『窓につたう雨は』 発売記念対談 〜ぼくたちの好きなコンピ〜 前編
「雨がしとしと日曜日、ボクは一人で君の帰りを待っている・・・」と思わず呟いてみたくなる窓越しの風景。すこし切なくて、すこし優しい雨の月になりました。今回、6月12日に発売されるコンピレーション『窓につたう雨は』の特別企画のために、その監修と選曲を手掛けた寺田俊彦さんが営むお店「雨と休日」へお伺いいたしました。夜も更けた時間に行なわれた、音楽好き2人による語らいにぜひお付き合いくださいませ。
山本勇樹 (ローソンHMVジャズ担当)
山本勇樹(以下、山本):寺田さん、コンピを選曲されたんですよね。
寺田俊彦(以下、寺田):はい、『窓につたう雨は』というタイトルで、6月12日に発売されます。
山本:こちらについては後ほどじっくり説明していただく予定です。今回はせっかくなので、『窓につたう雨は』の発売記念の企画として寺田さんと僕でお互いに、10枚ずつお気に入りのコンピを選んで、とことん語り合おうということになりました。やはり僕も寺田さんもほぼ同じぐらい長くこの業界で仕事をしているから、コンピも沢山聴いているし思い入れもいっぱいありますよね。寺田さんにとってコンピはどんな存在ですか?
寺田:僕は“コンピレーション”は“オムニバス”という言い方とは区別して考えています。コンピにはまず音楽を深く知っている選曲者がいることが前提ですし、しかもそういう音楽を大好きな人が選んでいるわけだから、そもそもコンピってすごい贅沢なCDだと思うんですよね。だから曲の選び方も曲順もその人ならでは個性が表れます。ある種感動的な体験ですよね。今回、僕と山本さんが選んだコンピはどれもそういう選曲者の思いが伝わってくるものばかりです。これらは例えば100曲千円みたいな、寄せ集め的なアルバムとはそもそもの出発点が違うものばかりです。100曲千円はもちろん需要があるわけで、それを否定する気はありませんが、繰り返し聴けるか、思い入れを持てるかどうかという点がまったく違いますよね。
山本:僕も新旧問わず今まで繰り返し聴いてきたコンピを選びました。僕たちのセレクトを見て共感してもらえる音楽ファンがいたら嬉しいですし、これから何か聴いてみたいと思っているリスナーの方にも参考にしてほしいですね。一部、入手困難な作品もありますが、後世に伝える意味もこめてあえて紹介いたします。
寺田:それから、これを見たレコード会社の方が、再発売に踏み切っていただけたら、という願いも込めて(笑)。
山本:それでは寺田さんから1枚目をどうぞ。
『わたしとボサノバ』
選曲・林伸次 (UCCU1072/廃盤)
寺田:渋谷で「バール・ボッサ」というボサノヴァが流れるバーを経営している林伸次さんが選曲した『わたしとボサノバ』です。2004年に『BOSSA NOVA』というコンピを選曲して、翌年に発売された2枚目ですね。どちらもユニヴァーサルのボサノヴァの音源が収録されています。実は僕のお店「雨と休日」がオープンした時からずっとお世話になっている人で、だからと言ってここで紹介するわけではなく、僕はこのコンピがきっかけで林さんを知ったのですが、はじめて聴いた時はとにかく驚きました。バーのマスターなのになんでこんなに選曲がマニアックなんだと(笑)。
山本:いわゆる巷のボサノヴァ・コンピとは一線を画していますよね。名曲だけど意外とコンピには収録されない曲が入っていたり、林さんはきっと誰かにプレゼントするイメージで選曲したんではないですかね。どれもさり気ないけど印象に残りますよ。
寺田:特に5曲目のジョビンとシコ・ブアルキの「黄金の歳月」からカエターノの「カロリーナ」へのかけての流れは最高ですね。CINQ(サンク)という雑貨店もやっていらっしゃる保里正人さんのデザインによる装丁も凝っていて、林さんが書いた短編小説と、フード・コーディネイター松長絵菜さんの写真がブックレットに。CDは紙のスリーブを引き出すようになっていて、こんな作りは今まで見たことがないし、それに紙質とか使われている文字のフォントとか、とにかく林さんをはじめとする制作の人たちのこだわりを感じますね。
『HIROSHI'S KICK BACK (PRIVATE MIX) VOL.1』
選曲・藤原ヒロシ (ACCR10022/廃盤)
山本:2004年に藤原ヒロシさんが選曲してけっこう話題になったコンピですね。タイトルどおり、本当にプライヴェート感が漂っている内容です。ジャケットにも本人がスタジオで作業しているような姿が写っていますし。日本のヒップホップやクラブ・カルチャーの黎明期から活躍している人ですが、そういう幅広い音楽性の中から、藤原ヒロシのフィルターを通してアンビエント感のある楽曲に的を絞っているのが興味深いですね。
寺田:プライヴェートと書かれていても、何か強い意思というか提案性も感じますよね。ある意味反動ともいえるんでしょうか。
山本:そう思いますね。わざわざ商品として販売されるCDの中で、ここまで個人的な選曲しているのはある意味パンクですよね(笑)。一曲目がティム・ストーリーで次がトッド・ラングレン、中盤にホルガー・シューカイを挟んでラストはウィリー・ネルソンですからね。個人的にはドゥルッティ・コラムの7インチ・オンリーの「I Get Alone Without You Very Well」にぐっときたりするんですけど。実際に聴いてみないと伝わりにくいと思いますけど、その分すごい共感できる世界です。
寺田:ジャンルも様々で横断されているけど、違和感が無く繋がっているから、クレジットを見ないで聴いたほうが楽しいかもしれませんね。
『わたしとボサノバ』
選曲:林伸次
1. おいしい水 / ナラ・レオン 2. 春の如く / スタン・ゲッツとアストラッド・ジルベルト 3. オルフェのサンバ / ルイス・ボンファ 4. ばらに降る雨 / アントニオ・カルロス・ジョビンとエリス・レジーナ 5. 黄金の歳月 / アントニオ・カルロス・ジョビンとシコ・ブアルキ 6. 雨 / バーデン・パウエルとマウリシオ・エインホルン 7. カロリーナ / カエターノ・ヴェローゾ 8. 宙に消え入る歌 / シルヴィア・テリス 9. デサフィナード / ジョアン・ジルベルト 10. やさしき調べ / アントニオ・カルロス・ジョビン 11. 月と星 / カエターノ・ヴェローゾ 12. ドルフィン / タンバ4 13. ある悲しみ / アストラッド・ジルベルトとワルター・ワンダレイ 14. バーバラ / シコ・ブアルキ 15. イパネマの娘 / ナラ・レオン 16. 三月の水 / ジョアン・ジルベルト 17. アカラント / ナナ
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『HIROSHI'S KICK BACK (PRIVATE MIX) VOL.1』
選曲:藤原ヒロシ
1. The Hold / Tim Story 2. Be Nice To Me / Todd Rundgren 3. Sunlight / Jesse Colin Young 4. Book Of Swords / Felt 5. I Get Along Without You Very Well / The Durutti Column 6. That's Enough For Me / Patti Austin 7. Dawn / Hiroshi Fujiwara 8. Do Nothing / The Specials 9. Slow Water / Brian Eno 10. Femme Fatale / 戸川純 11. Persian Love / Holger Czukay 12. Lovestory / New Composers 13. Alone In Brewster Bay / Minnie Riperton 14. Moonlight In Vermont / Willie Nelson
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『BACK TO SLOWFOOD』
選曲・吉本宏 (KICP791/廃盤)
寺田:選曲はサバービア関連の執筆でもお馴染みの吉本宏さんで、2001年の発売ですね。タイトルのとおり「スローフード」をテーマにして、60〜80年代のイタリア映画の音楽をあつめたコンピですね。モリコーネやトロヴァヨーリ、ピッチオーニといった作曲家のジャジーな曲が入っています。『GO TO SLOWFOOD』という続編もありました。
山本:2000年代はじめというと、ラウンジ・ブームで映画音楽のコンピが輸入盤も含めて大量にありましたよね。でも『BACK TO SLOWFOOD』はずっと愛されていて、僕の周りにもけっこうファンが多いですよ。
寺田:わかります。このコンピは何よりテーマがいいですよね。「食事に似合う音楽」ということで、実際にレシピ本も付録で付いているんですよ。僕がこのコンピを気に入っている所は、吉本さんのイタリア映画音楽に対する情熱が伝わってくることです。膨大な楽曲から選び抜いて丁寧に選曲されているから、ここまで統一感を出せたんだと思います。軽快さとかテンションとか絶妙のさじ加減で。全体の雰囲気を大事にしていますよね。もう一つはジャケットの作りですね。デジパック式なんですけど、一般的なものとちょっと違ったデザインで。ちょっと薄くて安っぽいところが逆に輸入雑貨のパッケージみたいで洒落てる(笑)。
『SELECAO - ESSENCIA BRASILEIRA PRESENTS』
選曲・小山雅徳氏&高木慶太 (BVCM37315)
山本:2000年に「ムジカロコムンド」というブラジル音楽のディスガイドが発売されましたよね。入手困難なレコードとか沢山掲載されていて、しかもボサノヴァだけではなくてSSWやソフトロックとかも紹介されていて、ブラジル音楽をさらに知るという意味ではかなり影響を受けました。これはその本の中でも執筆していた、小山雅徳さんと高木慶太さんが選曲したコンピです。
寺田:僕もこのコンピは好きで、実は今回選ぼうかどうか迷いました。2作目もあって、どちらもサンバがキーワードになっていますよね。けっこうレアなRCAの音源も入っていたりして。
山本:そうですね。さっきの『BACK TO SLOWFOOD』と同じで、このコンピに関しても選曲者の深い知識とかこだわりが強く感じられますよね。どの曲もストレートなサンバというよりは、ソウルとかジャズとかロックとか要素が入っているから、実は間口は広かったりして、「ブラジルのサンバってこんなにかっこいいんだよ」という、風通しの良いプレゼンとやっぱり選曲者の情熱ですよね。アルナルト゛・メデイロスなんて今でもこのコンピでしか聴けませんし、選曲も含めて、こういった内容のコンピは二度と発売されないんじゃないですかね。
『BACK TO SLOWFOOD』
選曲:吉本宏
1. 「タクシー・ニューヨーク」〜イージー・ジャズ・イン・ニューヨーク / ピエロ・ピッチオーニ 2. 「助けてアモーレ・ミオ」〜北極のペンギン / ピエロ・ピッチオーニ 3. 「助けてアモーレ・ミオ」〜アマーダの刑事 / ピエロ・ピッチオーニ 4. 「白、赤、緑」〜白、赤、緑 / エンニオ・モリコーネ 5. 「コルポ・グロッソ」〜大親分 / ルチアーノ・シモンチーニ 6. 「ありばい」〜ベリンダ・メイ / エンニオ・モリコーネ 7. 「恥辱」〜昼過ぎの海岸 / エンニオ・モリコーネ 8. 「悪徳の想い」〜フーズ・マイ・ワイフズ・ラヴァー? / アルマンド・トロヴァヨーリ 9. 「猫」〜ざんげのサンバ / エンニオ・モリコーネ 10. 「警視ペペ」〜ワルツ・テーマ / アルマンド・トロヴァヨーリ 11. 「女性上位時代」〜ボサ・ノヴァ・リミックス / アルマンド・トロヴァヨーリ 12. 「渡り鳥」〜アンユーズフル・ウォーク / アルマンド・トロヴァヨーリ 13. 「セッソ・マット」〜奥様8時です / アルマンド・トロヴァヨーリ 14. 「司教の部屋」〜レディ・イン・ブラック / アルマンド・トロヴァヨーリ 15. 「我ら女性の天性」〜エーッそんなに / アルマンド・トロヴァヨーリ 16. 「あんなに愛しあったのに」〜ルチアーナのテーマ / アルマンド・トロヴァヨーリ 17. 「権力者」〜フォーム・アンド・クリーム / ピエロ・ピッチオーニ 18. 「あなたはいい人? それとも…」〜孤独な二人 / ピエロ・ピッチオーニ 19. 「サッコ・アラ・レジーナ」〜待ち続けて / ピエロ・ピッチオーニ 20. 「すべて知っている」〜ミッドナイト・フライト / ピエロ・ピッチオーニ 21. 「セッソ・マット」〜招待 / アルマンド・トロヴァヨーリ 22. 「モンスター」〜哀しみの閣下 / エンニオ・モリコーネ 23. 「猫」〜アテネのあかり / エンニオ・モリコーネ 24. 「ジェラシー」〜僕は捨てられるの? (インストゥルメンタル) / アルマンド・トロヴァヨーリ 25. アヒルのオレンジ風味-メインテーマ / アルマンド・トロヴァヨーリ 26. ある夕食のテーブル / エンニオ・モリコーネ
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『SELECAO - ESSENCIA BRASILEIRA PRESENTS』
選曲:小山雅徳氏&高木慶太
1. エスケーサ / アルノルド・メデイロス 2. サンバネー / エヂソン・フレデリコ 3. ショリーニョNo.1 / タンバ・トリオ 4. ヂ・コンヴェルサ・エン・コンヴェルサ / ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ 5. テイモーザ / アントニオ・カルロス&ジョカフィ 6. ドナ・フロールと二人の亭主 / アントニオ・カルロス&ジョカフィ 7. ウマ・プラッサ・イ・ヴォセ / オス・オリジナイス・ド・サンバ 8. 沈黙は金 / オス・オリジナイス・ド・サンバ 9. バラ・コン・バラ / ジョアン・ボスコ 10. プレイ・サンバ / パウロ・モウラ 11. ファンタスティック・リアリズム / ガイ・ヴァケール 12. コブラ・クリアーダ / ジョアン・ボスコ 13. ソー・テイン・ルガール・プラ・ヴォセ / ブルニエール&カルチエール 14. ホーザ・モレーナ / アクアリウス&ルイス・アントニオ 15. トード・メウ・アモール / オス・チアゴナイス 16. コンセギー・コンクルイール / キンテート・テルヌーラ 17. ヴェルメーリョ・コモ・ウン・カマラウン / セザール・コスタ・フィーリョ 18. パイース・トロピカル / アクアリウス&ルイス・アントニオ 19. 女というもの / オス・オリジナイス・ド・サンバ 20. ナウン・イ・ヂ・ナーダ / シンヴァル・シルヴァ 21. コパカバーナの娘 / エヂソン・フレデリコ 22. エウ・ヘウ・メ・コンデーノ / エリオ・マテウス 23. ボベイラ / エヂソン・フレデリコ 24. レンブランド・エヂ・クレイジェル / ブルニエール&カルチエール 25. フラメンゴ2×1 / アルノルド・メデイロス 26. ムルチダォン / エヂソン・フレデリコ 27. キッヂ・カヴァキーニョ / ジョアン・ボスコ
『レディメイド、バカラックを讃える』
選曲・小西康陽 (SRCS7470/廃盤)
寺田:ピチカート・ファイヴの小西康陽さんが、バート・バカラックのカヴァー曲を選曲した1枚です。リリースは1994年ですね。曲間に台詞のような効果音が使われていたりして、まさに小西さんのDJのセンスが濃い作品だと思います。
山本:選曲もパーシー・フェイスやメル・トーメ、スパイラル・ステアケイス、さらにディーコン・ブルーとかまで入っていて、なんとも小西さんらしいですよね。
寺田:バカラック楽曲集のコンピは何枚も出ていますけど、これは群を抜いた選曲と内容だと思います。編集の技も光っていて、このコンピってまるで60分のラジオ番組を構成したような演出なんですよね。曲によっていろんなアーティストのヴァージョンがあっただろうけど、全体の流れを考えてその中から選んでいるんだろうなと。デザインも含めきっとピチカートのオリジナル・アルバムを作るのと同じ気持ちで制作していますよね。それに小西さん自身も影響を受けたバカラックですし、もう作らざるを得ない状況だったのではと想像します。通して聴くと、小西さんの意図や意思がダイレクトに伝わってきます。
『musique dessinee 01 〜Just a groove!』
選曲・丸山雅生 (VSCD9431)
山本:これは神戸のディスクデシネというレコード・ショップと、プロダクション・デシネというレーベルのオーナーの丸山雅生さんが選曲したコンピです。収録された曲はジャンルも国も年代もバラバラなんですけど、完璧にデシネ・カラーに染まっています。どれもドラマチックなメロディが印象的で耳に残ります。これぞデシネ・サウンドという感じですよね。長年の買い付けの経験やセンスがこの1枚に凝縮されているのではないでしょうか。
寺田:レコード屋さんってわりと好きが高じてレーベルを立ち上げたりしますが、そういうのを超えたクオリティがありますよね。入っているのは知らない曲ばかりだし突き抜けていますよ。きっと許諾関係とかそうとう努力しているでしょうね。
山本:そういうのを感じさせないポップな雰囲気が僕は好きですけどね(笑)。「ただイイ曲だから」という、潔さが気持ちいいですよね。それにこのコンピはレーベル・カタログの100枚目を記念して、最近再発されたんですよ。帯にも「今後これ以上の作品は出ません」と書いてあるし(笑)。まさにデシネの名刺代わりの1枚ですね。
『レディメイド、バカラックを讃える』
選曲:小西康陽
1. バカラック語る〜何かいい事ないか仔猫ちゃん / ウェンディ・カルロス 2. 何かいい事ないか仔猫ちゃん / ロイ・メリウェザー・トリオ 3. ワイヴズ・アンド・ラヴァーズ〜バカラック語る / パーシー・フェイス・オーケストラ 4. 恋よ、さようなら / アンドレ・コステラネッツ・オーケストラ 5. サン・ホセへの道 / レイ・コニフ 6. マイ・リトル・レッド・ブック〜バカラック語る / メル・トーメ 7. イット・ダズント・マター・エニィモア / ザ・サークル 8. ジス・ガイズ・イン・ラヴ・ウィズ・ユー / スパイラル・ステアケース 9. アー・ユー・ゼア / バッキンガムス 10. アー・ユー・ゼア / パーシー・フェイス・オーケストラ 11. ブルー・オン・ブルー / ボビー・ヴィントン 12. ザ・ブロッブファイヴ・ブロッブス 13. 恋よ、さようなら / チャーリー・バード 14. バカラック語る〜恋の面影 / ディーコン・ブルー 15. ウォーク・オン・バイ / モンゴ・サンタマリア 16. バカラック語る〜悲しみは鐘の音と共に / ヴィッキー・カー 17. ウォンティング・シングス / アストラッド・ジルベルト 18. バカラック語る〜世界は愛を求めている / フラバルー・シンガーズ 19.世界は愛を求めている / ニュー・クリスティ・ミンストレルズ 20. ワイヴズ・アンド・ラヴァーズ / ジョニー・デュポン 21. バカラック語る〜遙かなる影
『musique dessinee 01 〜Just a groove!』
選曲:丸山雅生
1. Sky High / The Lee Mason Sound 2. Leve Leve / Pierre Maizeroi 3. Once or Twice / Charlie Hearnshaw Quartet 4. Swearing To God! / Nancy Holloway 5. We Got a Good Thing Going On / Pacific Express 6. Jockey Disc / Claude Dauray 7. When She Smiles / Harold Danko 8. Words of Love / Bubble Bus 9. Sei Sbagliato e Non Lo Sai / Elaiza Romero 10. Sweet Maryline / Christian Gaubert 11. Malinconica Serenita / Ennio Morricone 12. I'm Gonna Miss You / Oh! Penelope 13. For All We Know / Marva Broome 14. Live It Down / Medicine
『Cafe Apres-midi Olive』
選曲・橋本徹 (POCY1006/廃盤)
寺田:コンピといえばもうこの方ですね。橋本徹さんが手掛けたカフェ・アプレミディ・シリーズの第一弾「オリーヴ」です。2000年の発売ですね。当時のカフェ・ミュージック・ブームの発端ともなったシリーズですけど、フリー・ソウル・シリーズとは趣が異なっていて、DJ的な目線がメインではなくて、ゆったりと聴けるようなブラジル音楽やジャズ、それにシンガー・ソングライターとか映画音楽まで選曲の幅も広いですよね。だからはじめてこの「オリーヴ」を聴いた時、自分の趣味にぴったりはまったんですよ。カフェ・アプレミディ・コンピはこの後たくさん出されましたが、この「オリーヴ」を選んだ理由は、シリーズの第1弾だったのでおそらく橋本さんの一曲一曲に対する思い入れが特に強いのでは?と感じたからです。
山本:選曲に関して言えば、さらに北欧とかヨーロピアン・ジャズ、ラテン、ブリティッシュ・ビート、ソフトロックも入っていているから、当時サバービア・スイートを読んでいたファンにはたまらなかったですよね。
寺田:当時カフェ・ミュージックっていうとやっぱりボサノヴァとかジャズとか、そういう風なイメージがあったじゃないですか。でも橋本さんの選曲の中にはジョージ・フェイムとかスパンキー・アワ・ギャングといったポップスも入っていて、そういうのが他の曲と違和感なく並んでいるし、曲と曲とのつながりの心地よさはフリー・ソウル以上に感じました。それに74分の選曲の中で流れを作るという技術がすごいなぁとも感じました。
山本:これだけ良い曲ばかり入っているから、これを嫌いな人なんかいませんよ。しかもコアな音楽マニアも、ライトな音楽ユーザーもみんな楽しむことができるって幸せなことだなぁ、と改めて感じました。
『音楽のある風景〜春から夏へ〜』
選曲・橋本徹 (RCIP0127)
山本:もちろん僕も、橋本さんのコンピはフリー・ソウルもカフェ・プレミディも絶対に外せないんですけど、今回はあえてこの『音楽のある風景〜春から夏へ〜』を。橋本さんが2009年にアプレミディ・レコーズというレーベルを始めて第1作目のコンピですね。それまでのシリーズと違うのは2000年以降の楽曲にスポットがあたっているところで、どれもあまり知られていないけど良い曲ばかりです。
寺田:このシリーズは季節の変わり目になると発売されるんですよね。これ以前に作られていた『ジェット・ストリーム』シリーズでは季節ごとに区切った選曲で、それも良かったんですけど、このシリーズは新しい季節へ向う感じが新鮮でしたよね。だんだん夏が近づいていく感覚が選曲に表れているし、音楽を聴くことでその時のシチュエイションをイメージするのを、的確に形にしてくれている気がします。
山本:人って何かが移り変わる瞬間に、感受性が高ぶるじゃないですか。そういう時に聴いた音楽は必ず記憶に残りますからね。フリー・ソウルやカフェ・アプレミディのシリーズが始まった頃に感じた、あの独特の高揚感というか胸騒ぎがこのコンピにもあるんですよね。特にジャジナリア・クァルテット〜アンジェリタ・リー〜グラジーナ・アウグスチクの冒頭3曲の流れは何度聴いても言葉になりませんね。
寺田:これだけ長きにわたってコンピを作っているから、作品を聴くことでその当時の橋本さんの選曲スタイルがわかるのも興味深いですよね。このコンピもそうですし、今の時代のBGMに何を流せばいいのか、というアンテナが敏感で、空気の読み方が本当にすごいなとリリースの度に感じます。
『Cafe Apres-midi Olive』
選曲:橋本徹
1. Que Pena / Gal Costa 2.Round Trip To Rio / The Pete Jacques Orchestra And Singers 3.Samba Blim / Tamba 4 4.Hor Min Samba / Lill Lindfors 5. Sunny / Oscar Peterson And Orchestra 6. Day By Day / Bossa Rio 7. Frevo Rasgado / Gilberto Gil 8. Chansons Des Jumelles / Michel Legrand 9. Goodbye Sadness / Astrud Gilberto & Walter Wanderley 10. Stormy / The Third Wave 11. Like To Get To Know You / Spanky And Our Gang 12. Aguas De Marco / Elis Regina & Tom Jobim 13. Flash Back / Nara Leao 14. Aquarela Do Brasil / Joao Gilberto, Gaetano Veloso, E Gilberto Gil 15. Whistle Samba / Luiz Bonfa & Maria Toledo 16. Taxi Driver / Joyce 17. Rei Morto, Rei Posto / Edu Lobo 18. Jamais Trois Sans Quarte / Brigitte Bardot 19. Eso Beso / Georgie Fame 20. California Soul / Wilson Das Neves 21. Troublemaker / The John Cameron Quartet 22. Whisper Not / The Knut Kiesewetter Train 23. Who Needs You / Claudine Longet 24. Yesterday Yes A Day / Jene Birkin 25. Bridges (Travessia) / Milton Nascimento
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『音楽のある風景〜春から夏へ〜』
選曲:橋本徹
1. Pippo Non Lo Sa / Jazzinaria Quartet 2. Close To You / Angelita Li 3. So Reminding Me / Grazyna Auguscik 4. You Are The Sunshine Of My Life / Irene Kral 5. Love Is Stronger Than Pride / Lincoln Briney 6. Passion / Johan Christher Schutz 7. Summer Samba / Anne Thomas 8. Long Time No See / Helen Sheppard 9. Time To Send Someone Away / Jose Gonzalez 10. Like A Lover / Carla Cook 11. Two Kites / Jo & Tuco 12. All The Things You Are / Peter Fessler 13. Incompatibilidade De Genios / The Diane Marino Quartet 14. Dangerous / Sweetmouth 15. Stormy Weather / Liz Fletcher 16. By Your Side / Carla With Akio 17. Comme D’habitude / Claire Chevalier
『NAGARA MUSIC: WINTER』
選曲・堀込高樹 (UCCU1080/廃盤)
寺田:たぶん廃盤だと思うんですけど。キリンジの堀込高樹さんが選曲したコンピです。2005年の発売ですね。冨田恵一さん選曲の「SUMMER」編もありました。これは高樹さんの趣味が出まくっている内容で、僕もキリンジのファンなので必然的に共感のもてる選曲になる、と。これもユニヴァーサルの音源を使っているんですけど、例えばマルコス・ヴァーリの「She Told Me, She Told Me」は僕もとっておきの1曲だからよくぞ選んでくれた、みたいな親近感もあります。きっとこのコンピを買う人って、ほとんどがキリンジのファンだと思うんですけど、そういう音楽ファンがこのコンピをきっかけに良い曲と出会えればとてもいい事だなと思います。
山本:キリンジのファンは音楽に対しては敏感ですし、ジャンルや知識といった概念から入らずに純粋に良い音楽と出会えるから、新たなる音楽の入り口としては最高ですよね。店頭ではヴァリアスのコーナーではなくキリンジのコーナーに入れた方がいいですね。
寺田:僕自身も好きなアーティストが好きな音楽というものを聴いてきたし、こういうコンピって好奇心を満たしてくれますよね。ヒット曲とか代表曲とか関係なしに、隠れた名曲のようなものだけを選んでくれていたりしますから。そういう曲を気に入ると、アーティストに対する好きな度合いもぐっと高まりますよね。
山本:マーク・ジョンソンからNRBQ、そしてケニー・ランキンへの流れなんて、ある意味、確信犯ですよ(笑)。つまり最高ってことなんですけど。
『BOUNCIN' A LITTLE』
選曲・宇田和弘 (OMCX1108)
山本:たぶん知っている人は少ないと思うんですけど。2003年にオーマガトキから発売されたコンピで、選曲は音楽評論家である宇田和弘さん。収録されているのはワーナー音源ばかりで、いわゆるアコースティック・スウィングと呼ばれる、60年代から70年代のジャジーで洗練されたフォーク・ミュージック集ですね。
寺田:宇田さんってこれ以前に鈴木カツさんと一緒に『アコースティック・スウィング』の本を出していますよね。たしかジョン・ミラーが表紙の。(ジョン・ミラー再発されないかなぁ…)
山本:そうですね。ちょっとアコースティック・スウィングがブームになった頃で、ルー・ロンドンとか再発されたりして。今でも僕はこういった類の音楽が好きなんですけど、アルバム単位でがっつり聴いたりする機会はほとんど無くなりました。それで、こういう良い曲ばかり入っているコンピは、ついつい流したくなるんですよ。ダン・ヒックスとかライ・クーダーとかマリア・マルダーとかは、もちろん入っていて、僕的にはモーズ・アリソンとかマンハッタン・トランスファーの選び方も嬉しくて、しかも何気にマデリン・ペルーを忍び込ませているところもポイントです。コンピの中にちゃんと系譜が出来上がっていますから。
寺田:ハーパース・ビザールとかも選んでいて面白いですね。これは知らなかったなぁ、早速探してみます(笑)。
『NAGARA MUSIC: WINTER』
選曲:堀込高樹
1. 冬の日には / セルジオ・メンデス&ブラジル'66 2. ピースフル / ケニー・ランキン 3. ムーン・シャドウ / キャット・スティーヴンス 4. ディンギー・ドング・デイ / マーク・ジョンソン 5. イエス、イエス、イエス / NRBQ 6. メヌエット / ケニー・ランキン 7. ホエン・ウィル・アイ・フォーゲット・ユー / チャーリー・ヘイデン 8. ミケランジェロ・アントニオーニ / カエターノ・ヴェローゾ 9. イゾベル / ビョーク 10. リヴァー・マン / ニック・ドレイク 11. フリーフォール / バート・バカラック 12. ルッキング・スルー・ジ・アイズ・オブ・ラヴ / マーリナ・ショウ 13. シー・トールド・ミー、シー・トールド・ミー / マルコス・ヴァーリ 14. ひとりぼっちのあいつ / カーペンターズ 15. チルドレンズ・プレイ・ソング / ビル・エヴァンス 16. ホエン・イット・レインズ / ブラッド・メルドー
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『BOUNCIN' A LITTLE』
選曲:宇田和弘
1. ブーガルー・ジョーンズ / ダン・ヒックス 2. ディティ・ワ・ディティ / ライ・クーダー 3. ジー・ベイビー,エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー / ジェフ・マルダー 4. スコッチ・アンド・ソーダ / マンハッタン・トランスファー 5. ユア・マインド・イズ・オン・ヴァケイション / モーズ・アリソン 6. シャンペン・チャーリー / レオン・レッドボーン 7. ウォーキン・ワン・アンド・オンリー / マリア・マルダー 8. ポケットフル・オブ・ミラクルズ / ハーパース・ビザール 9. 嘘は罪 / スティーヴ・グッドマン 10. ブラザー・キャン・ユー・スペア・ア・ダイム / キャシー・チェンバレン 11. サタデイ・ナイト / ハース・マルティネス 12. マディ・ウォーター / マデリーン・ペルー 13. フィドラーズ・ジャンボリー / ダニー・オキーフ 14. 苦難の時 / モダン・フォーク・カルテット 15. ニューオリンズ・シャッフル (インストゥルメンタル) / ジョン・フェイヒィ
「雨と休日」 quiet, slow & gentle music for ordinary day
雨と休日は、「穏やかな音楽を集める」というコンセプトでセレクトされたCDショップです。実店舗は東京・西荻窪にあります。