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【特集】 クリスマス・ジャズ 2013

2013年11月7日 (木)


クリスマス・ジャズ・ディスクガイド 2013年版


 2013年もいよいよ第4コーナー。
今年も来るかなと思っていたら、やっぱり来ましたクリスマス・シーズン。歓喜・慶祝、平和祈念、焦燥・畏怖にふてくされ・・・様々な人間模様がマッシュアップされる1年で最も人間くさい季節のみぎり。それでも今宵は福徳円満。ジャズで暖&幸をとりましょう。

 気になる最新リリース・アイテムから曾孫の代まで聴き継がれていくであろう超定盤まで、クリスマスにまつわるジャズ・アルバムを集めてみました。  



2013年最新リリース


E.W.&F.とのデュエット曲も収録☆マリオ流のポップでソウルフルなクリスマス集

Mario Christmas Mario Biondi 『Mario Christmas』
イタリアが誇るソウルフル・シンガー、マリオ・ビオンディ、ワールドワイド・デビューとなった『Sun』に続く最新作は、キャリア初のクリスマス・アルバム。オリジナル曲(「Dreaming Land」、「My Christmas」)や、「White Christmas」、「Let It Snow」といったスタンダード曲のほか、クリス・レア「Driving Home For Christmas」、ワム! 「Last Christmas」といったポップなクリスマス・チューンもマリオ流の洗練されたアレンジでお届け。ボーナストラックとして、本家EW&Fとデュエットした「After The Love Has Gone」を収録。




この冬もっともラヴリーな一枚になりそう

Jing, Jing-a-Ling Clare Teal
『Jing, Jing-a-Ling』

ノラ・ジョーンズ、コリーヌ・ベイリーレイ系統のジャジーSSW作品『Paradisi Carousel』で大ブレイクを果たした、英ヨークシャー出身の女性シンガー、クレア・ティール。真骨頂でもあるスウィング・スタイルとスウィートなフォーキー・テイストを併せ持つ彼女のクリスマス・アルバムということで、エラ、ペギー・リーら先人たちの古きよき聖夜作品を彷彿とさせる。ジャケットも含めて、この冬もっともラヴリーな一枚になりそう。




結成25年目にして登場する初の聖夜盤

Let It Snow New York Voices
『Let It Snow』

ダーモン・ミーダー、ピーター・エルドリッジ、ローレン・キーナン、キム・ナザリアン。昨年結成25周年を迎えたベテラン・コーラス・グループ、ニューヨーク・ヴォイセス。世界的名門WDRビッグ・バンド・ケルンとの共演盤『Live With The Wdr Big Band Cologne』も話題を呼んだ彼らの初のクリスマス・アルバム。ミーダー曰く「2005年から録音する機会を伺っていた」というまさしく満を持しての一枚。アカペラ楽曲はもちろんこと、ドン・セベスキー、ホルヘ・カランドレッリ、ミッシェル・ウィアーらが手掛けたオーケストラ・アレンジでホリデイ・スタンダードの数々がフレッシュに甦る。



聖夜スタンダードを鮮やかにジャズ・アレンジ

Season's Greeting Kenny Drew
『Season's Greeting』 (original.1989)

ケニー・ドリュー没後20周年特別企画・限定紙ジャケ復刻。「ミスター・スタンダード」の異名をとったピアニスト、ケニー・ドリューが、ニールス・ペデルセン(b)、エド・シグペン / アルヴィン・クイーン(ds)とのトリオ、またはソロピアノにて1988〜89年に吹き込んだクリスマス・アルバム。オリジナルの「クワイエット・カテドラル」ほか、「ブルー・クリスマス」、「ホワイト・クリスマス」、「ジングル・ベル」などクリスマスの大スタンダードを鮮やかなジャズにアレンジした一枚。


ヘレン・メリルの歌伴で知られる実力派

Wonderland Ted Rosenthal
『Wonderland』

ヘレン・メリルが最も信頼を寄せるピアニストとしても知られるテッド・ローゼンタール。そんな歌伴名手がトリオで吹き込んだクリスマス・アルバムだけに、ロマンティックで心温まる内容になっていることは容易に想像できるかもしれない。また名作『So In Love』、『Threeplay』同様、スウィンギーでリリカル、さらに緊密なインタープレイも聴きもの。バックは、ロマンティック・ジャズ・トリオのティム・ホーナー(ds)に、ニューヨークを拠点に活躍する日本人女性ベーシスト、植田典子。



今年の人気No.1 ジャズクリ・コンピ

Beautiful Jazz Christmas 〜Standard Songs〜 Various
『Beautiful Jazz Christmas 〜Standard Songs〜』

ダイアナ・クラール、ジェイミー・ポールなど新世代のヴォーカリストたちによるクリスマス・ソングから、ビング・クロスビー最大のクリスマス・ヒット「ホワイト・クリスマス」、エラ・フィッツジェラルド「サンタが町にやってくる」、メル・トーメ「クリスマス・ソング」など往年の大ヒット・クリスマス・ソングまでを収録した決定盤コンピ。アントニオ・カルロス・ジョビン、ジュリー・ロンドン、カート・エリング、レデシーらの”痒いところに手が届いた”佳曲の収録も嬉しい限り。


全曲新録のシンプルでJazzyなサウンドを

T5jazz Records Presents: Jazzy Christmas / Peaceful Various
『T5jazz Records Presents: Jazzy Christmas / Peaceful』

T5Jazz Recordsが贈る「素敵なオトナたちが素敵なクリスマスの夜を過ごすため」のジャズ・アルバム。最高のサウンド、極めてシンプルな編成の演奏による誰もが知るクリスマス・スタンダードの数々は、メロディとハーモニーの良さをストレートに味わえる仕上がりに。アクアピットの金子雄太と小沼ようすけや、What Is HIP?(岡沢章、渡嘉敷祐一、野力奏一、松木恒秀)との共演で知られる女性シンガー、高田みち子など、日本が誇る名手達による全曲新録のシンプルでJazzyなサウンドと、流行に惑わされない名曲たちと共に素敵なクリスマスをお過ごしください。







モダンジャズ


明るく柔らかなタッチで奏でられるクリスマス・ソングの数々

マイ・ピアノ・クリスマス Beegie Adair 『マイ・ピアノ・クリスマス』 (2011)
ここ日本でもすっかりおなじみとなった、古き良き時代のアメリカを今に伝えるベテラン女流ピアニスト、ビージー・アデールのクリスマス・アルバム。カラフルなオーケストラやトリオによって明るく柔らかなタッチで奏でられるクリスマス・ソングの数々が、幸せな気分を運んでくる。衒いのない、包み込むようなピアノの調べがとても温かい。ボーナストラックには、J-POP史に残る山下達郎のクリスマス名曲「クリスマス・イヴ」カヴァーを収録。




クリスマス・ピアノ・ジャズ永遠の定番

Charlie Brown Christmas Vince Guaraldi Trio
『Charlie Brown Christmas』 (1965)

リリカル且つファンキーな西海岸ピアニスト、ヴィンス・ガラルディが、モンティ・バドウィッグ(b)、コーリン・ベイリー(ds)とのトリオで吹き込んだ、クリスマス・ピアノ・ジャズ永遠の定番にしてピアノトリオの大名盤。元々は、1965年にアメリカCBS-TVで放映された「スヌーピーのメリークリスマス」のサウンドトラックとして制作されたもの。あらゆるジャズ・ミュージシャンがカバーする名曲「Christmas Time Is Here」の原曲も収録。本作には、オリジナルLP未収録曲(『チャーリー・ブラウンの休日』収録の「Great Pumpkin Waltz」、「Thanksgiving Theme」のモノラル版)を追加。また輸入盤には、スヌーピーの犬小屋とピーナッツの仲間達が組み立てられるキットを収蔵。


これぞ巨匠! 祝祭ムードは極めて高い!!

Noel! Noel!! Noel!!! Michel Legrand
『Noel! Noel!! Noel!!!』
(2011)

ミシェル・ルグランの「これぞ巨匠!」と唸らずにはいられない、絢爛豪華な聖夜盤。レコーディングには、16人編成のビッグ・バンドと34名のオーケストラが参加と、祝祭ムードは極めて高い。世界中で歌い継がれてきたクリスマス・ソングの数々は、流麗なストリングスと緻密なアレンジと、どこを切っても安心二重丸のルグラン印。歌唱陣には、マデリン・ペルー、カーラ・ブルーニ、ジェイミー・カラム、ルーファス・ウェインライト、そしてイギー・ポップまでもが参加。彼らが一堂に会する書き下ろし新曲「Noel D'espoir」がスペシャル!




Christmas With My Friends V Nils Landgren 『Christmas With My Friends V』
(2012)

ニルス・ラングレン、恒例のクリスマス・アルバムの第3弾。2011年12月19、20日、地元ストックホルムでのライヴを録音したもの。ドラムレスのトリオにサックスとニルスのトロンボーンとヴォーカル、そして、ジェシカ・ピルナス、イダ・サンドなどの独ACTを代表する女性ヴォーカリストが出演。お馴染みのクリスマス・ソングに加え、ジョン・レノン「イマジン」、ジョニ・ミッチェル「リヴァー」、スティーヴィー・ワンダー「想い出のクリスマス」なども収録。


Christmas Songs 1 & 2 Eddie Higgins 『Christmas Songs 1 & 2』
(2005/2008)

2005、2008年にそれぞれリリースされた、エディ・ヒギンス・トリオのクリスマス・アルバムをカップリング。ヒギンスはスタンダード・ソングの達人であり、名曲のもつ魅力を引き出し、優雅でジェントルにスイングさせたら右に出るものはいない。ヒギンスのピアノ・スタイル、それはジャズ・スタンダードでもミュージカルの歌曲でも、そしてクリスマス・ソングでも不変だ。



Oscar Peterson's Christmas Oscar Peterson 『Oscar Peterson's Christmas』
(1995)

高音質サウンドでおなじみのTelarcからリリースされたオスカー・ピーターソンのクリスマス・アルバム(カナダ・トロント録音)。巨匠といえども聖夜は童心にかえってウキウキ、といった様相。おなじみのクリスマス・ソングを、シンプルながらスインギー&リッチに聴かせてくれる。実は、1993年に脳梗塞で倒れてからの復帰作ということで、ことのほか心が躍ったことも推知できる。



What A Wonderful Christmas Louis Armstrong 『What A Wonderful Christmas』
(1997)

サッチモ・クリスマス盤にも色々あるが、入門編ということではこちらがお手軽か。「20th Century Masters -The Christmas Collection」からのベストで、ベニー・カーター楽団で歌った「Christmas in New Orleans」、ゴードン・ジェンキンス楽団で歌った「White Christmas」など、サッチモのクリスマス関連有名曲を概ねまとめて聴けるウレシイ一枚。




Chirstmas Album Herb Alpert 『Chirstmas Album』
(1968)

ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスならではのアメリアッチ・サウンドで踊ろう。バカラック作の「The Bell That Couldn't Jingle」、アルパートのヴォーカルがムーディに響く「The Christmas Song」、アカペラ・コーラスから一転ノリノリのジャズ・サンバになだれ込む「Jingle Bells」など、今も昔も楽しいクリスマス・ムードを盛り上げるには欠かせない一枚。営業DJsにもオススメ(ていうかもはや鉄板)!




Silent Nights Chet Baker 『Silent Nights』
(1986)

チェット晩年のクリスマス・アルバムは、 ”闇を抱えていた”時期とは好対照の明るいムードが漂う一枚。気心知れるクリストファー・メイソン(as)の呼びかけで、ニューオリンズのスタジオで ”ゆるり” と録られた作品だそうだが、どの曲もチェットにとっては初吹き込みとなる曲ばかり。ゆえに、そのあたりの新鮮さが顕著に出ている。つまり演者が楽しそうに立ち回っている様が手に取るように伝わってくる、と。唄はナシ。すべてトランペット一本で臨んだ潔さにヴーヴ・クリコで乾杯だ。



Christmas Album Till Bronner 『Christmas Album』
(2007)

トランペットはジャズの花形。しかも欧州仕込みの洒脱さにこのルックスがあれば、クリスマスはまさに ”稼ぎどき” 。クリス・ボッティと双璧を成す現代トランペッターの最高峰、ティル・ブレナーのクリスマス・アルバム。そのボッティほか、フランク・マッコム、ニューヨーク・ヴォイセス、イヴォンヌ・カッターフェルド、ベルリン・ドイツ交響楽団など豪華なゲスト陣を従えて、唄あり、ビッグバンドあり、オーケストラあり、様々なスタイルにて甘すぎず渋すぎずの演奏をキメる。独米グッド・ルッキン・ラッパ男子対決と相成った「Notes On Snow」を是非。



Joy To The World Pink Martini 『Joy To The World』
(2010)

リーダー兼ピアニストのトーマス ローダーデール率いるユニークなビッグバンド、ピンク・マルティーニのホリデー・アルバム。「White Christmas:PartU」は、由紀さおりが日本語で歌い上げたヴァージョンで、翌2011年のコラボレーション・アルバム『1969』制作のきっかけともなった、本作のハイライトのひとつ。スウィング・ジャズを基本に、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、中国語を駆使しながら、ドゥーワップ、アラビック、ハワイアン、カリビアン、タンゴ、オペラなどを披露する極めて多国籍な内容が、全米を中心に話題を呼んだ。


Piano Trio Christmas L.A. Jazz Trio 『Piano Trio Christmas』
(2011)

ミニスカ・サンタのあんよにも釘付け必至。マンハッタン・トランスファーのシェリル・ベンティーン作品にもたびたび参加しているピアニスト、コリー・アレン率いるL.A.ジャズ・トリオによるクリスマス・アルバム。2008年のデビュー盤『明るい表通りで(Only The Sunny Side Of The Street)』でおなじみのスタンダードを軽妙洒脱、実に親しみやすくアレンジしていたトリオだけに、こうした聖夜曲の調理もお手のもの。ピアノトリオの本分に忠実ともいえるアドリブ〜インタープレイの妙を存分に生かした”納得”の内容に仕上がっている。



Carla's Christmas Carols Carla Bley 『Carla's Christmas Carols』 (2009)
カーラ&夫君スティーヴ・スワロウと、パルティカ・ブラス・クインテットというドイツのブラス隊との共演。その結果が、意外や意外のクリスマス・アルバムに。カーラのピアノがそこまで全面に出ているわけではなく、また勿論、”前衛”と呼べるものではないのだが、緻密なアレンジやスワロウとの絶妙なやり取りによって築かれた荘厳で宗教的な世界・・・教会音楽という彼女のルーツを窺える意味でも多分に興味をそそられる一枚だ。




Christmas Jazz Jam Wynton Marsalis 『Christmas Jazz Jam』 (2009)
ウィントン・マルサリスが、『Crescent City Christmas Card』以来20年ぶりにリリースした2009年の人気クリスマス・アルバム。ウォルター・ブランディング(ts,ss)、ワイクリフ・ゴードン(tb,tuba)、ウェッセル・アンダーソン(as)ら自身の10ピース・バンドを率いて華麗でスウィンギーなジャズ・アレンジを施した聖夜定番曲の数々を。父でピアニストのエリスのクリスマス・アルバム『New Orleans Christmas Carol』とセットでどうぞ。






フュージョン


熱狂的な支持を受けるシャカタクならではのウィンターギフト☆

Christmas Collection Shakatak 『Christmas Collection』 (2011)
『Christmas Eve』、『Christmas Dreams(サイレント・イヴ)』、『Merry Christmas in Summer』、シャカタクが90年代に発表した3枚のクリスマス・アルバムを再編集した日本独自企画のベスト盤。定番曲、オリジナルのクリスマス・ソングから、山下達郎「クリスマス・イブ」、KUWATA BAND「メリー・クリスマス・イン・サマー」、辛島美登里「サイレント・イブ」のJ-POPカヴァーまで、今も日本で熱狂的な支持を受けるシャカタクならではのウィンター・ギフト。



Wear My Love David T. Walker 『Wear My Love』
(2009)

近年精力的にリーダー・アルバムをリリースするデヴィッド・T・ウォーカー。ンドゥグ・レオン・チャンスラー(ds)、クラレンス・マクドナルド(p)、バイロン・ミラー(b)とのカルテット・レコーディングによるクリスマス・アルバム。「Santa Claus Is Comin' To Town」、「The Christmas Song」といった定番ソングを中心に、オリジナル曲(「Wear My Love」、「Holidays Are Mirrors」)も加えて構成された一枚。「White Christmas」など3曲では、バーバラ・モリソンをゲスト・ヴォーカルに迎えている。




Night Before Christmas Spyro Gyra 『Night Before Christmas』
(2008)

老舗フュージョン・グループ、スパイロ・ジャイラ、結成33年目にして初のクリスマス・アルバム。「O Tannenbaum」や「Winter Wonderland」をはじめ、ジェイ・ベッケンスタインの紡ぐ柔らかいサックスの音がまるで粉雪のように降り注ぐ。ゲスト陣も適材適所。「It Won't Feel Like Christmas」ではクリスティン・エバーソール、「Baby It's Cold Outside」ではジャニス・シーゲル(マンハッタン・トランスファー)、二人の女性シンガーが彩りを添え、また前メンバーでもあるデイブ・サミュエルズのヴァイブも心地良く響きわたる。



Christmas Eyes Bob James / Hilary James 『Christmas Eyes』
(2008)

ボブ・ジェームスとその実の娘ヒラリー・ジェームスとの共演クリスマス作。クリスマスの定番曲を中心にしながら、ボブのオリジナル、またはヒラリーとその夫でもあり本作のプロデューサーでもあるケヴィン・ディシモネとの共作によるオリジナルなどが楽しめる。ヒラリーはそもそもジャズ畑で活動しているわけではないこともあり、その”サラッと感”が持ち味のようだ。そういう意味でも、ナタリー・コールの「Christmas List」などを衒いなく歌い上げるところなどは好感度大。とまれ、ボブのアコースティック・ピアノの美しい音色に尽きる部分もあるかもしれない。




December Chris Botti 『December』
(2002)

米スムース・ジャズ界のトランペット貴公子クリス・ボッティのホリデイ・アルバムは、前評判どおりの伊達&セクシーな一枚。ビリー・チャイルズ(p)、アンソニー・ウィルソン(g)、ヴィニー・カリウタ(ds)、ピーター・アースキン(ds)ら磐石の布陣が強力バックアップする、ただ甘ったるいだけじゃない聖夜ジャズの祭典。ボッサ・アレンジの「Santa Claus Is Coming To Town」、ファンキーな「Little Drummer Boy」、多幸感いっぱいのポップ・チューン「I'll Be Home For Christmas」など、この聴きやすさこそが伊達男たる所以か? こちらは、2006年にジャケ新装+数曲入れ替えで発売されたリニューアル盤。


Winter Nights Al Di Meola 『Winter Nights』
(1999)

超絶速弾きギター名人アル・ディメオラの心温まるアコースティック・クリスマス・アルバム。多重録音によるアコギ×2、パーカッション、キーボード、マルチストリングハープ、そしてロマン・フリンキフ(全15曲中10曲に参加)によるウクライナの民族弦楽器バンドゥーラが織り成す世界は静謐さこそあるもののどこか独特。スパニッシュ〜中近東〜インドに至る広大な大地を連想させるという声にもうなずける。おなじみのクリスマス・トラッドに、サイモン&ガーファンクル、ピーター・ガブリエルのカヴァー、インタールードを含む6曲のオリジナルから成っている。Telarcからのリリースということで音質は文句なし。






ジャズ・ヴォーカル


隠れた冬の名曲をしっとりと。心温まる聖夜の新定盤

ウィンター・キッス〜わたしのホリデイ Diana Panton 『ウィンター・キッス〜わたしのホリデイ』 (2012)
カナダの妖精ダイアナ・パントンがそのメロウ・ヴォイスで囁きかける、ファン待望のクリスマス・アルバム。アレサ・フランクリンで知られる「キッシング・バイ・ザ・ミスルトゥ」のボッサ・カヴァーからはじまり、お馴染みのクリスマス・ソング、アンリ・サルバドール「セ・ノエル・シェリー」、デイヴ・フリッシュバーグ「スノウバウンド」、そして、ヴィンス・ガラルディ「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」などの隠れた冬の名曲をしっとりとカヴァー。これまでのクリスマス・アルバムとはひと味ちがう、心温まる冬の新定盤誕生。日本盤のみのボーナス・トラックとして、ランディー・ニューマン作のレア名曲「スノウ」収録。



「四季ジャズ」完結編となるクリスマス作

Winter Wonderland Nicki Parrott
『Winter Wonderland』 (2012)

『さくらさくら』『サマータイム』『枯葉』に続く、ニッキ・パロットの「四季ジャズ」完結となるクリスマス作品。彼女のヴォーカル&ベースはもとより、実姉リサのサックスを全面にフィーチャーということで、しっとりとした肌触りの中に年の瀬特有の賑々しさなども感じさせてくれる。とかく、しっとり派には、「ブルー・クリスマス」、「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」、「ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・ニュー・イヤー・イヴ」などがオススメ。テナー御大ヒューストン・パーソンもゲスト参加。



今宵、”甘味”だけでは物足りない貴方へ

Christmas Time Is Here Jaimee Paul
『Christmas Time Is Here』
(2010)

ビージー・アデール完全バックアップの下、『At Last(邦題:シングス・スタンダーズ)』でデビューを果たしたジェイミー・ポール。リッチで艶のあるその歌声は、クリスマスのお供としても不足はない。いや、実に頼もしい。彼女のバックグラウンドとなるゴスペル、ブルース、ソウル系譜のふくよかさが染み出る。「若かりし日のエラ、あるいはビリー・ホリデイを想起させる」といった評判にも納得だが、それも表層的な亜流でないところにその凄みがあるのだろう。クリスマスに甘味だけを求める時代はとっくに終わった。ビージーも2曲に参加。



ピアノデュオで贈るクリスマス・アルバム

Many Times, Many Ways - A Christmas Collection Halie Loren
『Many Times, Many Ways - A Christmas Collection』 (2010)

新世代ジャズ・ヴォーカル・シーンにおいて一際注目度の高いヘイリー・ロレンが、マット・トレーダーとのピアノデュオで贈るクリスマス・アルバム。しっとりとした歌唱の中にあるわずかな翳りや渋みが、テクニック云々を超越した部分で聴く者の心を捉えて離さない。まだ20代だというのに大した表現力だ。「The Christmas Song」、「Winter Wonderland」といった定番曲もピアノデュオで耳にするとかなり新鮮。トレーダーのオリジナル・ソロピアノ曲「Sugar Cookies」、「From The Mouths Of Babes」も良いアクセントに。



ビッグバンドとの共演は卒倒必至のかっこよさ!

Christmas Songs Diana Krall
『Christmas Songs』
(2005)

1998年の6曲入りミニ・アルバム『Have Yourself A Soulful Little Christmas』に続くダイアナ・クラール2作目のクリスマス集。トピックは、彼女にとって初となるビッグバンドとの共演。アンソニー・ウィルソン(g)のギターに導かれ、ジョン・クレイトン=ジェフ・ハミルトン・ビッグバンドのダイナミックなアンサンブルに乗ってスウィングしまくる冒頭「Jingle Bells」から早くもヒートアップ。ピアノ・ソロ、スキャットを交えながら盛り上り大会へと突入するあたりは卒倒必至のかっこよさ。スモール・コンボによる「The Christmas Song」、「White Christmas」では、彼女の細かい息づかいにたっぷりと酔いしれる。



This Is The Season Traincha 『This Is The Season』
(2010)

ポップ・フィールドで活躍してきた人だけあって、スティーヴィー・ワンダー「Someday At Christmas」、「What Christmas Means To Me」、ジョン・レノン「Happy X'mas(War Is Over)」、ダニー・ハサウェイ「This Christmas」、そしてマライア・キャリー「Miss You Most(At Christmas Time)」など、選曲からしてその辺のジャズ・シンガーとはひと味もふた味も違う。プロデュースを手掛けるレオナルド・アムエドのギターとコーラスのみというシンプルなバッキングが功を奏し、トレインチャの本当の歌の巧さというものが際立っている。



Winter Wonderland Emilie-Claire Barlow 『Winter Wonderland』
(2007)

”歌姫大国” カナダでは、ダイアナ・クラールに負けずとも劣らぬ高い人気を誇るエミリー=クレア・バロウ。清楚なキューティ・ヴォイスとポップな作風でここ日本でもファンの多い彼女。クリスマス・アルバムでもその魅力をたっぷりと。「What Are You Doing New Year's Eve?」、「Santa Baby」、「Winter Wonderland」、「Little Jack Frost」などの定番曲も、ひとたび彼女が歌えば甘く夢見心地のスペシャルなひとときに。『Mannequin』で知られるAORシンガー・ソングライター、マーク・ジョーダンとのデュエット「Baby, It's Cold Outside」もお見事。



Hooray For Christmas Janet Seidel 『Hooray For Christmas』
(2004)

オールド・ファッション・スタイルと清々しくもコケティッシュな歌唱で心奪うオーストラリア・シンガー、ジャネット・サイデル。ボッサ・アレンジの「I'll Be Home For Christmas」、ウクレレに乗って軽やかに歌われる「Winter Wonderland」など、南半球に位置する彼の地ならではの ”真夏のクリスマス” ムードも随所に。ペギー・リー、ドリス・デイ、ブロッサム・ディアリーらによって歌われてきた古きよき聖夜ジャズ・ヴォーカルの伝統。それは、ジャネットの魔法によって再びエヴァーグリーンの輝きを取り戻す。





Christmas Gift Rachelle Bentley 『Christmas Gift』
(2012)

マドリード在住のイギリス人美女シンガー、レイチェル・ベントレーのデビューは、いきなりのクリスマス・アルバム。メリー・ホプキンスなど往年の英国ポップス歌姫達を彷彿とさせる清楚な歌声。殆どのナンバーがオーソドクスなスウィングやボッサ、スローバラードによるジャズ・アレンジだが、「In The Bleak Midwinter」など後半には、箏やパーカッションをフィーチャー。東洋風、アフリカ風などワールド・ミュージック・ライクな異色のアレンジで締め括られる。




World For Christmas Real Group 『World For Christmas』
(2012)

驚異的な歌唱力と美しいハーモニーでアカペラ・コーラスにおいて世界一と称されるザ・リアル・グループ。日本ではアカペラ・コーラスの人気が再燃している中、多くのグループが彼らを目標にしている。北欧スウェーデンならではの凛とした歌声は、男女混声合唱ならではの幅広い音域で聴く人を魅了。クリスマス・アルバムの定番となった『リアル・クリスマス』に続く本作。ポップス、ジャズ、フォーク、クラシックの要素をふんだんに取り入れた、彼らならではの洒落たセンスとソフィスティケートされたクリスマスソング集で多くの人に長く愛される作品となっている。


Have Yourself A Merry Little Christmas Maya 『Have Yourself A Merry Little Christmas』
(2008)

松尾明トリオを従えて、セクシーさだけでなく、時として少女のようなな可愛らしさも魅せるクリスマス・アルバム。映画のスクリーンの中のMAYA、小説のヒロインのMAYA、恋人に夢中なMAYA・・・まるで女優のように曲ごとで変化をみせる。「I'll Be Seeing You」ではキュートな語りも。コンセプトが「一人でクリスマスを過ごす人にも聴いてもらえるクリスマス・アルバム」ということで、音と詞、両方を大切にして歌う中にどこか儚くしみじみとした風情が漂っているのも、ブルージーな彩を放つ彼女ならではの深み。




これでもかとばかりにグイグイとスウィングする痛快盤♪

Ella Wishes You A Swinging Christmas Ella Fitzgerald 『Ella Wishes You A Swinging Christmas』 (1960)
女王エラの、もとい全てのクリスマス・アルバムの中で最もスウィンギン! オープニングの「Jingle Bells」、続く「Santa Claus Is Coming To Town」や「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」、「Sleigh Ride」などなど、フランク・デヴォル・オーケストラの演奏に乗って、これでもかとばかりにグイグイとスウィングする痛快盤。世知辛い世の中において「クリスマスぐらいはこうでなくっちゃ!」と思わず膝を打つことウケ合い。録音は、かの名演『Mack The Knife - Ella In Berlin』と同じ1960年。つまり絶頂期の記録となる。退屈なワケがない。   



『恋はボサノバ』と対極を成す?

Navidad Means Christmas Eydie Gorme & The Trio Los Panchos
『Navidad Means Christmas』 (1966)

今年8月に逝去したイーディ・ゴーメがトリオ・ロス・パンチョスとの共演で吹き込んだクリスマス・アルバム。同じくパンチョスとの共演では「アモール」、「キエン・セラ」といったスペイン語でのヒット曲も多い彼女だが、ここでも念を入れて、タイトルには「”Navidad”はクリスマスを意味している」と。静々としたクリスマス・スタンダードもしっかりと聴かせるが、「Navidad Y Ano Nuevo」のようなラテン気質全開の陽気な曲は、さすがといったところ。『恋はボサノバ』と対極を成すであろうラテンジャズ・クリスマスの決定盤。


ハスキー・ヴォイスがアップテンポによく映える☆

Christmas With Patti Page Patti Page
『Christmas With Patti Page』
(1955)

「テネシー・ワルツ」のヒットで知られるパティ・ペイジ。1955年にマーキュリーからリリースされたクリスマスLP(51、52年に10インチ・リリースされていた楽曲含む)にボーナストラックを追加したデラックス盤。絶妙なフェイクを織り交ぜたハスキー・ヴォイスが、「Jingle Bells」、「Santa Claus Is Coming to Town」といったアップテンポ曲によく映える☆ 95年にCD化された際には収録されていなかったシングル「Little Donkey」ほか、彼女がホストを務める米TVショー「The Patti Page Show」から3曲、ラジオ放送音源「Christmas Greetings From Patti」など6曲を追加。



Have A Merry Christmas With Anita O'day Anita O'day 『Have A Merry Christmas With Anita O'day』
小粋なハスキーヴォイスで世のヴォーカル・ファンを虜にしたアニタ・オデイ。たっぷりとした声量や天才的なスキルがあるわけではないが、持ち前のジャズ・センス(といって正しいのか?)が皆に愛された。そんなアニタのクリスマス・ソングをまとめた編集盤で、以前『The Anita O'Day Xmas Album』というタイトルの自主レーベル・カセットで出回っていたものに「The Christmas Song」のライヴテイクが追加されての再登場。そのライヴは、1942年の音源ということで、ジーン・クルーパ楽団専属シンガー時代の貴重なマテリアル。


Christmas With Peggy Lee Peggy Lee 『Christmas With Peggy Lee』
(1960)

1960年、ビリー・メイ楽団をバックにキャピトルに吹き込んだクリスマス・アルバム『Christmas Carousel』をベースに、未発表曲「My Dear Acquaintance(A Happy New Year)」などを追加・編集したペギー・リーの聖夜盤。ジョージ・シアリング、クインシー・ジョーンズらと共演していたこの時期のペギーだけに、「I Like a Sleighride (Jingle Bells)」からスウィングしまくり。『カフェ・アプレミディ・クリスマス』に収録された「The Christmas Waltz」が人気。



My New Celebrity Is You Blossom Dearie 『My New Celebrity Is You』 (1976)
バリバリのクリスマス・アルバムではないが、この季節に好んで聴かれることも多いブロッサム・ディアリーのメロウ&ソフトなウィンター・アルバム。そのキュートな歌声だけでなく、彼女自身が爪弾くエレピの音にも耽溺必至。クリスマス曲ほか、シャレたムードの表題曲や、ボッサ調の「Killing Me Softly With His Song」、デイヴ・フリッシュバーグのカヴァー「Peel Me A Grape」なども言うことなし! ロン・カーター(b)、グラディ・テイト(ds)、ヒューバート・ロウズ(fl)、トゥーツ・シールマンス(harmonica)らスモール・コンボによるアシストも絶妙。



Christmas Song Book Helen Merrill 『Christmas Song Book』
(1991)

”ニューヨークのため息” ヘレン・メリルが1991年に吹き込んだクリスマス・アルバム。オーケストラ入りの色彩感溢れるトラックとコンボをバックにしたジャズ・オケとの二本立てで、当時還暦を迎え円熟期にさしかかった貫禄の歌唱は、自在なスキャットやフェイクを駆使する「Let It Snow」などにおいて顕著。作者メル・トーメとのデュエットが幸福感を喚起する「The Christmas Song」、アート・ファーマーの淡々としたソロが効果的な「A Child Is Born」、柔らかなワルツ「Winter Wonderland」など、じっくりと聴き込みたい一枚だ。




Acapella Christmas Manhattan Transfer 『Acapella Christmas』
(2004)

アカペラつながりでもう一枚。世界最高峰のジャズ・コーラス・グループ、マンハッタン・トランスファー、デビューから約30年で意外にもこれが初となる全編アカペラによるクリスマス・アルバム。エンターテイメント性を全面に出して、聖夜をゴージャスにスウィングさせる点からも、シンガーズ・アンリミテッドとはまた別の魅力が満載。円熟のコーラス・ワークは、甘くムーディな「I'll Be Home For Christmas」でどうぞ。彼らにはもう一枚、トニー・ベネットらがゲスト参加している『Christmas Album』(1992年)というクリスマス作品もある。



Christmas Singers Unlimited 『Christmas』
(1972)

オスカー・ピーターソンとの共演で注目されていた頃に吹き込まれた、アカペラ・ジャズ・コーラスによるクリスマス・アルバムの金字塔。粋なアレンジ、美しいハーモニー、重厚なコーラス、シャープなリズム感、全てが完璧。「Have Yourself A Merry Little Christmas」以外は、古くから伝わるおなじみの賛美歌やトラッドなどが並ぶということもあり、コマーシャライズされていない厳かな雰囲気にもあずかれる。とはいえ、ただ単にしんみりしているわけではなく、「Deck The Halls(ひいらぎ飾れ)」など、聖なる喜びを爆発させるハッピー・チューンも満載。




ここ数年のジャズ・ヴォーカル聖夜企画盤では最もポピュラーな一枚

Christmas Michael Buble 『Christmas』 (2011)
ミニ・アルバム『Let It Snow』(2003年)に続く2011年、2作目のクリスマス・アルバム。プロデュースは、デヴィッド・フォスター。ここ数年のジャズ・ヴォーカル聖夜企画盤では最もポピュラーな一枚に挙げられるのではないだろうか。「White Christmas」では、シャナイア・トゥエインと、「Mis Deseos/Feliz Navidad」ではタリアとのムーディなデュエットを披露。また、「Jingle Bell」、「Blue Christmas」といった古典から、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」までカヴァー曲のレンジも幅広く、新世代ジャズ・シンガーならではのフットワークの軽さもスマートに見せつける。オリジナル新曲「Cold December Night」も収録されている。



全てを包容すべくポジティヴな愛が横溢

フランク・シナトラ・クリスマス〜ホワイト・クリスマス、きよしこの夜 Frank Sinatra
『フランク・シナトラ・クリスマス〜ホワイト・クリスマス、きよしこの夜』

アメリカン・ポピュラー・ミュージックの王道を聖夜に。バラード主体で世界中の恋人たちを濡らす、40代ホンモノの男の色気。クリスマス・スタンダードですら無双のシナトラ節でオリジナリティ溢れるものへと様変わり。ビング・クロスビー、ナット・キング・コール、ペリー・コモらと同様、一時代を築いた男の歌には、追随を許さない圧倒的な粋と、全てを包容すべくポジティヴな愛が満ち溢れている。2015年に生誕100年を迎える“ザ・ヴォイス"、フランク・シナトラによる至極のクリスマス・ソング集。キャピトル時代(1953年〜1962年)とリプリーズ時代(1960年以降)を網羅するこの季節にふさわしい一枚。


「一家に一枚」常備しておきたいもの

Merry Christmas Nat King Cole
『Merry Christmas』

メル・トーメ/ボブ・ウェルズ作で、ナット・キング・コールによって初めて吹き込まれた不朽の名作「The Christmas Song」を皮切りに、「The First Noel」、「Joy to The World」、「Silent Night」・・・めくるめくクリスマス・ソング・クラシックのオンパレードに幸福度はうなぎ上り。ビング・クロスビーのアルバムと共に「一家に一枚」常備しておきたい。ちなみに2005年には、愛娘ナタリーとの時空を超えたデュエット版「Christmas Song」などが収録されたニューヴァージョンもリリースされたが、現在は残念ながら廃盤となっている。




White Christmas Bing Crosby 『White Christmas』
(1942)

「世界中で最も聴かれているクリスマス・アルバムとは?」と訊かれたら、往年のポピュラー〜ジャズ・ヴォーカル・ファンは真っ先にこのアルバムを挙げることだろう。第二次世界大戦中の1942年にオリジナル発売されてから70年、SP、LP、CD、本国盤から日本独自編集盤までフォーマットや収録内容を変えながら、現在も世界中で売れ続けている特大ベストセラー盤。心弾む明るいクリスマス・ムードを味わいたいという貴方、何を買おうか迷ったら、とにかくコレを! といっても概ね乱暴ではないだろう。この冬SHM-CD国内盤もリリースされる。





A Swingin' Christmas Tony Bennett 『A Swingin' Christmas』
(2003)

老いて尚色気ムンムン。トニー・ベネットが、カウント・ベイシー・ビッグバンドやモンティ・アレキサンダー(p)の最高にスウィンギーな演奏を背にシャウトする、ダンサンブルなエンターテイメント・クリスマス・ジャズの本丸盤。「I'll Be Home For Christmas」、「My Favorite Things」、「Winter Wonderland」、「Santa Claus Is Coming To Town」、いずれも底抜けにスウィングし、どこまでもゴキゲンに歌い上げる。イタリア男子の美学ここにあり。バラードもフェロモン出まくり、腰砕け必至のメロウネス充満。トゥーツ・シールマンス(harmonica)、アンディ・シュナイツァー(ts)らもゲスト参加。





コンピレーション


ブルーノートのクリスマス 『ブルーノートのクリスマス』 (1995)
原題の「Yule Struttin'」は、言うまでもなくソニー・クラークのアレに引っ掛けているわけだが、現代的には ”ミニスカ・サンタ” のおみ足にやはり軍配か。1995年、新体制となったBlue Note はちょうど ”新しいジャズの定義” を模索していた時期でもあり、よってそれまでの旧態然としたカタログ音源オンリーで固めたオムニバス盤とは異なる、かなりフレッシュな顔ぶれが並ぶものとなった。スタンリー・ジョーダン、イリアーヌ・イリアス、ダイアン・リーヴス、ジョン・スコフィールド、ジョーイ・カルデラッツォ、ベニー・グリーン、リック・マーギッツァなど、彼らの当時の新録を中心とした内容は世界中で大いにウケた。チェット・ベイカー、カウント・ベイシー、デクスター・ゴードンらの古典曲も収録。



Ultimate Jazz Christmas 『Ultimate Jazz Christmas』 (2006)
上掲『ブルーノートのクリスマス』と並ぶベストセラー盤。ブルーノート、キャピトル・レーベルの作品を中心にセレクト。ナット・キング・コール・トリオ「The Christmas Song」、カウント・ベイシー楽団「Basie's Jingle Bells」といった有名古典から、『Merry Ole Soul』もこの時期”鉄板”のデューク・ピアソン、ドナルド・バード、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラなどモダンジャズ黄金期の顔役たちによる名演、さらにはダイアン・リーヴス、イリアーヌ・イリアス、ノラ・ジョーンズ、80年代以降のブルーノートの歴史を彩ったディーヴァたちのジャジー&ソウルフル名唱までを幅広くフォロー。ホレス・シルヴァーのカヴァーとなるノラの「Peace」は、ブルーノート契約直後に制作された「Don't Know Why」 EPのみに収録されていたもの。