THE OFFSPRINGのあの日、あの時 10

2012年9月19日 (水)


THE OFFSPRINGの対面取材はこんな感じで行われ、進んでいく!
文●有島博志(GrindHouse)

 LINKIN PARKの連載第14回に、メンバーとの対面取材とは、こうした環境でこういうふうに行われる、というのを書いたばかり。それに倣い、今回THE OFFSPRINGでも同じ題材で書いてみよう。LINKIN PARKのときの対面取材と、THE OFFSPRINGのときのそれとではいったいなにが違うのか…手を止めてちょっと考えてみる。それほど大きな違いがないことがすぐにわかるのだけど、これまでの経験からいくと、しいて言うならTHE OFFSPRINGの方が話を聞きたいと思うメンバーのリクエストが叶う確率が、LINKIN PARKよりも高いということがまず、挙げられる。もちろん、この背景にはレコード会社とマネージメント、そしてメンバーの理解、協力、尽力があってこその賜物だということがある。さらにだ、LINKIN PARKの海外での新作発売直前の対面取材の場合、2人1組のチーム制で応じてくれるのに対し、THE OFFSPRINGはデクスター・ホーランド(vo,g)とヌードルス(g)がそれぞれ個別に受けてくれることが多い、という記憶がある。これは海外でやるときも、来日時にやるときもほぼ同じ。最新作『DAYS GO BY』発売直前にPUNKSPRING 2012参戦で再来日したときも、彼らの投宿先の某高級ホテルの部屋を何室が借り切り、そこでデクスターとヌードルスそれぞれに個別対面取材できた。その後グレッグ・K(b)も取材に加わったと思しき光景も目撃している。唯一の例外は、'95年1月17日早朝に発生した阪神・淡路大震災直後に東京でやった初来日のとき。複数のメンバー…イヤ4人全員と向き合い、話を聞いた。ただ、このときはTV用の素材取りを主な目的としたものだったため通常の対面取材とは少々勝手は違った。このへんのことは連載第5回に書いた。

 デクスターもヌードルスも基本、取材には協力的だ。大人だし、プロだしゆえのことなんだろうけど、写真撮影に関してのみハードルは非常に高いと言わざるを得ない。この件に関しては、LINKIN PARKより断然ストイックだ。対面取材を終え、はい、次に写真撮影に移りましょー、なんていう現場でのしごく普通の流れは、彼らにはまったくもって通用しないと言っていい(苦笑)。緩めのカジュアルな個人写真の撮影には応じてくれるものの、撮影撮影した、いかにもなカチッとした写真撮影はかなりの確率で却下される。これまでに何度も彼らに対面取材してきたけど、それが実現したことは一度もない。最新作発売に伴い、本国アメリカより用意された、いわゆるオフィシャルのグループ写真はごく数点しかなかった(汗)。似たようなパターンの写真をあちこちで目にした理由は、まさにそこにある。が、しかし、なぜそこまで彼らが写真撮影に関して頑ななのかはわからない。次回の対面取材のときにでも訊いてみようと思う。

デクスターもヌードルスも饒舌だ。質問の意図をきちんと汲んでくれて、こちらが納得する答えを必ず言ってくれる。そういう意味では、2人とも非常に取材がやりやすい相手と言える。ヌードルスはわりと直接的で焦点を絞って話してくれるのでわかりやすい。もちろんデクスターも基本はそうなのだけど、予想外のアングルからきたり、鋭い角度から突いてきたりの答えが時折あるので、「ほほー」と感心させられたり、「なるほど、そういう角度からきますか〜」と襟を正されることがある(笑)。2人とも常にセンス・オブ・ユーモアを忘れないのも楽しいところのひとつだ。

 それにしてもだ、先日の来日対面取材時の2人はめちゃくちゃリラックスしてたし、またかなりの上機嫌でもあった。最新作を作り終え、長くこもり、高いテンションのなかで作業をしていたスタジオ・ワークからやっとのことで解放された、その足で日本にきた、ということが非常に大きかったと思う。こういうタイミングでのアーティストはよく喋る、という傾向が強い。っていうか、単にメンバーやとても近しい関係者たちではない人たちと話がしたい、録り終えたばかりの最新作の話をいち早く聞いてほしいのだ(笑)。「スタジオを出たばかりなので、まだ作業中のような感覚が強いから最新作のことを冷静・客観的に見れず、うまく説明できない」と言うアーティストもなかにはいるのだけど、2人はまったくそんなことはなく、最新作について具体的に語っていたところはさすがだった。

 PUNKSPRINGのステージんとき、あまりの盛り上がりでステージ前のバリケードが崩れそうになり、演奏が数十分にわたって中断されるというハプニングがあったのを憶えているだろう。ステージに向かって右手の袖のところでヌードルスは演奏再開の報を待っていたのだけど、そのうちヒマを持て余したのだろう、タバコを吸い始めた(笑)。そう、2人ともスモーカーで、取材中もけっこう吸う。銘柄は確か赤のマルボロで、自分も喫煙者なので「最近スモーカーはどこにいっても肩身が狭いよねぇ」とひと盛り上がりした。対面取材中、こうしたたわいもないネタは逆にポイントが高かったりする(笑)。ちなみに、デクスターのフェイバリット・ドリンクはブラッディマリー。ウォッカをベースにし、トマト・ジュースを用いたカクテルだ。まだ午後の早い時間帯だったにもかかわらず、30分の取材中に少なくとも2杯は空けていた。これまた、上機嫌の表れだったように思う(笑)。

 次回はTHE OFFSPRINGが、5枚目『AMERICANA』発売で実現した3度目の来日のときのことを話そう。


THE OFFSPRING関連タイトル!

 連載第6回のこのコーナーで、スカ・パンク・ブームの“立役者バンド”のひとつとしてVOODOO GLOW SKULLS(以下VGS)を取り上げ、キャリア2枚目の『FIRME』('95年)を紹介した(同スペイン語版も)。が、しかし、よくよく考えてみれば紹介する順番が逆だ(苦笑)。このTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONES(以下TMMB)の方がキャリア的にも長いし、いわゆる“メロコア・ブーム”近辺に棲息したバンドたちのなかではいち早くスカ・パンク、スカコアなるスタイルの音楽をやっていた。途中4年の解散期があるも、それでも実活動歴は四半世紀にも及ぶ。その間に残してきた作品群はフル・アルバムだけでも実に9枚。ベテランだ。この7曲入りミニ・アルバム『SKA-CORE THE DEVIL AND MORE』は、初フル・アルバム『DEVIL'S NIGHT OUT』('89年)を出した後にMercury Recordsに移籍して発売したメジャーデビュー作だ。休みの日の昼下がりに聴きたい緩〜く明るいスカ・チューン「Someday I Suppose」にはじまり、ファストな「Think Again」(MINOR THREATのカヴァー)、「Lights Out」、ほぼメタルと言っていいくらいヘヴィで、S.S.DECONTROLのカヴァーである「Police Beat」、ボブ・マーリィのカヴァーで、スカというよりめちゃくちゃ明るいレゲエな「Simmer Down」、そしてライヴ音源2曲なる内容だ。徹底して激しいところは激しく、ヘヴィなところはヘヴィに。明るく、緩いところは心底緩く、明るく。そうして各楽曲のキャラがわかりやすく立っているし、もちろん、しょっちゅうホーン群もブハブハ言わせる。ライヴでのリアルさもちょいと味見できる。彼らの魅力、カッコよさが7曲にギュウ詰めされたナイスな1作だ。VGSと併せて聴いてほしいバンドだ。ちなみに、バンド名からわかるとおり、TMMBはUS東部マサチューセッツ州ボストン産。
文●有島博志(GrindHouse)

THE OFFSPRING 最新作ニュース


  • OFFSPRING ニューアルバム!
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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