【インタビュー】L.E.D.

2011年12月13日 (火)

interview

2011年は朝霧ジャムにも出演、まさかのリリースラッシュとなったL.E.D.。そして12/14に2011年の集大成となる『Music For Cinemas e.p.』をリリース!充実の1年となった彼らにインタビュー!



-- 今年はアルバム『elementum』に始まり、限定シングル「I'll」、12inchアナログ、そして12/14に発売される「Music For Cinemas e.p.」とまさにリリースラッシュでした。 まずはこの一年を振り返ってどうでしたか?

佐藤元彦(以下佐藤)  今年は震災という大きな節目をみんなが迎えて、それも少なからず影響してやりたいことはできるときにやらねば、自分らはありがたくもそういう状況にあるんだという思いに突き動かされて、バンド史上、一番活発な年になりましたね。バンドとしても“初”な経験ばかりでした。クラムボンの原田さんとのコラボ、リミックスアナログ12 inch、朝霧JAMの出演、今回発売のe.p.もいわば連続リリースですし、すべて初の試みでしたね。とにかくあっという間でしたが、バンドが生き物として動いていく感じを実感できたとても濃い一年でした。

-- 朝霧JAMなどにも出演し、ライブ活動も増えてきました。今年の中で思い出に残っているライブを教えてください。

佐藤  やはり朝霧JAMです!
あの場に立ってこのバンド、10年以上のらりくらりやってきて、やっと認められたんだって気持ちはありましたね。
晴天のあの広大なロケーションの中、富士山観ながら、それら自然の景色と溶け込んで一体となっていく僕らの音。それを楽しんで聴いてくれてるたくさんのオーディエンスの最高のヴァイブス!これが俺らのやりたいことだ!って演奏中も胸中で叫んでました。(笑)大げさですが、この7人のメンバーであのステージにいることがほんとに誇らしかった。みんなほんといい顔してた。立ち上げメンバーの僕もオータも実は感極まって涙ぐんでましたから。(笑)
ここまでくるのに年取り過ぎましたね。(笑)

-- そして2011の集大成となる今作「Music For Cinemas e.p.」はL.E.D.にとってどんな位置づけとなる作品でしょうか?

佐藤  これは今年の勢いがあったからこそ生み出されたものですね。
実は、そもそも作る予定はなかった。とにかく創作欲求がとまらなかったんで朝霧出演後に、じゃあ、そのヴァイブスもフィードバックして旬なうちに作っちゃおうってことで出す事になりました。ほんと勢いです。(笑)
実際、朝霧であれだけ広大なロケーションでその景色(映像)を体で観ながらライブやったことで大きくてでっかい何かを改めて表現したいという感覚がより強まりました。 それが逆に原点回帰というか映像から音をイメージするという僕らの特徴である制作スタイルのあり方を再認識させるという結果になって、その具体化がサントラというコンセプトへと繋がって今回のリリースとなりました。そうですね、原点回帰です。

-- タイトルが示すとおり、今作はサウンドトラックを意識して作られということですが、一曲めの「one」はオープニング相応しい、何かを期待させるようなポジティブな楽曲ですが、どんなものがイメージにあるのでしょう?

佐藤  まさにポジティヴなメッセージをサウンドに込めたつもりです。
今は誰もが毎日に将来に不安を抱えて、それでも生きていく、生かされてる事について階級や性別、年齢もなにも関係なく意識をせざるを得ない時代となってきてます。
そこへ無気力な人、絶望してる人、感謝の気持ちを持つ人、希望に満ちている人、その人それぞれでしょうが、“one”とはそういう全ての人たちみんなが同じ”ひとつ“の時代に生きてるんだという意味です。同時代を共にするというのは未来を共に作ることですからポジティブなメッセージなんです。
そういうことを哲学的観点から表現したのが“2001年宇宙の旅”なんではというのが僕のあの映画に対する解釈で”one”の映像イメージはこの映画を意識しました。
さらにこの制作途中で今回ジャケットを描いてくれた近藤康平くんのジャケ原画にTwitterで出会いそこからもポジティブで優しい感覚をフィードバックされましたね。
だから実は半分は近藤君とのコラボとして完成した作品ですね。こういう出会いから作品が変化して行くのは本当に嬉しいですね。
あとはポジティブで壮大というとこで“炎のランナー”というシンセサイザー奏者のヴァンゲリスの作った映画サントラを聴いていたので、そこからサウンドの直接的な影響は受けてると思います。

-- また2曲目の「countless」では不穏な音色に始まり、壮大でビートレスのサウンドスケープが広がります。こちらはどんなイメージで制作されたのでしょうか?

横山裕章  作った当時、ドローンっぽいサウンドをよく聞いていて自分なりの(L.E.D.)としてのフィルターを通して何か面白い事が出来ないかなと思って作りました。モノトーンの景色がゆっくり流れているようなそんなイメージで作っていたと思います。
なんとなくフィルム感を出すためにカセットで録音しました(笑)

-- そして2011年のL.E.D.の代表曲ともなった「I’ll」をCalmが、そして「Oriens」をmoshimossがそれぞれリミックスしています。限定にて発売され反響も大きかったですが、そもそものリミキサーの人選というのはどのようなものだったのでしょう?また初めてリミックスされたものを聴いてどう感じましたか?

佐藤  Calmさんは、素晴らしいクリエイターで大先輩なのは周知の通りで、当然、彼の作品は持ってましたし、L.E.D.結成前から普通にファンでした。そしたら幸いにサックスの加藤君がレギュラーのバンドメンバーとして長年彼とは関わっててお互いのライブを観たりしてて、ファーストのリリースパーティーにも出ていただいて仲良くさせてもらってたんです。
それからやっとこリミックスを出せるとなってまず頼みたかった方です。あがりはもちろん聴いていただければわかりますが、最高です!でもそれ以前にCalmさんにリミックスをしてもらったという事実にガチあがりでした。(笑)
moshimossくんとの出会いは、まず鍵盤の横山がどこかで試聴して彼の作品を買ってたんです。それで僕が横山のうちに遊びにいったときにいいのがあるから聴こうってなって聴いたんです。そしたら僕も一聴して虜になりました。そのときは日本人ではなくてアイスランドの新鋭アーティストだと思い込んでました。(笑)アンビエントものは普段から北欧、カナダ、ロシアものとか寒い国のものは好きで聴いていたんですが、ちょっと寒過ぎるなと思ってて(笑)。でもこの作品は温かい肌触りがあって、僕にとってBrian Eno以外ではじめての理想的アンビエントでした。そのくらいの衝撃でした。そしたらTwitterに普通に日本語でツイートしてて…
即座に何か一緒にやりたいという連絡をしました。(笑)
そしたら気さくすぎるくらいの青年で、音楽はもちろんですが、釣り仲間にまでなりました。(笑)
できあがりについて、これはもうなんていうか聴いてくださいとしかいえないです。
彼が日本人の持つ繊細さと叙情性もありながらそれを超える感性を持ってる事が良くわかると思います。でもあくまで日本人なんです。僕はそこが本当に大好きです。本当に素晴らしいアーティストです。

-- 今後のL.E.D.の活動予定を教えてください。

佐藤  バンドは生き物なんで自分たちでもどうなるかはわかりません。 幸いにして今はありがたくもいい感じで走ってこれてます。 このままやれるときにやりたいことをやるだけです。でもFUJI ROCKには出たいです!(笑)

-- それでは最後にHMV ONLINEをごらんのみなさんに一言お願いします。

佐藤 是非、それぞれの好きな映像にあてながらこの『Music For Cinemas e.p.』を“観て”聴いて楽しんで欲しいです。もちろんHMV ONLINEで! そのリリースパーティーを12/27渋谷WWWでやります。元々映画館だったこのハコの特性を生かして3面の大スクリーンでVJもコラボしてのライブです。音と映像に包まれるような感覚になれると思います。ライブでは、サウンドも音源とは違う角度で徹底してフィジカルな方向へシフトしてるので全く別なものを楽しんでもらえると思います。是非、今年最後にライブ会場にも足を運んでくれたらと思います!それでは、会場で会いましょう!



新譜 L.E.D. 『Music For Cinemas e.p.』
『架空の映画のサウンドトラック』をテーマに制作された新曲2曲と、下記の" I'll remix " 12inch収録のリミックス2曲を収録したEP(今回も数量限定)。 L.E.D.のお家芸とも言えるアンビエントと生ドラムのグルーヴの融合が新境地に達した"one"、ざらついた不穏な音響から流麗なストリングス&ノイズギターのパートへとドラマチックに展開する"countless"、どちらも10月の朝霧JAM出演後に制作を開始したほやほやの新曲です。また、カップリングのリミックス2曲は" I'll remix "が入手困難となった今やここでしか聴けません。今回も数量限定のEPですので、この機会に是非手に取ってみて下さい!


profile



L.E.D.

各方面で活躍する生楽器のマエストロ7人から成るシネマティック・インストバンド。
そのサウンドは、Jazz,Funk,HipHopからHouse,Ambient,Minimal,Electronica,Krautrockまで様々な要素をバンド独自の有機的フィルターを通して解体、再構築。 既存のインスト、ポストロック勢とは明らかに一線を画し、映像を強くインスパイアさせる、まさにシネマティックなサウンドスケープを展開している。 結成当初から確かな演奏力と映像親和性により高い評価を受けているライブは各地のフェスをはじめ、活動の幅を広げ続けている。
また映像に重きをおくコンセプトにより、 前作のアートワーク、ライブでのVJ参加(VJ QUIZ)、今作ではMVを手掛けたマンガ家でもあり映像作家の異才タナカカツキとのコラボレーションも話題に。
そして2011 年、 バンド初のボーカルトラックにクラムボンの原田郁子を迎えた楽曲『I'll』(アイル)を含む渾身の2ndアルバム『elementum』が遂に完成。









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