【HMVインタビュー】パスピエ『幕の内ISM』 -前編-

2014年6月11日 (水)

ここ最近のライブ、そしてシングル『MATATABISTEP / あの青と青と青』～アルバム『幕の内ISM』という作品を聴くと、パスピエというバンドがまた一段と成長し、進化している事を強烈に感じる。その成長の裏側にあるものとはいったい何なのか。前作アルバム『演出家出演』より約1年ぶりに対面ロングインタビューを実施。今回もパスピエのメンバー5人勢ぞろい。前編・後編に分けてお届けします。まずは前編、ライブの事を中心にお話を伺いました。

--- 先日「印象C」のライブをみさせてもらったんですけど、ますますかっこよくなりましたよね？

一同： ありがとうございます。

--- それは、お客さんのノリ・反応をみても明らかだと思うんですけど、そういう手ごたえはバンドとしても感じているんじゃないですか？

成田： 昨年ライブを意識して作ったアルバム『演出家出演』をリリースして以降、ライブの動員も増えたり、お客さんのノリも以前とは変わってきたなっていうのが、手応えとしてはあります。「印象C」は今作リリース前の最後の自分たちの企画という事もあったので、1年間自分たちが積み重ねてきたことがあのライブに表れたかなと。

--- 1年間積み重ねてきた事っていうのは、主にライブで試したりしてきたことですか？

成田： そうですね。この1年はなによりもライブでの試行錯誤に重きを置いていたので。

--- 1年前のインタビューでは、「最近、露崎さんがライブで動くようになった。」って言ってたと思うんですけど、この間のライブを見る限り「動くようになった」どころではないですよね？露崎さん自身、ライブに対する意識って変わってきた部分があるんですか？

露崎： まずライブでのメンバーの立ち居地を見直した事で、僕の動けるスペースが広がったっていうのがあります。あと、他のバンドを観る中で、フィジカル的、視覚的に見せるキャラクターの強さっていう要素がプレイヤーにとってすごく大事だという事を実感して。バンドの中で、そういう部分も担っていければというのは思いますね。

--- そういう役割を意識した上で始めた動きだったのかも知れないですけど、ライブであれだけ激しく動くと、“気持ちいい”っていう部分もあったりしません？

露崎： そうですね（笑）それありきじゃないとやっぱり伝わるものも伝わらないと思うので。

--- やおさんはいかがですか？ライブに関して。

やお： 「印象C」では先輩バンド（クラムボン、髭、9mm Parabellum Bullet…）を迎えて、刺激を受けながら自分達もできたことが良かったっていう風には思いますね。あと、ドラムセット自体が一段高い位置に配置されるようになって、お客さんから見られてるっていう意識は高くなっていると思います。

三澤： 僕は、ライブに関してはひとつひとつ実験していったっていう感じですね。「こうやったら盛り上がるんじゃないか？」っていうのを繰り返す中で「これいいんだ！」っていう発見をしていく。例えば、露崎と「二人で前に出よう」とか「クロスしてみよう」とか。自分たちの中では、そういう楽しみも出来たりして。

--- 大胡田さんは、ライブでは最も目立つポジションだと思いますが。

大胡田： 最初は、全てを意識しないと出来ないくらいだったんですけど、最近は無意識でいろんなことが出来るようになって、それを楽しめるようになりましたね。それに、お客さんの反応が、自分の次のアクションに繋がるような、やりとりが出来るようになったかなと思います。無意識で出来る事が増えた分、周りが見えるというか。だからいろんな事が見渡せるようになってきました。

--- 大胡田さんも、歌い方・歌唱でも新しいことにチャレンジしていたりしますよね？シングル曲「あの青と青と青」のビブラートっぽい感じとかは、まさにそうだと思うのですが。

大胡田： バンドの音に、歌詞も歌も影響されるようになったんです。「あの青と青と青」は今まで書いてなかったテーマに自分なりに挑戦したりしたんですよね。“自然”っていう自分にとって未知過ぎるものをテーマに歌詞を書いて、バンドの音に乗せてそれを歌うときに、ちょっと今までの歌い方じゃないなって思ったんですよ。もっと人間の生きてる部分を出すというか。もっと内側から出る声を出そうかなって思ったんです。

--- 変化をすると言うことに対して躊躇とかはないですか？バンドが培ったイメージみたいなものもあるだろうし、リスナーの期待みたいなものもある。そういう事を考えるとある意味怖い部分もあるというか。

成田： パスピエって、顔を出していない事もあってか、自分たちが思っている以上に知的に捉えられていたり、ライブバンドというよりは、音源でみせていくバンドだと思われがちなところもあったので、むしろそういったイメージを払拭するというか。そのためにも、「パスピエはこんなこともやる」っていうのを示していった感じなんですよ。そこに対して悩んだり躊躇したりっていう事は無くて、逆にライブがしやすい環境にはなっていったかなと思います。

--- そもそも、今回の変化は意識的なものですか？

やお： 僕らは音楽性、ライブに関して、その時の5人にとってベストだと思える事をチョイスしてるんです。成田が言う「方向性を示す」っていうのも今の自分たちのベスト。そこに向かうことに躊躇は無く、自然と行ってる感じですね。これからもこのスタンスは変わらないと思いますけど。

--- なるほど、では今回の作品に関して、こういうコンセプトで～みたいな話とかはされたんですか？

成田： 前作『演出家出演』に関しては、盤一枚でライブ感を伝えなきゃいけないっていうことを思って制作したんですけど。今作に関しては、タイトルも『幕の内ISM』っていうくらい、いろんなものが入ってるっていうアルバムなので、盤一枚通してというよりも、曲ごとに「こうしよう」「あーしよう」って詰めていった感じですね。
僕自身としては、去年の『演出家出演』を出し終えて、次どういう作品を作っていこうかなって思った時に、自分の中で「民族性」っていう事にすごくピンとくるものがあったんです。自分は洋楽邦楽問わず何でも聴いたりするんですけど、その中で、その土地独特の雰囲気だったり、その地域の人が好む音階であったり、っていうのが如実に表れているものが多いかなと思って。今の僕らの世代のバンドでも、四つ打ちなんだけど和メロを取り入れていたりする人たちが多いと思っていて。そんな事もあって全体的には、意識的に“和”を想起させるメロディーだったり、展開も古き良き感じとかが伝わるようなイメージをもって作っていきました。

--- ジャケットも“和”でもあり“中国”っぽい印象も感じさせますよね。成田さんが言う“民族性”とも繋がるような。

大胡田： アートワークを作り始めるのって、曲が全部揃って、タイトルも決まって、曲も並べてからなんですね。今回タイトルを『幕の内ISM』にしたので、バラエティー感があるものを書きたいと思っていて。話に出た“民族性”にも繋がるオリエンタルなものになりました。モチーフは曼荼羅なんですけど… 曼荼羅にバラエティー感って失礼すぎますね（笑）

--- 収録曲「アジアン」の中で -ずっと探していた答えは「たぶんアジア」- と歌っているけど、それはどういった意図でしょうか？

大胡田： 私はもともと、アートワークにしろ歌詞にしろ、日本が好きで。しかもちょっと古い日本が好きなんですね。自分は日本人だし、結局何をやっても「アジア」なのだろうみたいなニュアンスですかね。歌詞の中で「遺伝子」っていう言葉も出てきますけど、日本の、アジアの遺伝子を持っているという感じでしょうか。

「後編」は、ニューアルバム『幕の内ISM』に関して掘り下げます！
6月17日UPしました！

　パスピエ　『幕の内ISM』[2014年06月18日]

パスピエならではのニューウェイブ・ポップをベースに、様々なジャンルの音楽を独自に咀嚼した楽曲とロックバンドの域には収まらないポップネス、各地夏フェスやイベント、全国ツアーで格段に鍛え抜かれた演奏力と他の追随を許さないレベルにまで達したアレンジ。そしてVo大胡田なつきが紡ぎだす唯一無二の世界観。それらが三位一体となった全12曲が収録された本作は、既に名盤と呼び名も高い前作「演出家出演」を始めとしたこれまでの諸作品を軽く凌駕する、パスピエの通過点にして到達点。パスピエ史上、最高傑作の2ndフルアルバム。

☆★ HMV特典「大胡田N謹製　ジオラマパーツ(ローソンHMV Ver.)」★☆

パスピエ幕の内ISM 大胡田N謹製　ジオラマパーツローソンHMV Ver. 特典

6/18発売のパスピエ『幕の内ISM』ローソンHMVオリジナル特典が決定！
パスピエ『幕の内ISM』(初回限定盤/通常盤)をお買上げのお客様に、購入特典として先着で“大胡田Ｎ謹製　ジオラマパーツ”をプレゼントいたします！
初回限定盤特殊パッケージと連動した厚紙のパーツです。
この特典だけのために描き下ろしたキャラクターが登場しており、アルバムの世界観をより一層引き立てます。
特典は無くなり次第終了となりますので、お早めにご予約ください！

▼ 初回限定盤と「大胡田Ｎ謹製　ジオラマパーツ(ローソンHMV Ver.)」を組み立てるとこんな感じ！
パスピエ幕の内ISM 大胡田N謹製　ジオラマパーツローソンHMV Ver. 特典

【HMV ONLINE オリジナル特典】応募抽選で『パスピエ直筆サイン入りポスター』を5名様にプレゼント

パスピエ『幕の内ISM』(WPZL30860 | WPCL11854）を期間中に購入されたお客様の中から抽選で5名様に『パスピエ直筆サイン入りポスター』をプレゼント！

購入対象期間　（～2014/7/2 ※予約の方も対象となります)
応募対象期間　（ 2014/6/17～2014/7/9)
(当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます)
※応募方法:対象商品出荷後に、メールで応募フォームのURLをお知らせ致します。
※HMV本サイト及びHMVモバイルサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります。
※商品出荷のタイミングによっては応募対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。

『幕の内ISM』収録楽曲

【DISC1】CD　幕の内盤

01. YES/NO
02. トーキョーシティー・アンダーグラウンド
03. 七色の少年
04. あの青と青と青
05. ノルマンディー
06. 世紀末ガール
07. とおりゃんせ
08. MATATABISTEP
09. アジアン
10. 誰?
11. わすれもの
12. 瞑想

【DISC2】DVD　幕の外盤 ※初回限定盤特典
パスピエ TOUR 2013 "印象・日の出外伝"at AKASAKA BLITZ (2013.12.21)

01. OPENING　～S.S
02. デモクラシークレット
03. トロイメライ
04. 名前のない鳥
05. とおりゃんせ
06. フィーバー

パスピエプロフィール

21 世紀流超高性能個人電脳破壊行歌曲

2009年に成田ハネダを中心に結成。
卓越した音楽理論やポップセンスと、ボーカルの大胡田なつきによるMusic Clip やアートワークが話題に。2011年11 月に発売した「わたし開花したわ」、2012年6月に発売した「ONOMIMONO」がロング・セールスを記録する中、2013年3月に1stシングル「フィーバー」を、続く6月には1stフルアルバム「演出家出演」をリリース。
2013年10月より初のワンマン・ツアー「パスピエ TOUR 2013 “印象・日の出”」、追加公演「“印象・日の出“外伝」を行い、最終公演で赤坂BLITZのワンマンライブを開催。大盛況のうちに終了となった。

【メンバー】
成田ハネダ(key)
大胡田なつき(vo)
三澤勝洸(gtr)
露崎義邦(bs)
やおたくや(ds)

パスピエオフィシャルサイト