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【連載コラム】古川本舗 「古川本舗設定資料集」(第一回)

2012年10月22日 (月)


古川本舗




 初めまして。古川本舗、古川です。人生初コラムです。
古川本舗として楽曲を作ってインターネットの海に放流するという 養殖業を営んでおりましたがあれよあれよの間にCDリリースさせてもらったり、 こうしてコラムという形で皆様の前に登場させてもらえる機会を作っていただけたりと、 男30代にして人生がめまぐるしく変化しております。
 最初は変化になんとかついていこうと目を回していましたが、最近はわりと考えるのを 止めて流れに身を任せています。どこの岸にたどり着くかはお楽しみと言う事で。

 そんな流れの一つとして2011年には「Alice in wonderword」というアルバムをリリース。
そして今年11月7日には一年半ぶりのニューアルバム「ガールフレンド・フロム・キョウト」 をリリースする事になりました。

 今回は一つせっかくリリース前に素敵な機会を頂いたので テキスト片手にアルバムを手に取ってくれた方が振り返って読んで アルバムの世界観をより楽しめるような楽曲解説をしていきたいと思っています。


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今回のアルバムの1曲目です。まず楽曲について掘り下げる前に、今回のアルバムについて 一つお話をしておくと、今回のアルバムははじめから、12曲を一つの固まりとして 暗から明へと向う大きな流れを作ろう、また一曲単位でも暗→明の流れを、 小さいグラデーションを12積み重ねて一つの大きなグラデーションを作ろうという意図がありました。
 その流れの一歩目と言うことで、魔法にはどうしても一番暗いところを担当してもらう、 という事が最初から決まっていました。不憫な奴です。

 そのため楽曲のテーマとしてもどういうものを選ぶか悩んだところではあるのですが、 歌詞のテーマとしては「死生観」をテーマにしています。
 あまりこういうテーマは安易に選ぶものではないとは思うので、今まで触れる事も無かったのですが、ここ数年の間、近しい人や仕事でのおつきあいがある方が色々な理由で亡くなるという体験をしたこともあり、実体験を踏まえたものとしてこういうテーマをとらえたときに、どういう世界が見えるのか、と言うことを考えて書いてみました。

 この曲の最後のフレーズは「きっと笑い合い消えてしまっても僕らは」で終わるのですが、 笑い合い消える事ができても「不幸せ」だったのか?
きっと僕らは「幸せ」だったのか?
そんなことを考えながら聞いて見てもらえると色々な見方ができるのではないかと思います。
レコーディングも完パケしてからデータ整理して気づいたんですが、デモの制作バージョンから数えると収録されているのは「魔法 ver.53」でした。多いわ。
「魔法 feat.ちょまいよ」MUSIC VIDEO(A Perfect Day.ver)[ニコニコ動画]
「魔法 feat.ちょまいよ」MUSIC VIDEO(A faulty Day.ver)[youtube]




 昔から絵本が好きでよく読んでいるのですが、絵本の中でも単なる物語、というものよりは、寓話的なものが好きです。実際の日常生活においておこる出来事を上手く比喩で包んで表現し、読後に教訓が残る、というような。
 この曲はそういう寓話的な考えから、「道徳的な教訓」という概念を消して作ってみました。
大筋のストーリーとしては、割と酷い目に失恋した子のお話で、自分の心のバランスを保ちながら傷をいやすために、心の中にある食堂「月光食堂」で暖かいスープを飲む…。
 特に話のオチに道徳的な観念も教訓もありません。ただただ自分と自分の心との対話を軸に展開して対話を終える事で世界が閉じるという話です。acane_madderとはもう付き合いも長く制作をご一緒させてもらっているのですが、今までで一番コーラストラックの数多かったです。さながらacane 合唱団でした。




 ストーリーものの歌詞を狙って作っている訳ではないのですが、この曲も自然とそのような形になりました。歌詞を書くときには、ある一人の視点から書く事が主なのですが、上の「月光食堂」の時にぼんやりと考えていた「対話」と言うものをより意識して作ってみました。話の取りよう、行間の読みようによって素晴らしいハッピーエンドにも、超絶バッドエンドにもとれる作りになっています。バッドエンドの方が読み取るの難儀かもしれないですが暇な人は考えてみてください。レコーディング前日の夜中1時頃にストリングスアレンジの久保君とアレンジの方向性を決めるという割と濃密(無謀)なスケジュールだったのをこの文章を書きながら思い出して今寒気がしました。無事終わってよかった…。
「グレゴリオfeat.ちびた」MUSIC VIDEO[ニコニコ動画]




 この曲は前作「Alice in wonderword」収録の「三月は夜の底」という曲の続編に当たります。
歌詞も一部共通させたりなんかして。このアイディアは花近ちゃんに参加してもらうということが 決定した時から続編で行こう、と思っていました。
 この曲も割とストーリーがしっかりと決まっていたりするんですが、若干刺激の強いお話なので 内緒にしておきます。


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 という訳で人生初コラムでした。コラムと呼んでいいのかわかりませんが。
こんな感じで楽曲の解説をしていこうかなと思っております。
んではまた。







第二回は10月29日(月)UP予定です。


new album


 古川本舗 『ガールフレンド フロム キョウト』
11月7日発売

収録楽曲

  • 01. 魔法 feat.ちょまいよ   
  • 02. 月光食堂 feat.acane_madder
  • 03. グレゴリオ feat.ちびた
  • 04. ルーム feat.花近
  • 05. KAMAKURA feat.古川本舗
  • 06. IVY feat.歌うキッチン
  • 07. KYOTO feat.アイコ(from advantage Lucy)
  • 08. 春の feat.大坪加奈(from Spangle call Lilli line)
  • 09. はなれ、ばなれ feat.ばずぱんだ
  • 10. 恋の惑星 feat.拝郷メイコ
  • 11. family feat.YeYe
  • 12. girlfriend feat.山崎ゆかり(from 空気公団)


HMVオリジナル特典

ポストカード
※特典の有無は商品詳細ページでご確認下さい

商品レビュー

前作から約1年半ぶりとなる全12曲を収録した2ndアルバムは、古川本舗の新機軸ともいえるアコースティックピアノを基調としたバンドサウンドによるミドルナンバー「魔法」から始まり、浮遊感漂うフォークトロニカな「ルーム」、advantage Lucyのアイコが歌う柔らかで温かい手触りポップミュージック「KYOTO」、SCLLの大坪による冷静で明晰、ウィスパーヴォイスが織りなすクワイエット・エコーな「春の」、柔らかく暖かい歌声のYeYeが歌うカントリー風味のダンスミュージック「family」、壮大なナンバーでラストを飾る空気公団の山崎ゆかりを迎えた「girlfriend」など聴きどころ満載な作品に仕上がっている。


1stアルバム

Alice In Wonderword

2011年6月15日発売







VOCALOIDシーンでは珍しく、バンドサウンド・電子音を駆使したロック、エレクトロニカ、フォーク等、扱うジャンルは多岐に渡るが、哀愁のある世界観をもつポストロック的な楽曲を投稿するクリエーター。作曲からデザイン まで幅広い分野を手がけ他のクリエイターやイラストレーターといった制作者サイドから強いリスペクトを受けており、他のプロデューサーによる古川本舗作品のカバーやREMIXが多数存在。

古川本舗 official site