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"堂島孝平観察日記スペシャル"〜堂島孝平が録音するのを見ている〜

2012年12月21日 (金)


<"堂島孝平観察日記スペシャル"〜堂島孝平が録音するのを見ている〜>


いよいよ1月23日に発売となる、堂島孝平のニュー・アルバム『A.C.E. 2』。

「HMV ONLINE」と「WEB DANA! 〜For Your Poppin' Web Life〜」とのシンクロナイズド企画がリニューアルし、今回からは音源制作に関わるスタッフ2人エンジニア佐藤宏明(molmol)氏とディレクター増沢弘行氏による対談企画、その名も!

"堂島孝平観察日記スペシャル"〜堂島孝平が録音するのを見ている〜

がスタートします!普段なかなか語られることのない、インペリアルレコード移籍以後のいわゆる「A.C.E.」プロジェクトの裏側や、「A.C.E.2」収録曲についてのエンジニア佐藤氏のこだわり、スタッフ2人からみた「堂島孝平」とは?等、貴重なコンテンツになること間違いなし!毎週金曜日に「HMV ONLINE」と「WEB DANA!」にアップされます。お楽しみに!

では第一回目「イントロダクション編」をHMV ONLINEにてお楽しみください!


-「やりましょうよ」といったら「いいね!」とすぐ取り入れてくれたのが新鮮でした-



二人:よろしくお願いします!

増沢(以下M):堂島さんとの出会いは?

佐藤氏(以下S):『VIVAP』を作るにあたり、堂島さんがいままでベテランのエンジニアとばかりやっていたなかで、次は若いエンジニアとやった方が良いという話がでて、VAPのディレクターさんと別の仕事をして気に入ってもらえて、それで声がかかったみたいです。

M:出会う前の「堂島孝平」の印象は?

S:こち亀の「葛飾ラプソディ」、堂本兄弟に出てる人(笑)。あとは尾崎豊みたいにアコギ一本でやっている人という印象でした。

M:『VIVAP』のときはどんな感じだったんですか?

S:結構手探りでしたね。演奏者も今のA.C.E.のメンバーとは違かったし。

M:一作やってみて、手ごたえ、堂島さんの人となりなど、変ったりしたことはありましたか?

S:音楽をめちゃめちゃ知っている人だなということですね。あと、ドラムのミュートとか、結構嫌がられるんですけど、「やりましょうよ」といったら「いいね!」とすぐ取り入れてくれたのが新鮮でしたね。




-シンバルは全くどけて録ったものもありましたからね。-

M:録り方が佐藤さんのオリジナリティというか、今までの堂島さんになかった方程式を佐藤さんが取り入れたというのが『VIVAP』でしたよね。そしてインペリアルに移籍して、ベスト・アルバムを作るにあたって、新曲2曲をレコーディングしました。で、このときからA.C.E.メンバー(小松シゲル / 鹿島達也 / 奥田健介)が決まって、いろんなところで手応えがあって。そういった一連の動きの中で、A.C.E.としてやろうということになり、勿論佐藤さんとも一緒にやろうということになって、そして出来上がったのが、アルバム『A.C.E.』でした。

S:はいはい。

M:それからずっと同じメンバーでやってきて、このプロジェクトの中で出来たのが『A.C.E.2』で。この一連の流れの中でブラッシュ・アップしながらずっと同じスタッフでやってきて、そこにゲストは入ってくるけれど、そういう意味では、集大成というか、『A.C.E.2』というのは現時点での到達点であり、色々なものを精査していきながらやってきた。そういう意味で『A.C.E.』から『A.C.E.2』までの流れみたいなモノはどう感じられていましたか?

S:『A.C.E.』をやっているときは『A.C.E.2』があるとは全く思っていなかったから、バンドメンバーも変わると思ったし、アルバムごとに作風も変わると思ってました。

M:そうですね。実は、当時はまだ勿論タイトルもなかったけれど、堂島さんと『アルバム2枚を制作する迄は、とにかくテンポよくいきましょう。』という話をしてたんです。ひとつのアルバムの印象があまり定着しないまま、次の作品に行ってしまうのではなく、ある程度の期間一連の流れを続けようという話をしていたんです。点ではなく一連の流れで堂島孝平というアーティストを世の中に提示しよう、と。

S:それは初耳!最初から知りたかったな(笑)

M:すみません・・・。でも、『A.C.E.2』になるとは、みんなわからなかったから(笑)例えば、インペリアルに移籍してからを『A.C.E.プロジェクト』としましょう。で、このA.C.E.プロジェクトのレコーディングを佐藤さんが全部やってるんですが、まず堂島孝平×A.C.E.でレコーディングしているとき、佐藤さんはどういう風に向き合って、作業にあたっているんでしょうか?まず、『A.C.E.』制作時は?

S:ん〜・・・『A.C.E.』ではかなり試行錯誤したからね。

M:確かに。『A.C.E.』では何に一番拘ったんですか?

S:音数じゃないですかね。とりあえず、音数は少ないですよね。

M:『A.C.E.』は特にね。

S:ギターは重ねられてないしね。

M:『A.C.E.』のとき、それは相当気にしてたからね。

S:ミキシングで音がどんどん太くなっていくと音数が少ない方が絶対いいし、洋楽っぽくなるからっていうのは、『VIVAP』のときからずっと言ってて。シンバルもそうだし。

M:そういう意味では『VIVAP』よりもA.C.E.プロジェクトの方が理想を実現してますよね。

S:そうですね。『VIVAP』の時は曲も長かったし。

M:『VIVAP』時はちゃんと豪華というか。そういう意味では音数を減らしていく、という意識はかなりありましたね。さっきも出ましたけど、常に洋楽っぽくっていうのはずっと根底にありましたよね。

S:『VIVAP』時には、方向性の話をしたときに、普通にやっても面白くないから、ということで僕が呼ばれたこともあったらから。ヒップホップみたいな曲もあったし。いきなり「ここ長いから間奏短くしましょう」みたいなこともやってたから(笑)。その感じが引き継がれていって、『A.C.E.』になったと思うんで。曲も短いしね。

M:A.C.E.は11曲で36分。

S:3分を越える曲って、あまりないですよね。

M:2分台の曲もあったりして。そういう 洋楽っぽさって、「堂島孝平」が持っていたけど、あまり前面に出さなかった。そこを佐藤さんが引き出してくれてると思うんです。『A.C.E.』では、ドラムとかめちゃめちゃミュートしてたりするじゃないですか。ああいうのは、佐藤さんの得意技というか、手法的に出てくるんですかね。

S:二十歳くらいのときから、ドラムはミュートするっていうのはありましたね。まぁビートルズが好きだったっていうのもあるけど。あとヒップホップが好きだったんですけど、ヒップホップって音の余韻が全部短いんですよ。ビートを効かせなきゃいけないから。日本の音楽ってだいたいミュートをしないで録音するから、ギターもドラムもベースも全部、八分音符で切れなきゃいけないところの後まで、結構残っちゃってて。切っても余韻が残っちゃうんですよ。そうするとせっかく音数少なくしても埋まっちゃってて。タイトじゃない感じになっちゃうんですよね。

M:そう、タイトなんですよね。クールというか。あと、『A.C.E.』の時はシンバルも減らしましたもんね。

S:シンバルは全くどけて録ったものもありましたからね。

M:極端にそういうことやりましたよね。今でも覚えてるんだけど、「あのコ猫かいな」のとき、ドラムのタムを別で録音したんですよね。はじめに最低限のものを録るだけ録って。しかも、ハイハットがないしね。

S:普通にあることをやるのが嫌で。はじめにリハを聴かせてもらったときに、「ハイハットなくてもいいんじゃないのかな」って思って。スネアとキックだけでビートを作るのがここ3、4年、洋楽で流行っていて、そのかわりサビでタンバリンとかが鳴ってるんですけど。それを提案して、やってくれない人が結構いるんだけど、堂島さんと小松さんは「面白いね!」とやってくれたから良かったですね。

M:アイディアの提案しがいがある!タムは別録りしてるから、ミックスのときにタムだけが好き勝手色々いじれる。一緒に録っちゃうと他のドラム音も一緒にあがっちゃうんだけど。この話を聞いて、改めて「あのコ猫かいな」を聴いてもらいたいんですが、あきらかにタムが良い意味で別の場所で鳴っているんですよ。

S:しかもリバーブがついてますからね。モノラルの。




-『A.C.E.2』はバンドっぽいですよね-

M:こういうのが極端にでたのが『A.C.E.』だったと思うんですよね。結構突き詰めていったのが『A.C.E.』で、削ぎ落とし感は半端ないっていう。で、これをやれたんだから、ということで『A.C.E.2』は、このA.C.E.プロジェクトを、より先に進めた作品になっている。『A.C.E.』に比べると、『A.C.E.2』の方がシンバルも鳴っているしね。

:『A.C.E.2』はバンドっぽいですよね。『A.C.E.』のときはまだ「堂島孝平×A.C.E.=バンド」という感じではなかったから。俺もそういう意識もなかったし。A.C.E.のメンバーも堂島さんのバック・メンバーという感じで。途中からこうだんだん、バンドになっていって。そこから意識が変っていったかな。

M:ツアーもがんがん彼らはやってたんで、そういったところで、強靭になっていったグルーブ感などもあって、それを尊重しながらやっていって、『A.C.E.』が成長していって『A.C.E.2』に至るんですよね。ミキシングを行った『A.C.E.2』の音的な印象ってどうですか?

S:外人のバンドっぽいっていうか。ちょっと毛色は違うけど、ヴァンパイア・ウィークエンドとか。ヴァンパイア・ウィークエンドってバンドっぽいけどバンドっぽくないっていうか、洗練されているというか、面白いというか。『A.C.E.』だと、ヴァンパイアっぽくないんですよね。

M:『A.C.E.』と『A.C.E.2』ってソロとバンドみたいな違いはありますよね。経験則を積んだ強みみたいなのがね。ここはあいつ、ここは俺、っていうバンド的な駆け引きがあったり、ここは一斉みんなでにいくぞ、みたいなのがあったり。

S:今回は録るの速かったしね。


-「お願いだからラフ・ミックス(ミックス前の音源)を参考にしないで!これから曲が劇的に変化するから!」って-

M:でもミックスは長かった・・・。このプロジェクトって録るのはいつも異様に速い。録音後のミックスにこれだけかけるっていうのは、他のプロジェクトでは聞いたことないですかね。社内の人にも言うんですよ、「お願いだからラフ・ミックス(ミックス前の音源)を参考にしないで!これから曲が劇的に変化するから!」って。

S:ラフミックスではあったドラムがいなくなったりとか(笑)

M:そう、アウトロにいきなりピアノが入ったりとか。もう曲のイメージがガラッと変っちゃうから、あんまりラフミックスは参考にしないでくれって言ってたんです。このA.C.E.プロジェクト、佐藤さんの妙というか、醍醐味が最も出るのがミックス作業だと思うんです。バンドの音が入り、ダビングモノが入り、歌が入り、それからミックスに臨むんですけど、堂島さんと佐藤さんはそこからもう一回レコーディングしているようなものなんですよ。いきなりドラムが抜けたり、ベースがいなくなったり。もしくは堂島さんがミックス日なのにいきなりギターを持って来て、録音しながらミックスするとか。

S:抜き差しってやつですよね。

M:そう、抜き差し。ミックス作業で、イントロが増えたりっていうのは結構ありますよね。


■佐藤宏明(molmol)氏:エンジニア
1978年生まれ、1997年からアシスタントエンジニアを開始。2000年、22歳でフリーランスに。スチャダラパー、SLYMONGOOSE、TOKYO No.1 SOUL SET、YOUR SONG IS GOOD、他を手掛ける新進気鋭のエンジニア。堂島孝平とはアルバム「VIVAP」から共に作業をしている。

■増沢弘行:ディレクター
堂島孝平のディレクター。2011年に現メーカーに入社するや堂島孝平の移籍を実現させる。

さて、次週からは「A.C.E.2」にぐっと迫って行きます!ご期待下さい!


WEB DANA!との連動企画!
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