LINKIN PARKのあの日、あの時 19
2012年11月25日 (日)
『A THOUSAND SUNS』(2010年)からの先行1stシングル楽曲「The Catalyst」第一聴時に得た率直な印象――。この楽曲、音楽が単純にいいのかそうじゃないのか。本当にLINKIN PARKらしいものなのか否か。はたして聴いていて自分が楽しめ、気持ちよくもなれるのか、そうじゃないのか。そのどちら側に転ぶにしても、この一曲しか手元になかった(っていうか、当時はまだ、今作は絶賛制作のただ中にあった)などあまりに新音源情報が乏しかったゆえ、どこか煮え切らない、イヤ煮え切れないような想いを強く感じていた。
自分は昔っからこう想っている。こんなことを書いたら元も子もないのだけど、本来音楽のスタイルや色合い、そしてそのよし悪しなどを言葉や文章によって表現し、伝えようとする、っていうのはとても抽象的なことで、どこかに無理も限界も伴う、と。
正直、「The Catalyst」第一聴時、どの角度からどういう言葉をもって紹介し、伝えていいのか、全然ピンとこなかった(苦笑)。その後も何日間か思いを張り巡らせ続けてみたものの「よっしゃっコレだっ、bingo!!」となることがついぞ思い浮かばなかったので、一旦考えるのを強制終了した(笑)。連載前回に書いた、チェスター・ベニントン(vo)の“次作はこんな感じ”風コメントは確かにちっちゃなヒントや参考にはなったけど、「音楽がね、けっこうクレイジーになっている(笑)」と言われたものの、「どう、クレイジーになってんだか、さっぱりわかんねー!」だったし、その頃欧米の音楽情報サイトで読んだ「次作は『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)で築いたものをまたいちから作り直し、ジャンルの壁を壊すものになるだろう」というマイク・シノダ(vo,g,key)の発言も、「それと似たようなこと『MINUTES TO MIDNIGHT』制作中んときも言ってなかったっけ、ねぇマイク?」と思うだけで留めた(笑)。基本的に欧米の音楽メディアの表現の仕方、伝え方、論調などは、ときとして日本の音楽メディアのそれりらより段違い平行棒的に抽象的なため、それ以降欧米の音楽情報サイトでのLINKIN PARKの次作動向情報収集もストップした。つまり「全楽曲聴いてから考えよ」に落ち着いたわけだ(笑)。なかには「なんかテキトー!」と思う人もいるかもしれないけど、自分はそのときその術しか持ち合わせていなかったのだ。
それからしばらく経った頃、2010年6月下旬とか7月上旬あたりだった、と記憶する。『MINUTES TO MIDNIGHT』のときと同様(連載第11回参照)、日本の所属レコード会社の大会議室にて、音楽メディアなどの関係者たちに向けての今作の試聴会が行われた。ロサンゼルスに居を構えるWarner Brothers Records本社インターナショナル部門のトップ氏と、新マネージャー氏がともだって「The Catalyst」を含む新音源8曲を携えて来日してのことだった。新音源がプレイバックされる直前、その新マネージャー氏が冒頭挨拶に立ち、こうスピーチした。「今日はお忙しいなか、LINKIN PARKの新作試聴会にきていただき、まことにありがとうございます。心より感謝申し上げます」というお礼の言葉に続いて、新作の音楽性に関してもこう言及した。「バンドは新作で再び新たな音楽的領域を切り開き、さらなる進化、成長をとげています。それでは新音源をお楽しみください」――。
「こりゃけっこう覚悟して聴いた方がいいかも」。そう思った。
プレイバックされるときの曲順は正式なものではない。言い方は悪いけど、ストレートに言えば、先の2人がロスを発つ前にミックス作業(作品完成直前の第一作業)を終え、外部の人たちに聴かせることが可能な楽曲のみをランダムに並べて持ってきている。記憶だと1曲目は「Burning In The Skies」だったと思う。その楽曲も含めて1曲1曲聴き進んでいくうちに、心のなかでちっちゃく「マジですか!?」「え、今度はこっちの方からくんだ?」「ウッソ〜、こういうのもやっちゃうわけ?」「てかブラッド(・デルソン/g)どこ!? ギターが前とは違う感じでまたオフ気味だぁ」…etc.etc.といったようなことをつぶやいた(笑)。チェスターとマイクが歌っているのは紛れもない事実だけど、メロディの響き方も、楽曲のあり方も、音楽的方向性なども『MINUTES TO MIDNIGHT』とはかなり異なるし、“音の作り込み感”もこれまで以上に強い、と思った。もちろん、相当驚いた。「彼らはいったいどこに向かい、そしていき着こうとしてんだろ…」とまで思ったほどだ。そしてここでやっと、チェスターがDEAD BY SUNRISEの来日取材中に明かした「かなり実験的だし、自分たちの限界を押し広げた」と言ったことに合点がいったし、先述した「ジャンルの壁を壊すものになるだろう」とのマイクの発言にも納得がいった。
試聴会終了後、日本のレコード会社のスタッフの紹介で、新マネージャー氏に挨拶することができ、しばし立ち話をする機会を得た。簡単に自己紹介した後、新作の話に入ろうとした途端、向こうに先手を打たれた(笑)。以下、そのホンの数分間のやり取りだ。こんな調子で会話は進んだ。
「新音源聴いてどうだった?」
「まだ全曲聴いたわけじゃないけど、正直かなり驚いたよ。成長、進化、そして変化のほどが、自分の想像をはるかに超えたものだったから(苦笑)」
「みんなそう言うよ(笑)」
「新作は全体的にああいう感じなの?」
「それは自分にもわからないんだ。いったいどういう作品になるんだろうね(笑)」
「それってどういう意味?」
「だって新作はまだ制作中で、バンドも最終的にどういう作品に仕上がるのかがまだ完全には見えてないから(苦笑)」
「まだ完成してないって…発売は9月じゃない。もうすぐだよ」
「みんながそれをわかっているんだけど、今の状態だとおそら締め切りギリギリまで作っていると思うよ(苦笑)」
そして「また会おうね、近々」という言葉を残し、新マネージャー氏はインターナショナル部門のトップ氏とともに会社を後にした。実は会話中ずっと「絶対この人に以前、どっかで会っている、もしくはスレ違い、顔だけ見たか」と思い、頭のなかで検索エンジンをフル回転させていた(笑)。で、その直後にようやく検索できた。確か前の、またその前のHOOBASTANKのマネージャーだった人だ。現在はThe Collective Music Groupに属している。同社はLINKIN PARKのほかAVENGED SEVENFOLD、SLASH、STAIND、GODSMACK、Plain White T'sといったロック系をはじめ、KANYE WESTやALANIS MORISSETTEなどの有名どころも擁する最大手マネージメントのひとつだ。
8曲だけだったとは言え、新音源を聴けたことでそれまで見えなかったことがひとつ見えた。それもけっこう大きなことが。LINKIN PARKが今作で、『MINUTES TO MIDNIGHT』とはドラスティックなまでに違う方向に向かい始めている、ということだ。それから数週間後にロサンゼルスでメンバーを対面取材した。もちろん、改めての試聴会もあったのだけど…。
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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