HMVインタビュー: ティム・デラックス
2014年2月26日 (水)
-- 前作のアルバムから3年、この3年間はどんな風に過ごしてきましたか?
ピアノが弾けるようになるために、ピアノを習っていたよ。ピアノを習う傍ら、「Transformation」のEPをリリースしたり、リミックスを何曲かやったりね。それから徐々にアルバムのアイデアが浮かんできた。アルバムは完成するまで1年くらいかかった。だからここ1年はアルバムを作っていた。それから、たくさんランニング(*)をしていたよ!
(*)今年東京マラソンへの2回目の出場を果たし、自己ベストとなる3時間7分10秒で見事に完走!
-- 結構前から曲は作り込んでいたのですか?
ちょうど1年くらい前にスタートしたんだ。
-- なにかアルバムを作るきっかけとなったことはありましたか?
いや、ピアノの練習やレッスンからアイデアが湧いてきたからきっかけというのは特にないかな。「Transformation」を作り終えた時、制作が楽しかったと感じられたし、他のDJからも曲に対するポジティブな反応をもらっていた。だから自分の活動や、自分が向かおうと思っていた方向性に自信が持てたんだ。そこでアイデアを書きとめていって、アルバムに発展させようと思った。それを、BEATINKに相談したんだ。BEATINKのスタッフもそれに賛成してくれて、アルバムをリリースすることになった。本当は今年の初めにリリースされる予定だったんだけどね。レーベル・スタッフは辛抱強く待ってくれたよ。
-- ご自身も様々な楽器を演奏されていますが、ピアノのレッスンを受け始めたきっかけを教えて下さい。
クラブ、DJ、ダンス・ミュージックといったものに飽きてきてしまってね。音楽に対する愛情が冷めてきてしまったような感覚だった。これは良くない、と思って自分が再びインスピレーションを感じられるものは何かと考えていた。こういう場合、他人や外部に頼ってもしょうがない、インスピレーションは自分が作り出すものだ。自分で自分をインスパイアしなければいけない。そこで、自分に問いかけた「音楽で以前からやってみたいこととは何だろう?」と。それはピアノだった。ピアノを習って、ちゃんと弾けるようになりたかった。そこで、近所でピアノの先生を見つけて会いに行った。最初は相談だけだったけど、その結果、ピアノを始めることになった。今でも、毎週水曜日の2時に行っているよ。
-- 素敵ですね。では、ピアノも購入して自宅で練習して…という感じでしょうか?
そうだよ。でも、練習が足りないと思う。(笑)波があるね。最初、ピアノを買ったときは一日10時間くらい練習していた。あまり上手くは弾けなかったけどね。今はもう少し上手く弾けるようになったけど、10時間も練習しなくなった。アルバム制作中は、ピアノをスタジオに移したんだけど、家にピアノがなくて寂しい。だから、東京から戻ったら、その問題を解決しなくちゃ。(笑)
-- ピアノが2台必要かもしれませんね。
そうなんだよ。スタジオで練習すること自体はいいんだけど、たまに家にいて、気が向いたときにピアノを30分でもいいから触って練習する。そういう短い時間も大切だと思う。今はそれができないから何とかしないとね。
-- 今回は色々なアーティストが参加していますね。レコーディングはどのように進められましたか?
レコーディングは実は友人のスタジオで行われた。僕のスタジオは小さすぎるから、友人のフレイジャー・T・スミスのスタジオに行った。彼は素晴らしいスタジオを持っていて、彼が以前一緒に仕事をしたことのある、ビアトレス・オートラというエンジニアと一緒にレコーディングした。ビアトレスはクールで腕の良いエンジニアで、フレイジャーと今まで何度も一緒に仕事をしていた。フレイジャー自身も優秀なプロデューサーとして成功を収めている。フレイジャーの提案で、彼のスタジオでレコーディングすることにして、ビアトレスも手伝ってくれた。彼女がレコーディング・エンジニアをやってくれて本当に良かったよ。僕は通常レコーディング・エンジニアもやるけど、今回はそのプレッシャーがなくなったからね。レコーディング・エンジニア兼プロデューサー兼ミュージシャンだと大変だから。だから僕にとっては作業がより楽になった。フレイジャーは24トラックの古いテープ・マシーンを持っていたから、音源をデジタル化する前にそれを使って全て録音した。テープやマイクなどを使った、とてもアナログなやり方だった。正しいやり方だと思っている。とてもクールだった。レコーディングが終わった後は、家に持ち帰るファイルが本当に沢山あった。エディットしたり、手を加えたりするファイルが膨大にあって結構大変な作業だったよ。良いテイクが沢山あったから、どれを採用するか決めるのが難しかったよ。
-- メンバーとは、どんな雰囲気でした?
良い雰囲気だったけど、少し張り詰めた感じもあった。これは僕のちょっとしたミスだと今では思うけど、ミュージシャン全員を同時に集めたんだ。曲によっては、参加していないメンバーもいるから、そういう人は待つことになる。レコーディングを進めるやり方としてはベストではなかったかもしれないね。でも、全員が参加する曲が何曲かあって、そこでは全員に一斉にバンドとして演奏してもらいたかった。結果的に時間がなくて、その曲を演奏するのはできなかったんだけどね。とにかくセッションの最初の1、2回は少し緊張した雰囲気だった。もちろん、皆プロフェッショナルでクールでしっかり仕事をしてくれたよ。でも、場の雰囲気としては、みんなバリバリ仕事をこなす感じで緊迫していた。とても素晴らしい雰囲気だったと思うよ。それに、全員に同じ時に来てもらったおかげで、みんな自分のベストを出すように頑張ってくれた。他のミュージシャンがその場で聴いていることが無意識に働いて、みんなとても上手く演奏してくれた。プレイをミスしてしまうようなミュージシャンや、プレイがあまり上手くないミュージシャンとは誰も思われたくないからね。皆なるべく上手くプレイするように頑張っていたよ。それは結果として良かったと思う。
-- 意識はしていなくても、競争心のようなプロ意識のようなものが出てきたのでしょうね。
その通り。みんな、優秀なミュージシャンだ。しかも、僕のことをよく知っているわけではないから、僕が求めているものが最初は何かよく分からなかったと思う。でも、ミュージシャンたちの演奏には本当に満足している。ミュージシャンたちと一緒に過ごした時間もとても楽しかった。ベンに聞いたところでは、ああいう大人数でのセッションは最近あまりないらしい。オールドスクールなプロダクションらしいよ。でも、皆からでるバイブスも良く、全体の雰囲気もとても良かったよ。
-- 今回タイトルに『The Radicle』と名付けた理由は?
「Radicle(幼根)」とは、種から最初に生える根のこと。このアルバムが、僕にとっての最初の根(=ルーツ)だと思うから。ピアノを始めて、音楽の理論について色々勉強し始めた僕にとって今は長い旅路の第一段階だという気がする。次の段階で僕はアーティスト・プロデューサーになるだろう。また、今回のアルバムは、シンセサイザーが主に使われているようなエレクトロニックなサウンドにしないように意識した。オーガニックでルーツを感じられるような作品にしたかった。制作中、僕が聴いていた音楽は全てオーガニックでルーツを感じられるような音楽ばかりだった。それが理由だね。アルバムのタイトルとして迷っていたのが、「Radicle」にするか、僕が昔働いていたレコードショップの住所にするか、どちらかだった。レコードショップの住所にしても、(自分のルーツに帰るという意味においては)同じ意味が込められているから。
-- 今作に込められたメッセージ等あれば教えて下さい。
曲の一つ一つにメッセージが込められている。それは意識したことだ。結構ディープなメッセージも込められていて、自分の内側に向けて考えるべきことがテーマになっている。哲学的でスピリチャルなものだ。でも、メッセージはポジティブなものにしようと意識して、一人一人がそれについて考えられるテーマになっている。空っぽな内容にはしたくなかった。真面目すぎる感じにもしたくなかったけど、音楽を聴いていて、それについてよく考えられるものにしたかった。または、音楽を聴いて、そのメッセージに共感してくれたらよいと思う。以前は、そういうメッセージが自分の音楽にあった場合もあった。でも、それは意図したことではなかった。偶然の産物としてそういうメッセージができた。メッセージが全くない音楽の場合もある。だが、今回ははっきりと意識をして、音楽にメッセージを持たせようとした。
-- リード・トラックでもある「Captain, Captain」のフレーズCaptain, Captain When Payday Comesはフィールド・レコーディングと聞きましたがどんな状況でレコーディングされたか記憶にありますか?
どこでレコーディングされたかは知らない。多分、アメリカの南部だと思う。とても古いものだというのは知っているけど、僕はフィールド・レコーディングに関してあまり詳しくないんだ。
-- 今回のアートワークはクラシカルな感じが素敵ですね。前作はTom Scholefield(*)というデザイナーが担当していたと思いますが、今回は誰に依頼したのですか?
(*) Hudson MohawkeやRustieのアートワークを手がけている人物
今回は僕がアートワークをやったよ。自分でアートワークをやろうと思ったのは、「Transformation」の時から。「Transformation」の売り上げは、東日本大震災の津波の被害者にいくという企画だったから、和紙を買ってその写真をアップで撮った。今回のアルバムに関しては、オールドスクールでクラシックな感じのアートワークにしたかった。それを知人に話したら、ソール・バス(*)のフォントをチェックしてみたら、と教えてくれた。だから、文字もヒッチコック風な感じがするだろ?アートワークを手掛けるのも楽しいね。
(*)映画のタイトル・デザインで広く知られ、映画界にタイトル・デザインの分野を確立した人物ともいわれる。ヒッチコックのタイトルを手掛けたことでも有名。
-- 前回のアートワークは日本とのリンクを意識したと聞いていますが今回のアルバムJKは何を意識されましたか?
音楽と合う感じにしたかったから、クラシックな見た目で、フォントの見た目も少し古くさい感じ。ソール・バスがデザインした映画のポスターを見ているような雰囲気。僕は、そういうフォントが大好きだから、ヒッチコック風のフォントで今回のアルバムに合うものを見つけて使った。僕のロゴはもう使いたくないと思っていた。今後も使わないと思う。僕はもう、あのイメージから離れてしまっている。アルバムの音楽に合うようなジャケットにしたかった。アルバムの音楽には、様々なカラーが入っているから、ジャケットもカラフルにした。色が混ざり合ったり、形が重なったりしているのもクールだと思う。色や形でアルバムの性質を表そうとしたんだよ。
-- 今回のWOMBではどんなプレイを披露する予定ですか?
今回はDJパフォーマンスだけだから、アルバムの雰囲気をDJで表現するつもりだよ。新作もプレイするけど、昔の曲も沢山かけるよ!
-- 今後の予定などがありましたら教えて下さい。
まずは日本でアルバムをリリースする。最終的な目的としてはバンドを結集させて日本にバンドを連れて戻ってきたいね。そうなるように願っているよ。 それから、スタジオに戻って作曲を続ける。今は、ベースを担当してくれたベン・ヘイゼルトンと一緒に音楽を作っていて、シンガーのキャロラインと3人で一緒にプロジェクトを進めているところなんだ。
-- 日本のファンへ一言お願いします。
また日本に行ける事を楽しみにしています。日本に行くのはいつもエキサイティングだから本当に楽しみだよ!東京と大阪でショーをやるから、遊びに来てね!それから新しいアルバムをチェックしてみて!いつも応援をありがとう!
Tim Deluxe『Radicle』 [2014年03月05日 発売]
収録曲
- 01. JAS
- 02. FEELINGS
- 03. CAPTAIN, CAPTAIN
- 04. LOVE IS
- 05. UNSUNG HERO
- 06. DAH DANCE
- 07. SO WHAT!
- 08. TRYIN' FIND A WAY
- 09. SHANTI
- 10. SPIRALS PT 1+2 (Bonus Track for Japan)
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