「和モノレゲエ」とは、一般的にレゲエ・アーティストではない日本の歌手、グループによって歌われたレゲエ・アレンジ、スカ・アレンジの楽曲(純歌謡曲、ロック、ニューウェイヴ、アイドル、演歌等スタイルは様々)のことを少なくともここでは指しています。5年ぐらい前に出ていたECDのミックスCD『Strictly Rockers chapter 17』や、雑誌「Relax」監修のコンピレーション『Relaxin With Japanese Lovers』の、まさにあのセンスですね。こちらでは、そんな和モノ市場のトレジャーアイル「和モノレゲエ」を月イチ連載形式で少しずつご紹介していこうという目論み(のちにレゲエ〜ダブ・リミックスを施したものなどは除外しています)。あまりにも採算が取れない本コーナー、大手の悪フザケととるか文化遺産の正しき継承事ととるかは閲覧者であるお客様次第。いつまで続くかも皆目検討つかずですが、ローソンHMV 和モノレゲエ課のエリート刑事たちが日夜レコ屋街を這いずり回って検挙した”クロ”なブツの数々、定番モノからニューディスカヴァリーまで百花繚乱、「アレがねぇ、コレがねぇ」とザワツキながらおたのしみください。
HMV主催の新たなライブシリーズ「HMV GET BACK SESSION」にカーネーションが登場! 今年発売20周年を迎えた『天国と地獄』の完全再現ライブが5月大阪・6月東京で実現! それに先がけて『天国と地獄』の20周年記念コレクターズ・エディション(DVD付き3枚組)もリリース! ということで、今月まずはこの目出度きプロダクツから”和モノレゲエ”をご紹介。「いくいく...」は、ご存知 岡林信康のURC期最後のスタジオ盤『俺らいちぬけた』(バックは柳田ヒロ、高中正義、鈴木慶一ら)に収録されたフォーク・ロックで、シングル盤「堕ちた鳥のバラード」のカップリング曲としても有名だろう。カーネーション・ヴァージョンは、量感溢れるストロング・スタイルのルーツレゲエ・アレンジ。キュートでモンドな合いの手コーラスが逆に歌詞世界の仄暗さと絶望感を際立たせている。本作から参加の大田譲(b)と矢部浩志(ds)のリズム・セクションは、ヨコノリ・タテノリ何でもござれのグルーヴマスターぶりで、アルバムが持つある種のカオスカラーの象徴ともなっている。島倉千代子「愛のさざなみ」のハードロック・カヴァーも最高!
「オニャン子、ひいては昭和アイドル作品には、レゲエ要素がひっそり垂らし込められているケースが間々あるんだ。気を抜くな!」と、トコロ構わずパイセン刑事は口にする。その理由のひとつとして、特にオニャン子ものにおいては、やはり音楽監督・後藤次利大先生の存在が大きいのだろう。ベーシストならではの”リズム・コンシャス”な感覚は、シンコペの効いたロックにしろファンクにしろ、それこそラテンやレゲエのエッセンスなどを”気の利いたスパイス”として歌謡曲にブチ込むことができるセンスに秀でているという点で、一本調子になりがちなアイドル歌謡曲の進化・発展を促したに違いない、と勝手に考察。とは言え、この時期まだまだレゲエは「売れねぇんだから手出すな!」と上層部から苦い顔をされていたワケで、そう簡単に着手できるものではなかったハズ。だからして、こんなラヴリーなレゲエ・チューンを検挙した日にゃピンドンの一本でも空けたいぐらいの大騒ぎに。『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS』に収録されていても全く不思議じゃない、超大穴曲。