MARILYN MANSONのあの日、あの時7 『MARILYN MANSONのあの日、あの時』へ戻る

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2012年6月29日 (金)


ついに初来日公演実現!そのとき起きたハプニングとは…
文●有島博志(GrindHouse)

 '97年3月、MARILYN MANSONは初来日し、東名阪3都市での計4公演を瞬く間にソールドアウトにし、日本でも人気、評価を決定的なものとした。それはとてもとてもめでたいことだったのだけど…。

 今回紹介する話は、あれからもう15年間以上の歳月が流れているものの、これまで一度も書いたり、話したりしたことのないものだ。連載前々回に書いた、マンソンとの初対面取材の素材を帰国後、その来日直前期にTVで放映し、その際自分が言ったことがそもそもの発端となった。東京公演初日、渋谷クラブ・クアトロに着き、1階からエレベーターに乗ろうとビル内に入ったときのことだ。チケットが買えなかったファンたちが大勢いた。そのなかを通り過ぎようとしたとき、「ちょっと待て!」と呼び止められたので、「ん?」っていう感じで振り返ると、ファンたちが一斉に自分のところに詰め寄ってきてみな口々に言い出したのだ。
「番組であれだけ“MARILYN MANSONのライヴを観ろ!”って言っていたからきたのに、ソールドアウトでチケットがないじゃないか!! どう責任をとるつもりだ!!」
「オレは遠方からこのライヴのためにわざわざ東京に出てきたのに…いったいどうしてくれるんだ!!」
「ここにいるみんなのためにチケットをなんとかしてくれ!!」

 なにしろずいぶん昔のことゆえ、一字一句を覚えているわけではない。そのようなことを矢継ぎ早に浴びせられた自分は、心の隅っこで「え、それってオレのせい?」って思いつつも、ほぼ吊し上げ状態に(笑)。身の危険を感じた、というほどではなかったけど、咄嗟の判断で「このままではラチが明かないし、この場から逃げ切れるもんでもない」となり、みんなに向けてこのようなことを言った。
「わかったわかった!一度会場内にいかせてくれよ。関係者たちにチケットの件を相談してみるから。出してもらえるか否かはわからないけど、その返答を持って必ずここに戻ってくるから少し待っていてくれよ!」と。

 すぐさまエレベーターで上がり、場内に入り、まず招へいもとのスタッフに事情を説明した。すると「もうソールドアウトと打ち出しちゃってるんで、うちからはチケットを出すのは難しいです。会場側と話してくれませんか?」と言われたので、店長さんにかけ合ってみたところ理解してもらえ、「今回は特別で、これが最初で最後ですからね」と念を押されながらも15枚だったか20枚だったかのチケットを用意してくださったのだ。即行チケットを持って階下に下りた。そして、みんなに向けてかざしつつ「会場側のご好意でチケットを出してもらえたから」と言った途端、大きな歓声と拍手が上がり、ホッと胸をなで下ろした。自分が“悪者”から一転、“英雄”になった瞬間だった(笑)。だけど当然、そのチケット枚数では足りなかった。で、ここは公明正大に、とじゃんけんの勝者がチケットを手にした。そのファンたちは数十分前に見せていた怒り心頭の表情はどこへやら、満面の笑みを浮かべながらひとりひとりがお礼を言い、エレベーターに乗り込んでいった。そのとき自分は「これでよかった、んだよなぁ…」と納得するしかなかったのである(苦笑)。

MANSON'S SINGLE COVER GALLERY

「LONG HARD ROAD OUT OF HELL」 (1997)
これまでに紹介してきた一連のジャケ・アートと、今回のとでは全然そのニュアンスもタッチも違うことが即わかってもらえると思う。それもそのはず、今作はMARILYN MANSONのオリジナル・アルバムからのシングル・カットではなく、アメコミ実写版映画『SPAWN』のサントラからのものだからだ。当時、同サントラはヘヴィ・ロック、オルタナティヴ・ロック勢と、エレクトロ・ミュージック勢のガチ・コラボで大変話題になった。

 これは結果的に、当時のMARILYN MASONの日本における注目度の高さを計り知るバロメーター的ハプニングとなった。と同時に、ようやくインターネットが普及し出した時代だったからこその出来事とも言える。当時、チケットがあるかないかを確認するにはプレイガイド(チケットの予約や発券業務を行うところ)、招へいもと、そして会場に電話するしか手立てがなかった。今では考えられないことだろう。

 言うまでもなく、その夜のライヴはめちゃくちゃ熱かった!ファンたちの異様なくらいの期待度、注目度が一気に炸裂し、始終盛り上がりっぱなしだった。初めてアジア圏の国でプレイし、その初日公演を大成功のうちに終了したのだ、終演後マンソンはとにかく上機嫌で、楽屋裏で関係者全員にテキーラを振る舞い、祝杯を上げたほどだった。当時はこうした激しい音楽をやるアーティストに対し、音楽専門誌ですら冷遇していた。にもかかわらず、MARILYN MANSONだけは別格で、某・写真週刊誌に来日の模様が取り上げられていた。そう、この初来日こそが、MARILYN MANSONにとっての本格的な日本進攻となったのだった。

 次回、話はいよいよ3枚目『MECHANICAL ANIMALS』('98年)へと突入する。



MARILYN MANSON 関連タイトル!

GODFLESH / 『STREETCLEANER』('89年)
現JESUほかのジャスティン・K・ブロードリック(vo,g)が、NAPALM DEATH脱退後にやっていたのが、このGODFLESH。今作は2ndリリースにあたり、同名義で残された6作品において疑うことなく“最高傑作”と断言できる秀逸作だ。BLACK SABBATHKILLING JOKESWANSからの音楽的影響をジャスティンと、当時のパートナーだったポール・ネヴィル(g)、G・クリスチャン・グリーン(b)らで自己解釈 & 消化し、まったく独自のアングル、感性をもって強烈に自己主張したサウンドはすさまじいの一言につきる。当時はこのようなスタイルの音楽はほかになく、このコーナーでこれまでに取り上げてきたインダストリアル・ロック/メタル勢とは一線を画すものだ。NAPALM DEATH時代に得意としていたスピード感を一掃し、極端なまでのダーク性と、引きずるようなヘヴィネスでグイグイ迫ってくる。オープニングの「Like Rats」で聴かれるハンマー・ビートはガツン度満載だ。
文●有島博志(GrindHouse)

MARILYN MANSON 最新作ニュース

■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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