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【10-FEETのあの日あの時23】有島博志による現場目撃秘蔵ストーリー 『10-FEETのあの日、あの時』へ戻る

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2013年8月1日 (木)


10-FEETのあの日あの時 第23回:“thread”TOUR 2012-2013スタート!!
文●有島博志(GrindHouse)

 10-FEETの、半年以上に及んだ7枚目となる最新フル・アルバム『thread』発売に伴う“thread”TOUR 2012-2013は、2012年10月6日の福岡Zepp Fukuoka公演から幕が切って落とされた。今作発売から約3週間後のことだった。

 それから1ヵ月後の11月6日にはZepp Tokyoでの東京初公演があった。「1ヵ月待てば東京で観れんだからわざわざ遠出しなくとも…」っていうような空気が周囲にひたひたと漂っていたのは事実だった。だけど新曲を1日も早くライヴで観聴きしたいっていう想いは強かった。今だから言うけど、“友情出演”的なサポート・アクトとして決まっていたマキシマム ザ ホルモンのライヴも久方ぶりに観たいっていうのも正直あった。

 が、しかし、ツアー初日公演観戦の話を持ちかけたときの、10-FEET所属レコード会社の担当氏の反応は決してノリノリっていう感じのものではなかった。「マネージメントに一度確認し、折り返させてください」だった。なにしろ電話でのことだったので、相手の顔色が曇っていたかどうかまではわからなかったけど、話のムード、モードからそれを色濃く感じとることができた。実はそういう反応が返ってきても致し方ない、無理からぬこと、とは想像できた。なぜならば、バンドにとって初日公演はそれからキック・オフされるロングなツアーにおいてもっとも神経を使う日と言っても差し支えないからだ。10-FEETぐらいになれば、間違いなく前もって“本番”を想定しての本格的なリハーサル、つまり“ゲネプロ”を何度かやっている。それでもやはり“ゲネプロ”と“本番”は違う。よって初日公演当日を迎えてもなお、バンドは「あーでもないこーでもない」と想いを張り巡らし続け、「はたして新曲を自分たちの望む形でプレイできるだろうか?」といういくばくばかりかの不安も抱えながらステージに上がるものだ。そういう現場に、いくらそれまでに何度も何度も取材をしてきた顔見知りとは言え、メディアの人間に立ち入らせていいものなのか、っていうのが少なからず担当氏のなかにはあったろう。もちろん、そういうのは重々承知だったけど、あえて押し切る形で福岡いきを強行した。メディア関係者のライヴ観戦招待は、ツアーが始まり、何公演か重ね、バンドもいろんなことにこなれてきた以降の日に、と相場は決まっている…。

 Zepp Fukuokaに初めてお邪魔したのだけど、確か午後の3時頃だったと思う、早くも今か今かと開場を待ち侘びるファンたちがけっこうな数周辺にたむろっていた。会場内に入るや、10-FEETが絶賛サウンドチェック中だった。客席内は薄暗く、ライトがあてられているのはステージ上のみ。「JUNGLES」「DAVE ROAD」「その向こうへ」「シガードッグ」などの新曲を本番さながらにプレイし、終えるたびにTAKUMA(vo,g,key,blues harp)が手を止め、マイクを通して音響スタッフへのお願いや、ほかのスタッフへの指示を飛ばす。NAOKI(b,vo)、KOUICHI(ds,background vo)ともなにやら話し、ときに打ち合わせているかのようにも見受けられる場面も一度や二度ではなかった。手渡されたその日のタイムテーブルを見ると、サウンドチェックに2時間も割いてて、その“入念さ”を窺わせた。ピーンと空気が張り詰めていた、というほどではなかったものの、薄らとだけどそう感じる雰囲気があたりを覆っていたので、5、6曲観戦したところでメンバーに声をかけずに楽屋裏へと移動した。マキシマム ザ ホルモンのメンバーやスタッフたちに出くわし、挨拶したり、少し立ち話をしたりしてから10-FEETのドレッシング・ルームを覗いた。当然、誰もいやしない、カッラ〜ンとしていた。で、ふとテーブルの上に無造作に置かれていた、その夜のものと思しきセットリスト数枚に目がいった。それらを手にとりパッと見たとき、2〜3のシュミレーションがされていることが即わかった。そのときマネージャー氏が部屋に入ってきて、一言こう言った。

「『thread』収録曲で、これまで一度もライヴでやってない曲を今晩全部やるみたいです」

 やはり初日公演にきてよかったと思った。それからサウンドチェックを終えたメンバーがひとり、またひとりっていう感じで部屋に戻ってきた。そこでようやく挨拶できたのだけど、みな普段よりやや口数少なめ、どこか思案気な表情も時折見られたので、長居せず部屋を出た。上記所属レコード会社の担当氏が若干懸念していたと思われることのひとつが、まさにそれだろう。で、初めて訪れたということもあり、まだ開場前の場内を見て廻り、その後は楽屋裏にあるプロダクション・ルームでスタッフたちと歓談しながらマキシマム ザ ホルモンの出番を待った。

 場内は「もう人っ子ひとり入れませんから!」ってなほど満杯で、すでにあちこちから熱気すら上がり始め、天井あたりでとぐろを巻いていた。そのさなかの夜6時半、客電が落ち、お馴染みの、あのやたらめったら喧しいSEが流れ出した途端、言うまでもない、大歓声が場内いっぱいに噴き上がった。そこにメンバーが登場、「What’s up, people?!」で勢いよく駆った!その瞬間、ステージから客席目がけて濃ゆいエネルギー、パワーなどを伴う突風が吹き荒れたように思えた。もちろん、錯覚なのだけど、なにか“強大なもの”がステージから客席へと放たれたのは事実だ。その後「maximum the hormone」「ぶっ生き返す!!」と進んでいくに従い、その様相は変わり、客席からも“強大なもの”が放射され、バンドとお客さんたちの間で“押し合いへし合い状態”となり、どんどんテンションは高まっていった。1曲目で瞬時にお客さんたちのひとり残らずを力業的にグイッと引き寄せ圧倒し、最後の最後までお客さんたちと真正面からガチでせめぎ合うところはさすがだ。「マキシマム ザ ホルモンは屈指のライヴ・バンドだ」とよく言われるけど、その所以のひとつがまさにここにある。ダイスケはんとナヲが何度もMCで、10-FEETの新作発売と、レコ発ツアーのスタートを祝す、という“バンド仲間愛”も強く感じられた。そして、最後はご存じ「恋のメガラバ」で締めくくられた。アッという間の40分だった。以下、セットリストだ。

01. What’s up, people?!
02. maximum the hormone
03. ぶっ生き返す!!
04. 絶望ビリー
05. my girl
06. 霊霊霊霊霊霊霊霊魔魔魔魔魔魔魔魔
07. 恋のメガラバ

 まだ最初の出演バンドが終演したばかりだというのに、すでにいち公演終了したみたいに、場内はかなりの熱さでむせっ返すほどだった。2階席にいたのだけど、気づけば足元は滑るし、壁には水滴が!その熱さがどのくらいのものだったかが、それからおわかりいただけるだろう。そして40分のセットチェンジを挟んだ後の7時半、いよいよ10-FEETのステージ開始だ。客電が消え、壮大かつ仰々しい、よく知るSEがPAスピーカーより大音量で流れ出すやメンバーが現れ、お客さんたちが叫ぶ大歓待の声の数々を全身に浴びつつ、所定の位置に就いた。そして今作のド頭を飾る「JUNGLES」で滑走した。ものすごい盛り上がりだ。お客さんたちの今作を聴いてのアガりにアガったテンション、だからこそ早くライヴを観たい、体感したい、暴れたい、っていう期待感、切望感、渇望感のようなものが一緒くたになって昇華しているかのようだ。当たり前だけど、マキシマム ザ ホルモンのときとはノリの質からして違うし、ヴァイブもニュアンスも体感度も異なる。それからはもう、新曲と有名代表曲のブレンドを受け、まるでジェットコースターにでも乗せられ上へ下へ、横へ斜めへと縦横無尽に身も心も持っていかれてるような感覚を始終味わい、激しいときは徹底して激しく、心に沁みるほどメロウなときは極端にメロウに、というその“格差”が生むダイナミクスもとても心地よかった。個人的には「1 sec.」からそれとは真逆の曲調な「シガードッグ」へいき、名曲「RIVER」「VIBES BY VIBES」に雪崩込んだ流れが圧巻、絶品で、完全にヤラれた。「シガードッグ」が初めてライヴで披露されたのは京都大作戦2012でだった。そのときも聴いててグッときたけど、こうしてインドアという違う環境、状況で聴くと、また異なる感動を覚えた。ギャグチューン「DAVE ROAD」が聴けたのも嬉しかった。そしてアンコールでGREEN DAYのカヴァー「SHE」や、超お馴染みの「CHERRY BLOSSOM」など3曲をやり、この夜10-FEETは予定を大幅にオーバーし、2時間近いロングセットを終えた。以下、セットリストだ。

01. JUNGLES
02. focus
03. STONE COLD BREAK
04. 2%
05. super stomper
06. CRYBABY
07. SKANKIN' CHOKE BANGER
08. 淋しさに火をくべ
09. DAVE ROAD
10. その向こうへ
11. 蜃気楼
12. コハクノソラ
13. 1 sec.
14. シガードッグ
15. RIVER
16. VIBES BY VIBES
17. 風
-ENCORE-
01. SHE (cover of GREEN DAY)
02. CHERRY BLOSSOM
03. goes on

 新曲を確かめながら演奏しているようなところも、この夜何度か見受けられた。終演後、メンバーも口々に「新曲はまだまだこれからですね」と言っていた。この後、“thread”TOUR 2012-2013を何回か観ることになるのだけど、メンバーの言っていたことは現実のものとなっていく…。


10-FEET関連タイトル

VA / 『ROCK STUDY』(2012年)
ここまでの連載のメンバーのコメントからもわかるとおり、3人はかなり洋楽ロックから音楽的影響を受けている。それがなければ今現在の10-FEETは存在しないと言っても過言ではないほどで、今なお洋楽ロックより刺激を受け続けている。そういうバンドの音楽的ルーツなどをものすごくわかりやすく教えてくれるコンピが発売される。それが今作で、自身初となる監修盤だ。SUM 41、RISE AGAINST、MR.BIG、WEEZER、FINCH、ASIAN DUB FOUNDATIONとパンク・ロックからラウド・ロック、はたまたエレクトロ・ミュージックと幅広く3人それぞれが選曲している。21組21曲入り。写真入豪華インタヴュー44P・歌詞・対訳・解説というヴォリュームながら税込1,980円というのは、めちゃくちゃ買い得だ。
文・有島博志(GrindHouse)

10-FEET 最新作ニュース

■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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