【連載】ジルデコ 『Recording diary』(2)

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2012年7月2日 (月)

【ジルデコ結成10周年記念 特集連載『Recording Diary』第2回目】

JiLL-Decoy association(通称:ジルデコ)の結成10周年を記念して連続リリースされるアルバム3作の制作現場を追いかけていき、なかなか知りえないレコーディングの内容などを明かしていく連載企画!連続リリースの第2弾として、「Jazz」をコンセプトに生み出されたアルバム『Lining』の制作過程を振り返る!

[JiLL-Decoy association プロフィール]
02年結成。chihiRo(Vo)、kubota(G)、towada(Drs)の3人が生み出すJAZZ / FUNK / R&Bをベースにしたオリジナリティあふれる楽曲と、高い演奏力によりジャム・セッションのように毎回進化していくライブ・パフォーマンスが中毒者を増やしていく。
ジャズクラブで催すプレミア・ライブ「ジルデコ・ラウンジ」と、ライブハウスで繰り広げるスタンディング・ライブ「ジルデコ・フェスタ」という2つ方向性のレギュラー・イベントにより一層ライブ・アーティストとして可能性を広げていき、恒例となった渋谷JZ Brat での2デイズ・ライブや2年連続で行った渋谷クアトロでのワンマン・ライブも満員御礼で大成功に収める。
そして今年2012年は、ジルデコ結成10周年というアニバーサリー・イヤー。それに相応しく、記念アルバムを3作リリースし、さらにはビルボードライブ東京でのスペシャル・ライブや国内最大ジャズフェス「東京ジャズ」への出演など、今その勢いは留まることを知らない。






JiLL-Decoy association 『Lining』  [2012年07月11日 発売]

元々ジャズ・ミュージシャンであり、ジャズを愛するからこそ、あえてジルデコという表現方法を選び、日本語歌詞のオリジナル楽曲による実験と挑戦を続けてきた、towadaとkubota。ジャズとの切っても切れない不思議な縁を自覚しながら、ジャズシンガーと呼ばれることを拒んできたchihiRo。そんな彼らが結成10周年記念アルバム第2弾で、ついに真っ向から<ジャズ>に向き合った。 ジルデコ史上初の全曲英詞カヴァーによるアルバムであるが、選曲やアレンジ、そして演奏と歌唱に込められた想いと表現は、オリジナル楽曲のアルバムと同等に<ジルデコらしさ>をしっかりと感じさせる作品となっており、改めてジルデコが最高にスタイリッシュでクールなアーティストだと認識させられる。 これは、結成10周年を迎えたジルデコが今だからこそ贈る、愛するルーツを思いきり奏でた至福のジャズ・アルバムである!


【先着特典】

JiLL-Decoy association 『Lining』をお買い上げの方に先着で、「『Lovely』リリースLive音源入りCD」(7曲収録)をプレゼント!
※先着ですので、なくなり次第終了となります。ご了承ください。
※特典の有無は商品ページにてご確認ください。


【HMV ONLINE抽選特典】

JiLL-Decoy association 『Lining』をHMV ONLINE/HMV MOBILEで期間中にご購入されたお客様の中から、抽選で10名様に「サイン入りポスター(『Lining』絵柄)&メッセージカード」をプレゼント!
【応募方法】対象商品ご購入後(商品出荷時)に、メールにて応募フォームのURLをお知らせ致します。
【購入対象期間】〜2012年8月11日(土)まで ※以前にご予約いただいた方も対象となります。
【応募対象期間】2012年7月10日(火)〜2012年8月18日(土)
※HMV ONLINE本サイト及びHMV MOBILEサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります(HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外です)。
※お客様の携帯にて指定着信許可をされている場合は、“@hmv.co.jp”のドメイン指定許可設定が必要になります。
※HMV ONLINE/HMV MOBILEでご注文頂いた場合、タイミングによっては対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。
※当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

『Lining』 収録曲

  • 01. Cantaloupe Island
  • 02. What A Little Moonlight Can Do feat. Eric Alexander
  • 03. Take On Me
  • 04. The Island
  • 05. Nica's Dream
  • 06. I've Got Just About Everything
  • 07. I'm All Smiles
  • 08. Recado Bossa Nova(The Gift)
  • 09. My One And Only Love feat. Eric Alexander
  • 10. Obsession

  試聴 (SOUNDCLOUD)

第1弾リリース

商品ページへ
『Lovely』
[ 2012年04月11日 発売 ]

第3弾リリース

未定
『未定』
[ 発売日未定 ]







【第2回目】 Recording Diary of 『Lining』 Part 1

結成10周年記念アルバム第2弾のテーマが<Jazz>と決まり、ジルデコ史上初の全曲カヴァー・アルバムを制作することになった。一言でジャズと向き合うといっても、そこはあまりに途方も無く広くて深いジャズの大海。ジルデコとしてのジャズを表現するには、まずはどんな選曲をもって、さらにどんなアレンジや演奏をすればよいのか? Part1は、ジルデコ・メンバーと今作の共同プロデューサーである東京JAZZプロデューサーの八島女史に、『Lining』の選曲に対する想いを振り返ってもらいました。



八島敦子(以下、八島):  初めに皆さんとお会いしてライブを観せてもらって、CDを聴かせてもらって結構本当にCDを好きになって何回もCDを聴いちゃったんですよ。

ジルデコ 3人:  ありがとうございます!

八島:  ジルデコのオリジナリティーは、聴き易くてジャズともR&Bともポップスともカテゴライズして聴かなくて良い心地良さ。なので、私がいち音楽ファンとして、自分が聴きたい曲を、そのジルデコ・サウンドでやって欲しい曲を勝手に選んでみただけなんですよ(笑)。
あとは、仕事でフェスのブッキングをしているんだけど、ジャズを知らない友達にも「すごい良いから来てよ!」とフェスに呼べるようなラインナップを心がけてるんだけど、それと同じで、お勧めしたいジャズ曲のラインナップで、フェスを作るよう感覚で選曲してみたんです。



「Cantaloupe Island」 from 『Cantaloupe Island』 / Herbie Hancock

商品ページへ 八島:  ハービー・ハンコックで初めて聴いて。メロンの甘い匂いが充満しているような理想島?イマジネーション豊かな曲だよね。

towada:  ジャム・セッションでよく演る8ビートの曲。歌詞があるのも初めて知った。

八島:  選曲としては、US3がこのジャズ曲をヒップホップの感じでやった金字塔だとしたら、ジルデコはどうやるのか興味深かった。そうしたらプリプロで上がってきたのを聴いて、まさかあんなアレンジで来るとは非常にびっくりした。すごいな、さすがと思った。

kubota:  ありがとうございます。物凄く間口の広い曲なので、どういう切り口でもいけるので初めは途方にくれたが、最終的には自分が楽しいと思えるアレンジを持ってきただけなんです。退廃的なやさぐれ感を感じさせる方向性に振ってみました。



「What A Little Moonlight Can Do」 from 『Ultimate Collection』 / Billie Holiday

商品ページへ 八島:  ビリー・ホリデーがやさぐれた感じで歌っているのが大好きで。90年代にディー・ディー・ブリッジウォーターがカヴァーしているのもカッコよかったし、アップテンポな曲を探したときにすぐに思い浮かんで。あと、すっごい早い曲をやって欲しかったから(笑)。

towada:  演奏したことはあったけど、わりと可愛い曲だと思っていた。それを早くやると超楽しくて、やさぐれ感も感じてくる曲だなと。

kubota:  アレンジは、ジャズが好きな人間として真っ向から頑張りました。



「Take On Me」 from 『Hunting High And Low』/ a-ha

商品ページへ chihiRo:  今回唯一私の選曲なんですが、a-haのオリジナルを知っていたんじゃなくて、実はスカコア・バンドのリール・ビッグ・フィッシュのカヴァーが好きだった。ジャズと離れたところにある音楽が好きだった私が、ジャズと離れたところにある曲をあえて持ってきて演ってみたかった。
私はkubotaのアレンジ力をリスペクトしているので、三拍子で歌ったら凄いきれいなワルツになるだろうなと思って提案したんだけど、アレンジが上がってきたらまさかの5拍子になっててすごい難しかった(笑)。

kubota:  3拍子にすれば良くなるのはわかってたけど、5拍子のゆったりした感じは気持ちいいはずだから、チヒロに5拍子で歌うのを頑張って欲しかった。それに、知っている人はいっぱいいる曲だろうから、ぶっ壊したかったんだけど、ぶっ壊し加減にニヤっと笑ってくれる人がいっぱいいるといいな、と思ってやった。

八島:  それが凄いよね。壊し方が、ガンガン壊すのではなくて、素材を引き立たせたまま心地良く壊せるのは才能だと思う。



「Island」 from 『Crazy And Mixed Up』/ Sarah Vaughan

商品ページへ 八島:  皆で「Obsession」選曲した後、こんなバラードも入れたいと思って。サラ・ヴォーン、ディー・ディー・ブリッジウォーターで聴いていて、バラードでは一番好きと言える位の曲。エロティックでも知性がある。 このエロチックでセクシーな曲を爽やかなジルデコとchihiRoさんがどうやって演るかが楽しみだった。

chihiRo:  初めは、大人過ぎて私には歌えないかもと思ったんです。だけど歌詞を全部和訳してみて、31歳の私なりに歌えるはずだと色々な歌い方をためしてみました。

towada:  これこそ名曲っていうんだろうなと思った。

kubota:  この曲はジルデコの付け入る隙が全く無い、物凄い完成された雰囲気の曲。あえて壊しにかかる必要はないと思って、自分たちの素の感じで雰囲気良く録れればいいなと思った。



「Nica's Dream」 from 『Horace Scope』 / Horace Silver

商品ページへ 八島:  ジャズの中で一番好きな曲のひとつ。ホレス・シルバーの名曲。ベロニカ(ホレスの奥さん)の曲で「ジャズがもっと広がれば良いな」という曲。ディー・ディー・ブリッジウォーターがカヴァーしているのを聴いて凄いと思った。

towada:  営業含めて色々な場で演奏しまくっていた曲だけど、ハッピーを押し付けない、喜怒哀楽が純粋な感じがする曲。

chihiRo:  「ジャズがもっと広がればよいな」という曲が広がっていって皆が演奏するようになって、私にも歌う機会がきて、繋がっているなと感じました。その想いを私も背負っていると感じれて良かったです。



「I've Got Just About Everything」 from 『As Time Goes By』 / Tuck & Patti

商品ページへ kubota:  僕らから提案した曲。出会いはタック&パティで、めちゃめちゃ早くやっていた。すごく可愛い曲だけどヒネリがあって、ずっと引っかかっていて、いつか演りたいと思っていた。

towada:  すごく自分らに合っていると思っている。

chihiRo:  すごい難しい曲なんだけど、ミュージカルっぽくてすごく良い曲だと思いました。

towada:  こんなハッピーな曲を心から楽しんで演奏できるようになって、実は凄く嬉しい。自分が演奏中に笑顔になっちゃうとか、昔はまったく想像できなかった。

八島:  ライブ見たらtowadaさんが一番楽しそうだったよ(笑)。



「I'm All Smiles」 from 『Little Moonlight』 / Dianne Reeves

商品ページへ towada:  提案したのは自分ですが、コードも構成も複雑で難しいけど、可愛い系ですごくジルデコっぽい曲だなと。

chihiRo:  ダイアンリーブスでは聴いていたけど、自分が歌うまでは良さが分からない曲だった。でもミュージカルっぽくて好き。この曲みたいに可愛いくて現実とはちょっと離れたお話を、音楽で表現できるのが素敵だなと思う。

towada:  そう。あんなに可愛くて良い話は現実にはありえないでしょ?そういうお話を演奏で表現するのが音楽の仕事だと思う。

kubota:  声もキャラもチヒロに合っていたので、アレンジは塩コショウ程度で、あとは演奏で勝負!っていう曲だった。

ジルデコ3人:  演奏していて超楽しい曲です!



「Recado Bossa Nova(The Gift)」 from 『Dippin'』 / Hank Mobley

商品ページへ 八島:  ハンク・モブレーを聴いて、もう、楽しいのに切なくて哀しくて、衝撃的な出会いだった大好きな曲。メロディーが良いので誰がやっても良い曲だけど、ジルデコがやったらどうなるか楽しみだった。

chihiRo:  今回の選曲の中では前から知っていた有名な曲。

towada:  ジャズの営業仕事でよく演奏した曲なんだけど、逆にリクエストされて嬉しかった。営業の憂鬱感を払拭しようと思って燃えた。

kubota:  自分も同じように、この曲に今まで苦い思い出やトラウマを感じていて、どうやったら楽しく演奏出来るのか答えが出ないまま来ていたので、答えを出してやろうと思った。



「My One And Only Love」 from 『John Coltrane And Johnny Hartman』 / John Coltrane And Johnny Hartman

商品ページへ 八島:  いわゆる<バラード>を選曲しようとして選びました。情感溢れるバラードを演って欲しかったので。

kubota:  大好きな曲なので頑張りました。

chihiRo:  リッキー・リー・ジョーンズで知っていました。ジャズのバラードっていう印象は持ってなかったことで、私なりに気負わずに考えられて、逆に歌いやすかった。



「Obsession」 from 『Inner World』 / Dori Caymmi

商品ページへ kubota:  僕の選曲。僕の中では、一生に一度でもあのメロディを書けたら死んでもいい程の曲。以前から、chihiRoが歌うというのを想像してた。歌って欲しかった。

towada:  実はchihiRoはこういう歌詞(取り付かれている)を書くタイプ。ジルデコの出会いのきっかけになった「裸の歌」はまさに。ダイアン・リーブスがこの曲を怖く歌う感じ。

八島:  ライブで「裸の歌」を聴いたときに、「だからこの曲を選んだのか」と全てを理解した。ジャズをそんなに聴かないchihiRoと、ジャズが大好きなkubotaとtowadaが出会った接点がわからなかったけど、この曲を聴いて色々理解出来ました。

towada:  さすが!超嬉しいです!

kubota:  当時、「裸の歌」を聴いて、初めてこの人と一緒に組めるなと感じました。

chihiRo:  実は、練習してる間に、何とも言い表せない感情の高ぶりに何度も泣いちゃった。曲を背負い過ぎると歌手としては良くないなとは思いつつ、この曲はどうにかして自分のものにしたかった。

八島:  個人的に、ジャズの中で後回しにしていた曲のひとつ。今回ジルデコと「Obsession」という曲と向き合えて、「何がこんなにみんな引っかかるんだろう」っていう所も「裸の歌」を聴いたことで腑に落ちたりして、音楽の新しい発見があるのはやっぱり楽しいなと思えた。


  



八島:  曲は全部オリジナルじゃないけど、ジルデコのオリジナリティーは出てるから、色んな人に聴いて欲しいよね。

towada:  名曲過ぎると自分たちでは恥ずかしかったりプレッシャーを感じたりして選べなかっただろうから、一緒に選んで貰えて本当に良かったです。

kubota:  初のカヴァー集がこんなに名曲揃いで嬉しい。今までジャズで散々演奏してきた曲と、こんなにちゃんと向き合えて本当に貴重な財産になりました。

八島:  どんな曲を投げてもジルデコ風にやってくれるとわかったので、最終的には割りと素直に、自分の聴きたい曲を選曲しただけでしたけど、本当に楽しかったです。

chihiRo:  色んな曲とのすごい良い出会いがいっぱいありました。ありがとうございました!




※さて、次回【第3回目】 Recording Diary of『Lining』Part2 は、実際にアルバムのレコーディング過程に迫ります。ご期待下さい!






Live情報

ジルデコ・ラウンジ 結成10周年記念スペシャル! in ビルボードライブ東京
8/18(土) 六本木Billboard Live TOKYO
JiLL-Decoy association
Special Guest : akiko, 松岡“matzz”高廣(quasimode) and more!
1st Open17:00 Start18:00 / 2nd Open20:00 Start21:00
※入替制 サービスエリア¥6,800 / カジュアルエリア¥4,800(1ドリンク付)
[ビルボードライブ東京] 03-3405-1133
  http://www.billboard-live.com

東京JAZZ2012“the CLUB”OPENING PARTY
9/7(金)丸の内COTTON CLUB ※ジルデコ出演会場
JiLL-Decoy association
with Special Guests 平戸祐介 and 松岡“matzz”高廣 from quasimode
Open14:30 Start15:30
全席自由¥3,000 ※1ドリンク別
[東京JAZZ2012] ハローダイヤル03-5777-8600(8:00〜22:00)
  http://www.tokyo-jazz.com/

その他ライブイベント
7/29(日) 代官山LOOP「Nu Soul 〜JiLL-Decoy association×MONDAY満ちる〜」
[Lコード:70534]
  チケット情報・販売はローソン・チケット『ローチケ.com』へ!



詳しくはジルデコ・オフィシャルサイトへ
  JiLL-Decoy association official site










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