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【インタビュー】 ソウル・フラワー・ユニオン 中川敬

2011年12月9日 (金)

interview
中川敬 インタビュー



 2011年、各ロック・フェスへの出演、さらには「ソウル・フラワー・みちのく旅団」として東北被災地出前ライブを数多く行なうなど、例年以上に精力的なライブ活動をみせてきたソウル・フラワー・ユニオン。

 6月にリリースされた、フロントマン、中川敬のソロ・アルバム『街道筋の着地しないブルース』から半年。「今年をきちんと音に刻み込む」べく、ソウル・フラワー・ユニオンが年内最後に届けてくれる ”キセキ”と”再生”のロックンロール。何度でもやり直す、しつこく巻き返す全てのホモ・サピエンスへ!

 ミニ・アルバム『キセキの渚』発売を間近に控えた中川さんにお話を伺ってまいりました。


インタビュー/構成: 小浜文晶
 



--- 実を言いますと「今年はもうソウル・フラワー・ユニオン名義でのリリースがないのでは?」と思っていたのですが、年内すべり込みというカタチで12月21日にミニ・アルバム『キセキの渚』がリリースされます。

 6月にソロ・アルバムの『街道筋の着地しないブルース』をリリースした後、「さて、次何やろか」ということになったんやけど、やっぱり2011年にソウル・フラワー・ユニオンとして作品を出すべきやろなって。

 神戸の震災があった1995年。あの年にしても本来ならばアルバムを作る予定やったんやけど、神戸での避難所ライブの活動があまりにも忙しくて、『エレクトロ・アジール・バップ』をリリースできたのはその1年半後。モノノケ・サミットの『アジール・チンドン』があったけど、結局その年ソウル・フラワー・ユニオンとしては『満月の夕』のシングル1枚だけやった。それと似たような感覚が俺の中にあって、今年を音に刻み込むという意味でもシングル1枚は出しておこうって。ところが、ソウル・フラワー・ユニオンというバンドは、どうもシングルに7、8曲入れるらしい(笑)。

街道筋の着地しないブルース / 中川敬
ソウルシャリスト・エスケイプ『ロスト・ホームランド』(1998年)以来のソロ・プロジェクトとなる、中川敬、初のアコースティック・ソロ・アルバム。新曲に加え、セルフ・カヴァー<夜に感謝を><満月の夕><ひぐらし><寝顔を見せて><野づらは星あかり>、アイリッシュ・トラッド<風来恋歌>、浅川マキ<少年>やチューリップ<しっぽの丸い小犬>のカヴァー、さらには、『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』にインスパイアされ奏でる<男はつらいよのテーマ>など、中川敬がひとりで作り上げた全14曲の解放歌集。

--- (笑)今回はさらにヴォリューム感が増して、全10曲45分!

 ある種そういう習慣になってるからね(笑)。当初は、新曲1、2曲にライブ・ヴァージョンをプラスしたマキシ・シングルみたいなものをイメージしてたんやけど。それこそ「ソウル・フラワーみちのく旅団」で演奏してる <おいらの船は300とん><斎太郎節(さいたらぶし)>あたりの曲を早く聴きたい人もおるやろうから、なるべくすぐに音源化した方がええやろなって。

 9月に、<キセキの渚><ホモ・サピエンスはつらいよ>の2曲をまずはスタジオで録った。で、その直後の横浜のライブが台風で流れてんね。会場に来れない人が続出して、ライブ開始の1時間前に中止が決定。とは言え、セッティングもリハも済ましてて、勿論スタッフも全員いる。そこで閃いた。ベーシック録りをやろうって(笑)。ライブ・ヴァージョンでもよかったんやけど、<おいらの船は300とん><斎太郎節><郡上節>に関しては以前に録音した曲じゃないから、ちゃんとした新録という形で残しておきたいなっていう気持ちがムクムク沸いてきてんね。しかも、ツィッター・ネタとしてもおもろいやないかと(笑)。「ライブ中止の発表後に、レコーディング開始!」みたいな(笑)。結局は新録5曲っていうことになって、もはやヴォリューム的にシングルと呼べるものではなくなっていったんやけど、それでもこれは<キセキの渚>のシングルとも言えるし、2011年のソウル・フラワー・ユニオンのアルバムとも言える、両方の要素が混ざってる感じになったね。

--- <キセキの渚>は、あるひとりの人物との出会いから生まれた曲だそうですね。

 まず4月に初めて被災地に入った。石巻の保育園に文具を届けようと思って、大阪からポンコツ車を走らせた。東北に入ってからは、きちんと自分の目で被災地を見ておこうと思って、知り合いのところや「見ておいた方がいい」って言われた場所、そういうところを支援物質を届けながら一通り車で周ってね。『ソウル・フラワー震災基金2011』も立ち上げたから、これからおそらく東北とは長い付き合いになるやろなっていうのもあって。

 そのときに女川に行ったんやけど、津波の被害が本当にすごくて。三階建ての建物の屋上に車が転がってたりする状況・・・そこで、俺は音楽をやってる人間だから、「がれき」の中に散乱してる音楽関係のものにどうしても目が行くんよね。アナログ・レコード、CD、楽器のかけら・・・そんな中に一台のターンテーブルが見えて。そこは波止場で冠水もしてたから、写真だけ撮ってね。後日大阪に帰ってからその写真のURLを付けて「いま自宅に帰ってきました」みたいなツィートをしたのよ。すると、「これはもしかしたら俺のターンテーブルかもしれない」っていう人が現れた。それが、女川町の蒲鉾本舗「高政」の三代目・高橋正樹くん。「高政」は、東北では知らない人がいないぐらいの老舗の蒲鉾屋。今回の津波で水産業が軒並みやられた中でこの「高政」は、工場がやられなかったこともあって相当早い時期から操業を再開してた会社やねんね。 

--- その高橋さんがソウル・フラワーのファンだったそうで。

 そう。そのターンテーブルの写真をアップするちょっと前から、「中川さん、女川に来てたんですか? 会いたかった!」みたいなツィートを見かけてて、結局それが彼だった(笑)。フォローし合うようになった数日後に「女川に近々またライブで行こうと思ってるから、そのときは美味い蒲鉾でも食わしてね」みたいなDMをツィッターで送ったのよ。そうしたら彼からも長文のDMが帰ってきて、「20年来のソウル・フラワー・ファンで、仙台でのライブも観に行ってます。阪神淡路大震災のときは大学生で神戸にボランティアで入ってました。モノノケ・サミットの避難所ライブでは機材も運んでたんですよ。ところで、こないだアップされていた写真のターンテーブル、多分あれ俺のだと思います」って。びっくりやったね。そこから彼とは電話でも話すようになって、5月の中頃には、『ソウル・フラワー震災基金』で買った「高政」の蒲鉾を振舞いながら避難所でライブをやるっていうことを一緒にやったりもしてね。

 三陸沖の波止場はほとんど地盤沈下していて、冠水してないのは昼間だけ。彼は昼間働いてるから、長らくターンテーブルは確認に行けずじまいだったんやけど、5月の女川でのライブのときに、ターンテーブルが「がれき」の中から見えてんね。すぐに彼を車に乗せてその場所まで連れていったけど、その30分ぐらいの間にまた冠水が始まって50センチぐらいが海に浸かってしまった。最初は「また後日取りに来ますよ」なんてこと言ってたんやけど、いきなり海の中に大声を上げて入っていって「がれき」をかき分けて、「やっぱり俺のです!」って。「一生の宝モノです」って号泣してたよ。

 高橋くんは音楽人でもあって、昔キーボードも弾いてたらしいんやけど、家も何もかも流されて、結局自分で見つけ出せたものはそのキーボードの破片とターンテーブルだけ。津波の災害ってそういうことやねんなってあらためて思ったね。

--- ターンテーブルが音楽人のお二人を引き合わせたというのは、まさに「キセキ」の一言に尽きるというか。

 俺も相変わらずびっくりしてる(笑)。東北にしょっちゅう行くようになって仲間が増えていく中で、勿論みんな、人の数だけあらゆる感情を抱えてるとは思うねんけど、演奏が終わった後一緒に飲んだりするときでも、彼らからはすごいパワフルなものをもらえるんよね。「またやり直すんですよ!」っていうような言葉に溢れてる。

--- 『街道筋の着地しないブルース』が出たときもそうでしたが、色々な気持ちにさせられてしまうと言いますか・・・でも、また作品は作品としてたのしく聴いて踊れるものになっていると感じています。

 まぁ、そうしていただきたいと思ってこの職業をやってんねんけど(笑)。



ソウル・フラワーみちのく旅団



--- <ホモ・サピエンスはつらいよ>は、スピード感があるシンプルなロックンロールになっていますね。

 俺のルーツでもあるパンクなロックンロール。歌詞的には<キセキの渚>の続編みたいな感じ。歌詞の面も含めて<キセキの渚>は、今年の様々な出会いを1曲に詰め込みたいっていうのもあって、書いてるときに相当エネルギーが要ったから。その反動じゃないけど、この曲は、単純にメンバーとロックンロールをたのしむっていうね。俺の中でちょっと息抜き的にたのしみたいっていう感じの曲作りやったね。「頑張らない!」みたいな(笑)。

--- (笑)パンクなロックンロール、この感じはかなり久しぶりじゃないですか?

 たしかに最近やってないよね。例えば<NOと言える男>とか<タンザニアからパタゴニアまで>とか、ローリング・ストーンズ調のロックンロールって俺の中でどうしても抜き難くある民謡みたいなものなんやけど、逆に自分にとってあまりにルーツ過ぎて、普段は発想として出てこないタイプの楽曲やね。


スクリューボール・コメディ / ソウル・フラワー・ユニオン
<NOと言える男>収録。 スイングするスピリチュアル、爆走する電化トラッド。新世紀的最新型ロックンロール。新たな領域へと突入したことを強く感じさせる2001年リリースの5thアルバム。<サヴァイヴァーズ・バンケット><荒れ地にて>など今もライブ・レパートリーに欠かせない最重要曲がズラリ。ブラック・ボトム・ブラス・バンドのホーン・セクションを迎えたサルサ・チューン<オーマガトキ>は、ソウル・フラワーがいかに優秀なダンス・バンドであるかを窺い知れる1曲でもある。ちなみに、<タンザニアからパタゴニアまで>は、『ラヴ・プラスマイナス・ゼロ』に収録。


--- <ダンスは機会均等>のダブ・ミックスは、内田直之さんが手掛けられていますが、内田さんとのお仕事はひょっとすると今回が初めてになるのでは?

 実は初めてじゃなかった。2年前に『Peace Music Fiesta!』を宜野湾でやったときに、OKIUAに帯同して内田くんがエンジニアとして来ててんね。俺は「はじめまして」って感じだったんやけど、「いや実は中川さん、20年ぐらい前、初期のソウル・フラワー・ユニオンのレコーディング現場でアシスタント・エンジニアとして立ち会っていたんですよ」って。『ワタツミ・ヤマツミ』の頃ぐらいちゃうかな?

 そもそも<ダンスは機会均等>は、作り込んでる段階から「誰かにダブ・ミックスやってもらいたいな」っていう曲やったから。元々ドライ&ヘヴィの感じはかなり好きやったし、アフロっぽいハチロクの曲ということもあって、俺の中で内田くんの名前が出てきやすかったっていうのはあったかも。いずれはダブ・アルバム的なものも作りたいなって思ってるけどね。

--- ソウル・フラワーのダブ・アルバム、いいですねぇ!

 ソウル・フラワー・ユニオンモノノケ・サミットニューエスト・モデル、全部俺のプロデュースやから、たまには違う人にプロデュースしてもらいたいっていう願望も関係してる。「違う人が料理したらどんな風になるんやろ?」って。だから、こういうダブ・ミックス、あるいは昔(石野)卓球がやってくれた<エエジャナイカ>のテクノ・ミックスなんかにしても、第三者的にたのしませてもらってるようなところがある。

--- <おいらの船は300とん><斎太郎節><郡上節(春駒〜八竹)>は「ソウル・フラワーみちのく旅団」の出前ライブにおけるレパートリーとなりますが、以前からよくご存知の曲だったり?

 <斎太郎節>は有名な民謡。東北に避難所ライヴをしに行くのならまずは<斎太郎節>って思った。実際演奏してても、若いコらが「幼稚園のときこの曲で踊りました」って言ってたから、東北では相当スタンダードな民謡やねんね。

 <おいらの船は300とん>は知らなかったんやけど、演奏するにあたってリサーチしたら出てきたタイトル。16年前のモノノケ・サミットのときもそうやったけど、今回東北でやるってなったらやっぱりお年寄りが聴きたいものを演奏しようってなる。避難所での演奏は大概昼間とか夕方やから、働き盛りの世代はいなかったりする。だから、お年寄りや子どもたちといい時間を共有しようっていうのがまずはコンセプトとしてあるんよね。



ソウル・フラワーみちのく旅団
<斎太郎節>はこちらのCDに収録されています
日本の民謡ベスト 宮城・福島編
<斎太郎節>収録。 宮城県松島湾沿岸の鰹漁の大漁祝い唄。囃子言葉の「サイドヤラ」から「サイタラ節」と呼称されたものに、のち「斎太郎」の文字があてられた。源流は、岩手県のたたら作業の銭吹き唄<鑄銭坂(きせんざか)>。1927年頃、桃生郡雄勝町で銭吹き唄(<斎太郎節>)を聴いた後藤桃水が<ドヤ節><斎太郎節><遠島甚句>の三曲を組み合わせ、組唄<大漁唄い込み>として広まった。「ソウル・フラワーみちのく旅団」の被災地出前ライヴに欠かせないレパートリー。  (文:中川敬)
<おいらの船は300とん>はこちらのCDに収録されています
石本美由起作品集
<おいらの船は300とん>収録。 東日本大震災で津波被害が酷かった三陸の港は遠洋漁業のメッカであり、この曲は、2011年5月に始まった「ソウル・フラワーみちのく旅団」の被災地出前ライヴに於ける重要なレパートリーとなった。オリジナルは1957年リリースの青木光一<船は三〇〇頓>。1975年、美幌健のデビュー曲<おいらの船は300とん>としてリメイクされた際、高知県室戸岬のマグロ遠洋漁業の漁師達から全国の漁師仲間に歌い継がれ大ヒットした。
(文:中川敬)
<郡上節>はこちらのCDに収録されています
盆踊り ベスト
<郡上節>収録。 岐阜県郡上八幡の盆踊り「郡上踊り」の際に演奏される囃子を総称して<郡上節>といい、<郡上節>には<川崎><春駒><三百><八竹(やっちく)><古調川崎><げんげんばらばら><猫の子><さわぎ><甚句><松坂>の十種がある。源流は、中世の「念仏踊り」「風流踊り」や、「伊勢音頭」の流れを汲むともいわれている。JIGEN&上村美保子(岐阜出身)による別ユニット「桃梨」のレパートリーで、「ソウル・フラワーみちのく旅団」の被災地出前ライヴでも欠かせない演目となった。  (文:中川敬)

 三陸は遠洋漁業の港が多い。「昔、遠洋漁業に出ていたおじいちゃんたちにとっては聖歌みたいな曲があるんですよ。もし中川さんがこの曲を演奏したら、『お〜、コイツはなかなか通だな』って思われる、そんな曲です」(笑)って教えてもらってね。それが<おいらの船は300とん>。ただ実際に行って演奏するまでは「ホンマにこの曲有名なん?」って半信半疑みたいなところもあったんやけど、ところが演ってみると港町ではすごく有名な曲やった。演奏後に色々話を聞いてみると、みんなそれぞれに思い出があったりする曲で。それこそ振り付けまであったらしいから。昔、この曲を踊りながら歌って夫を港から送り出したっていう人なんかもいたよ。日本各地の遠洋漁港で歌い継がれてきた唄なんよね。 

 95年のときもそういう感じはあったな。その頃は俺も20代やったし、行く前はどんな曲がウケるのかとかまったく分からなかった。しかも、それまでそういう活動をしてたわけでもないし。長田には在日コリアンの人が多いから<アリラン>を入れようかとか、三線を使うから有名な民謡<安里屋ユンタ>は必須とか、選曲はかなり想像で始まった。でもいざやってみたら大合唱。「アタリ!」みたいな(笑)。今回の<おいらの船は300とん>はまさにそういう感じやったな。多分俺にとっては2011年を思い出すたびに、「あの年は<おいらの船は300とん>やったな」みたいな曲になるんやろうな。

ライヴ辺野古 / ソウル・フラワー・ユニオン、ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
<アリラン><聞け万国の労働者>収録。 2007年2月24&25日に沖縄の辺野古ビーチ(在日米軍海兵隊基地キャンプ・シュワブ側)で行なわれた『ピース・ミュージック・フェスタ!辺野古 2007〜わったーしまはわったーがまもる』の、ソウル・フラワー・ユニオン、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットのステージ映像を完全収録したDVD。特典映像として、短篇ドキュメンタリー『アメリカの戦争と日本』(藤本幸久監督)、小林アツシ監督映画『基地はいらない、どこにも』の予告編、さらに「ラヴィエベル 〜人生は素晴らしい!」のPV、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンによる「辺野古節」のライブ映像(2007年12月27日@神戸・長田神社)を収録。

--- 今はYoutubeなどで割りと手軽にリサーチできる時代になりましたが、95年のときはどういう感じで民謡などの音源を入手していたのですか?

 そう言われれば、あのときは音源探しに必死やったなぁ。「これやろう」って決めたらとにかくレコード屋を探し回ってた。民謡・演歌専門店とか。音源が出てないっていう曲もあったから、そういうものに関しては知り合いのスナックのおばちゃんにカラオケで歌ってもらったりして(笑)。あとは、古本屋で譜面だけ見つけてメロディ起こしたり。<聞け万国の労働者>なんかはそうやったな。今はラクな時代やね。

--- ソウル・フラワーがレパートリーに取り上げることによって、こうした民謡や昔の流行歌を知ることができるっていうのはファン冥利に尽きるというか、本当に色々なものを教えてもらっていますよ。

 基本的にジャズでもロックでも何でも、継承していくっていう意味では同じ。日本人のロック世代は民謡をちょっと特殊視し過ぎてる。「トラッド」やね。ローリング・ストーンズ聴いてて、気が付いたらマディ・ウォーターズ聴いてたりするやん? それとまったく同じことやと思うけどね。

--- アレンジのかっこよさも特筆すべき点ですよね。<郡上節>のファンク調アレンジだったり。

 これぞソウル・フラワー・ユニオン、自分でも素晴らしくてびっくり(笑)。<郡上節>は、ジゲンと(上村)美保子がやってる『桃梨』のレパートリーでもあって。美保ちゃんの出身地・岐阜の有名な民謡やね。6月に、俺、(高木)克ちゃん、ジゲン、美保ちゃんの4人で東北に行ったときに、「<春駒>やろうや」って話になった。前々からやりたかった曲で。こういうモーダルな曲って大概ワン・コードになりがちなんやけど、でも俺が関わる以上は“オレ流”のアレンジをしなくては、ということになるから(笑)。コードの付け方とか結構気に入ってるよ。

歓喜 -結成10周年記念大感謝祭 / 桃梨
ソウル・フラワーのメンバーとしても活躍する上村美保子(vo)とジゲン(b)のユニット、桃梨の“結成10年記念大感謝祭”を中心とするライヴ盤。表芸(?)の唄&ベースだけのプレイに加え、多彩なゲストによる演奏もあって賑やかかつ盛り沢山の一枚。

--- <いちばんぼし>は、ソロ・アルバムの『街道筋の着地しないブルース』からですね。奥野さんのキーボードが新しくダビングされたニュー・ヴァージョンとなっての再録。

 俺が「3.11」以降に初めて書いた曲やね。結果的には、台風でライブが中止になったりとか色々なことがありつつ、マキシ・シングルがミニ・アルバムにまで膨らんで、ある種のコンセプト・アルバムになっていった。「2011年のソウル・フラワー・ユニオン」っていう。そこに最後の最後、この曲を滑り込ませた。「2011年のソウル・フラワー・ユニオン」、「2011年の中川敬」って言うのであれば、やっぱり<いちばんぼし>を入れたいなって。

--- あらためて言うことでもないかもしれませんが、中川さんって素晴らしいメロディメーカーですよね。<いちばんぼし>を聴いているとそう感じますよ・・・本当にきれいなメロディを書かれますよね。

 (笑)ありがとう。ずっと、旋律と言葉の関係にこそ力点おいてやってるからね。

--- そして、<偉大なる社会><雑種天国>と、ニューエスト楽曲のライブ・ヴァージョンもしっかり収録と。

 80年代後半から90年代前半にかけて毎年開催されてた大規模な『仙台ロックンロール・オリンピック』っていうロック・フェスがあってんね。ニューエスト・モデルメスカリン・ドライブ、あとボ・ガンボスあたりも毎年出演してた。その頃客席にいた10代の連中が、今40前後になってて、当たり前やけど(笑)。ツィッターやネットなんかで、避難所で演奏する二、三日前に場所の情報を出すと、そういうニューエスト時代のファンも来てくれたりする。最初の頃でも女川、石巻、気仙沼、数人ずつぐらい来てくれた。言わば再会やね。そこでキーワードとして出てくるのが<雑種天国><こたつ内紛争><エンプティ・ノーション>......。今回のアルバムを<雑種天国>で締めるっていうのはバッチリやと思ったね。

 <キセキの渚>の曲調なんかにしても、そういった出会いは少なからず俺の中で影響してるからね。エンディングのクリシェのところとか。これはもうストリングス入れなあかんやろって(笑)。あのコード進行はまさにニューエスト・モデル

クロスブリード・パーク / ニューエスト・モデル
<偉大なる社会><雑種天国>収録。ニューエスト・モデル、1990年リリースのメジャー2ndアルバム。前作『ソウル・サヴァイヴァー』からの進化の速度感が否応なしに窺える。<杓子定木>を聴けば、現在の中川敬及びソウル・フラワー・ユニオンの活動にまで直結する原点なるものを見出すことは容易の筈。<雑種天国><乳母車と棺桶>といった名曲を含む、中川本人も「ニューエストのピーク」と振り返る一枚。
ソウル・サヴァイヴァー / ニューエスト・モデル
<こたつ内紛争>収録。ニューエスト・モデル、1989年のメジャー・デビュー・アルバム。持ち前の質実剛健ソウル・パンク・サウンドに、ニューオリンズ、ファンキー・ブラスなどのファクターを投下。モノトーンから一気にカラフルなサウンドを手繰り寄せ、同時代バンドの中でも圧倒的な存在感を見せつけた傑作。抵抗を繰り返すも切実すぎる、青春のひとコマ。

--- 今、ニューエストのレパートリーを歌うと、感慨深いと思われることの方が多いのでは?

 <雑種天国>は23のときやねんけど、まぁそのとき作った曲をよう今も歌えるなって。しかも23であの歌詞やからね。ヤンガー・ザン・イエスタデイ(笑)。<もっともそうな二人の沸点>とか。アコースティック・パルチザンで2年前ぐらいに久しぶりにやったんやけど、「おいおい、これ書いたの24!?」ってちょっとあきれたけど(笑)。とは言え、今でもやれるっていうのが、真の意味で強度がある曲っていうことやね。<外交不能症><もぐらとまつり>あたりもそう。

--- では最後になるのですが、2011年、年の瀬を迎えるにあたりまして、中川さんにとって今年1年はどういうものだったか、というお話を持って結びに代えさせていただきたいのですが。

 いきなり質問が大き過ぎる(笑)。まぁただ、年で区切れるようなことじゃないよね、今回東日本で起こったことは。まだまだ途中経過、何も収束してない。まだ始まったところっていう感じやね。

--- ソウル・フラワーの活動意義は、95年を境に大きく変わったと以前におっしゃっていましたが、今回の震災もソウル・フラワーに何か大きな変化などをもたらしたのではないですか?

 バンドというよりは、中川敬イチ個人として生き方を問われているっていうか。新しい生き方を模索しなあかんなっていう感じやね。今回の出来事はあまりにも大き過ぎた。

 色々なことを考えるとほんと暗澹たる気分になるけど、チェルノブイリ、スリーマイル、第五福竜丸、長崎、広島、ハンフォード・・・この100年ぐらいの、人類史の数少ない経験からしっかり学んで、次世代、子供たちのために、「大人たちよ、しっかりしろ!」っていうことやね。




【取材協力:ブレスト音楽出版】




キセキの渚 / ソウル・フラワー・ユニオン
被災地・東北での出逢い・再生を歌い込んだ新曲<キセキの渚><ホモサピエンスはつらいよ><いちばんぼし>、「ソウル・フラワーみちのく旅団」の被災地出前ライヴでの重要なレパートリー <おいらの船は300とん><斎太郎節><郡上節(春駒〜八竹)>、日本ダブ界の重鎮・内田直之によるダブ・ミックス<ダンスは機会均等>、その他、ニューエスト・モデル・ナンバーのライヴ録音などを含む全10曲入りの入魂ミニ・アルバム!






今後のライヴ・スケジュール



ソウル・フラワー・ユニオン 『年末ソウルフラワー祭 2011』


> 2011年12月10日(土)
<大阪>BIGCAT
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GREENS tel.06-6882-1224
ローソンチケット (L コード:51431)


> 2011年12月11日(日)
<名古屋>クラブクアトロ
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:JAILHOUSE tel.052-936-6041


> 2011年12月17日(土)
<東京>LIQUIDROOM
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:SOGO tel.03-3405-9999
ローソンチケット (L コード:74088)


> 2011年12月20日(火)
<仙台>LIVE HOUSE enn2nd
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GIP tel.022-222-9999(平日11:00〜19:00)
ローソンチケット (L コード:23763)



*各公演共に、キッズチケット 前売1,700円/当日2,000円 (税込・ドリンク別)
*キッズチケットは高校生が対象となります。(学生証をご持参ください。ご入場順につきましては、整理番号をお持ちの方の後になります。一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、ご一緒に入場できます。)
*中学生以下は入場無料。中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)




「ホモサピエンスはつらいよ」ツアー横浜振替公演・2011大忘年会!


> 2011年12月28日(水)
<横浜>F.A.D YOKOHAMA
※ 本公演は9/21(水)の振替公演です。
※ 9/21(水)公演のチケットにて、整理番号の変更なくそのままご入場いただけます。
※ 振替公演へのご来場が難しいお客様への払い戻し期間は終了致しました。
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:SOGO tel.03-3405-9999
ローソンチケット (L コード:75796)



*各公演共に、キッズチケット 前売1,700円/当日2,000円 (税込・ドリンク別)
*キッズチケットは高校生が対象となります。(学生証をご持参ください。ご入場順につきましては、整理番号をお持ちの方の後になります。一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、ご一緒に入場できます。)
*中学生以下は入場無料。中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)




rockin'on presents『COUNTDOWN JAPAN 11/12』


> 2011年12月31日(土)
幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
出演者、チケット情報など、詳しくはイベントサイトをご確認ください。

問:ディスクガレージ tel.03-5436-9600(平日12:00〜19:00)
ローソンチケット (L コード:70848)




ソウル・フラワー・ユニオン ニュー・ミニ・アルバム『キセキの渚』
発売記念地方巡業 〜アコースティック編〜


ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(中川敬・リクオ・高木克)

> 2012年1月15日(日)
<福岡>the voodoo lounge
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:the voodoo lounge tel.092-732-4662

> 2012年1月17日(火)
<広島>横川シネマ
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:横川シネマ tel.082-231-1001

> 2012年1月18日(水)
<愛媛>松山ブエナビスタ
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:ブエナビスタ tel.089-953-4886

> 2012年1月20日(金)
<兵庫>加古川・ギャラリー&サロン 日本堂
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:dining cafe CECIL tel.079-456-6383

> 2012年1月22日(日)
<東京>代々木 Zher the ZOO
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:Zher the ZOO tel.03-5358-4491
ローソンチケット (L コード:70558)


> 2012年1月24日(火)
<宮城>石巻 ラ ストラーダ
開場18:00/開演19:00
料金:前売3,500円/当日4,000円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:ラ ストラーダ tel.0225-94-9002


*各公演共に、キッズチケット 前売1,700円/当日2,000円 (税込・ドリンク別)
*キッズチケットは高校生が対象となります。(学生証をご持参ください。ご入場順につきましては、整理番号をお持ちの方の後になります。一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、ご一緒に入場できます。)
*中学生以下は入場無料。中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)




『ソウルフラワー・モノノケサミット歌初め!夢の歌謡ショウ!2012』


> 2012年2月9日(木)
<京都>磔磔
ゲスト:二階堂和美 ほか
開場17:30/開演18:30
料金:前売4,000円/当日4,500円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:磔磔 tel.075-351-1321

> 2012年2月11日(土)
<東京>下北沢GARDEN
ゲスト:二階堂和美 ほか
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,000円/当日4,500円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GARDEN tel.03-3410-3431


*各公演共に、中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)



profile

ソウル・フラワー・ユニオン

 1992年、中川敬率いるミクスチャー・パンク・バンドのニューエスト・モデルと、伊丹英子率いるガールズ・ガレージ・バンドのメスカリン・ドライヴの同時解散・統合という形で、ソウル・フラワー・ユニオンが結成される。93年に1stアルバム『カムイ・イピリマ』、94年に2ndアルバム『ワタツミ・ヤマツミ』をリリース。95年、阪神・淡路大震災の被災地で ソウル・フラワー・モノノケ・サミット名義による「出前慰問ライヴ活動」を開始。ロック的アプローチのソウル・フラワー・ユニオンと、チンドン・ミュージック的アプローチのソウル・フラワー・モノノケ・サミットの同時並行活動が始まり、翌年、名曲<満月の夕>が生まれた。この時期、2枚のアルバム『アジール・チンドン』、『レヴェラーズ・チンドン』をリリースしている。また、中川敬は、ソロ・プロジェクト「ソウシャリスト・エスケイプ」で、アイリッシュ・トラッド界の先鋭達と『ロスト・ホームランド』、『マージナル・ムーン』を制作。99年8月には、韓国・釜山のフェスに、日本語解禁後、公式では初の「日本語バンド」として訪韓。年末には、初のライブ・アルバム『ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ』をリリースする。2000年、フジ・ロック・フェスの最終日の大トリを務め、伝説的ライブ・パフォーマンスを披露。初の映画サウンドトラック『アンチェイン』(豊田利晃監督)もリリース。2002年、モノノケ・サミットが、東ティモール(独立祝賀コンサート)やフランス(計22公演)などでライヴ。中川敬は、北方領土・国後島のムネオ・ハウス前でもライヴを行う。2003年、伊丹は、耳の難病「音響性外傷」と「子育て」の為、モノノケ・サミットに専心。高らかに非戦を謳うコンセプト・アルバム『シャローム・サラーム』をリリース。2005年、モノノケ・サミットとしてヨルダン・パレスチナ難民キャンプでライブを行う。ソウル・フラワー・ユニオンとしてのアルバム『ロロサエ・モナムール』をリリース。2006年、モノノケ・サミットの3rdアルバム『デラシネ・チンドン』リリース。2007年、新たな米軍基地建設が計画される沖縄・辺野古のビーチにて「ピース・ミュージック・フェス」を企画・出演。中川・奥野・リクオの3人による地方巡業用ユニット、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンが本格始動。2008年、初のライヴDVD『ライブ辺野古』、アルバム『カンテ・ディアスポラ』をリリース。2009年、新メンバー、高木克(g)の加入した最新マキシ・シングル『ルーシーの子どもたち』、2枚目となるライヴ盤『エグザイル・オン・メインビーチ』をリリース。2010年は元旦に『アクア・ヴィテ』、6月に『死ぬまで生きろ!』という2枚のマキシ・シングルを、さらに12月には、2年ぶりのニュー・アルバム『キャンプ・パンゲア』をリリースした。2011年、初のアコースティック・ソロ・アルバムを完成させた中川敬およびソウル・フラワー・ユニオン一行は、3月11日に未曾有の大震災に襲われた東北の各避難所を「ソウル・フラワーみちのく旅団」として周った。12月21日には、「2011年を音に刻み込む」べく録音されたミニ・アルバム『キセキの渚』をリリースする。トラッド、ソウル、ジャズ、パンク、レゲエ、ラテン、民謡、チンドン、ロックンロールなどなど、世界中のあらゆる音楽を精力的に雑食、それを具現化する祝祭的ライヴは、日本最強のオルタナティヴ・ミクスチャー・ロックンロールと評される、唯一無二の存在として、国内外を問わず高い評価を得ている。