HMVインタビュー:DJ Premier & Bumpy Knuckles

2012年3月21日 (水)

interview

DJ Premier & Bumpy

DJ Premierと盟友Bumpy Knuckles(a.k.a. Freddie Foxxx)…97年のO.C.のアルバム「Jewelz」での共演から現在に至るまで2人のコラボレーションはコンスタントに続き、その15年に及ぶ密月関係の集大成とも言えるダブルネーム・アルバムがここに実現。ゴールデンエラからのファンはもちろん、アンダーグラウンド・シーンを追っているヘッズ達も注目のレジェンド2人にインタビュー!まずはプリモから。
Interview & Text: F.M. (disk union) / Translation: Shizu Tomii (disk union)
Thanks to Gracie Productions

◆DJ PREMIER インタビュー

--- 二人は以前から楽曲単位では何度も共演をしてきていて、我々ファンにとっても馴染み深いタッグなのですが、このタイミングで初のダブルネーム・アルバムをリリースした理由は何でしょう?

P:そうだね、まず第一に、ファンは俺達に(ヒップホップ・シーンに)良質なヒップホップを求めていると感じてるんだ。今回の『Kolexxxion』は、2006〜2011年に作った未使用トラックでBumpyがラップするというかたちをとってる。俺らは若いラッパー達よりも年季が入っているからね。結局17曲以上になったので、それならアルバムとしてリリースしよう、ということになったんだ。

--- Bumpy Knucklesとの初共演は97年のO.C.のアルバム『Jewelz』だと思うのですが、それ以前にも彼とは交流があったのですか?また、初共演時の彼の印象と、あなたが感じる彼の魅力はどんなものか教えてください。

P:Bumpyとは1998年にGang Starrの「The Militia」のレコーディングで親しくなったんだ。その前にも91年に、Guruと一緒に俺達の弁護士の事務所に行く途中、テーラードのピンプ・スーツに身を包んだヤツに会ったことがあったな。いずれも彼がFreddie Foxxxとして知られていた時代の話だよ。それは、ヒップホップ史において最も敬意を払うべき時代とも言えるね。Eric B. & Rakim、Kool G. Rap & DJ Polo、EPMD、Public Enemy、LL Cool J、RUN-DMC、 Boogie Down Productions、Kool DJ Red Alert、Marley Marl、Chuck Chillout、Stetsasonicあたりが活躍していた頃だ。MCとしてのBumpyは、ハードコアなリリックとオリジナルなフロウを持ち合わせた、荒々しいスタイルが魅力と言えるね。

--- あなたの作り出すトラックは、一聴すればあなたのものとすぐ分かる個性があります。ラッパーにトラックを提供する時は、その人物をイメージして制作をしているのですか?それとも、常にストックしているトラックから最適なものを提供しているのですか?

P:ラップするMCをイメージしてトラックを作ることが好きだし、その方が(曲のストックを提供するよりも)良い作品ができる。勿論、ストックのビートを提供することも可能だし、(提供したトラックが)MCに拒まれた場合にオーダーメイドで(彼らの要望に応じたものを)作ったこともある。自分にとってはどっちの方法でも問題ないかな。

---サンプリングはあなたのプロダクションには欠かせないものだと思います。クレイツ掘りはまだしているのですか?している場合、最近はどんなものを好んで掘っていますか?

P:レコードを掘ることは人生をかけて愛し続けるよ。この質問についてはコレしか言えないな。

--- アナログレコード、またCDも含めてフィジカル・リリースの今後はどうなると思いますか?

P:アナログレコードはいつの時もヒップホップにとっては重要なものだから、このジャンルにおいては存在し続けると思う。CDも恐らくそうだろうけど、レコード程ではないかもしれないね。

--- オーバーグラウンドは勿論、アンダーグラウンドなヒップホップもかなり多様化、細分化してきていると思います。ゴールデンエラを引き継いだ温もりあるサンプリング・ヒップホップを続けているアーティストも多い一方、最新のハードウエアを利用したデジタルなヒップホップもシーンを席巻しています。そのような音を好んで聴くこともありますか?

P:新しい色々なスタイルのヒップホップを聴くのは大好きで、特にスタイルを選んで聴いたりはしないな。自分自身は、1973年から1999年の間のN.Y.サウンドが大好きで、(前述したように)それは最も無垢でピュアな時代だった。「曲を作るぞ」という時にターンテーブルでスクラッチを録ったりしていると、そういう類の曲を作るのは今でもすごく楽しいと感じるよ。

--- 最近のフェイバリットを、ラッパー、プロデューサー問わず何人か教えてください。特に新人についても是非お聞きしたいです。

P:確かにDrakeは今までのヒップホップ・シーンにはいなかった新しい才能だと思う。だけど、やっぱり俺はアンダーグラウンドでがんばっているMCが好きだね。Termanologyや Justo the MC、Joell Ortiz、Reksといった奴らかな。

--- あなたとクラシック音楽(Berklee Symphony Orchestra)との共演(なんとNasをフィーチャー)も話題となっています。かなりチャレンジングで意義のある企画だと思いますが、どのような思いで制作を決めたのでしょう?

P:彼らが俺のマネージャーにコンタクトしてきたことがきっかけだな。彼らはプロジェクトのコンセプトと、SkrillexやPretty Lights、Mark Ronson、The Crystal Methodといったメンバーが参加していると伝えてきた。ロック、クラシック、ソウル、ジャズ、カントリーと、皆それぞれに学ぶべきジャンルが与えられて、俺はクラシックを選んだんだ。今まで自分がいた分野(ヒップホップ)からステップアップするのは、とても楽しい経験だったよ。それまでに無いほど音楽に感謝することができたしね。彼らはNasもそのプロジェクトに呼び、俺も100%の力で臨んだ。俺にクラシックを教えてくれたBruce Adophe、あとBerklee Symphony Orchestraの指揮の仕方を指導してくれたMr. Steven Webberにはとても感謝している。彼らのおかげで俺はクラシック音楽をリスペクトするに至ったんだ。

--- Nasとのコラボ・アルバムや、Jeru The Damajaとのリユニオンなど、あなたの今後の動向についての噂は多く耳にします。差し支えない範囲で、近い将来実現される企画があれば教えてください。

P:今回のBumpyとのニュー・アルバム(本作)のリリースの前に、まず3月初めに『StOoDiOtYmE』というEP(デジタル)が出る。それ以降だと、M.O.P.とアルバムを作ってて、MC Eihtともアルバムを製作中だよ。『Which Way Iz West』というタイトルで、俺はエグゼクティブ・プロデューサーをやってる。Jeru The Damajaとはまたスタジオに入ろうという話をしてるし、あとBusta Rhymesの新しいアルバム『E.L.E. 2』では2曲やっているな。

--- 最後に、今回のアルバム『Kolexxxion』の聴きどころを教えてください。

このアルバムはイントロからアウトロまで、すべてが聴きどころだよ!

---> 次ページはBumpy Knucklesのインタビューです。

新譜Kolexxxion
今や伝説とも言える故Guruとのユニット・Gang Starrでの活躍から始まり、Group Home、Jeru The DamajaらGang Starr Foundation一派、そしてNasやJay-Z、Notorious B.I.G.など殿堂入りアーティストのプロデュース・ワークはまさに星の数ほど。90’sゴールデンエラ以降のヒップホップ・シーンにとって欠くことのできないレジェンダリー・プロデューサー・DJ Premierが、NYC発のご存知剛腕マイカー・Bumpy Knuckles (a.k.a. Freddie Foxxx)との超ヘビー級マッチアップを敢行! 97年のO.C.のアルバム「Jewelz」での共演から現在に至るまで2人のコラボレーションはコンスタントに続き、その15年に及ぶ密月関係の集大成とも言えるダブルネーム・アルバムがここに実現! Bumpy Knucklesのセルフ・プロデュースによるラスト曲を除き、トラックは全てDJ Premierによるプロデュースで、彼の十八番である「チョップ」テクニックを多用した至極のトラックの数々、スリリングで極太なワンループ・サウンドが全編で展開。そして泣く子も黙る巨漢ライマー・Bumpy Knucklesによる超ワイルドなダミ声フローも合わさって、まさしくこのスーパー・ジョイントでしか成しえない超弩級のハードコア・ヒップホップ・アルバムが完成!