2012年5月10日 (木)
2008年のライブ始動以来、怒涛のライブ活動で注目を集めることとなったオワリカラ。強烈なサイケデリックサウンドを鳴らした『ドアたち』『イギー・ポップと讃美歌』でその評価を不動のものとした。そして前作より1年、いよいよ待望となるニューアルバム『Q & A』を完成!傑作となった前作をしのぐ、オワリカラの現時点での集大成ともいえる大傑作アルバムを完成!いかにしてこの作品は誕生したのか!?発売直前のタカハシヒョウリ氏にメールインタビューを敢行!
--- 前作『イギー・ポップと讃美歌』から1年ぶりのアルバムとなりますが、まずは完成しての率直な感想をお願いします。
タカハシヒョウリ:オワリカラの集大成、いろいろな面を見せられる広がりがあるアルバムになったという手ごたえがあります。みんなの日常に居場所を見つけられるような曲がそろえられたんじゃないかな。
--- “Q&A”というテーマを思いついたのはどんなことからでしょうか?
タカハシヒョウリ: ワンコインシングル『シルバーの世界』で、ライブの瞬間の境目が消えるような一体感とか、音楽を通して向かい合える瞬間の情景を求める姿をテーマにしたのですが、そこから進んで自分の見ている風景の中で何かと向かいあったり、触れようとしている様々な瞬間をアルバムのテーマにしようと思いました。自分の中の「コミュニケーション」です。それはライブという大きな空間であっても、ともだちと向かい合ってる小さな空間であっても、コアにある物は変わらないという実感があったからです。ツアーで全国を回ったり、昨年のあの空気の中で暮らしている中でそういうことを感じながら、曲にしていきました。
『Q&A』というのは記号です。すごくミクロな言葉ですが、それは「知りたい」「触れたい」「触れられたい」「知らせたい」という想いです。それは「コミュニケーション」の真ん中にあるもので、『Q&A』というのはその一番小さな、最小単位の記号なんじゃないかな、と思いました。そこからすべての「コミュニケーション」が始まっていく気がして、タイトルにしました。
--- 歌詞を書く上で、何か気持ちの中で今までと変化した部分というはありますか?
タカハシヒョウリ: 人間発人間行き、というか、自分の中から出てきた言葉やストーリーが、聴いている人の中にストンと落ち着く場所を見つけられたら良いな、と思いました。歯車のように1対1で向かい合って完成する曲が多いです。人間なのでみんな揺らぎの中にいるけど、その幅も含めてアルバムが一人の人間の目線になっています。そういう意味でソロアルバムに近いです。そこにオワリカラのバンドとしてのエネルギーが流れ込んでいるイメージ。 あと、いつもより若干、自分の好みや嗜好を超越して「曲自身」に導かれて書いたところが大きい感じもしています。
--- 前作に引き続き井上うにさんがレコーディングに参加されていますが、井上うにさんとの作業はどのように進んでいったのでしょう?
タカハシヒョウリ: 今回はそれぞれの曲の「イメージを押し出す」というのを大事にしたので、うにさんにも共同プロデュースとして参加してもらって曲が必要としているものを一緒に考えました。具体的にはコーラス、打楽器、鍵盤関係のアレンジなどを一緒にあーでもないこーでもないと考えました。うにさんは近年まれに見る変態エンジニアなので変態アイデア大戦みたいになるのですが、同時にポップミュージックとしての冷静な目も持っていて、そこがアルバム方向性をより明確にしてくれたと思います。
--- サウンド面でこだわった部分があったら教えてください?
タカハシヒョウリ: 前作(イギーポップと讃美歌)がバンド一発、クセのある、びっくりするような音でアルバム一枚通したので、今回は曲ごとにサウンドを変えて、バンドの音を中心に、デジタルな物、アコースティックな物も交えてバラエティあるカラフルな印象にしました。サウンドも多面的で、いろいろな入り口があるアルバムになったと思います。「踊りたいときに聴きたい曲アリ」「むしゃくしゃした時に聴きたい曲アリ」「帰り道に聴きたい曲アリ」「寝る前に聴きたい曲アリ」などなど、いろんな場面に合う曲たちで、長く聴けるアルバムだと思います。懐の広いヤツです。
--- 今作にインスピレーションを与えた作品、またはアルバム製作中によく聴いていた作品などがあったら教えてください。
タカハシヒョウリ: 直接関係はないけれど、当時よく聴いていたのはボブ・ディランの『ローリングサンダーレビュー』とかレッドツェッペリン『Led ZeppelinV』キングクリムゾン『DISCIPLINE』 サニーデイサービス『愛と笑いの夜』奥田民夫『LION』など。
--- メンバーそれぞれのバンドでの役割はどんな感じでしょう?
タカハシヒョウリ:
タカハシ(歌ギター)→総監督的な何でも屋
津田(ベース)→破壊担当
亀田(鍵盤)→自由人な調整役
カワノ(ドラム&マネージャー)→静かな屋台骨
--- オワリカラの今後の野望について聞かせてください。
タカハシヒョウリ: 自分の愛した音楽の形で、みんなに届けます。
--- そして毎回恒例のオススメ漫画コーナーです。前回のインタビューでは諸星大二郎をオススメしてくれました、作品にも“壁男 が登場しています。今気になっている漫画を教えてください!
タカハシヒョウリ: 大メジャー作ですが最近『ハンター×ハンター』30巻読んで、泣きました。すばらしかったです。あと80年代にガロから活動している谷弘児の『薔薇と拳銃』『怪傑蜃気楼(ミラージュ)』が最近読んだ中ではお気に入りです。独特の下世話さが今見ると脱力で楽しめます。最近話題のグルメマンガ『ハナのずぼらめし』の2巻も良かったです。C級グルメまみれの中、意外なところでストーリーが進展してハッとさせられました。いましろたかし画、狩撫麻礼原作の『ハードコア上・下』もすごく良いです。その純度の高さに胸を打たれます。狩撫麻礼原作マンガはとても良いです。作画の漫画家のことをしっかり見て、原作を作るやさしさを感じます。『狩撫麻礼作品集A・B』もおすすめです。彼にしか描けない不器用で純粋な男の世界があります。あと最近、ひさしぶりにガンダム熱が高いので『ガンダムTHE ORIGIN』 も読みました。
古いのばかりで最新のマンガがあんまり読めてないので、できるだけ読みたいと思ってます。あと「高円寺司」という一瞬だけ活動していたホラー漫画家がいて、この人の絵がすごいです。あまりの筆致に、ホラーのはずがとんでもない脱力コミックになってしまっています。これをなんとか入手しようとずーっと探しているのですがいまだに見つかりません。見つけた方は一報ください!
--- それでは最後にHMV ONLINEをごらんのみなさんに一言お願いします!
タカハシヒョウリ: まだオワリカラを知らない人との出会いのアルバムにも、すでにオワリカラを知っている人のより深くに居場所を見つけるのにも、きっと『Q&A』は最高のアルバムだと思います。このアルバムでオワリカラの三部作のようなものがひとつ完結したと思っています。そして、ここからまた新章が始まっていくのを感じます。このアルバムでたくさんの人に出会えることを願ってます。聴いてください!
前作インタビュー(2011/5)
無人島 〜俺の10枚〜 【オワリカラ編】(2010/8))
オワリカラ初登場インタビュー(2010/7)
2008年春のライヴ活動開始以降、年間100本の強烈なライブアクトで注目を集める。
自主制作でリリースされたデモシリーズは、2000枚以上全てソールドアウト。10日間のカナダツアーでは海外でも反響を得る。
2010年8月4日、初の公式盤1stアルバム『ドアたち』をリリース。初のワンマンライブ(新宿MARZ)を皮切りに、12月3日のShibuya O-WESTツアーファイナルワンマンまで、4ヶ月にわたって全国50ヶ所の「ドアたち」ツアーを繰り広げる。
2011年5月11日、前作からわずか9ヶ月で、2ndアルバム『イギー・ポップと讃美歌』をリリース。東京事変などのエンジニア、井上うにと作り上げたこのアルバムには、各方面から大きな反応が寄せられた。アルバムをひっさげて、全国を回る”イギーポップと讃美歌”ツアーをスタート。”ROCKS TOKYO2011″、”ARABAKI ROCK FEST.11″など各地のフェスにも多数出演。
そして2011年9月23日。”イギーポップと讃美歌”ツアーのツアーファイナルとして、そしてこれまでのオワリカラの活動の集大成として、約10ヶ月ぶりのワンマンライブを、東京、渋谷wwwにて行なう。
2011年12月7日、初のワンコインシングル『シルバーの世界』 そして特典フリーワンマン『ぎっらぎらの一時間』も満員御礼。
2011年の締め括りとして「COUNTDOWN JAPAN 11/12」に出演。
2012年3月2日、ライブ会場限定販売ep『さよなら女王陛下e.p.』発売。 現在全国各地20箇所以上に及ぶリリースツアーを慣行。 ゲストにHINTOを迎えて行なわれたツアーファイナルはSOLD OUT
そして5月9日 3rdアルバム「Q&A」発売決定!
オワリカラ official site