MARILYN MANSONのあの日、あの時 最終回 『MARILYN MANSONのあの日、あの時』へ戻る

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2012年12月30日 (日)


新作『BORN VILLAIN』発売、そしてマンソンのまとめ
文●有島博志(GrindHouse)

 マンソンにとって、かつての“好・音楽パートナー”だったツイッギー・ラミレス(b,g,vo)が2008年1月、なんの前触れもなくMARILYN MANSONに電撃復帰したことは、連載前回に書いたとおり。それまで楽曲制作面、プロデュース面、ライヴ&スタジオでのプレイ面でマンソンを常々好サポートし、よりよく引き立たせるべく、まさに八面六臂の活躍をしてきたティム・スコルド(g,vo,vo)は半ば追われる形でバンドを去らざるを得なかった。遡ればインダストリアル・ミュージック界で今なお根強い人気を誇り続けるKMFDMと、その一時的な異編成版となったMDFMK時代、そしてMARILYN MANSON時代と、ティムのそれぞれのプロジェクトでの音楽的貢献度、尽力度は計り知れなくデカい。才能に満ちあふれ、音楽センスも抜群にいい、傑出したアーティストだ。

 そのティムがマンソンと袂をわけてから少ししてKMFDMの“総帥”サッシャ・コニエツコ(vo,synthesizer,programming)と再度タッグを組み、2人ユニット、SKOLD vs KMFDMを興した。そして、セルフ・タイトル冠したコラボ作『SKOLD vs KMFDM』(2009年/日本盤未発売)を出したことをきっかけに接触したことがある。2009年12月のことだ。ティムはスウェーデンの小都市ジョブデの生まれだけど、マンソンとの活動を機にロサンゼルスのセンチュリー・シティに移り住んでいる。接触したときは、ちょうど初ソロ・アルバム『ANOMIE』(2011年/同)制作のただ中にあった。ミュージシャンの間での“人物評”はハッキリわかれるのだけど(笑)、指定された日本食レストランで会ったティムはとても気さくで協力的な人との印象を得た。下にあるのが、そのときのティムの写真だ。

ティム・スコルド

 会話が弾んでいくうちに、ティムはマンソン時代の話もしてくれた。
「SOFT CELLのカヴァー“Tainted Love”を一緒にやり、映画『NOT ANOTHER NOT TEEN MOVIE』(2001年/日本劇場未公開)のサントラに提供したのが最初で、それがきっかけとなり、『THE GOLDEN AGE OF GROTESQUE』(2003年)にも参加し、その後も一緒にいろいろなことをやったよ。だけどマンソンっていう人間はアーティスト気質が非常に強い人だから、時々行動をともにするのが困難になることがあるんだ。で、今に至るっていうわけさ(苦笑)」

 約5年間ほどマンソンの傍らにいて、一緒になってクリエイティヴィティを追求し、形にしてきたティムが言うだけあって、その言葉は非常に重く、説得力のあるものだった。

 ティムに直接会見してからさほど時間が経ってない頃だったと記憶する。マンソン絡みの、まさにビックリ仰天ニュースが世界中を駆け巡った。「マンソン、所属のInterscope Recordsより離脱!!」だ。“マンソン= Interscope”に近いイメージを抱いていただけに、この一報にはかなり驚かされた。ずいぶん前のことだけど、ロサンゼルスにあるInterscopeのオフィスを訪れたことがある。MARILYN MANSONをはじめ、その先輩格にあたり、MARILYN MANSONと同社との橋渡し役も務めたNINE INCH NAILS、RED HOT CHILI PEPPERSやFAITH NO MOREとはまた違う、まったく独自のスタイルを誇る“ミクスチャー・ロックの始祖的バンドのひとつ”PRIMUS、「What's Up」をスマッシュヒットさせたオルタナティヴ・ポップ・ロック・バンド 4 NON BLONDES、一時は「NIRVANAへのUKからの回答」と揶揄されるもその後世界的大ヒットを飛ばしたBUSHなど、個性も、また尖りも際立ったアーティストたちが数多く所属していたこともあって(LIMP BIZKITはまだデビュー前だった)、オフィス内の雰囲気からしてほかのメジャー・レーベルのそれとは違っていた。ストリート・ヴァイブのようなものが、そこにはあった。そのInterscopeにおいて長年、MARILYN MANSONはまさに“顔役バンドのひとつ”として君臨してきただけに余計、離脱はショッキングだった。実はほぼときを同じくして、LIMP BIZKITも同社から離れている。ちょうどミュージック・ビジネス界の再編が派手に起き始めていた時期だったので、“両巨頭”の離脱もそれになにかしら関係があったんだろうか。後日、マンソンはこの件に関して短くこう語っている。

「Interscopeから離れることができて、ようやく自由の身となった。おかげで、クリエイティヴ面においてのコントロール権を完全に手にすることができたよ」

 移籍先は在UKの規模の大きいインディー・レーベル、Cooking Vinylに決まり、次作発売のために傘下にマンソンの自主部門、Hellが設立された。THE PRODIGYも同社所属で、傘下に同じく自主部門、Take Me To The Hospitalを持つ。2011年3月、ついにジンジャー・フィッシュ(ds)が正式に脱退、元NINE INCH NAILSのクリス・ブレンナ(key, synthesizer, programming)がドラムも兼務する形で次作のレコーディングは進められた。マンソン、クリス、ツイッギー、フランク・セイブラン(b,g/元GOON MOON)の4人で完成を見た作品は『BORN VILLAIN』とタイトルされた。そして2012年3月に東名阪巡演の単独再来日公演を終えた後の4月、今作は発売された。楽曲制作は主に前作『THE HIGH END OF LOW』(2009年)発売に伴うThe High End Of Low Tour中に行われ、プロデュースはマンソンとクリスの共同作業だ。

 連載前回に書いたけど、前作は実験性、混沌感が強く、「掴みどころが掴みにくい」と思わされて止まない作風だった。それに対し、今作の作風はまた全然違うものとなった。かつてないくらいパンク・ロック色が前面に出てて、前作の音像とは打って変わってシンプル&ストレートな音作りが貫かれている。3枚目『MECHANICAL ANIMALS』('98年)とは異なる具合でデイヴィッド・ボウイからの影響が随所に色濃く表出している。これまでになかったようなタイプの楽曲もけっこうある。それでもトップを飾る「Hey, Cruel World」を1曲聴いただけで即、マンソンの作品以外の何物でもないことがわかる。この際立った個性の強さ、いい意味でのアクの濃さはさすがだ。「なにを演ってもマンソンはマンソンだ」と感心させられる。ボーナス・トラックとして追加収録されたカーリー・サイモンのカヴァー「You're So Vain」(邦題「うつろな愛」)には、かのジョニー・デップがゲスト参加している。非常に珍しいことだけど、マンソンの父親であるヒュー・ワーナーの今作に対するコメントが某USウェブ音楽メディアに掲載された。

「エロティックな作品。それで十分だろう。新作を聴かせてもらったときに彼(マンソン)にもそう言っていた。とてもハードでヘヴィで、そしてすばらしい作品だ。みなさんにも気に入ってもらえると思う」

 今作は本国アメリカでビルボード200チャートで初登場10位をマークしたほか、世界5ヵ国でトップ10入りを果たすなど、MARILYN MANSON人気が相変わらず世界規模的に根強いことを見事に証明した。先日まで欧米各国を巡演していたROB ZOMBIEとのWヘッドライン・ツアー、Twins Of Evil Tourも大好評のうちに終了し、2013年1月からはヘッドラインによる北米ツアーにも出ることがアナウンスされている。また、今作からの1stシングル楽曲となった「No Reflection」が、2013年度グラミー賞の“最優秀ハードロック/メタルパフォーマンス”部門にノミネートもされているなど、いつ何時も話題には事欠かない。ここもまた、マンソンの得意とするところだ。

 今現在の欧米のロック界の土壌、環境、背景などを考えると、もう二度とマンソンのようないろんな意味で突き抜け、まったく独自の個性、発想、世界観を持つアーティストは出てこないだろう。マンソンこそ、まさに90年代のUSロック界が産み落とした“才に長け、力も備えた異形アーティスト”だ。自分は仕事を介してそういうマンソンに出会え、これまでに何度も取材ができ、ライヴも観られたことで、その時々の“変遷”を近くで経験することができたことをとても嬉しく思う。なかでも2枚目『ANTICHRIST SUPERSTAR』('96年)発売直後の、US東部マサチューセッツ州ボストン郊外での初対面取材のときのことは忘れようにも忘れられない、まさしく一生の思い出だ。現場で取材前にあんなにそわそわし、半ば腰が引けていた自分は初めてだ(笑)。音楽を取り巻く状況、環境が世界的に今以上に厳しくなろうがなんだろうが、マンソンはマンソンであり続け、絶対に変わらない。それがマリリン・マンソンであり、MARILYN MANSONでもあり、またブライアン・ヒュー・ワーナー(本名)なのだから。

 2012年4月にスタートし、約8ヵ月間続いたこの連載も今回で最終回を迎える。みなさん、長いことご愛読本当にありがとうございました。心より感謝します。


■■■ 有島博志プロフィール ■■■

80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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