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ロリン・マゼールさん死去

2014年7月14日 (月)


 ロリン・マゼールさん死去

マゼールさんが7月13日、アメリカのヴァージニア州キャッスルトンにある自宅で、肺炎とその合併症のため亡くなられました。昨年春にはミュンヘン・フィルとの日本公演を精力的におこなっていたマゼールさんですが、ここ数ヶ月は体調が思わしくなかったようで、ボストン交響楽団との日本公演や、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)での来日もキャンセル、ミュンヘン・フィルの首席指揮者も辞任するなど健康状態が心配されていた矢先のことでした。心よりご冥福をお祈りいたします。

 長大なキャリアと膨大な録音

マゼールのプロ指揮者としてのキャリアは60年を超えており、膨大な数のレコーディングも遺しています。今後は、DG、DECCA、PHILIPS、EMI、SONY、RCA、EURODISCなど有名音源については、ボックス化が進むものと思われますし、ライヴ録音や映像などについても復活・再編や発掘をぜひ期待したいところです。

 1930年代

1930年3月6日、パリ近郊で、ユダヤ系でロシア系の父と、ハンガリー系でロシア系の母の間に誕生し、ほどなくアメリカに移住。ピッツバーグで育ったマゼールは、幼少期から音楽的才能を示し、4歳でピアノ、5歳でヴァイオリン、7歳で指揮を学び、8歳でアイダホの大学のオーケストラを相手にシューベルトの『未完成』で指揮者デビュー。翌年にはニューヨークの世界博覧会に出演してオーケストラを指揮、天才少年指揮者として大きな話題となりました。

 1940年代

10歳のときにNBC交響楽団の夏期公演でも指揮、続いてニューヨーク・フィルも指揮して注目を集めます。
 しかしマゼールはその間も学業は継続、ピッツバーグ大学に在籍して哲学や語学など学ぶ一方で、バカレイニコフに就いて指揮とヴァイオリンの研鑽を積み、ピッツバーグ交響楽団でもヴァイオリン奏者として演奏、さらにアート弦楽四重奏団も結成するなどして活躍、1949年にはピッツバーグ交響楽団副指揮者となっています。

 1950年代

1952年にイタリアに留学してバッハなどバロック音楽を勉強、帰国後はボストンのバークシャー音楽センターでさらに指揮を学び、1953年にはイタリアでも指揮者デビューして成功を収め、それがきっかけとなってヨーロッパ各地のオーケストラに客演を重ね、次第に知名度を高めて行きます。

レコーディングなど
マゼールのレコーディング・デビューは、1957年、DGへのベルリオーズ『ロメオとジュリエット』抜粋ほかを収めたアルバムで、ベルリン・フィルとの録音でした。このデビュー盤はモノラルでしたが、当時のレコード業界は本格的にステレオ録音を導入しはじめた時期だったこともあり、マゼールはこの時期、主にベルリン・フィルを指揮して数多くのステレオ録音を残すこととなります。
 その他の録音では、シュトゥットガルト放送響とのバルトークのオケコン&ベト2、コリオラン(1958 LIVE)も聴くことが出来ます。

 1960年代

1960年、マゼールは史上最年少でバイロイト・デビューを果たし、1963年にはザルツブルク音楽祭にも出演したほか、ベルリン・ドイツ・オペラ日本公演ではベームらと共に来日、『トリスタンとイゾルデ』の日本初演をおこなった後、東京交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団を指揮しています。
 そうした成功を受けて、1964年には、亡くなったフリッチャイの後を継いでベルリン放送交響楽団の首席指揮者となり、翌1965年には、ホルライザーの後任としてベルリン・ドイツ・オペラの音楽監督に就任しています。

レコーディングなど
シャープな芸風だった若きマゼールは、当時破竹の勢いだったカラヤンの対抗勢力として大いに注目を集め、DG、EMIに続いてDECCAへの録音も開始、ウィーン・フィルを指揮したシベリウスとチャイコフスキーの交響曲全集など多くのレコーディングに取り組みます。
 一方で、PHILIPSには、手兵となったベルリン放送交響楽団との録音をおこない、バロックから近代に至る幅広いレパートリーを取り上げるなど、若手指揮者としては異例の活躍ぶりを見せていました。
 ほかにも、コンサート・ホール・レーベルへのブルックナー3番やマーラー4番など、面白いアルバムが多数制作されていました。
 その他の録音では、フェニーチェ座管とのマーラー大地の歌(1960 LIVE)などがあります。

 1970年代

1970年から72年にかけて、高齢のクレンペラーを補佐する役割でニュー・フィルハーモニア管弦楽団の準指揮者を務め、1972年にはジョージ・セル亡き後のクリーヴランド管弦楽団に音楽監督として登場。1976年にはフランス国立管弦楽団の客演指揮者も兼任していました。

レコーディングなど
それまでのDECCAやEMIに加え、SONYとTELARCへのレコーディングも新たに開始、前者ではマルチ系、後者ではワンポイント系のマイク・セッティングによる録音という、性格の違いのはっきりしたサウンド・ポリシーにも対応して見事な演奏を聴かせています。
 また、オイロディスク・レーベルでレコーディングした、アンナ・モッフォとの『カルメン』や、コーガンとのメンデルスゾーンも記憶に残る素晴らしい内容でした。
 オペラ映画『ドン・ジョヴァンニ』もこの時期の代表作といえるものです。
 その他の録音では、ベルリン放送響とのハイドン94番とベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番も聴くことが出来ます。

 1980年代

1982年にはウィーン国立歌劇場の音楽総監督に就任。しかし、政治家とのトラブルのため、1984年には辞任してしまいます。
 同年、故郷にあるピッツバーグ交響楽団の音楽顧問に就任したマゼールは、1988年には同楽団の音楽監督となり、1996年まで務めあげています。

レコーディングなど
この時期のマゼールは、久々にベルリン・フィルとの録音をおこなうようになり、DGとEMIへの一連の録音のほか、TELARCでも『ニーベルングの指環』編曲集(1987 )を録音していました。SONYではピッツバーグ響といくつものアルバムを制作し、DECCAではミラノ・スカラ座での『アイーダ』を録音するなど華々しい活躍を見せていました、
 オペラ映画『カルメン』も素晴らしい内容です。
 その他の録音では、ウィーン国立歌劇場での『ファルスタッフ』も聴くことが出来ます。

 1990年代

1993年にバイエルン放送響の首席指揮者に就任。着任当初はピッツバーグ交響楽団の首席指揮者も兼ねていましたが、1996年からはこのバイエルンとの活動に専念し、細部まで凝った解釈と多彩なレパートリーでオーケストラの表現の可能性を拡大。2002年まで充実した演奏活動を展開していました。

レコーディングなど
RCAとの録音を開始。バイエルン放送響やウィーン・フィルと多くのアルバムを制作しています。SONYではスカラ座での『西部の娘』など収録。
 その他の録音では、バイエルン放送交響楽団とのブルックナー交響曲全集(1999 LIVE)も聴くことが出来ます。

 2000年代

2002年には、ニューヨーク・フィルの音楽監督に就任、2004年には、イタリアのパルマに本拠を置くアルトゥーロ・トスカニーニ・フィル(トスカニーニ響とも)の音楽監督も兼務し、さらに各地のオーケストラへの客演も継続される多忙な中、自作のオペラ『1984』をロンドンのロイヤル・オペラで初演するなど、その活動ぶりには実にエネルギッシュなものがありました。ちなみにニューヨーク・フィルの音楽監督は2009年まで務めています。

レコーディングなど
映像では、ベルリン・フィルとの交響組曲『ニーベルングの指環』(2000 LIVE)、スカラ座での『椿姫』(2007)、フェニーチェ座での『椿姫』(2004)、マゼール&ニューヨーク・フィル・イン平壌(2008)、フェニーチェ座ニューイヤー・コンサート(2004)、ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート(2005)、トスカニーニ響とのヴェルディ:レクィエム(2007)などがあります。
 その他の録音では、バイエルン放送交響楽団とのシューベルト交響曲全集(2001 LIVE)

 2010年代

2010年の大晦日、東京文化会館でベートーヴェンの全交響曲を指揮するというスタミナで驚かせました。2012年には82歳の高齢でミュンヘン・フィルの首席指揮者となり、2013年には日本も含むワールド・ツアーを展開。しかし、2014年の春には体調が悪化し、7月13日、ヴァージニア州キャッスルトンの自宅で亡くなります。84歳でした。

レコーディングなど
フィルハーモニア管とのマーラー第1・2・3番(2011 SIGNUM)フィルハーモニア管とのマーラー第4・5・6番(2011 SIGNUM)ミュンヘン・フィルとのブルックナー交響曲第3番(2012 SONY)など。
 映像では、ウィーン・フィル、シェーンブルン夏の夜のコンサート(2013)、バレンシアでのファリャ『はかない人生』(2010)など。(HMV)

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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