民生選曲 子供ばんどベスト！

奥田民生 選曲、子供ばんどベストアルバム！

子供ばんどを青春時代に知って、うじきつよしを師匠と仰ぐミュージシャン…それが今回のベスト・アルバムの選曲を手がけた奥田民生だ。
とにかく楽しいロックを演り、尋常じゃない本数のライヴをこなしていた子供ばんどに憧れ、高校の学園祭でもコピーを演奏した子供ばんどファン、奥田民生が今回の選曲でこだわったのが、「全曲において俺の青春が詰まっているものでないといけない」ということと、「子供ばんどのライヴを想定」したということ。
23年ぶりの子供ばんどの復活シングル「マンモスの唄」のサウンド・プロデュースを手がけ、武道館での「ゴールデン・サークル」ライブで共演も果たした奥田民生による思い入れと愛情が詰まった選曲は、子供ばんどのベスト・ラインナップであり、入門編として文句なしに楽しめるアルバムだ。

“子供ばんど”とは

2011年に23年にも及ぶ永い沈黙を破って、活動を再開した子供ばんどは、'80年代初頭、日本のロックバンドのあり方に一石を投じ、後続のバンドに大いなる影響を与えたフロンティア・バンド。
1980年にアルバム「WE LOVE 子供ばんど」でデビューし、1988年に活動を休止した子供ばんどは、この8年間にアルバム12作とシングル11作を発表している。何回かメンバーチェンジを重ねているが、デビュー当時のメンバーは、うじきつよし（ボーカル＆ギター）、谷平こういち（ギター＆ボーカル）、湯川トーベン（ベース＆ボーカル）、やまとゆう（ドラム＆ボーカル）で、音楽的には勢いのあるハードロック、ハードブギを身上としたギター・サウンドだ。
その大きな特徴として、まず第一にあげられるのは、子供ばんどが明るく楽しいロックバンドであったこと。'70年代〜'80年代にかけての日本のロックシーンにおいて、ロックバンドといえば眼光スルドいコワそうな人達ばかりな中、笑顔でギターを弾き、楽曲的にもライヴ・パフォーマンスとしても楽しさいっぱいのステージを展開する子供ばんどの登場は衝撃的だった。
次に特筆すべきことは年間200本を超える驚くべきライヴの本数だ。デビューから8年、通算ライヴ本数2000本を達成して活動休止に入ったのだが、わずか8年で2000本を達成するというのはグレイト！としか言いようがない。
また、日本でのブレイク後、アメリカでの活動を本気で実行に移し、レコード会社の理解を得られずに自分達のレーベルを立ち上げ、手売りで作品をリリースしていた時期もある。インディーズシーンなど無い時代に、自分達で道を切り開いてきた点でも今の音楽シーンの先駆者と言える。
奥田民生、森 純太をはじめとして、子供ばんどに憧れてバンドや音楽をはじめたミュージシャンが今では日本のロックを引っぱる存在になっている。大袈裟ではなく、日本のロックの流れを変えたバンドである。その作品は、あくまでも明るく、楽しいロック。そして今も現役でリスナー、オーディエンスを魅了しているのである。

- 小松明美 -

収録曲