MARILYN MANSONのあの日、あの時18 『MARILYN MANSONのあの日、あの時』へ戻る

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2012年12月1日 (土)


自身キャリア初のベスト盤〜6枚目『EAT ME, DRINK ME』発売!
文●有島博志(GrindHouse)

 連載前回に書いた『THE GOLDEN AGE OF GROTESQUE』(2003年)に続くオリジナル・アルバムは6枚目『EAT ME, DRINK ME』(2007年)となる。実はちょうどその間の時期にベスト盤『LEST WE FORGET:THE BEST OF』が2004年9月に発売されてる。

 ベスト盤発売の情報が洩れ聞こえてきたとき、「なぜ、この時期に?」というのが正直な印象だった。時期的にも、前作発売に伴うGrotesk Burlesk Tourのただ中にあり、引き続きの前作のプロモーション期間中でもあっただけになおさらだ。残念ながら当時その詳細を知ることはできなかったのだけど、それからしばらくしてわかった。MARILYN MANSONのメジャー・デビューに関して、NINE INCH NAILSのトレント・レズナー(vo,g,key,synthesizer)の大協力、大尽力が大きくものを言ったことは有名だ。その頃トレントはUS南部ルイジアナ州ニューオーリンズに住んでおり、NINE INCH NAILSのも含めた数々の先鋭性の高い作品を生んだナッシング・スタジオを所有していた。もちろん、レーベル部門のNothing Recordsの本拠地もそこに置かれていた。しかし、レーベルはトレントが、取締役としての義務の不履行と不正業務で共同設立者のジョン・マルムを訴えたことを機に消滅してしまう。これをきっかけに、トレントとマンソンとのビジネス関係も終わり、マンソンはInterscope Recordsとのフル契約にシフトした。こうした “ひとつの節目的事情”がベスト盤発売の裏にあったのだ。

 選曲は『PORTRAIT OF AN AMERICAN FAMILY』('94年)、『SMELLS LIKE CHILDREN』('95年)から前作までの計6作品からの楽曲と、MARILYN MANSON名義でのサントラ提供曲やカヴァー楽曲で構成された。初回生産限定盤にはDVDもついていて、それまでに製作された全PVが収められていた。また日本盤の初回生産限定盤は大盤振舞で、8曲入りのリミックス・アルバムがボーナスCDとしてついていた。

 話をまたトレントに戻す。レーベル閉鎖も大きな理由のひとつになったに違いない、彼はニューオーリンズを引き払い、ロサンゼルスに移り住むことを決めた。それに伴い、“インダストリアル/エレクトロ・ミュージックの聖地”とも言えたナッシング・スタジオも閉鎖された。それを意図するメッセージ“Nothing Studios 1994-2004”が、ベスト盤発売の直前にNINE INCH NAILSのウェブサイトにupされた。そうした数々のことがあったことで、後にマンソンはこのベスト盤を“さよならアルバム”と呼んだ。

 ベスト盤発売によりツアーは延長された。ツアー・タイトルも途中からGrotesk Burlesk TourからAgainst All Gods Tourに変わった。その最中に出演したドイツのTV番組で、ジンジャー・フィッシュがドラム台から落下、頭蓋骨と手首にヒビが入るという大ケガを負った。が、彼の代役を元NINE INCH NAILSのクリス・ヴレンナが務め、ツアーを乗り切った。ケガが癒えたジンジャー・フィッシュはバンドに復帰する前に、自己の新バンドMARTYR PLOTを結成し、レコーディングとライヴを行ったものの、その音源はいまだに未発表のままだ。

 そうした経緯を経た2007年6月、『EAT ME, DRINK ME』が発売された。本国にて初週で9万枚弱売り、USチャートで初登場8位にランクされた。世界16ヵ国でチャートのトップ10入りを果たし、トルコとエストニアで1位に、韓国で2位に輝いたという、それまでになかった現象も見られた。スタジオつきの家をハリウッドに借り、楽曲のすべてがマンソンと前作から正式参加したティム・スコルド(b,g)によって書かれ、2人だけでレコーディングもされた作品だ。MARILYN MANSONのそれまでのキャリアにおいて、こうした体制で制作された作品は今作が初めてだ。ケガが癒えた上記ジンジャー・フィッシュも、バンド活動に興味を失いかけていたマドンナ・ウェイン・ゲイシー(key)も、当時はまだ正式メンバーだったものの不参加だ。マドンナ・ウェイン・ゲイシーは後に脱退、上記クリス・ヴレンナがドラムではなくキーボード・プレイヤーとして正式参加する。マンソンが考えるセレブリタリアニズムがテーマで、マンソンその人こそがコンセプトになっている。アルバム・タイトルは、作家ルイス・キャロルが創造した有名な児童文学『不思議の国のアリス』に登場する一節であり、同時にこんな説もある。ドイツで実際に起きた事件らしいのだけど、自分を食べてくれと広告を出し、本当に食べられてしまった話からインスパイアされたというものだ。今作について、マンソンはかつてこう言った。

「今作は、自分の人生において極めて重要な作品だ。ここには自分の人間性、傷つきやすい面が表れていて、それにはルイス・キャロルの作品に通じるものがある。また、今作は自分のライフワークの象徴でもある。人は常に変身していかねばならない。さもなくばアーティストとして続けていくことはできない。ゆえに今作は自分にとって最大の変身作だと言える。そして自分とはどんな人間か、日々なにを感じているかを代弁した作品でもある。今作で、自分はシンガーでありたいと思った。むき出しの心で歌いたいとも思った。正直で、計算など一切ない、イカれていてもそれを恥じていない、生の自分自身をうまく出せたと思う」

MANSON'S SINGLE COVER GALLERY

「HEART-SHAPED GLASSES(WHEN THE HEART GUIDES THE HAND」 (2007年)
今作からの先行シングル2曲入りで、うち1曲は表題曲のリミックスヴァージョン。PVも観られる。ジャケに使われてる写真は、今作発売時に撮られたプロモーション写真のひとつ。今作のジャケに使われているマンソンも物悲しさ満載だけど、このシングルのジャケ写真もまた、同様だ。

 本人が「自分にとって最大の変身作だ」と断言しているだけあって、今作の音楽性も作風も、それまでのそれらとはかなり異なる。まぁ、少し乱暴な言い方をすれば“マンソン歌えば、すなわちすべてマンソンの音楽、作品”なわけだけど、それでもそれまでとの違いはかなり大きく、過去のどの作品と比べても近いとか同系とかの類がない。前作で再び戻ってきたヘヴィなインダストリアル・ミュージック風味は見事なまでに一掃され、逆に非常にオーガニックでシンプルな音像が始終貫いている。メランコリックでロマンチックで、常に“影”を忘れないロック・アルバムだ。“歌もん”っていう言い方は好きではないけど、先のマンソンの発言にもあるように、相当ヴォーカルに重きが置かれているのは事実で、楽曲によってはティムによるギター・ソロがフィーチャーされていることもあり、けっこうオーセンティックなヴァイブもある。個人的には大好きな作品であり、ホントによく聴いた。なかでも「Heart-Shaped Glasses(When The Heart Guides The Hand)」は“名曲”だ。『ANTICHRIST SUPERSTAR』(96年)、『MECHANICAL ANIMALS』('98年)、そして前作と併せて、ぜひ聴いてほしい作品だ。



MARILYN MANSON 関連タイトル!

唐突だけど、“必聴作”だ。90年代中盤を始まりとした、いわゆるヘヴィ/ミクスチャー・ロック・ムーヴメント隆盛時において絶対にスルーできない、ロサンゼルスに活動基盤を置いた4人組によるメジャー・デビュー作。独特な“跳ね感”を強烈に放つウェイン・スタティック(vo,g,programming)のヴォーカル、そのウェインと福田耕一によって刻まれる重厚で尖りまくったギター・リフ、MINISTRYNINE INCH NAILSSKINNY PUPPY直系のインダストリアル・ミュージック風味なプログラミング、そして重量感、疾走感ともに満載なビートが一緒くたになってたたみかけてくるさまはカッコいいの一言につきる。当時、彼らは自らの音楽を“イーヴィル・ディスコ”と呼んでいた。
文●有島博志(GrindHouse)

MARILYN MANSON 最新作ニュース

■■■ 有島博志プロフィール ■■■

80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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マンソンが“さよならアルバム”と呼んだベスト盤

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