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ガッティ/聖セバスティアンの殉教

2012年3月23日 (金)

ドビュッシー:『聖セバスティアンの殉教』
ダニエーレ・ガッティ&フランス国立管
神秘と官能、華麗な管楽器のファンファーレ!


ダニエーレ・ガッティとフランス国立管によるドビュッシーのユニークな傑作『聖セバスティアンの殉教』の登場。通常のオーケストラだけのヴァージョンではなく、語り・声楽も伴う本格的なヴァージョンによる録音です。

【聖セバスティアンの殉教】
ドビュッシーと詩人ダヌンツィオが意気投合して生まれたこの作品、もともとはダヌンツィオがバレエ・リュスの大人気ロシア人ダンサー、イダ・ルビンシテイン(右の画像)のために4000行近い詩を書くという話からスタートしたもので、その詩を朗読する舞台のための音楽を、友人のドビュッシーが請け負ったというものでした。

【強行スケジュールと混乱】
契約書にドビュッシーがサインをしたのは1ヶ月半に及ぶハンガリー旅行から帰った直後の1910年12月のことで、詩が書き上がる予定日は3ヵ月後の1911年3月、そして初演の予定はそのわずか2ヵ月後の1911年5月という、なんともギリギリな日程での契約でした。
 このような困難な日程の仕事を引き受けた背景には、ハンガリー旅行で受けたエキゾチックな刺激もあったのでしょうか。
 ともかく、劇のリハーサルまでにはピアノ譜を、そして本番までにオーケストラ・スコアを仕上げなければならないというスケジュールだったため、オーケストレーションについては、信頼のおける友人であるアンドレ・カプレの助力を得て完成しています。『聖セバスティアンの殉教』初演の指揮も受け持ったカプレは、第一次大戦でドイツ兵から毒ガス攻撃を受け、それがもとで体調が回復せず46歳で亡くなった指揮者で、1901年にはラヴェルをくだしてローマ大賞を受けた作曲家でもありました。
 さらに、契約時には四幕の劇に対して、各幕への4曲の交響的前奏曲、三曲の舞曲、五声のマドリガル、寡婦たちの哀歌とフィナーレという音楽をつけることが謳われていましたが、実際に出来あがってきたダヌンツィオのテキストは五幕だったという混乱もありました。

【初演の騒動とドビュッシーの満足】
そんなドタバタの中で迎えた初演もトラブル続きで、聖人であるセバスチャン役を、ユダヤ系のロシア人女性が演じるということに激怒したパリ大司教の命により、カトリック信者に観劇禁止令が発せられ、ローマ法王庁もダヌンツィオの全作品を禁書目録に入れるという大スキャンダルに発展。さらにその主演女優であるイダ・ルビンシテインがひどいロシア訛りという状況でもありましたが、ドビュッシーが、「自分が構想に描いていたような魅惑の和声の宮殿が目の前に現れ涙した」という記録も残っているので音楽的には大満足だったのでしょう。

【4時間から1時間へ】
『聖セバスティアンの殉教』は、実際にすべての詩を朗読しながら上演すると4時間以上もかかる大作ですが、しかしその中でドビュッシーの音楽は一時間弱ほどしかないことから、今日では完全版で演奏されることはほとんどなく、今回のような音楽部分を抜粋した形か、あるいは4曲から成る交響的断章(百合の園/第一幕の法悦の踊りとフィナーレ/受難/よき羊飼い)として演奏されています。

【作品本来の魅力に肉薄】
短期間で書かれたものの、この作品にはミステリアスでエキゾチックな色彩と抒情、感情のひだに寄り添う劇的性格と官能的な美しいハーモニーを併せ持った、ドビュッシーの魅力がたくさん詰まってもいます。
 それだけ密度の濃い作品であり、オーケストラだけでも十分に魅力的ではありますが、ガッティはここで人の声も用いることで、作品本来のリアルな魅力に肉薄します。
 語り手にフランスの女優(映画「ピアニスト」で主演をつとめた)、イザベル・ユペールを起用し、3人の女声ソリストと合唱が参加したここでの演奏は、ドビュッシーのいろいろな思いと語法が詰まったこの作品を多角的に味わうという点でも申しぶんのないもので、神秘性たっぷりに、ドビュッシーの和声の色彩が見事に演奏されているばかりでなく、セバスティアンの恍惚とした表情や、燃え盛る炭の上での舞い、受難の舞いが目の前にたちのぼってくるような説得力すら感じさせてくれます。(HMV)

【収録情報】
・ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教(ガブリエーレ・ダヌンツィオの5幕の神秘劇のための劇音楽)
 第一幕「百合の園」
 第二幕「魔法の部屋」
 第三幕「偽りの神々の会議」
 第四幕「傷ついた月桂樹」
 第五幕「天国」

 イザベル・ユペール(語り、聖セバスティアン)
 ソフィー・マラン=デュゴール(ソプラノ:処女エリゴーヌの声、Vox Sola、天の声)
 ケイト・アルドリッヒ(メゾ・ソプラノ:双子の兄弟マルク、Vox Sola)
 クリスティーヌ・クノッレン(メゾ・ソプラノ:双子の兄弟マルケリアヌス)
 ラジオ・フランス合唱団(合唱指揮:マティアス・ブラウアー)
 フランス国立管弦楽団
 ダニエーレ・ガッティ(指揮)

 録音時期:2009年4月9日
 録音場所:パリ、シャンゼリゼ劇場
 録音方式:デジタル(ライヴ)

【音楽とあらすじ】
『聖セバスティアンの殉教』は、異教徒たちによって、火あぶりの刑に処されそうになっている双子の兄弟を見たセバスティアンが、キリスト教に目覚め、不思議な力を得、様々な奇跡を起こすが、最後は自らも処刑されてしまうという聖人セバスティアン(セバスティアヌス)の物語。
 音楽は、非常に神秘的なプロローグで幕を開ける。第1幕「百合の園」の前奏は、木管の平行短三和音の動機(十字架の動機)に始まり、その後、火刑に処されようとしているキリスト教徒の双子の兄弟が歌う讃美歌へと移る(1)。2ではセバスティアンがキリスト教に目覚め、弓の奇跡、さらに、熱く燃え盛る炭の上を歩き、舞うという奇跡をあらわす(3)。4は魔法の部屋の入り口を想像させる不思議な雰囲気。5では、ディオニュソスの酒の犠牲になった処女エリゴーヌ(彼女が歌う歌が5)や、熱病の娘らが、セバスティアンに救いを求めて次々と現れる。汚れのないマリアの歌声(6)やエリゴーヌの歌は、「ペレアスとメリザンド」の世界を思い起こさせる。
 第三幕は、アウグストゥス皇帝を賛美する華やかなファンファーレ(7,8)で幕を開ける。セバスティアンは皇帝との問答の後、皇帝はアポロの放つまばゆい光と豪華な音楽でセバスティアンの目をくらまそうとする(9)。セバスティアンはこれを振り払い、キリストの受難を舞う。その美しい舞を見ようとシリア人らの女性たちが寄ってきて合唱となる(10)。セバスティアンは舞いの中で復活し、人々を驚嘆させる(11)。すっかりこの舞いに魅了された皇帝はセバスティアンに王冠に彩られた勝利を与える(12)が、セバスティアンはこれを拒む。皇帝は怒り、セバスティアンを葬ると叫び出す(13)。
 「傷ついた月桂樹」の前奏は非常に悲劇的で、セバスティアンが皇帝に処刑される運命にあることを予感させる(14)。森でセバスティアンは月桂樹の木の十字架にかけられ弓で射られるが、奇跡の羊飼いが現れ弓は全て機に刺さっていた(15)。セバスティアンは「今一度の愛を」と祈り、群衆がそれを見守る(16)。
 「天国」では天の扉はセバスティアンに向かって開かれている。殉教した聖人たちやキリストの使徒たち、そしてセバスティアンの魂が受難についての対話をした後、神を賛美して幕となる(17,18)。
 ( )内の数字は、このディスクにおけるトラック番号です。(キングインターナショナル)
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『聖セバスティアンの殉教』 ガッティ&フランス国立管弦楽団、フランス放送合唱団、イザベル・ユペール、他

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『聖セバスティアンの殉教』 ガッティ&フランス国立管弦楽団、フランス放送合唱団、イザベル・ユペール、他

ドビュッシー(1862-1918)

価格(税込) : ¥3,300
会員価格(税込) : ¥2,871
まとめ買い価格(税込) : ¥2,475

発売日:2012年04月17日
入荷日未定

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