TANKARD インタビュー！

2014年7月9日 (水)

L to R : Gerre(Vocals), Olaf Zissel(Drums), Andy Gutjahr(Guitars), Frank Thorwarth(Bass)

TANKARD PV

『R.I.B.』

＜ “タンカード”最新インタビュー！＞

スラッシュ・メタルとビールに賭けた人生が、ここにある。ジャーマン・スラッシュ・メタル四天王のひとつに挙げられる強豪、タンカードがニュー・アルバム『R.I.B.』を完成させた。結成から32年、16作目のスタジオ・アルバムとなる本作だが、パワーで押しまくるスラッシュ・メタル攻撃は不変。ジョッキを飲み干して首を振りまくるにはピッタリのサウンドを引っ提げて、ヴォーカリストのアンドレアス・“ゲッレ”・ゲレミアが語ってくれた。

--- 『R.I.B.』では『ケミカル・インヴェイジョン』(1987)の名キャラ“クレイジー・プロフェッサー”が再登場していますが、彼の復活について教えて下さい。: ゲッレ（以下、G） :今回、かなり初期段階から『R.I.B.』というタイトルがあったんだ。“R.I.P.＝安らかに眠れ”という墓碑銘のパロディで、Rest In Beerの意味だよ。墓から蘇ったプロフェッサーはみんなに無料でビールを振る舞うんだけど、そのビールは汚染されている…というのが「R.I.B」のストーリーなんだ。何故、27年の月日を経て今、彼が生き返ったのか？それは判らない。俺たちは物語の語り部に過ぎないんだ。
--- アルバムの方向性について、どんなアプローチを考えていましたか？: N :事前に「こういうアルバムを作ろう」と話し合うことはないんだ。集まって、その場の勢いでリフを書いていく。タンカードのサウンドはいつだって、スラッシュ・メタルと楽しさを共存させるものだ。『R.I.B.』は、ここ数枚のアルバムでは最もストレートなものだと思う。曲は短く、5分以上の曲は2曲しかない。「ウォー・クライ」「エネミー・オブ・オーダー」「クロックワイズ・トゥ・デッドライン」がそうだけど、3分台でパン！パン！パン！と突っ走るんだ。その一方で、「ホープ・キャン・ダイ」はシリアスな曲だ。この曲では、2年前に亡くなった友人について歌っている。32年のキャリアを経て、楽しいことだけではなく、辛いことや悲しいこともあった。それを歌っているんだ。
--- アルバムのプロデューサー、マイケル・マインクスとの作業はどんなものでしたか？: N :マイケルとは、『VOL(L)UME 14』(2010)と『ア・ガール・コールド・セルヴェサ』(2012)で作業してきたけど、お互いを深く知るごとに、音楽の質が上がってきたんだ。今から思うと、『VOL(L)UME 14』での音楽性の変化はドラスティックなもので、オールド・ファンを困惑させた気がする。でも、それからマイケルと一緒にやることで、『R.I.B.』では従来のタンカードらしさとさまざまな新しい要素のバランスを取ることが出来たと思う。ヘヴィだけどナチュラルなサウンドを捕らえているよ。
--- 「ザ・パーティー・エイント・オーヴァー」では「ビール飲みは俺たちの任務、死んでも華麗に飲み続ける」と宣言していますが、これからもビールについて歌い続けるのでしょうか？: N :ビールが俺たちの人生であり続ける限り、ビールについて歌い続けるよ。タンカードのビール飲みというイメージは、まだ俺たちが十代の頃に作ったものだった。それからずっとビールについて歌ってきたんで、『ツー・フェイスト』(1994)の頃に一時、そういうイメージを払拭しようとしたけど、それは自分自身を偽っていると気付いたんだ。ビールについて歌わないなんて、俺たちじゃないだろ？ビール・ソングのネタが尽きるなんて考えられないし、次のアルバムにも、その次のアルバムにも、ビールの歌が入っているだろう。
--- 昨年6月1日、ドイツの『ビースティヴァル』フェスティバルで“ジャーマン・スラッシュ・メタル四天王”勢揃いが実現したそうですが、そのことについて教えて下さい。: N :そう、クリエイター、ソドム、デストラクション、タンカードの“ザ・テュートニックBIG 4”が史上初めてひとつのステージに立ったんだ（テュートン族＝ドイツに住んでいた部族）。彼らとはそれぞれ一緒にライヴをやったことがあるけど、4バンドが一堂に会するのは初めてだったし、すごくエキサイティングな経験だった。彼らとは長い付き合いで、みんなスラッシュ・メタルをプレイしている。4バンドの中ではクリエイターが最も世界的な成功を収めているけど、どのバンドとも友達だよ。『ビースティヴァル』では四天王のうち、タンカードが最初にプレイしたんだ。俺たちが演奏しているあいだは晴天だったけど、ラストの「（エンプティ）タンカード」を終えた瞬間に大雨が降り出したのを覚えている。でも最高の1日だった。またいつか、“テュートニックBIG 4”で集まってライヴをやりたいね。日本に根性のあるプロモーターはいないかな？
--- ところで日本人は気分によって飲みにいく店を変えたり、ハシゴ酒をしますが、イギリス人は気に入ったパブが定まると一生同じパブで同じ酒を飲む傾向があります。ドイツ人の場合はどうなのでしょうか？: N :両方だ。お気に入りの場所でも飲むし、どこでも飲むよ！ただ俺たちの地元フランクフルトには1軒しかヘヴィ・メタル・パブがないんだ。他に選択肢がないのさ。『スピーク・イージー』というパブで、この町のメタル・キッズの聖地だ。俺たちもツアーに出ていないときは飲みに行って、たまにDJをやったりする。アンヴィルやオーヴァーキルみたいな、古き良きメタルをかけるよ。
--- 世界をツアーして、行く先々で“利きビール”をしたりしますか？: N :もちろんだ。俺たちがツアーをする目的の半分は、世界各国のビールを飲みにいくことだ。興味深いことに、世界の多くの言語で、ビールは“ビール”なんだ。ビアだったりビエールだったり、少しずつ異なっているけどね。ただ、スペイン語ではビールのことを“セルヴェサ”というんだ。初めて聞いたとき、キュートな女の子の名前みたいだと思った。それで前作のタイトルを『ア・ガール・コールド・セルヴェサ』にしたんだ。ジャケットの彼女はあまりキュートじゃないけどな（苦笑）。
--- ぜひ日本にもビールを飲みに来て下さい！: N :俺たちは全員がバンド以外の仕事を持っているし、長期のツアーをするのは難しいんだ。でも、それをプラスに捉えている。生活のために妥協する必要がないし、自分たちの理想とする音楽をやり続けることが出来るからね。ジャパン・ツアーが決定したら、仕事を放り出してでも日本に行くよ！