THE OFFSPRINGのあの日、あの時 12
2012年10月18日 (木)

今回は、本題からズレることから書こう(笑)。この原稿を執筆しているのが、10月17日。昨晩、つまり16日夜、ZEPP DIVERCITY TOKYOにて、THE OFFSPRINGの再来日東京公演2日目を観た。正直、興奮覚め止まぬといったところだ(笑)。サポートのNorthern19の熱演に続いて始まった彼らのパフォーマンスは約75分、アンコールを含めて計21曲。ひとえにすばらしかった。めちゃめちゃ楽しかった。大きなひな壇にカラフルなライティングといった視覚効果も大いに“華”を添えていたし、シンガロング・パートでの、まるでブーストしたかのように場内をつんざく大合唱もまさに鳥肌もんだった。そしてなによりも一切衰えを感じさせないデクスター・ホーランド(vo,g)の見事な歌唱力、次から次へと打ち出の小槌のごとく繰り出されてくる馴染み深い曲、名曲、佳曲の数々、それらをときにガッツリ支え、またときに最大限にデフォルメするヌードルス(g,vo)、グレック・K(b,vo)、ピート・パラダ(ds/元FACE TO FACEほか)、ツアーリング・メンバー、トッド・モース(g,key,vo/現H2O)のプレイはサイコーの一言につきた。ちなみにこの夜、9枚目の新作『DAYS GO BY』からは「Hurting As One」「Days Go By」「Turning Into You」「Cruising California(Bumpin' In My Trunk)」「OC Guns」「Slim Pickens Does The Right Thing And Rides The Bomb To Hell」の計6曲が披露された。
でだ、本題だ。連載前回で前振りしたとおり、通算6枚目『CONSPIRACY OF ONE』だ。前作で5枚目の『AMERICANA』から2年強ぶりとなる2000年11月に発売された。本国アメリカでは発売初週に125,000枚以上を売り上げ、USチャートで初登場9位をマークした。前作が初登場6位だったため、当時「オフスプの勢い少し落ちた?」などと言ったりする輩がまたぞろ出てきたことを憶えているのだけど、そんなことどうってことないし、THE OFFSPRINGにも、また我々ファンにもなんの影響もなかった。前作の発売に伴うワールド・ツアーを終えた後、バンドはしばしのオフを満喫した。2000年初頭に再度集い、今作へ向けての作業を始めた。そのオフは決して長いものではなかった。だけど、メンバー全員がなんとなく新作制作モードにあったことからそのモードのまま作業に入った、と後日デクスターは語っている。楽曲作り、デモ音源録りといった作業を繰り返し、楽曲の純度を高め、またサウンド固めをしていった2000年中盤、ブレンダン・オブライエンのプロデュースの下で、本格的に新作制作に突入した。ブレンダンとタッグを組むのはこのときが初めて。PEARL JAM、RAGE AGAINST THE MACHINE、STONE TEMPLE PILOTS、DANZIG、RED HOT CHILI PEPPERS、KING'S Xといった、いわゆるさまざまなスタイルの90'sモダン・ロックの主軸アーティストたちと数多く仕事をしたプロデューサーで、一時プロデューサー業界では“ときの人”ともなった実力者だ。「Come Out Swinging」「Original Prankster」「Want You Bad」「Million Miles Away」「Dammit, I Changed Again」「One Fine Day」「Conspiracy Of One」などといった、いかにもな“オフスプ節”を放つ楽曲が大半を占めるのだけど、それまでになかったようなニュアンス、タッチ、ヴァイブを感じさせる楽曲も目立つのが、今作の特徴でもある。「Living In Chaos」「Special Delivery」「Denial, Revisited」などがいい例だ。で、「Intro」の声の主は今夏来日したばかりのTHE BEACH BOYSの結成者であるマイク・ラヴ(vo)で、ライヴ中のMCをサンプリングしている。さらに、今作はTHE OFFSPRINGの作品群において唯一、歌詞に“fxxk”が使われてない作品でもある。今ではお馴染みのものになっているスカル型バンド・ロゴが登場したのも今作からで、続く7枚目『SPLINTER』(2003年)のジャケ表面にも使われた。
連載前回で、「この頃、バンドは明らかにそれまでにやらなかったことを積極的に実践したがっていた」と書いた。1stシングル楽曲「Original Prankster」を公式サイト( www.offspring.com )上で公開したのも、このときが初めてだ。続いて今作発売日前に収録曲全曲をダウンロード販売しようとも計画していた。しかし、これは所属のColumbia Recordsより猛反対に遭い、断念せざるを得なかった。だけど結局はファン・サイトから1stシングル楽曲を除く全曲が流出してしまった、というエピソードが残っている。また、バンドはNapsterのロゴをプリントしたTシャツを公式ウェブより販売し、その売上金の一部をNapsterの創設者ショーン・ファニングに寄付している。ご記憶の方も多いと思うけど、Napsterとは多数の端末間で通信を行う際のアーキテクチャのひとつであるP2P技術を用いた、音楽の共有を主目的としたファイル共有サービスのこと。今やユーザー数がうなぎ上りのiTunesの初期版と思ってもらえばわかりやすいだろう。当時は時代背景的にまだ音源ダウンロードというものが珍しかっただけに、この販売手段には賛否両論が渦巻き、アーティストの間でも支持派と反支持派にハッキリとわかれた。読んでもらえばわかるとおり、THE OFFSPRINGは支持派だった。今や音源ダウンロードはあって当たり前のものとなり、ここ数年でヘヴィ・ユーザーが一気に増えている。バンドは12年も前に、後にリスナーの音源購入方法がこういうふうになるということを読んでいたんだろうか。もし、そうだとしたら実に恐ろしい先見性だ。ただ、面白いっていうか、パンク・ロック精神失わずっていうか、いまだに作品ごとに必ずと言っていいほどLPレコード盤も出しているのだ。これはもうデジタルの真反対の究極のアナログ技だ(笑)。
また本題よりズレてしまうけど、今回の再来日時にデクスターとヌードルスの対面取材を行っている。後日、冒頭のライヴリポートとともにGrindHouse web( www.grindhouse.jp )にupする予定だ。なお、その夜は今作から「One Fine Day」と「Want You Bad」の2曲がセットリストに組み込まれた。
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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6thアルバム。プロデューサーは敏腕ブレンダン・オブライエン(2000年)

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