最近ではMantasのM:pire of Evilにも参加している、いわばVenom第4のメンバーである。ということで、Mantas+Abaddon+Demolition Manという準オリジナルメンバーで結成されたのが、Venom Inc.なのだ。つまり現在はCronosのVenomと、Mantas・Abaddon・Demolition ManのVenom Inc.と、Venomが2つ存在しているということ。まあメタルの歴史も長くなってきた今、分裂の結果ほぼオリジナルのバンドが2つ存在するというのは、もはや珍しいことでも何でもないのだが。そして今回Venom Inc.の方が日本にもやってくるのだ!!

 でもなあ、やっぱりVenomはCronosじゃないとなあ、と思った人。その気持ちはわかるし、CronosのVenomも見たい。しかしVenom Inc.には、CronosのVenomに無い良さがあるのだ。まずはセットリスト。こちら(Venomコラム第3回)の記事を読んでもらえればわかる通り、Cronosの方はかなり後期楽曲へのこだわりが強いのか、いわゆる黄金期の曲はセットリストの半分程度。しかも"Welcome to Hell""Countess Bathory"など、明らかにVenomの代表曲と言える作品を平気でスルーしたりもする。一方Venom Inc.の今回のツアーは、Venomのクラシックを演奏するという明確なコンセプトが打ち出されており、セットリストの心配をする必要が皆無なのだ!最初の4枚のアルバム("Welcome to Hell", "Black Metal", "At War with Satan", "Possessed")、そして'Die Hard''Seven Gates of Hell'などのシングル曲に加え、"Prime Evil"からも少々という、完全にヒットメドレー的な内容が保証されているのである!1曲目は何をやるんだろうと想像するだけで興奮するではないか!


 それからもう一つ、CronosのVenomは、フロントがCronosとは言えギター・ドラムがオリジナルでないため、体感的なノリはかなり違う。特にAbaddonのドラムは他の人間には絶対に再現不可能なノリ(?)を持っている。となるとギター・ドラムがオリジナルメンバー、わりとCronosに声質が近いDemolition ManというVenom Inc.の方が、よりオリジナルVenomの再現度が高いと言えるのだ!

 このVenom Inc.、今回Venomのクラシックを演奏するツアーのためだけの一次的なプロジェクトではなく、Mantas、Abaddon、Demolition Manという3人による新バンド。ツアー後はアルバム制作も視野に入れているとのこと。これはつまりですよ、初期Venomのクラシックだけで構成されるライヴというのは今回限りという可能性が高いということではないでしょうか。これを見逃すって、メタルファンとしてあり得ないでしょう?そもそもメタルファンにとって、見に行かない理由が見当たりません。


廃盤
 さて、Venomのデビューアルバム"Welcome to Hell"から5枚目の問題作"Calm before the Storm"までについては、すでにこのコラムでも書いてきたので、今回はその次、"Prime Evil"について少々触れたいと思う。1989年にリリースされた"Prime Evil"は、おそらくその内容と評価の差という面で、Venom史上最も不幸なアルバムと言えるのではないか。もちろん本作が、"Welcome to Hell"や"Black Metal"に匹敵する作品だとは言わない。(その2作は殿堂入りしてしまっている、つまり当時の時代の空気なども含めて神格化されてしまっているので、今後Venomがどれほどの優れた作品を作ろうと、「これは"Black Metal"を超えてるぞ!」と言われることは決してないのだ。不条理だが仕方がない。)だがこれ、スラッシュメタルの作品、Venomの作品としては、悪くないどころか非常に優れている。では何故このアルバム、正当な評価を得られなかったのだろうか。それは"Prime Evil"が発売当時、3つの十字架を背負っていたからだ。


廃盤
 一つ目は前作"Calm before the Storm"という十字架。個人的には非常に素晴らしい作品だと思うのだが、「これじゃない感」満載なのは認めざるを得ない。美しいハモリまで出てきてしまうこの作品は、売れ線狙いという非難もあながち的外れではなく、Venom本人にもその意識はあったはず。しかしファンからすれば、「売れ線の作品聴きたければ、何もVenomチョイスしねえよ!!」という論理にしかならない。オリジナルギタリストのMantas不在というのもファンには悪印象であっただろう。"Calm before the Storm"ツアーは何と日本でしか行われず、このアルバムが商業的に惨敗であったことは想像に難くない。

 そして二つ目。"Calm before the Storm"が滑ったせいだろうか、Cronosは新加入のギタリスト2人を連れて、Venomを脱退してしまう。つまりVenomはドラムのAbaddon一人になってしまったのだ。そこでAbaddonはAtomkraftのDemolition Manを新たなベース・ヴォーカリストとして加入させ、さらには前作発売前にVenomを脱退していたMantasを呼び戻すことに成功する。これによりオリジナルVenomの3人中2人が揃ったことにはなるのだが、やはりヴォーカリストが変わるというのは、しかもCronosのようなアクの強いタイプの場合はなおさら、バンドにとって決して追い風にはならない出来事だ。Cronosがいないんじゃ、とアルバムを聴く前から新生Venomを拒否したファンはたくさんいたに違いない。


 三つ目にして最も重い十字架が、時代背景。"Prime Evil"がリリースされた1989年というのは、同じイギリスのEarache Recordsが猛威を振るっていた時代。今のように、ジャンルが確立されている中でどんな良いアルバムが出てくるのかな、という状況ではない。どんな新しい音楽が出てくるのか、エクストリームメタルはどんな進化をするのか、をファンが楽しみにしていた時代なのだ。89年には、Earache Recordsを見ただけでも、Morbid Angel"Altar of Madness"Terrorizer"World Downfall"Godflesh"Streetcleaner"Carcass"Symphonies of Sickness"Bolt Thrower"Realm of Chaos"がリリースされている。四半世紀後の今の目から見れば、これらは単に名盤というだけでなく、5枚すべてが多かれ少なかれエクストリームメタルの歴史を変えた画期的な作品であることがわかるだろう。この年には、毎月エクストリームメタルの限界が塗り変わっていくようなワクワク感があったのだ。こんな状況が、Venomに限らず既に「保守的」な印象すら持たれつつあったスラッシュメタルバンドにとって、プラスに働くはずがない。"Prime Evil"に限らず、この前年にあたる88年あたりから90年代初頭にリリースされたスラッシュメタルのアルバムは、デスメタル・グラインドコアの波に飲まれ、とても正しい評価を受けられる状況になかったのだ。Morbid Angelのデビューに度肝を抜かれながらも一方で、「うーん、Venomの新作も悪くない。」と器用に評価できた人間はそうそういなかったのではないか。仮に"Calm before the Storm"が滑らず、Cronosが脱退せず、さらにMantasも戻ってきてオリジナルVenomとして"Prime Evil"がリリースされていたと仮定しても、おそらくはその評価に大差はなかったのではないだろうか。

 このような三重苦という最悪の状況下でリリースされた"Prime Evil"ではあるが、これらの文脈から音楽そのものを切り取ってみると、これは間違いなく高品質な作品なのだ。非常にVenomらしいリフ満載である一方、タイトルトラックなどはマリンバ(?)やストリングスっぽい隠し味を入れるなど新しい一面も見せている。明らかに過去のVenomを上回る高速ナンバーも収録。"Teacher's Pet"の続編とも言える"Skool Daze"も素晴らしい。しかし何よりも驚きなのが、Abaddonのドラミング。Abaddon風味は存分に発揮しつつ、彼にしては非常に安定しているのだ。Black Sabbathのカバーは収録する必要あったのか甚だ疑問だが、アルバム全体の出来としては煮え切らない"Possessed"を十分上回るのではないだろうか。おそらくはスラッシュ史上最も偏見抜きで評価をするのが難しかったアルバム"Prime Evil"。そろそろ十字架を下して正当な判断を下される時だ。Venom Inc.のライヴでも、少なくともタイトルトラックは演奏されるはず。ぜひこれを機にチェックしてみて欲しい。


廃盤

 ちなみにDemolition Manヴォーカル体制でのVenomは、この後スタジオフルアルバムとしては"Temples of Ice""The Waste Lands"の2枚を残している。だがこの2枚については、個人的にいまだ印象が薄い。悪くない曲もあるものの、全体としてどうしても印象に残らない。もちろん単に私の修行が足りないだけかもしれない。もし今後、これらのアルバムの魅力に気づくことがあれば、新たな記事を書くことで懺悔としたい。

 とにかく何度も書いていることだが、Venomがいなければエクストリームメタルの歴史がまったく違ったものであったことに疑いの余地はない。スラッシュメタルはVenomから生まれ、デスメタルはそのスラッシュメタルから発展した。ブラックメタルに至っては、そのジャンル名すらVenomのアルバムタイトルに由来するほど。Venomを聴いて気に入らなければ、気に入るまで聴き続ければ良いだけのこと。ましてやVenomを聴いたことがないとしたら、確実に人生損をしている。今日にでも、少なくとも"Welcome to Hell""Black Metal"の2枚は入手しよう。そして、Venom Inc.公演に備えるのだ。それから好みは人それぞれとかつまらないこと言うのは止めにしよう。そんなしょうもない物を超越したもの、絶対知、イデアとも言うべきものがこの世には存在するのだ。それがエクストリームメタルの世界ではVenomなのである!

 では最後にDemolition ManMantasから、日本のファンにメッセージ。

Demolition Man
日本に行くのが待ちきれないよ!Abaddonは87年に"Calm Before the Storm"ツアーで日本に行った。MantasはMantas666とM:pire of Evilとして、2度日本を訪れている。そして俺もM:pire of Evilで2012年に日本に行った訳だが、今回ついに3人一緒にVenomとして日本に行くことができる。絶対にショウを見逃すなよ!これはベストなラインナップじゃないと思う人もいるかもしれないけど、ピュアで本物の伝説のスピリットを感じてもらえると思うよ。日本で会おう。We have returned!!!

Mantas
日本には2度行っているけど、俺にとってはもはや心の故郷だね。また日本に行けるなんて最高だし、本当に光栄なことだ。しかも今回はThe Demolition ManとAbaddonを連れてだ。日本で会おう!

公演詳細

【日程】2015年7月17日(金)
【タイトル】Venom Inc. Japan Tour OSAKA
【時間】開場18時半、開演19時半予定
【出演】Venom Inc.
【チケット】前売:7000円 当日:7500円 VIP:8500円
 ※別途ドリンク代が必要
【チケット購入】ぴあ http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=1529606

【日程】2015年7月18日(土)
【タイトル】Venom Inc. Japan Tour 2015 with SIGH
【時間】開場18時半、開演19時半予定
【出演】Venom Inc. SIGH
【チケット】前売:7000円 当日:7500円 VIP:8500円
 ※別途ドリンク代が必要
【チケット購入】ローソンチケット Lコード→75389
または ぴあ http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1522964


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