【インタビュー】 TSUYOSHI 『LOVE』

2014年8月13日 (水)

「リアルなR&Bとは何か?」その答えはTSUYOSHIそのものである。TSUYOSHIがひたむきにリアルなR&Bを追求し続ける稀代なアーティストである事は、TSUYOSHIのこれまでの作品を1度でも耳にすれば、それは直ぐに理解出来る。オーディエンスはおろか、アーティストやクリエイター達までも魅了してきたその絶世の歌声、麗しい佇まいで綴られる詞に込められた一語一語、そこには一途なR&B愛が育んだR&Bマナーを感じさせる。「とにかく良いモノを作る」という曲作りにおける妥協を一切しないスタンスで、『ALL ABOUT LOVE』『Song For Love』『BEAUTIFUL』という3枚の名盤をリリース、日本美を描写したリアルなR&Bを生み出し続けた。歌唱力しかり、立ち振る舞いしかり「世界に最も近いリアルなR&Bシンガー」という表現は決して大袈裟ではない。そんなTSUYOSHIが、1つのマスターピースを作り上げた。それがコレクション・アルバム『LOVE』である。アルバム・リリースに際してインタビューを行いました。是非ご覧下さい。
interview by 西崎信太郎 (Urban NEXT)




-- コレクション・アルバム『LOVE』のリリースおめでとうございます。デビューから現在に至るTSUYOSHIさんの魅力を凝縮した1つの節目の作品になったかと思いますが、この作品がリリースされた今の心境はいかがでしょうか?

TSUYOSHI 栄枯盛衰ある音楽業界ですけど、今回の『LOVE』のような、いわゆるベスト盤的な作品をリリース出来た事っていうのはとても有り難いことですね。今はアルバムを1枚リリースする事も本当に大変な事ですからね。

-- TSUYOSHIさんは2008年のデビュー以来、3枚のアルバムをリリースされましたね。デビューから現在に至るまで、ご自身のアーティスト活動を振り返ってみていかがですか?

TSUYOSHI まずはじめに、メジャー・デビューが出来たっていう事は大きかったと思います。アーティストとしての心構えが変わったというか、アーティストとして歌うことへの責任感を持てたと思います。メジャー・デビュー前は音楽を好き勝手やっていて、まぁ今でもそうなんですけど(笑)、よりバランスがとれるようになったと思います。個人的にこういうスタンスを持てたっていうのは嬉しいことですね。

-- やり続けることにこそ価値があると思っていますが、TSUYOSHIさんの場合は好きなことをやり続けるというスタンス。これが出来るアーティストは本当に稀だと思います。このスタンスこそTSUYOSHIさんの魅力の1つですね!今回のコレクション・アルバム『LOVE』ですが、この「LOVE」という言葉に込めた思いを教えて下さい。

TSUYOSHI これまでリリースさせて頂いたアルバムの、3枚中2枚のアルバム・タイトルに「LOVE」という言葉が入っていたりっていうこともあったのですが、なによりR&Bというジャンルは愛について歌われることが多いじゃないですか。R&Bの愛っていうのは恋愛や性愛っていう意味合いが強いと思うんですけどね。「愛」とか「LOVE」って言葉の存在感が凄く大きいじゃないですか。だから以前の自分だったら「LOVE」っていうネーミングは付けられないですよ、怖くて(笑)。でも今はこの言葉を背負えるかなって思いました。

-- 「LOVE」という言葉はR&Bを象徴する大きなキーワード、それがピタっとハマるのが流石です!誰が付けても良いっていう言葉ではない、TSUYOSHIさんならではの深みがあっての「LOVE」ですね!

TSUYOSHI 今後も「LOVE」っていう言葉に恥じないように頑張ります(笑)

-- 今回の『LOVE』で初お披露目となる新曲が2曲収録されていますね。”ノスタルジア”と”Arthur’s Theme (Best That You Can Do)”ですが、この2曲についてお伺いさせて下さい。

TSUYOSHI じゃあまず”ノスタルジア”からいきましょうか。2013年末にバンド形式でライブをやらせて頂いたのですが、その時のバンマス/キーボードがBU-NI(加藤ミリヤ、MS.OOJAらのライブ・キーボーディスト)だったんです。BU-NIとは以前から面識があって「一緒に曲が作れたら良いね」っていう話をしていたんですよ。それでBU-NIの家で色々と話し合って作ったのがこの”ノスタルジア”なんです。この曲は意図的に作りましたね。8ビートではなく「タン、タン、タン・タン、タン、タン」っていう3連符の曲なんです。例えば、黒人の方は8ビートよりも3連符の方がリズム的に解釈が強い人種らしいんですが、ボーイズUメンの”End Of The Load”もリズムは3連符ですね。ここ日本ではこのリズムで作られた曲は少ないですね、R&Bともなれば更に少ないです。この3連符のリズムに、分かりやすいメロディをのせたので、完成された曲を聴いて頂ければ、ジャンルを問わずに色々な方に受け入れられやすい曲になったんじゃないかなって思います。BU-NIのピアノのメロディだけですが、僕もBU-NIも、R&Bというカテゴライズから全くブレていない曲になりましたね。

-- このお話を聞いてから”ノスタルジア”を聞くと、また違った印象を受けますね。

TSUYOSHI 自分の家族へ気持ちを歌った曲ですが、詞の内容が良いって言われたのは嬉しかったですね。親がいて、子供がいて、誰にでもある郷愁の気持ちを綴りました。親への気持ちをテーマにした曲は今回が初めてなので、色々と考えましたね。沢山の人の心に響いてくれたら嬉しいです。この曲は、フジテレビ系列のテレビ番組「テラスハウス」に出演して話題を呼んだ今井洋介君に出演してもらってミュージック・ヴィデオも作らせて頂きました。是非ミュージック・ヴィデオも見て欲しいですね。

-- 本当に素晴らしいミュージック・ヴィデオでした!それでは初収録となるもう1曲の” Arthur's Theme (Best That You Can Do)”についてお伺いさせて下さい。この曲をカバー曲として選んだ理由は?

TSUYOSHI デビュー・アルバムにボビー・ウーマックのカバー曲を収録させて頂いたのですが、実はカバー曲のリリースってその1曲だけなんです。ライブでは色々なカバー曲を歌わせて頂いているんですけど。タイミング的に今が良いかなって思い、今回1曲カバー曲を収録させて頂きました。実は、前々から個人的にはこの”Arthur's Theme (Best That You Can Do)”をカバーしたいなって思っていたのですが、ほぼ同時期の同時刻くらいにスタッフからも「カバー曲はこれが良いんじゃない?」って提案されたのがこの” Arthur's Theme (Best That You Can Do)”だったんです。「じゃあこれで決定」ってすぐ決まりました(笑)。この曲はグラミー受賞曲なので、知らない人はいないくらい有名な曲だと思うんですけど、意外とカバーされていないんですよ。それなら尚更カバーしちゃおうっていう感じで。僕あまのじゃくなんです(笑)。

-- スタッフの方と意見が一致したって言うのは面白い偶然ですね!

TSUYOSHI 面白いですよね、レゲエ大好きな方なのに(笑)。

-- 初収録となったこの2曲は是非沢山の方に聴いて頂きたいですね!今回の『LOVE』に収録された曲は、もちろんどの曲に対しても強い思いがある曲ばかりだとは思いますが、その中でも特に思い入れのある曲があれば是非エピソードなど聞かせて下さい。

TSUYOSHI 難しいですね(笑)。因に、西崎さん的にはどの曲がそれにあたりますか?

-- そうですね、僕がTSUYOSHIさんのライブを初めて拝見して衝撃的だった曲は”Ooooh”ですね!

TSUYOSHI あの曲はもうトラックが凄いですよね!

-- あとは”Love You Better”。でも、繰り返しよく聴かせて頂く曲は”雨音”かもしれないです!

TSUYOSHI “雨音”を好きって言ってくれるファンの方は多いですね。特に女性ファンの方が多い印象ですね。切ない雰囲気が女性にうけるのかもしれないですね。老若男女ではなく、老若女ですね(笑)。どの曲に対して思い入れが強いっていうより、思い入れはどの曲にももちろんあります。もちろん全て自分の曲なんですけど、リリースした後には聴いてもらえる先があり、その聴いてくれる人達の捉え方の曲になるのかなって思います。これは「俺の曲だぜ!」っていう感じではなく、聴いて下さる方々の思いが入り、その人達の曲になっていくじゃないですか。本当に良い意味でどの曲も好きなので、どの曲にも色々なトピックがありますよ。個人的に何を言われても抜け目のないエピソードがありますよ(笑)。

-- では色々なエピソードが気になった方は、是非TSUYOSHIさんのLIVEの時など、TSUYOSHIさんと直接コミュニケーションが取れる環境で直接お伺いして頂いて(笑)。

TSUYOSHI そうですね、すべてお答えさせて頂きます(笑)

-- そして、何やら豪華なライブも控えているとのことですね!

TSUYOSHI そうですね、今回の『LOVE』をリリースさせていただくにあたり、全国各地をLIVEで回れたらいいねっていう話し合いをしていて、それで色々なアイディア出しながら考えているうちに、1つの形になりました。「Organic Sound Live Tour」というツアー名で、東京、大阪、名古屋にてライブをさせていただきます。”ノスタルジア”に出演して下さった今井洋介君やAZU、BRIDGETのシンガー草川瞬君らも一緒なので、是非会場まで足を運んで頂けたら嬉しいですね。

-- 詳細はTSUYOSHIさんのウェブサイトやブログをチェックしてみて下さい!改めましてコレクション・アルバム『LOVE』のリリース、本当におめでとうございます!最後にHMV ONLINEをご覧の皆様へメッセージをお願い致します!

TSUYOSHI 12のLOVEが詰まったコレクションアルバム、是非聴いてみて下さい!



TSUYOSHI 『LOVE』
 [2014年07月23日 発売]

2008年のデビュー以来、シングル1枚、ミニアルバム 1枚、アルバム 3枚をリリース。 その楽曲群の中からシングル曲、リード曲をメインにコレクト。さらに、オリジナル&カバー 2曲の新曲を加えたコレクション・アルバム。



収録曲

  • 01. ノスタルジア
  • 02. Arthur's Theme (Best That You Can Do) 邦題「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」
  • 03. 優しい涙
  • 04. Progress
  • 05. Love You Better
  • 06. Ooooh
  • 07. Beautiful
  • 08. For Real
  • 09. 雨音
  • 10. Always
  • 11. Love Song 〜ヒカリアビテ〜
  • 12. 心の熱


【TSUYOSHI  プロフィール】


TSUYOSHI
大学在学中に音楽活動を開始、地元である名古屋市内のライヴハウスを中心に活動後、東京に活動拠点を移し、麻布十番にあった伝説的なスタジオ「Flash Light Studio」で、デビュー前のAI、SOUL’d OUTらと共に、デモ制作に励む。その後、イベントで交流を深めたBENNIE K、SOUL’d OUT、2BACKKAの作品にゲスト参加。
2008年5月シングル「優しい涙」でメジャーデビュー。リード楽曲である「優しい涙」が、“iTunes Store”にてNe-Yo、Usherらと並び、R&B/ソウルカテゴリー最高3位にチャートイン。さらに2008年10月、新曲5曲にデビューシングル「優しい涙」のリミックスを加えた計6曲からなるミニアルバム『For Real』をリリース。前作同様、“iTunes Store”R&B/ソウルカテゴリーにてミニアルバム収録の先行配信曲「Ooooh」が「優しい涙」の3位を上回る2位にチャートイン。
2009年夏には男性R&Bシンガーのみのビッグ・パーティー、”SUGAR SHACK FAMILY”の一員としてJAY’ED、LEOらと”Perfect Man”をレコーディング、スマッシュヒット。その後、コンピレーションアルバム『SUGAR SHACK FACTRY』に参加。その他、2010年12月リリースCrystal Kayオリジナルアルバム『Spin The Music』収録M4「君がいれば」を楽曲提供。
そして、2011年3月には待望の1st Full Album『ALL ABOUT LOVE』、同年12月には2nd Album『Song For Love』をリリース。収録楽曲「Progress」は、テレビ朝日系“ビートだけしのTVタックル”エンディングテーマ、またUSENインディーズ総合チャート1位となる。2013年9月25日には3rd Album『Beautiful』リリースし、初のフルバンドでのライヴ開催、定期的に開催するアコースティック・ライヴ・イベント「Unplugged VOX」もスタートさせる。
実力派ヴォーカリスト・プロデューサーとして注目を集める中、R&Bシーンを影で支える西崎信太郎氏による全面プロデュース作品として、地元名古屋ZIP-FMのレーベル「ZIP NEXT」から初のコレクション・アルバム『LOVE』を2014年7月23日にリリース。

[関連リンク]
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