Decapitated インタビュー!

2012年10月26日 (金)

DECAPITATED
DECAPITATED
< DECAPITATED インタビュー〜 >

 2012年9月、待望の初来日を果たしたポーランドのデスメタルバンド、Decapitated
Fear Factory のオープニングという、音楽的には少々異色な組み合わせかと思われたが、超満員の観客を前に、Fear Factory に勝るとも劣らないパフォーマンスを見せつけた彼ら。特にドラムは Fear Factory を凌いでいたのではないかと思わせるほどパワフルで、Fear Factory 目当てのお客さんをも十分に魅了したのではないだろうか。
そんな Decapitated のリーダーであるギタリスト、Vogg に話を聞いてみた。


--- 川嶋未来(以下MK) : 日本に来られるのは初めてですか?どんな印象を持ちましたか?

Vogg :ああ、初めてだよ。空港からここ渋谷のホテルに直行したんだけど、本当に人がたくさんいて、たくさん食べ物屋があって、とてもクールだ。ポーランドとは全然違うね。大阪、名古屋にも行くんだけど、時間があれば是非寺院とか、また違う面も見てみたいと思ってる。人も皆親切だし、この会場もクールだ。
今サウンドチェックが終わったところだけど、きっと良いショウをやれると思う。すでに何人かの人がTシャツを買ってくれたし。準備は万端だよ。

--- MK : 今回のツアーのラインナップは最新のアルバムと同じですか?

Vogg :いや、残念ながら違うんだ。ベースとドラムが変わってる。ドラムは Vader やその他多くのバンドでの経験があるんだ。

--- MK : サウンドチェック拝見しましたが、パワフルで素晴らしいドラマーですね。

Vogg : ありがとう。彼は素晴らしいドラマーだよ。まあラインナップチェンジはバンドにつきものだからね。

--- MK : あなたは大きな悲劇を乗り越えて、ニューアルバム "Cornival is Forever" をリリースしました。
このアルバムはファンから絶賛されていますが、このような大歓迎は予想していましたか?

Vogg : うーん、あのアルバムは良い曲も何曲もあるし、音質も良いからね。去年リリースされてから、良いリアクションが聞こえてくるよ。曲だけじゃなくてアルバムカバーも気にってもらえているようだし。新しい一面を持ったアルバムだからね。

--- MK : 確かに昔の作品と趣が違う部分がありますね。

Vogg : ああ。ファンを飽きさせないためには、何か新しいことをやらないといけないから。前のアルバムとまったく同じではね。

--- MK : なるほど。ところで今回、Earache から Nuclear Blast に移籍したのはなぜですか?

Vogg : Nuclear Blast のほうが好条件を提示してきたからさ。それに彼らの方が大手だからね、プロモーションももっとしてもらえるし。

--- MK : 以前インタビューで、Covan が再度手術を行うと読みました。彼の経過はどんな感じでしょう?
多くのファンが心配しています。

Vogg : まだ手術をする場所を探している状況なんだ。最高の治療を受けさせたいからね。とにかく症状を改善するために、可能なことは何でもやろうとしている。普通の西洋医学だけではなく、東洋医学なども含めてね。ネパールでの治療も考えているんだ。ネパールに非常に位の高い仏教のお坊さんがいて、その人に診てもらうことも考えている。90歳くらいの人なんだけど。

--- MK : スピリチュアルな治療ですか?

Vogg : そうだね、一種スピリチュアルなものだ。彼はダライラマの次くらいの地位にいるんだよ。ネパールからはすでに薬を取り寄せ済みで、それも試してみようと思う。その上で Covan をネパールに連れていくべきがあるか、そのお坊さんと相談してみるつもりだ。このツアーの後、Covan を訪ねる予定なんだ。もし Covan に何かしてあげたいと思う人は、是非 http://www.wakeupcovan.com/を見てみて欲しい。

--- MK : わかりました。あなたは Lux Occulta というアヴァンギャルド・ブラックメタルバンドにも参加されていますが、こちらの方の活動は?

Vogg : 実はちょうどニューアルバムをレコーディングしたところだよ。ちょっと普通とは違うだけど、興味深い作品なので、気にってくれる人もいるんじゃないかな。今年中には自分たちでリリースしたいと思ってる。良い作品だから、是非楽しみにしてて欲しい。

--- MK : ポーランドのメタルシーンはどうですか?日本では VaderBehemoth やあなたたちがメタルファンに人気ですが、 ポーランド本国ではこういったバンドもヒットチャート上位に入るような人気だと聞きますが。

Vogg : ああ、そうだよ。かなりデカいシーンだよ。ポーランドのバンドがどうして国外でも人気を得ているのかはわからないけど、Vader や Behomoth は彼ら独自のことをやっているしね。

--- MK : Behemoth などはポーランドでは一般の人でも知っているというのは本当ですか?

Vogg : 本当だよ。彼らは非常に有名だからね、テレビにも出たりとか。

--- MK : Nergal は有名なモデルとつきあっているそうですね。

Vogg : モデルというか、DODA というとても有名なシンガーとつきあっていたんだ。

--- MK : ご存じのように、昨年日本は大きな災害に見舞われました。いまだに多くの人が心に傷を負ったままです。

Vogg : 悲劇に見舞われると、最初は本当につらく、生きるのも大変に感じる。なかなか生というものを実感できなくなる。
だけど、それでも人生というものは続いていくのだから、皆できる限りのことをして、誰かのために生きなくてはいけない。誰かのために戦うんだ。俺にとってはそれは音楽であり、家族、娘なんだ。

--- MK : あなたも同じく悲劇に見舞われ、そこから立ち直り活動を再開したことに大きな敬意を表します。何か日本にメッセージを頂けませんでしょうか。きっと日本人にとって大きな励みになると思います。

Vogg : 日本で起こったことは本当に悲惨だ。俺の場合はあくまで個人的なことで、日本の地震とは比較にならないよ。

--- MK : 個人のレべルで見れば、起こった悲劇に差はありません。

Vogg : ああ、そうかもしれないな。

--- MK : どうもありがとうございました、ショウを楽しみにしています。

10分ちょっとという短いインタビューであったが、Vogg の朴訥とした、何に対しても真摯な人柄が伝わってくるものであった。

本インタビューの中でも触れられているが、Decapitated というと、どうしてもバンドが見舞われた悲劇について語るのを避けることはできない。

2007年10月29日、ベラルーシでのライブ会場に向かう途中、Decapitated のツアーバスがトラックと衝突。ドラマーの Vitek、ヴォーカリストの Covan がロシアの病院に救急搬送されるという事故が起こった。Vitek はその後ポーランドの病院へ移送されるも、4日後の11月2日にわずか23歳の若さでその生涯を閉じた。Covan の怪我は、命に関わるものではなかったが、不運にも治療が適切でなかっため昏睡状態となり、いまだに寝た切りの生活を強いられている。

Vogg が受けた衝撃は並大抵のものではなかっただろう。想像するのも難しい。ただ交通事故に合うだけでも精神的なショックは大きい。その上、自分のバンドのメンバーの一人が命を失い、一人が昏睡状態に。ましてや Vitek は Vogg の実の弟だ。バンドのメンバーとしてだけではなく、彼は肉親も失うという苦痛を同時に味わわなければならなかったのだ。もうバンドのことなど考えたくもなかっただろう。

だが Vogg は帰ってきた。Decapitated は復活した。これだけの悲劇を乗り越えて復活した人間の言葉は重い。巷に溢れる下らない、薄っぺらな「元気を出して」ソングとは大違いだ。「人生というものは続いていくのだから、皆できる限りのことをして、誰かのために生きなくてはいけない」。100%本心だろう。

DecapitatedMetallica の例を挙げるまでもなく、バンドにとってツアーというのは命がけだというのは比喩でも何でもない。世界中の殆どのバンドにとって、ツアーというのは過酷なものだ。エクストリームメタルバンドが、空港まできちんと迎えが来て、快適なホテルに滞在、移動も新幹線という好待遇を受けられるのは日本だけだと言っても過言ではない。かなりの知名度を誇るバンドでも、アメリカ、ヨーロッパをツアーするときは、バスやバンが基本。綺麗なホテルで眠れることなど殆どない。ナイトライナーと呼ばれる、中がいくつものベッドになっている大型バスをチャーターできるクラスのバンドはまだ良い。だがナイトライナーは当然レンタル料がバカ高い。となると、多くのエクストリームメタルバンドが使えるのは必然的にバンしかない。ドライバーを雇う余裕があれば良いが、そうでない場合はバンドのメンバーが交代で運転することになる。ゆっくりモーテルででも眠れる晩が続けば良い。だが、アメリカやヨーロッパをツアーする場合、日本とは国土の広さが比較にならないくらい違う。翌日のライブ会場まで10時間のドライブなら、まあまだマシかなという思うようなスケールだ。欧米ではライブが終わる時刻も遅く、夜中の1時、2時になることもザラ。そこから翌日の会場へ向けて、10時間以上のドライブをしなければならないとすると、とてもモーテルにも寄れない。モーテル代+移動のガソリン代が、ギャラを超えてしまっては意味もない。結局バンで眠ることになる。機材や荷物も積みこまれている状況では、バンで眠るにしても横になることなどできない。こんな状況でも1週間くらいなら何とかなるだろう。だがツアーは大抵何週間も、長ければ何か月も続くのだ。蓄積されていく一方の疲労。これではいつ事故が 起きても何の不思議もない。私もツアー中に、ドライバーが思いっきり居眠り運転しているのを発見し肝を冷やしたことがある。その後恐ろしくてバンの中では眠ることができず、移動中ずっとドライバーを見張っていなければならなかったため、その疲労たるや半端なものではなかったが、それでも命を落とすような目に合わなかったのは幸運であった。

時々メンバー脱退の脱退理由として「ツアーが嫌になったから。」というのを目にする。何だか自分勝手な理由だなあ、と思われる方もいるかもしれない。しかし多くのバンドにとってツアーというのは、「ベッドで眠れること」がとてつもない幸せに思えるような、過酷なものなのである。しかし、その一方で、知らない国、街へ行き、知らないお客さんの前でステージに立つことに、言い知れぬ魅力があるのも事実。だからどんなにその生活が過酷でも、ツアーを続けるバンドがたくさんいるのだ。 Decapitated はその最たる例。
事故がトラウマでないはずがない。それでも Vogg はステージに帰ってきた。その姿に魅せられない人間などいるだろうか。

川嶋未来/SIGH
https://twitter.com/sighmirai
http://twitter.com/sighjapan

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