マックス・カヴァレラインタビュー！

2014年5月16日 (金)

KBK : Greg Puciato (Vo/Gt) , Max Cavalera (Vo/Gt) , Troy Sanders (Vo/Ba) , Dave Elitch (Dr)

＜マックス・カヴァレラ / インタビュー＞

ヘヴィ・ロックを代表する4バンドのメンバー達が集結、新たなるメタルの潮流を生み出す。マックス・カヴァレラ（セパルトゥラ〜ソウルフライ）、グレッグ・プチアート（ディリンジャー・エスケイプ・プラン）、トロイ・サンダース（マストドン）、デイヴ・エリッチ（元マーズ・ヴォルタ）が結成したキラー・ビー・キルドによるデビュー・アルバム『キラー・ビー・キルド』は、2014年の音楽シーンを揺るがす、ヘヴィネスの鮮烈な一撃だ。新バンドでの活動について、マックスが語ってくれた。

--- キラー・ビー・キルドの音楽性は、どのように築かれていったのですか？: マックス・カヴァレラ（以下、M） :俺とグレッグが2009年11月、デフトーンズのチ・チェンの治療費を捻出するベネフィット・コンサートで意気投合したところから、キラー・ビー・キルドは始まったんだ。まず2人でジャムをして、ラフなデモを録ったんだ。『ケイオスA.D.』(1993)で使ったのと同じドラム・マシンと4トラック・レコーダーを使ったよ。当初はネイルボムみたいなスラッシーでハードコアなバンドをイメージしていたんだ。でもトロイ、そしてデイヴが加わるごとに、彼らのテイストが流れ込んできて、まったく異なったサウンドになった。俺自身、予期しなかった音楽性になったよ。
--- 『キラー・ビー・キルド』の音楽性を言葉で表現するとしたら、どんなものになるでしょうか？: N :ヘヴィで速く、メロディがあるメタルだ。このバンドには3人ヴォーカリストがいる。トロイはマストドンでメロディアスな歌声を聞かせているし、グレッグもトレント・レズナーやマイク・パットンのような声質をしていて、メロディも歌えるんだ。ただ、彼らの狂犬病に罹ったケダモノみたいな叫び声もたっぷり聴ける。「ファイア・トゥ・ユア・フラッグ」はその代表例だし、「I.E.D.」や「ファイア・トゥ・ユア・フラッグ」でのトロイのヴォーカルは、ほとんどモーターヘッドのレミーのようだ。そんな彼らとの作業が楽しくて、次から次へとリフが浮かんだ。リフ・マシーンだったよ。
--- メロディ重視のアプローチは、あなた自身の志向したものでもありましたか？: N :うん、アルバムの90%は俺が書いたものだけど、彼らのメロディを生かして、その可能性をさらに掘り下げることを念頭に書いていたんだ。それに、俺の音楽スタイルにおいても、メロディは常に重要な位置を占めてきたんだ。セパルトゥラの「マス・ヒプノシス」（ビニース・ザ・リメインズ　1989）のソロや「カイオワス」のアコースティック・プレイも俺のメロディアス・サイドを表現しているし、ソウルフライの各アルバムに入っているインストゥルメンタル「ソウルフライ」も幽玄な,メロディアスな曲だ。このアルバムのメロディを聴いて驚いたファンは、メンバー達の他のアルバムを聴き直してみるといい。きっとグッド・メロディの数々に、改めて気付くだろう。ただ、俺たちがキラー・ビー・キルドとしての音楽性をすべてコントロールしていたわけではない。幾つもの偶発的なハプニングがあって、それがスリルを生み出したこともある。その代表例が「フォービドゥン・ファイア」だろう。この曲は俺とトロイの2人で書いたけど、ジャムをやっていて、彼が突然サウンドガーデンみたいなベース・リフを弾き出したんだ。それに俺がメロディアスなギター・リフを乗せていって、数時間後には完成してしまった。この歌詞は、メタルを聴くことが禁じられている中東の若者たちを題材にしている。彼らは罰されることを覚悟して、メタルを聴いているんだ。そんな彼らの勇気を歌った曲で、アルバムのラストに相応しいと思う。
--- “スーパーグループ”の常として、メンバーそれぞれが多忙なため、なかなかライヴを出来ないという悩みがありますが、キラー・ビー・キルドとしてのツアーは実現しそうでしょうか？: N :スケジュール調整は、いつだって頭が痛いんだ。カヴァレラ・コンスピラシーの3枚目のアルバムでもネイト・ニュートン（コンヴァージ、ドゥームライダーズなど）がベースを弾いているから、彼を加えてツアーするには、全員の予定を空けておく必要がある。キラー・ビー・キルドの4人もそれぞれが多忙だし、俺も年内はソウルフライでのツアーが入っているから、2014年にキラー・ビー・キルドとしてツアーをやるのは難しいと思う。ただ、2015年には全員のスケジュールを調整して、キラー・ビー・キルドとして世界をツアーすることになるだろう。そのときは、日本でもプレイするよ。まだ気が早いけど、俺自身はキラー・ビー・キルドを長期的なバンドにしたいと考えている。1枚だけで終わらせるにはもったいないだろ？
--- ところでキラー・ビー・キルドというバンド名は、どこから考えついたのでしょうか？: N :幾つか候補があったんだ。ネガティヴ・ファックス、99スカルプス…そんな中に、キルというものがあった。残念ながら既にキルというバンドがいたんで、トロイが「キル・オア・ビー・キルド（殺るか殺られるか）はどう？」と言ってきた。それに対して俺が冗談で「だったらキラー・ビー・キルド（殺る者が殺られる）は？」と言ったら、みんなが面白いと言ってくれて、それがバンド名になったんだ。だから半分ジョークなのさ。でも残りの半分はシリアスだ。キラー・ビー・キルドは、“殺し”のある音楽をプレイするんだ。