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SION 「不揃いのステップ」 公開ライナーノーツ 前編

2014年2月19日 (水)

SION


SION 「不揃いのステップ」 公開ライナーノーツ 前編

 仕事に追われ、もう十数年、聴いていなかったSIONの歌を、ふとしたことをきっかけにまた聴きたいと思ったとき、彼はまだ歌いつづけていた。若い頃からアルコールとタバコで鍛えたと思しきしゃがれ声はさらにしゃがれ、なんだか凄味を増していたけれど、歌が持つ力は衰えるどころか、キャリアを重ね、さらに胸を打つものになっていた。
 それが無性にうれしかった。
 お陰で、SION熱をぶりかえしてしまった。一旦出ると、SION熱はやっかいだ。それから毎年、日比谷野外大音楽堂で開催されるワンマン・ライヴ「SION‐YAON」に通い、いい歳してみっともないと思いながら目を潤ませている。
ホントにSIONの歌はやっかいだ。
 SION。現在53歳のシンガー・ソングライター。10代の頃から歌いはじめ、すでに40年近い年月が経とうとしている。デビューは85年に自主リリースした『新宿の片隅で』。「街は今日も雨さ」他、そこに収められた4曲からは19歳で、生まれ故郷の山口県下関から上京してきてから、彼が新宿の片隅でギリギリと歯ぎしりしながらどんな想いで歌いつづけてきたかが窺えた。
翌86年には自らの名前をタイトルに冠したファースト・アルバムをメジャー・レーベルからリリース。因みにSIONという名前はアマチュア時代、名前を尋ねられ、口から出まかせに名乗ったものだという。以来、ルースターズやラウンジ・リザーズのメンバーら、さまざまなミュージシャンと共演しながら、ほぼ毎年、アルバムをリリースしつづけ、日々の暮らしの中で感じる喜怒哀楽さまざまな思いや風景を歌ってきた。これまでリリースしてきたアルバムは、『Naked Tracks』と題した宅録アルバムのシリーズも含め、30枚を超える。
 若い頃は、ずいぶん無茶もやったらしい。数々の武勇伝がまことしやかに伝えられている。そんなキャラクターも含め、多くの人から愛されてきた。
 彼を「兄さん」と慕い、自ら演じる坂本龍馬を斬ってほしいと頼んだ福山雅治をはじめ、同業者や芸能界にもファンは多い。『私立探偵 濱マイク』や前述した『龍馬伝』など、映画やテレビドラマから声がかかり、時折、俳優として演技を披露することもある。デビュー25周年を記念する『燦燦と』にカップリングされた「お祝い盤」と名づけられたトリビュート盤には盟友とも言える花田裕之(ルースターズ他)や現在のバンド・メンバーでもある藤井一彦(グルーヴァーズ)に加え、BRAHMANやKen Yokoyamaも参加。彼らがSIONからの影響を語ることで、一緒に歳を重ねてきたファンに加え、若者がSIONの歌を聴き、ライヴに足を運ぶようになった。
そして、「これが最後のアルバムかもしれない」「また始められる」という想いを繰り返しながらアルバムを作り続けてきたそのSIONがまた1枚、新しいアルバムを完成させた――。
 前作『Kind Of Mind』から1年7ヶ月ぶりにリリースした新作のタイトルは『不揃いのステップ』。ソングライティングの成熟が包容力と、あれこれと想像を膨らませずにいられない深読みを誘うストーリーテリングに表れた歌の数々という意味では、近年のアルバムの延長上にある作品と言えるだろう。今回もまた、人生の機微や真理をワンフレーズで物語る歌の数々にファンの多くが心を揺さぶられ、ケツを蹴っ飛ばされるにちがいない。
たとえば、どんなにしんどい状況でも〈今を行くだけだ〉と歌う「後ろに歩くように俺はできていない」。たとえば、理想と現実の狭間で迷いながらもそんな自分を愛おしむ「不揃いのステップ」。たとえば、〈投げ出さず生きている それだけで勝ちさ〉と歌う「胸を張れ」。たとえば、〈お前の本気を見せてやれよ〉と叱咤する「泡沫の世を飛ぶ」。
それらは自分に向けたものなのか、リスナーに向けたものなのか。若い頃は自らの生き様を言葉に紡いでいたSIONのソングライティングはいつしか――たぶん僕が彼の歌から離れている間に自分とともに歩いている人達に対する眼差しも感じられるようになっていた。
 SIONらしいと言えば、SIONらしい作品だ。しかし、『不揃いのステップ』からは振り絞るように曲を作ったという『Kind Of Mind』よりも腹にぐっと込めた力が感じられる。もちろん、だからと言って、声高に叫んでいるわけでも、激しい感情を剥き出しにしているわけでもない。オープニングを飾るブルース調の「ウイスキーを1杯」以下、SIONの歌も、「俺には世界一のバンド」と全幅の信頼を寄せるTHE MOGAMI(最上!)、The Cat Scratch Combo(猫ひっかき楽団!)の演奏もブルース、フォルクローレ、アンビエント、ピアノ・バラード、ロカビリーといった多彩なサウンドを奏でながら、どちらかと言えば、若干押さえ気味に思えるくらいだ。
 では、なぜ? 格差社会なんて言葉をマスコミが弄ぶこんな時代を精一杯生きている人達に無骨な手を差し伸べるような歌が多いからか。それとも「お前を信じてる」や「路肩の花」、ラヴソングにも聴こえる「長い間」など、ともに歩いてきた仲間に対する想いを歌ったと思える歌があるからか。今回のSIONはこれまで以上に誰かのために歌っているようにも感じられる。
 聞けば、SION自身も今回は、アルバムの出来に特に手応えを感じているという。それならば、その手応えや新作に込めた想いを、ぜひ本人の口から聞いてみたいところだが、人一倍照れ屋の彼のこと。「そこは聴き手の取り方しだいで」と笑うような気がしている。

ライター:山口智男

ライブ情報

2014年4月8日(火)名古屋クラブクアトロ
2014年4月9日(水)umedaAKASO
2014年4月13日(日)新宿LOFT

「SION-YAON 2014 with THE MOGAMI」
2014年8月16日(土)日比谷野外大音楽堂
SION / TEICHIKU ENTERTAINMENT
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

初回限定盤DVD付

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