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子供ばんどニュー・アルバム 『Can Drive 55』 発売記念!うじきつよしインタビュー

2013年4月26日 (金)

25年ぶりの新作『CAN DRIVE 55』で完全復活。子供ばんどの新たな歴史が始まる――。



子供ばんどニュー・アルバム 『Can Drive 55』 発売記念!うじきつよしインタビュー


オーセンティックなハードロックと圧巻のライブ・パフォーマンスによって80年代のロックシーンを席巻、奥田民生をはじめとする多くのミュージシャンに影響を与えた子供ばんどから、何と25年ぶりとなるニューアルバム『CAN DRIVE 55』が届けれた。'11年の活動再開の経緯からニューアルバムの制作プロセス、そして、今後のビジョンまで、ボーカリストのうじきつよしにたっぷりと語ってもらった。


――まず、2013年の活動再開の経緯について教えてもらえますか?

うじきつよし(以下、うじき):子供ばんどのアルバムって、レコードでリリースしたものもあればCDで出してるものもあって、残ってる形式がバラバラだったんですよ。「それをきちんとまとめて、バンドの足跡を残したい」と言ってくれる人がいて、その人から「メンバーも協力してくれないか?」と声をかけてもらったのがきっかけですね。集大成の作品が出るとしたら、自分たちからもちゃんとアピールしなくちゃいけないんじゃないかって。最初はメンバーの間に温度差があったというか、気持ちも状況も違ってたんだけど、それぞれバンドに対してやりきれなかった部分、残してきてしまった気持ちを持っていて、話を続けていくうちに「まずは4人で音を出してみようか」ということになったんだよね。

――メンバー4人で音を出すのは何年ぶりだったんですか?

うじき:ギターの谷平こういち、ドラムの山戸ゆう、ベースの湯川ト―ベンといっしょにやるのは30年ぶりくらいだったかな。やってみたら、思ったよりも違和感がなくて。そこで何かを掴んだと思うし、引き続き温度差はあったんだけど「またやってみてもおもしろいかもね」という気持ちに変わってきて。

――なるほど。うじきさん自身はバンドが活動休止した後、俳優、タレントして活躍していたわけですが、音楽をもう一度やってみようと思ったことはなかったんですか?

うじき:バンドを休止してから10年くらいは「(音楽に関して)自分のできることはやり切っちゃったし、逆さに振っても何も出ねえよ」っていうのが本音だった。ありがたいことに芝居の世界、テレビの世界に引っ張ってくれる人がいたし、とにかくそこでチャレンジしてみようって。実際、音楽からは気持ちが離れていたと思うし…。ただ、しばらくそうやって過ごしているうちに「自分のルーツになってるものは何だろう?」って考える余裕が出てきたんですよね。たとえば最初から芝居をやっている人は、劇団に入って、勉強して、そこから役者を生業にしてたりするじゃない? 僕の場合は、やっぱり音楽なんだよね。バンドで培ってきたもの、音楽から得たことによって、他の場所でも自分らしさを発揮できてるんだなということがわかってきた。そこからですよね、「自分を育ててくれた子供ばんどをぞんざいに扱っちゃいけない」とか「チャンスがあれば、もう1回やってみたい」思うようになったのは。それがたぶん、'98年のワールドカップくらいかな(笑)。

――ソロではなく、やはりバンドだったんですね。

うじき:自分の戻るところはバンドだけだから。もっと言えば、音楽をやりたいということではなくて、仲間といっしょに子供ばんどをやるっていうことがひとつの夢になってたんだよね。あと、「いまだったら、昔とは違うコミュニケーションの取り方もできるんじゃないか」とも思ったし。活動を休止した頃を振り返ってみると「あのとき、こうしてればもっと続けられたかな」とか「あれは俺の責任だったな」と思うこともあったりして。失くして初めてわかることって、やっぱりあるんだよね。

――年齢を重ねたからこそ、気づくこともあるだろうし。

うじき:うん。「またバンドをやりたい」なんて、人には言わなかったけどね。また「俺が俺が」って暴走しちゃったら、結局、昔と同じになっちゃうから。ただ、「もう1回やりたい」っていうオーラが出てたんだろうね。ト―ベンがイベントに呼んでくれたり、「芝居もいいけど、おまえがいちばん輝くのはバンドだよ」って言ってくれたり……あいつもアマノジャクだから、面と向かっては言わないんだけどね。人づてに伝えてくるっていう(笑)。

――不器用なバンドですねえ(笑)。ファンの人たちに対しては、どんな気持ちを持ってたんですか?

うじき:コアなファンのなかには、怒ってるヤツもいたからね。(俳優、タレントとしての活動に対して)「あれはホントの姿じゃない」って失望したヤツもいただろうし。自分も「もう音楽はやらないと思う」って発言してたしね。またライブをやるって決めたときも「ホントに来てくれるのかな?」って心配だったんですよ。こっちも55歳だけど、ファンだってジジイ、ババアになってるわけで(笑)。だから最初に銀座でやったとき(2011年4月、ヤマハ銀座スタジオで行われた復活ライブ)、いっぱいお客さんが来てくれたのホントに嬉しかったね。「待ってました!」って言われたし、“この日を信じてた"って大泣きされたり……。

――期待に応えなくちゃいけない、というプレッシャーはなかったですか?

うじき:まあ、来てくれたヤツらが喜んでくれたから良かったよ。ARABAKI(ROCK FEST)のときはいちばんでっかいステージに出させてもらったんだけど、みんな「良かった」って言ってくれたしね。ただ、後からライブの映像を見ると「いっぱいいっぱいだったな」って思うけど(笑)。力が入っちゃってるし、相当入れ込んでたなって。ただね、昔よりも上手になってるところもあって。俺以外のメンバーは何らかの形で音楽を続けていたし、技術的にアップして、熟練してるところもあるから。それはね、今回のアルバムにも発揮されてる思う。やってるうちに「もっと良くなるんじゃないか」って欲が出ちゃって、ちょっと時間がかかったけど。

――25年ぶりの新作『CAN DRIVE 55』は、まさに“2013年の子供ばんど"が表現されているアルバムですよね。

うじき:とにかく「ノスタルジックなものになっちゃいけない」って思ったんだよね。25年ぶりにアルバムを出すからには、いまバンドをやる意味がないとダメだし、55歳になった子供ばんどの音を作らなくちゃいけないなって。だから、みんなに「曲を書いてよ」って言ったんだよね。それは初めての試みだったんだけど。

――以前はうじきさんの曲が中心だった?

うじき:そう、ほとんど俺が書いてた。俺が曲を持っていって、みんなでアレンジするっていうやり方だったんだけど、今回は4人のカラーを出したほうがいいと思って。結果、僕がメインで書いた曲が2曲、トーベンが2曲、ドラムの山戸が1曲、谷平が4曲、あとは共作なんだけど、全員の曲が入ったのはすごく良かったよね。いままででいちばん、4人の血が濃く出てるアルバムになったと思う。気を抜くところがないから、聴いてて疲れるかもしれないけどね(笑)。

――めちゃくちゃ濃いうえに、子供ばんどのルーツもしっかり感じられて。

うじき:そうね(笑)。そこは恥ずかしがらずに出したというか。やっぱり70年代、80年代のロックが好きだし、そういうテイストは散りばめられてると思う。気づくヤツは笑ってくれよって感じですね。「これ、レッド・ツェッペリンじゃん!」って。

子供ばんどニュー・アルバム 『Can Drive 55』 発売記念!うじきつよしインタビュー


――(笑)。奥田民生さんがプロデュースした「マンモスの唄」も収録されてますが、民生さんとの作業はどうでした?

うじき:あの人はさ、何も言わないのよ。「どうなの?」って訊くと、「いや、イイです」しか言わない(笑)。後で聞いたら、どうやら緊張してたみたいなんだよね。奥田民生と言えば、日本ロック界の重鎮じゃない? そんな人が子供ばんどのレコーディングで緊張してるとは思わないよね、こっちは。あ、でも、谷平がギターソロを録った後、「うじきさんは弾かないんですか?」って言われた。ぜんぜん弾くつもりなかったから「え、弾かなきゃダメ?」って言ったら、「やっぱりうじきさんにも弾いてもらわないと」って。

――そこはもう、民生さんの思い入れですよね。民生さんが子供ばんどをリスペクトしているのは有名だし。

うじき:嬉しいよね。ユニコーン、ジュンスカといっしょに武道館でライブをやったんだけど(‘12年10月に開催された、寺岡呼人氏プロデュースによるイベント「Golden Circle Vol.16」)、そのときの映像を見てたら、民生くんも和弥(宮田和弥/JUN SKY WALKER(S))も高校生に戻っちゃってるんだよね。呼人はもうちょっと下の世代から、みんなが楽しそうにしてる姿を見て、「子供ばんどの存在が改めてわかりました」言ってた。OKAMOTO'Sもいっしょに出てたんだけど、俺らから見たら孫みたいなもんだよ。まあ、あいつらはやってることが古臭いから、何の違和感もなかったけど(笑)。

――確かに(笑)。歌詞に関してはどうですか? オーディエンスに対して、25年ぶりにメッセージを届けることにもつながると思うんですが。

うじき:おちゃらけてるようでも、どこかでメッセージになってるんですよね。そこは70年代を引きずってるというか、“反逆のロック"みたいな部分は譲れないのかな、と。あとはもう、“がんばろう"ってことだよね。陳腐だけど、やっぱり“がんばれよ"っていう言葉は強いと思うのよ。アルバムに付いてるDVDのなかで山戸も言ってるんだけど、聴いたら元気が出る、エネルギーが沸いてくるような音楽になってたら嬉しい。ごく当たり前のことだし、何のヒネリもないけど、最後はそういうことかなって思う。それが大事なんだよ、子供ばんどにとっては。

――他のメンバーの方も、このアルバムには手ごたえを感じてるでしょうね。

うじき:関わり方が濃いからね、以前にも増して。今回はかなりみんなにプレッシャーを与えちゃったけど、大変なこともあるなか、なんとかアルバムが出来上がって…。自分でも気持ち悪いんだけどさ、あのオッサンたちが愛おしかったのよ。「あいつら、がんばってくれたよな。ありがとう、愛を」って。直接は言わないけどね、絶対に(笑)。

――最後に子供ばんどの今後の展開について教えてもらえますか?

うじき:昔みたいにバーンと全国ツアーに出るわけにもいかないんだよね、いまの状況だと。でも、せっかく作ったニューアルバムの曲を聴いてもらえるチャンスは作らなくちゃいけないなと思ってます。新曲、大変なんだけどね。「これ、どうやってライブで再現するんだよ」って(笑)。毎回が貴重なライブになると思うけど、機会があればぜひ会場に来てほしいですね。「こんなオッサンになっても、まだバカなことやってるんだ?!」って笑ってもらえればいいかなって。

(インタビュー・文/森 朋之)

子供ばんど「Can Drive 55」 子供ばんど「Can Drive 55」 :伝説のバンド・子供ばんどの約25年ぶりの新作が完成!結成40周年を迎える彼らの渾身の“大人ロック“は必聴!DVDには結成当初から現在までのメンバーが見れる秘蔵映像集。
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