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【連載】クラムボンmito×MMMatsumoto 『MMM Radio Psychedelic』(26) MMM Radio Psychedelicへ戻る

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ROCK NEXT STANDARD 日本のシンガーソングライター特集ストア

2012年8月10日 (金)



『MMM Radio Psychedelic』×「3.10MMM」× HMV

音楽雑誌「MARQUEE」で好評連載中のクラムボン・mitoさんと MARQUEE編集長・MMMatsumotoさんによる「3.10MMM」が、 WebDice上でネットラジオとして配信!
その名も『MMM Radio Psychedelic』。今回は第26弾です。
2人による音楽談義がギュッと詰め込まれた、他では聴けない超レアな番組。 HMV ONLINEでは「3.10MMM」と『MMM Radio Psychedelic』で紹介したアイテムを合わせてご紹介!
必見必読です!



mito from clammbon

mito クラムボンのベーシスト。いくつかのソロプロジェクトや多方面のアーティストのプロデュース活動も活発に行うオールラウンド・プレーヤー。
  clammbon オフィシャルサイト

MMMatsumoto from「MARQUEE」

MMMatsumoto ポップカルチャーとマニアックな視点で独自な音楽を紹介する音楽雑誌「MARQUEE」の編集長。

  MARQUEE オフィシャルサイト




どもです、ミトです!!お待たせいたしました!『MMM Radio Psychedelic』vol.26の配信開始です!!今回は、前回連続でおこなった1アーティスト特集からの平常運転(笑。最近ボクの知り合いが沢山良い音源をリリースしていますので、今回はその流れを。そして、ここHMVさんの企画である「あのアイドルグループ」の音源も紹介!!ボク絡みということで、相も変わらずといいますか、ジャンルはめっちゃくちゃでありますっ!そんなアーティストたちの音源を聴きつつ、気付けば今の日本の音楽シーンの行方を考察する、なかなかディープなトークに。MMMatsumotoさんも予定の2枚紹介から敢えて1枚でテーマを絞り込み、今回はかなり鋭く音楽業界にメスを入れてきました!!さあアナタは、このトークからどんな日本の音楽シーンの未来を導きだすことができるでしょう?では、いってみましょうか!!



【MMMRadio Psychedelic 2012 Vol.26】
音楽雑誌「MARQUEE」とMMMRadio Psychedelicで紹介したPlay Listをご紹介

1st set  toe 『The Future Is Now EP』


近年の日本のインストバンドの雄といっても過言ではないその活動は、とても一言では言い表すことはできない。前回の傑作アルバムである『For Long Tommorrow』から2年半の沈黙を破りリリースされた今回の4曲。過去の作品と同様、バンドの息づかいさえ聴こえそうなリアルでクリアな音像は見事。緻密に練られたアンサンブルも演奏力のスキルも申し分無し。が、ここで彼らは僕らが想像もしなかったような新たなステージにたどり着いた様な気がする。それがこの4曲全てに感じる「ブレない感覚」。エモーショナルだけではない、もはや自身が「スタンダード」を作り出しているという自覚から来ているような、圧倒的な落ち着きと楽曲の存在感。去年の彼らに起こった困難(ギター山㟢氏の奥さんの突然の死、ツアー、レコーディング機材一式、総額一千万円強が入っていたワゴン車の盗難)を乗り越えた4人に、toeというバンドが一体どういう音楽を鳴らしていくべきなのか?…「Ordinary Days」の後半で、一定に鳴らされるエレピの音が「心電図モニター」の音に聴こえるように、まさに人生を賭けて鳴らす「音楽」が、ここにはある。
解説 by mito



MMMatsumoto 「全体的に今までのtoeよりも落ち着いてる感じはしますよね」
mito 「そうなんです!そこね、実はすごく重要で。もしかしたらなんだけれども、あえて彼らは“フレッシュ”と言われてるようなモノを避けて作っていったんじゃないのかな。そういうことではなく、自分達が好きであるモノ、言うなるtoeがtoeであるべきスタンダードみたいなモノ(を作った)」
MMMatsumoto 「それは分かる気がしますね」
mito 「そこをね、去年の彼らにとっての受難であった年を踏まえた上で聴くと、非常にいろんなことを考えさせられるんですよね」
MMMatsumoto 「僕はこの『The Future Is Now』っていうタイトルによく表れてると思うんですよ。「未来って将来のことじゃなくて“今”だ」っていう言い方じゃないですか。そこの現実感・リアリティーは何処から来てるのかっていうと、たぶんその去年の出来事っていうのが彼らを直視させてるというか。力強いタイトルじゃないですか。「今を刻んでいけばそれが未来なんだ」っていう言い方だとも思うし」

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2nd set  Ametsub 『All is Silence』


2009年に発表された彼のアルバム『The Nothings of The North』は、日本のエレクトロニカシーンの中でまさに革命的な瞬間であったと僕は考える。竹村延和、rei harakamiといった京都出身のアーティストから発信された日本のエレクトロニカは、ユニークで独創性もあり、世界でもかなりのイニシアチヴを持っていた。ただ、彼らの音楽と世界で鳴るエレクトロニカを隔てる「音の境界線」が、良い意味でも悪い意味でも付加されていた(それをオリジナリティだけでとらえず、「国土性」と称され、メーンストリームから一歩距離を置いている存在として日本のニカが認知されていたこと)のも事実。そんななか、たった一人でその「境界線上」に立ち、その精密で孤高のサウンドを以てして世界の音楽シーンを唸らせたのが、このAmetsubであると思うのだ。ken ishiiやnujabes、近しくは高木正勝のように、世界と共振していったアーティストは何人もいるが、僕は彼もそのひとりだと断言できる。新譜から聴こえるサウンドスケープ、息を呑むような美しさ、そして暴力的なまでに分断されたテクスチャーから、いまある全ての常識を引きちぎるかのように突き進む彼の力強い姿勢を感じ、そしてまた僕は心躍るのだ。
解説 by mito



mito 「アメ君とは出会って相当古いですし、僕のソロも一緒に作ってもらったりとかして」
MMMatsumoto 「どういう人なの?」
mito 「トラックを作る時のお互いのやりとりは、非常に僕と近いなと思ってて。ちゃんと顕微鏡を覗くように作るんだけども、熱量だけは殺さないようにとか、そういうアンビバレンツな発想をいつも両方持ってたりとか。なんて言うのかな…、音楽的な筋力がすごくあるんですよ、彼の音楽って。独自の世界で、シンパシーがどうとかってことではなく、心の中で出来上がってるモノを作りたいと思ってる。そういう彼のスタンスみたいな人がいるっていうのも珍しいし、背中を押される感じがしますよね」

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3rd set  タラチネ 『ビューティフル・ストーリーズ』


約6年前に彼らと初めて逢った時、「この子たちはなんて純粋で、頑固で、タフなんだろう!」と思った。アルバムをプロデュースする際の彼らの熱意はこの僕をも圧倒させるエネルギーで、今でも製作中の時を思い出す。そうして完成したアルバム『世界の歌』のリリースから、まさか次の作品がここまで長い時間がかかるとは思いもしなかった。そして、満を持してリリースされた今回の音源。一言、言おう。この子たちは全く変わっていない!!(笑。ただし、これも先ほどのtoeのコメントと同じで、彼らは「全くブレることなく」、決して何も捨てる事無く、大切に大切に自分たちを磨いていった結果、「タラチネ」という、唯一無二のオリジナリティを手にしたのである。そして、それを補完するかのように音質も素晴らしく、演奏も格段にパワーアップしている。そう、まさに「アップデート」と「デフォルト」のバランス感覚が素晴らしいのだ!相変わらず89秒でサビが終るような曲はほとんど無く、構成も決して分かりやすくもない。あまつさえギターソロだって長い!(笑。でも、彼らはこうであって良いのだ!こうでなければタラチネではない。あとはこれをどうやってミンナに届けるのか?それは彼らの音楽を愛した僕ら(音楽業界人)の使命なのである。
解説 by mito



mito 「この人達はね、ホントに面白いっていうかおかしい…観点がおかしいんですよ。でね、こういう人がいないと面白くないんですよ、この世は(笑)。だから私が彼らを好きな理由っていうのは…、普通日常もありつつでモノを作ってると、業(ごう)のある音みたいなのがどこかで出る気がするんですけど、このコ達からはそういうのをほとんど感じたことがないというか。その業が彼らなりにはあるんでしょうけど、業に辿りついていない感じみたいな(笑)」
MMMatsumoto 「(笑)」
mito 「「君達は高校生か!」と言いたくなるようなこのピュアさがね、この飽和した時代にあるっていうのは、ちょっとおかしいなと思うんです。おかしいというか稀有というか」

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4th set  Afilia Saga East 『プラチナ』


詳細はこちら( https://www.hmv.co.jp/news/article/1206140071/ )。彼女たちを含め、アイドルがアニメ業界のテクスチャーを踏襲するのはもはや当たり前のように感じる。ただここで言える事は、その制作者チームのバリエーションの多さ、そしてその音楽クオリティにある。なぜこのように似て非なる対象が掛け合うことになったか?それは確実メインストリームとされている音楽家(バンド)とユーザーとの理解の相違に他ならない。テキスタイル化された音楽家やバンドの飽和を、10分の1以下にも落ちてしまったセールスから見いだすのは学生でも容易だろう。それを無関係であり、私たちは私たちのやり方で…では、そもそもメジャーという統制化されたシステムに音楽家が加担する必要は無い。それは「良い企業に入っていい給料を」と夢想することと、何ら変わりが無いのだ。その点、現在一人で活動を続けている若い作曲家、作詞家、コンポーザーはそういった「スタイル」や「プライド」にこだわらない。「良い曲であれば、良い音楽であれば、どういうスタイルであれ認められる」ことを、Perfume×中田ヤスタカ、初音ミク×ボカロPなどの状況を参考に、理解し始めた。結果、どの音楽ジャンルにも無い「攻め」が生まれてきた。今のアイドル、ひいてはアニソンの中でしっかりとリスナーたちに届き、セールスを上げている楽曲には、確実にそういったスキルとクオリティが存在している事を、そろそろ全てのメジャーなアーティストたちはしっかりと理解しなくてはならないだろう。
解説 by mito



MMMatsumoto 「今回オーダーみたいなのはあったんですか?」
mito 「いや、単純に「プラチナ」をカヴァーしたいんですけど、っていう。ウチら(2 ANIMEny DJs=mito&牛尾憲輔 a.k.a. agraph)は「うおぉぉ!マジっすかぁ!!」みたいな(笑)」
MMMatsumoto 「牛尾君とかギャーギャー言ってそうだよね(笑)」
mito 「これをやってて思うのは、やっぱり“素材”だと思うんですよね。その場所のプロの人と一緒にとにかく化学反応を起こす、っていう発想の中での媒介が“アイドル”っていう」
MMMatsumoto 「そのとおりですよ」
mito 「だからやってることは実は(普段と)あんまり変わってないんです。レベルも変わらないし力を抜こうとかっていうことも全くなくって。むしろ本気でやんないと負けちゃうんですよね、彼女達の熱意とかに」

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5th set  BEASTIE BOYS 『Ill Communication』


ご存知、ビースティの代表作にして傑作。80'sの黒人グルーヴを白人が勘違いすることでオリジナルな NEW WAVE なるものが生まれたように、90年代に凝り固まりつつあったブラックミュージックに風穴をあけつつ、オリジナルのダンスミュージックを確立させた人達。ヒップホップのバネの強さを、そのままロックのトンガリとして誇張したサウンドは、本当に今聴いてもカッコイイ。けど、基本サンプリング手法だという...。でも肉体表現、という強みがあって、何よりもケロッとしてユーモアがある。このユーモアがポイントにして実はパンク精神。音、シリアスなのに、スタンス、身軽、という...。理想的! 1994年リリースのこのアルバムはその典型で、今年ネット以後の文脈にでんぱ組.incが蘇らせた“Sabotage”も、このアルバムに収録されている。
解説 by MMMatsumoto



MMMatsumoto 「最近、でんぱ組.incというアイドル・ユニットが「Sabotage」をカヴァーして」
mito 「聴きましたよ〜。“ビースティをでんぱ組.incに歌わせたらチボマットになった”っていうのが、それが狙ってたのかどうかは判らないですけど、スゲーところ来たなぁと思いました」
MMMatsumoto 「そこはヒャダインの力量というかアレンジも大きいかなと思うね。“笑える感”をちゃんと発揮出来るというところが。ビースティのアホっぽい感じというか、“カッコイイんだけどアホっぽい感じ”を、ちゃんと今の時代に移植出来てる気がする」
mito 「やっぱりヒャダイン君ニヒルというか、その要素がすごくあるコだと思うんですよね」
MMMatsumoto 「すごくあるね」

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【今月のMARQUEE】

MARQUEE Vol.92  [2012年08月10日 発売]

さて今号は、まずSuperfly。4作目にして Superflyの完成形とも言えるアルバム『Force』を巡るロングインタビューに注目を。第二特集は新たなスタンダードを奏でる SEKAI NO OWARIを、コンセプチュアルな撮影とロングインタビューでお届け。巻頭特集には最高傑作とも言えるニューアルバムをリリースしたART-SCHOOL、巻末特集にはソロアルバムに舞台にと動き始めた後藤まりこを、それぞれフィーチャー。中ページでは、トミー(・フェブラリー/ヘヴンリー)全面プロデュースによる原宿系モデル、AMOとAYAMOの音楽ユニット・AMOYAMOを、たっぷり撮り下ろし込みで掲載。各ソロインタビューに加え、トミーへもコンセプト面でインタビュー。前号から爆裂の連続特集『超アイドル主義』には、Tomato n' Pine、Bis を大フィーチャーの他、話題の新人、ライムベリーとParty Rocketsも掲載。定例のでんぱ組.incは今回より毎号各メンバーをフィーチャーしていきます。1回目はリーダーの相沢梨紗。撮り下ろし+ディープインタビューで。また、創作ダンスとも言えるでんぱ組.incの振付けについて、Yumiko先生にロングインタビューも。そして今回よりBABYMETALとドロシーリトルハッピー・高橋麻里の新連載もスタート。更に、ソロアルバムを準備中の髭・須藤寿に事前ロングインタビュー(9/20にはそのソロ、須藤寿 GATALI ACOUSTIC SETでのアルバムリリースに合わせ、公式本を緊急発売します)。その他、ねごと、東京カランコロン、ピチカート論議も込みでヒャダイン、画期的ロックフェス<夏の魔物>主宰者にして新コンセプトでのバンドSILLYTHINGへの取材、cinema staff、UNLIMITS、NIKIIE、joy、南波志帆、シシド・カフカ等を掲載。更に更に、東京カランコロンのせんせい、STEREOPONYのAIMIの各新連載もスタート。

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