LINKIN PARKのあの日、あの時 最終回 『LINKIN PARKのあの日、あの時』へ戻る

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2013年4月18日 (木)


新作『LIVING THINGS』発売!そして、今後も続くLINKIN PARKの躍進!
文●有島博志(GrindHouse)

 ハリウッドの高級リゾート系ホテルでの新作『LIVING THINGS』全曲試聴会、そしてチェスター・ベニントン(vo) & ロブ・ボードン(ds)組、マイク・シノダ(vo,g,key) & デイヴ“フェニックス”ファレル(b)組への対面取材を終え、数日後に帰国。時期的にすでに2012年5月31日発売のGrindHouse magazine Vol.72の締め切りに突入していたため、早速持ち帰った取材素材を基に記事執筆に取りかかった。それが、右下側にあるものだ。デビュー作『HYBRID THEORY』(2000年)発売から少ししてから登場してもらったVol.9をはじめに、以降2枚目『METEORA』(2003年)、3枚目『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)、4枚目『A THOUSAND SUNS』(2010年)それぞれの発売タイミングの号で表紙に登用してきたので、これで5回目となった。作品の枚数と、表紙登場回数が同じ…つまり作品が発売されるたびにGrindHouse magazineでLINKIN PARKは必ず表紙を張ってきたことになる(DEAD BY SUNRISEとサマソニ参戦で、チェスターがピンで登場した表紙号もあり)。日本の洋楽ロック誌において、これを実践したのは弊誌だけだ。そしてこれは単なる偶然だったのだけど、Vol.72は商業誌形態としての最終号となった。数年前から「雑誌形態を進化させたい」と思っていたことを次号Vol.73 & 創刊12周年記念号で商業誌形態からフリーペーパー化したのだ。決して意図したことではなかったけど、これまた今感慨深く思う。

GrindHouse magazine Vol.9
海外出張禁止令が出ているときに強行した現地対面取材、写真撮影の素材をフルに使った初表紙登場号。絶版
GrindHouse magazine Vol.17
『METEORA』発売時の表紙登場号
GrindHouse magazine Vol.42
『MINUTES TO MIDNIGHT』発売時の表紙登場号

GrindHouse magazine Vol.55
DEAD BY SUNRISEとサマソニ参戦2009でチェスターがピンで表紙登場号
GrindHouse magazine Vol.62
『A THOUSAND SUNS』発売時の表紙登場号
GrindHouse magazine Vol.72
『LIVING THINGS』発売時の表紙登場号

 新作は6月20日に全世界同時発売された。発売初週で世界17ヵ国のチャートで1位を奪取、12ヵ国でトップ5以内に飛び込んだ。日本は総合チャートでaikoの10枚目『時のシルエット』に次ぐ2位で、洋楽チャートで堂々1位に輝いた。音楽市場の縮小が声高に叫ばれるなかでのこのチャート・パフォーマンスはひとえにさすがだし、前作『A THOUSAND SUNS』発売時のそれより明らかに炸裂感、躍動感があった。わかりやすく、覚えやすい「Burn It Down」を先行シングル曲に選び、リリースしたのも大きく、もろ追い風となった。ご存知のとおり、新作発売タイミングでLINKIN PARKは活動キャリア上初のプロモーション来日をしている。テレビ朝日系列で6月22日生放送の音楽番組『ミュージック・ステーション』に出演し、「Burn It Down」を生演奏するのが、その主な目的だった。ブラッド・デルソン(g)が病気で同行できなかったため代役がプレイしたのだけど、演奏中に音響トラブルがあったのは承知のとおり。その原因には諸説あるのだけど、自分は現場にはいってなかったので、本当のところはわからない。それ以来なかなかLINKIN PARK来日決定!の報が聞こえてこず、一時は「いったいどうしたんだろう?」と気を揉んだものだけど、それからしばらくして今夏開催サマソニ参戦がアナウンスされ、通算9度目となるライヴ来日までもうすぐだ。新作も我が国で今日までに15万枚以上売れている。このセールスは本国アメリカ、ドイツに次ぐ世界3番目のもので、同位でイギリスと張り合っている。期待し、思い描いていた作風、方向性の違いが大きな要因となり、前作で“ファン離れ現象”が顕著に起きた、と前にこの連載に書いた。新作発売に際して当初、それを懸念する声が正直あらゆる方面から聞こえてきてたけど、そんなことはどこ吹く風だ、いざフタを開けてみればこの結果、実績だ。さすがLINKIN PARKだし、こういった点もまた、このバンドのすごさのひとつである。

 上記プロモ来日時はレコード会社の意向によりTV、新聞といった大メディアに限り取材を受けつけたので(これはロサンゼルス現地取材のときから言われていた)、LINKIN PARKの面々とはかれこれ1年近く会っていないし、当然のごとく取材もしていない。それゆえ、これ以上連載を続ける新しい話を自分は持ち合せていない。よって、この“有島博志/GrindHouseだけが書ける現場目撃秘蔵ストーリー〜LINKIN PARKのあの日、あのとき〜”は今回で最終回となる。

 この連載をスタートしてから気づけば早1年以上経つ。こうしたストーリー連載を執筆するそもそものきっかけはLINKIN PARK、MARILYN MANSONTHE OFFSPRINGといった“ビッグ・ネーム”がほぼ同時期に新作を発売するにあたり、仕事で「これまでにやったことがないことでなにか新しいことはできないか?」とふと思ったことにある。そんなとき、とある人から「そういうアーティストの取材やライヴ観戦で頻繁に現場にいってるわけですからいろんなことを目撃し、聞いたりしているんでしょうね。だけど、そのすべてを雑誌やCDのライナー・ノーツに書いたり、ラジオやTV番組などで話したりはできてないでしょう」と言われ、「ん? そう言われてみりゃ確かにそうだな…」と妙に納得。で、まずLINKIN PARKでそれまでに実施した取材の素材を見つけられるだけ見つけ出し、机上に置いた。それはまさに山積状態で、PCにデータで保存してある素材も含めると膨大な量に上った。そのひとつひとつを順番に目を通していくと、面白いようにそのときの光景や相手の表情や状況などがふぅ〜と浮かんできた。で、思った。「もしかしたら、みんなに興味を持ってもらえる記事が書けるかもしれない」と。実際書き出してみると、それはそれまでの自分自身の仕事のキャリアの発掘作業にも近いもので、可能な限りはるか彼方から記憶を正確に呼び覚ますこと、それと事実との照合。その戦いのようでもあった。それがバッチリ合うときももちろんあった。若干ズレてることなんてしょっちゅうだった(笑)。そして、気づいた。この10年以上において、かなりの回数LINKIN PARKを取材している、ということを。RED HOT CHILI PEPPERSGREEN DAYTHE PRODIGY、THE OFFSPRING、MARILYN MANSON、KORNLIMP BIZKITSLIPKNOT…などにもその間並行して何度も何度も取材をしてきているけど、その頻度はLINKIN PARKの比ではない。

 それだけに数多くの現場を経験し、いろんなことをやった。事前アポなしでいきなりツアーバスのドアをノックし、メンバーと初めて接触、その流れで写真撮影もやった。911対米同時多発勃発で海外出張禁止令が出ていたにも関わらず、それを無視するだけでなく、周囲の制止をも振り切ってアメリカに飛び、対面取材と写真撮影を敢行した…etc.。ときにそれは“ご法度”であり、また“暴挙”でもあったと思う(苦笑)。胸を張って堂々と言えることではないけど、そういったことを決して誰かにお願いされ、頼まれたわけではない。なによりも自分がそうしたかったし、「次の機会に…」ではなく、“そのとき”を見(観)て、聞(聴)いて、ということにとにかくこだわり、それらを持ち帰り、限りなく“生の情報”としてオンタイムでGrindHouse magazineなどのメディアを介して日本の音楽ファンに伝え、届けたいという一心からだった。

 こういうふうに思わされ、突き動かされたLINKIN PARKのようなバンドに今後再び出会えるだろうか? とときに頭をよぎることがある。もし仮に出会えたとしても、そんなに滅多にはいないだろう。それだけLINKIN PARKが自分に浴びせかけた衝撃、衝動、喚起力、感動などには凄まじいものがある、と断言できる。そういうバンドに出会えたこと、そして自分の取材などのリクエストに応え続けてくれていることに心から感謝する。この連載は今回で終了となるけど、当たり前ながらなにも自分がLINKIN PARKのファンをやめるわけではないし、今後も機会さえあれば引き続き取材もしていきたい。そして、これまでとは違う形でその取材の模様をみんなにお届けしたいと思っている。

 長いことこの連載をご愛読いただき、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。10-FEETは引き続き連載中です。こちらの方もご愛読よろしくお願いします。

GrindHouse代表 有島博志


■■■ 有島博志プロフィール ■■■

80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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