LINKIN PARKのあの日、あの時 21 『LINKIN PARKのあの日、あの時』へ戻る

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2012年12月23日 (日)


「この音楽、作品をどの言葉をもって、どう紹介しよう」…熟考を要した
文●有島博志(GrindHouse)

4枚目『A THOUSAND SUNS』のフル音源をちゃんと聴くことができたのは、連載前回に書いたロサンゼルスでの現地取材を終えて帰国した、まさにその直後のことだった。確か日本盤ライナーノーツの締め切りまで一週間あったかなかったか、の頃だったと思う。

 レコード会社のオフィスの試聴室で、ひとり密閉型ヘッドフォンをしながら聴いた。1曲目「The Requiem」は、今作のイントロ的な意味合いを持つんだろうと即わかった。しかし、続く「The Radiance」はそのパート2とも、またインタールードとも思える1分にも満たないインスト・チューン。この流れからしてまったくの予想外だったため正直動揺した。「想像していたよりもディープで実験的かも」と。3曲目でやっとチェスター・ベニントン(vo)が歌う実に楽曲然とした楽曲「Burning In The Skies」に出くわしホッとするも、次の「Empty Space」は再び、戦場での交戦シーンを思い描かせるたった18秒のインタールード。それを経てトライバルちっくな「When They Come For Me」へとなだれ込む。まさかLINKIN PARKがトライバルちっくなビートを前面に押し出す楽曲をやるなんて夢にも思わなかったし、その後にはチェスターほかの声を幾重にも幾重にも重ね、穏やかに流れていくような「Roboto Boy」が続いた。この楽曲もまた、それまでにはないタイプのものだ。そして再びインタールードの「Jornada Del Muerto」。インストとクレジットされているけど、「モチアゲテ、トビアガッテ」との日本語詞ヴォーカルが何度か薄らとリフレインする。「なぜスペイン語タイトルなのに日本語詞が出てくんだ?」と頭んなかに“?”が広がった(笑)。

 ボーナス・トラックを除く収録曲15曲のうちの半分ぐらいまで聴き進んだわけだけど、それでも全然、「今作はこういう作風で…」という“着地点”を見出せずにいた。それよりも驚きや意外性の方が断然多く、また強く、この先今作がどういうふうに進んでいくのかもまったく見えず、読めずだった…。

 「Waiting For The End」を聴いたときなんか安心した。それまで聴いてきたどの楽曲よりももっとも“リンキンらしい”と思えたから。続くは「Blackout」。チェスターのシャウト系ヴォーカルが大フィーチャーされ、ところどころで鳴る明るいキーボード音との対比が面白く響いた。次の「Wretches And Kings」は今作中もっともヘヴィなチューンだ。後半、ジョー・ハーン(dj, electronics)によるスクラッチ・プレイが大暴れする。メタル風ギターに聴こえるこのリフは実はギターで出しているんじゃない。“スポークン・ワード”をインタールード的に使った「Wisdom, Justice, And Love」にいき、チェスターの優しく、物悲しいヴォーカルとピアノがメインの「Iridescent」、人声を加工処理した再度のインタールード「Fallout」、1stシングル楽曲「The Catalyst」、そしてチェスターのエモーショナルなヴォーカルと、クリーン・トーンのエレクトリック・ギターと、生ピアノとでの弾き語り「The Messenger」をもって、今作はクロージングする(日本盤にはこの後「New Divide」のライヴ・ヴァージョンがボートラとして追加収録されている)。

 前にも書いたとおり、自分は試聴会などで何度も新音源を聴くということはしない。第一聴時に感じ、そして得た“第一印象”というものを大事にしたいし、その“第一印象”こそが最良のもの、と思って止まないからだ。が、しかし、さすがにこのときばかりはその後2回聴いた。当然のごとく“第一印象”は得ていたものの、それを伝える明確なる言葉や、わかりやすい表現法などをなおも模索していたからにほかならない。意外に思うこと数知れず、まさに最後まで驚きの連続だった。表現法から作風、メロディの響き、楽曲のスタイル…そのすべてが『HYBRID THEORY』(2000年)、『MEREORA』(2003年)、『MINITUES TO MIDNIGHT』(2007年)それぞれのそれらとは向けられているベクトルからして全然異なったし、描かれている世界観もまるで違った。それまで以上に音も作り込まれている。実験的と言えばかなり実験的なのだけど、その言葉ではあまりに安易な気がして、逆に今作の音楽や作風の本質を伝えられないんではないかとも思った。だけど自分が知るLINKIN PARKではない、とは一度も思わなかった。むしろ“前にも増して成長・進化・発展をとげた今現在のLINKIN PARK”と思えた。フル音源試聴後、そんなこんなをあらゆる角度から熟考しつつ数日後に書き上げたのが、日本盤ライナーノーツだ。こういう場だからこそ、かつ後日ゆえに書けることなのだけど、相当難産だった(苦笑)。

 改めて言うまでもなく、LINKIN PARKは『HYBRID THEORY』と『METEORA』の2作品で空前の大成功を収め、瞬く間に世界的人気、地位を不動のものとした。だけど彼らはそこを“音楽的安住の地”とはせず、続く『MINITUES TO MIDNIGHT』でそれまでの音楽的方向性を変えることを決心し、今作で『HYBRID THEORY』『MEREORA』時代から完全に離れることを望んだ。これにはさすがの彼らにですら、かなりのレベルの挑戦を意味し、大きなリスクも伴った、と後日マイク・シノダ(vo.g,key)は認めている。そしてその相当の勇気と覚悟は、今作発売と同時に日本の音楽リスナーたちにもとてつもなく大きな衝撃を及ぼした。今作に対する賛否両論が真っ二つに分かれたのだ。いや、当初は否定的な意見、感想ばかりが目立った…。

 ひとつ記しておきたいことがある。上記「Wretches And Kings」の冒頭に、アメリカ人政治活動家マリオ・サヴィオによる有名な労働者の権利についてのスピーチがサンプリングされている。実はまったく同じスピーチが、インダストリアル・メタル・バンド、FEAR FACTORYの通算3枚目『OBSOLETE』('98年)収録曲「Timelessness」で使われている。両バンドはこのことを知っているんだろうか(笑)。いつか訊いてみたいと思う。


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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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